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もりたじゅん『うみどり』 [マンガ]

前記事で、もりたじゅんの『ダニイル』について書きましたが、

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もりたじゅんの作品で、何と言っても印象に残っているのが『うみどり』
1970年「りぼんコミック」6月号に掲載された作品です。

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とにかく衝撃でした!

当時、劇画も出てきていましたが、まだ、マンガは子どもの読むものでした。
大学生がマンガを読んでいると、非難めいて報道されたりしていました。
もちろんレディースコミックなどというものもありません。

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こんな、「女のハダカ」シーンが少女マンガに登場したのは、
これが最初ではないでしょうか?
生々しい女の肉体。

それまで、女のハダカ=エッチ(今の、sexという意味ではなく)
という感覚だった私(中学1年でした)は、
見てはいけないものを見てしまったような、
ちょっと拒否反応を起こしてしまうほどの衝撃でありました。

その頃の少女マンガで、もりたじゅんの絵は異質でした。
それまでの少女マンガの登場人物は、目の大きさもそうですが、
現実離れした人形のようで、外国を舞台にした憧れの世界とか、
薄幸の少女の悲しい世界といった、あくまでも“おはなし”というか、
虚構の世界の住人でありました。
それが、肉体の柔らかさ、生身の肌を感じさせるグラマーなヒロイン!
びっくりしました。

で、ストーリーもすごい!
実の兄妹の恋愛モノ!!

今なら驚かないかもしれませんが、1970年ですからね。

「もりたじゅん うみどり」で検索したら、ネット上でマンガが読める
Yahoo!コミックで、この作品が読めるようです。(全てを読むのは有料)
http://comics.yahoo.co.jp/thirdline/moritazi01/umidori01/list/list_0001.html

以下、ネタバレを含みます。

のゆりとわたるは、恋人のように仲がいい兄妹。
高校生になったのゆりは、新津朱鷺夫に出会う。
朱鷺夫は、ほとんど高校の授業には出ないのに成績もよく、けんかも強く、
女嫌いだが、女生徒の憧れの的であった。
のゆりは朱鷺が好きでもない女生徒にキスをしている場面に出くわし、
不潔だと反発しながらもひかれていく。
わたるはのゆり以外の女に興味がわかないのを悩んでいた。
わたると朱鷺は友人で、家に遊びに来た朱鷺は、のゆりに
わたるから理想の女性像を聞かされつづけて、最初にのゆりを見たとき、
「自分の理想にはまりすぎる女がいると驚いた」と言う。
二人は急速に親しくなる。

しかし、のゆりは養女で、朱鷺夫とは実の兄妹であることが判明!

のゆりは小学校5年にもなって兄と一緒に男湯に入っているし、
高校生で、好きでもないのにキスするなんて不潔!と怒るし、
今の感覚だと信じられない程、幼い。

そののゆりが、最後には朱鷺と、お互いの手をリボンで結んで、
全裸で海に入っていくという結末!!!!

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「最初で最後のくちづけをかわして」
「私たちは海に入ります」

今の醒めた目で読むと、色々ツッコミたいところもあるでしょうが‥‥

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このキスシーンのなんと肉感的なこと!
そして、海の波と紙面いっぱいに飛ぶリアルなうみどりの絵。

まだ私は、なぜ実の兄妹が愛し合ってはいけないのか、よく理解できていなかったのでしたが、この結末の数ページ、とにかく衝撃でした。

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ラストのページには、"JUN MORITA & HER FAMIRY" として、スタッフの名前が入っています。
H SASHIOKA
A SHIOMI
T MATSUMOTO
T HONMA
G KAMASE H HOSHI

後で気がついたのですが、二番目の"A SHIOMI"は、汐見朝子ですよね?
うん、確かに汐見朝子はもりたじゅんの系列です。
この後、りぼんコミックでデビューして、りぼんにも描いていました。
私は汐見朝子の作品はちょっとヤボったく感じて、あまり好きではなかったのですが、
『ジョーのおもちゃ箱』(1972年りぼん10月号掲載)という、
シーラ・ディレーニーの『蜜の味』をヒントにした作品が印象に残っています。

私はレディースコミックは読まないので、ネットで調べていて知ったのですが、
もりたじゅんも汐見朝子も、今もマンガを描き続けているとのこと。
すごい、いいことですね。
レディースコミックの世界へというのは、作者本人の年令が上がってきたということもあるだろうけど、もうこの頃の作品世界からも感じられます。
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NO NAME

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by NO NAME (2011-09-03 23:18) 

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