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名古屋能楽堂で狂言を観ました

9月25日(日)名古屋能楽堂へ和泉流狂言大会を観に行きました。
ダンナに誘われた時、狂言=高そうってイメージだったんですが、
なんと無料で観られるとのことで、おケチな私は飛びつきました。

ダンナの知り合いが狂言のお稽古をしていて、その発表会とのこと。

もとより狂言についてそんなに知識はありません。
能の合間に演じられる滑稽味のある伝統芸能で、
能よりはとっつきやすそう‥‥くらい。

今まで狂言を観たのは、
まだ独身の頃、市民会館で能と狂言の公演があった時に観た「棒縛」くらい。

もちろん名古屋能楽堂へ行くのも初めてですし、
名古屋城の正門南にそんな施設があることも初めて知りました。

名古屋能楽堂の前にある加藤清正像。後ろに名古屋城も見えます。
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名古屋能楽堂の舞台
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舞台の鏡板はこの若松の図と老松の図があり、一年毎に入れ替えられるそう
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観覧席を「見所(けんしょ)」って言うんですか。630席あるそう。
ふかふかのじゅうたんで豪華な雰囲気です。平成9年(1997年)4月開館とのこと。
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11時からの開演なのに、ほとんど人がいなくて、最前列正面の席ゲットです。

面白かったです。ゆったりとした掛け合いの滑稽味がクセになりそう。
‥‥時々眠くなったりも(実際眠っている人も結構いました)
たまに後見がセリフを教えたりしてましたが、それも愛嬌で‥‥

しかし、シンプルな演劇ですね。大道具がない。小道具も最低限。
扇を広げて「ガラガラ」って口で言えば、戸が開くし。
登場人物は大抵2、3人で、名前はなく、大名とか主人、家来は太郎冠者に次郎冠者
最初に出てきたときに「このあたりの者でござる」なんて自己紹介しちゃうし。
白い頭巾のような布を頭から垂らすと女の人というシルシだし。
(今回、女の人が男の役をやって、男の人が妻の役をやっていたりしました。)
歌舞伎のように白塗りや隈取もしないし、能のような面もない。
(雷や動物などの面はあるようですが)

狂言のお稽古をしているって聞いて、なんてセレブな!って思ったんですが、
意外と誰でも簡単に楽しめるんじゃないかって‥‥いや私はやるつもりは全くないですが。

この日の演目は
「鬼瓦」 永らく在京中の大名、訴訟が叶って晴れて帰国することになり、太郎冠者を伴って因幡堂の薬師如来にお礼参りに出かける。突然泣き始めた大名の指さす屋根の上にはいかつい鬼瓦が‥‥

「杭か人か」 夜中の留守居を言いつけられた太郎冠者。「そこにいるのは杭か人か」と問いかけ、主人が「杭」と答えると「それなら安心」‥‥?

「水掛聟」 畦を隔てて田を持つ聟と舅、日照り続きで水不足から争いが‥‥

「伯母ヶ酒」 酒屋に伯母を持った男、度々訪れて世辞追従を並べ立てても、伯母はいっこうに酒を振る舞おうとしない。男は一計を案じて鬼に化けて伯母の店を訪れる。

「竹生島参」 太郎冠者の無断欠勤に腹を立てて冠者の家へ出向いて問い詰める。冠者は主人のご機嫌を直そうと‥‥
「スズメとカラスは父子でござる。スズメがチチ(父)というとカラスがコカー(子か)と答えました」というような(うろ覚えです)くだりが面白かった。

「雷」 薬師が奥州へ下る途中、武蔵野の広野で夕立となり、激しい雷雨とともに雷が落ちてきた。腰を打って動けぬ雷に、薬師は鍼治療を‥‥
雷が鍼を打たれて痛がる様子が面白い。ちゃんと薬代を要求する薬師もなかなかしっかりしてますね。
最後、水の恵を約束して謡いながら(三人の謡の人も出てきました)退場していく様子は能のような典雅な雰囲気でした。

ここで、昼食を食べようと中座。
能楽堂にある東山ガーデンがやっている「城」というレストランへ行くのですが、
ちょうど外国人グループで混雑しておりまして‥‥

名古屋めしが看板メニューになっていて、なかなかお値打ち。
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もう少し後で来ようと、能楽堂の展示室でやっていた
狂言へのいざない――狂言共同社の装束と狂言画―― を見ました。
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置いてあったパンフからスキャンしましたが、この立琴柱文様の肩衣、
この日の出演者が同じ模様のものを着ていたのを覚えています。
(この和泉流狂言大会の主催は狂言共同社でした)

名古屋の狂言について、私は今まで知りませんでしたが、パンフによると、
名古屋の狂言は、江戸時代には武家だけでなく町人層にも親しまれてきましたが、
明治になると藩の後ろ盾がなくなり、和泉流宗家の東京転出や中心的な家の廃絶によって、危機的状況になりました。
そんな中、和泉流門下であった旧家や商家の主人たちは、明治24年(1891)に「狂言共同社」を結成。
狂言の装束・道具・伝書類を共同管理し、芸の伝承を目指したとのことです。

そんな「狂言共同社」結成120周年記念として、
10月22日(土)~12月4日(日) 名古屋市博物館で
「狂言共同社と尾張の狂言」の展覧会があるそうです。
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能楽堂の展示室入口には能の面が置いてあって、誰でもかぶってみることができます。
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般若の面と二つ置いてあって、カップルが記念撮影してたりしました。

そろそろいいかな‥‥と、レストランで海鮮丼1,100円を食べました。
きしめんの上の金シャチの形のかまぼこがカワイイです。
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能楽堂の中庭。水が流れていていい雰囲気。後方はレストラン。
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休憩コーナー。セレブな雰囲気です。
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戻って狂言を鑑賞
「鏡男」 都から帰郷する男が妻への土産に鏡を買い求める。さぞ妻が喜ぶだろうと思いきや、妻は鏡を見るなり怒り出す。
昔話にもありました。初めて鏡を見た妻の反応。

「呂連」 諸国修行の僧を泊めた男、頼み込んで弟子にしてもらう。髪を剃り、呂連と言う出家名もつけてもらい、衣を譲り受け、すっかり僧侶に変身したが‥‥
白い頭巾をかぶったら髪を剃ったことに、修行僧が文字がロクに読めずに、出家名をつけるのに「いろは」から引用していくのが面白い。

「棒縛」 主人の留守には必ず酒を呑む太郎冠者と次郎冠者。主人は太郎冠者を棒縛りに、次郎冠者を後ろ手に縛り上げて外出する。さて二人は‥‥
狂言の有名な演目ですね。しかし、使用人たちのしたたかさ、いいなぁ。

「茸(くさびら)」 庭に大きな茸が生え、気味悪くなった男は山伏にご祈祷を頼む。山伏が祈祷すると茸はもぞもぞ動き始め、茸はどんどん増えて‥‥
小学生が茸として登場するのがカワイイ。カサをかぶって茸、最後の大きな茸は傘をさしてってのが面白い。

終演まで観たので、5時頃になりました。帰りは地下鉄の市役所駅まで歩きました。
途中の歩道脇に、ヒガンバナが咲いていました。
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名古屋市役所と愛知県庁
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