岐阜県美術館「円空大賞展」と田中泯の場踊り [美術]
2月12日(日)岐阜県美術館へ「第6回 円空大賞展」を観に行きました。
岐阜県ゆかりの円空にちなみ、現代の円空といえるアーティストを表彰する円空大賞。
平成11年(1999)に制定された円空大賞も今回で6回目
今回の受賞者は、
円空大賞が、フランス・クライスバーグ
円空賞が、高山登、田中泯、流政之、林武史
「円空大賞展」の会期は2月10日(金)~3月4日(日)ですが、
12日(日)は、午後3時から作品鑑賞会、4時から田中泯さんの場踊りがあるということで、
1時半頃に行き、いつもは後で見る一般展示室の自由美術岐阜グループ展、
大垣女子短期大学デザイン美術科の卒業記念展を先に見ました。
マンガコースなんてあるんですね。ストーリーマンガ楽しかったです。
チラシでは見落としていましたが、2時から多目的ホールで
パイプオルガンの演奏会がありました。イベントがたくさんあってラッキー!
作品鑑賞会の前にひととおり見て、3時から美術館学芸員さんの説明を聞きながら
もう一度鑑賞しました。
まず円空大賞のフランス・クライスバーグ
チラシの写真を見て黒いガイコツのようだと思った
フランス・クライスバーグさんの彫刻は、
自然破壊で焼け出された木を使ったものだそう。
4点の作品が展示されていましたが、チラシの写真にもなっている
見上げるような大きさの作品も、彼の作品の中では小さいものだそう。
熱帯の花のような形に赤く塗られた部分も、命がうごめいているような
迫力でドキッとしてしまいました。他、白や緑の作品もありましたが、
必ず天然顔料で彩色されているそうです。
クライスバーグさんが撮影したアマゾンの自然と森林破壊を訴える写真がよかった。
――熱帯の花の鮮やかで複雑な形の美しさ、
そしてアマゾンの森が焼き払われる炎の残酷なまでの美しさ――
解説によると、彼は彫刻家というより環境保護活動家だと言って欲しいとか。
彼の経歴がすごいです。
ホロコーストで家族全員を殺され、ブラジルに移住して
アマゾンの自然に感動し、その自然が破壊されるのを見て、
自然破壊の怖ろしさを訴える作品を作り続けているそう。
作品から命の素晴らしさと不気味さと‥‥なんかすごい迫力が感じられました。
円空賞の高山登(たかやま のぼる)の作品は、
鉄道の線路の枕木を用いて作られています。
岐阜県美術館の庭に入った時にわー面白いって思いました。
展示室にも枕木とアクリル板を使った大きな造形と、
ドローイングがずらりと並べられていました。
墨のにじみを生かしたような作品は、解説によると筆で直接描いたものではなくて、
画面にのりをおいた後で黒鉛をふりかけたりするような技法で作られているとか。
田中泯(たなか みん)「場踊り」の写真パネルと映像が展示されていました。
ふーん‥‥アングラというか暗黒舞踏みたいな?
学生時代、こういうダンスや演劇にハマってた人がいたけど、
私はいまいち興味がわかなくて、見に行ったたことはなかったです。
美術館の庭で踊るのをタダで見られるので、せっかくなので見てみようと。
裸体で踊っている写真もあって、ちょっと心配というか期待したんですが(笑)
この日の田中泯の場踊りは「榎倉康二に捧ぐ」として
岐阜県美術館の庭にある2本の樹の間をモルタルで塗り込んだ《壁》という作品
の前で踊られました。
この作品。美術館の庭の木々に囲まれた自然の中にあって、
面白い作品だなーって思ってましたが、
作者については今まであまり知りませんでした。
榎倉康二(えのくら こうじ)1942-1995
1971年巴里青年ビエンナーレで《壁》が高い評価を受け、
岐阜県美術館にあるのは、
1995年「1970年、物質と知覚――もの派と根源を問う作家たち」展で
再制作された遺作とのこと。
で、4時からの踊りですが‥‥うーーん。
やっぱり私にはよくわからないなぁー。
何度も壁に向かって突進していくところはなんとなく
情念のようなものも感じたけど。
退屈して、寒くて、足がしびれた(しゃがんで見ていたので)
この踊り見てよかったら、円空ゆかりの場所で行われる踊りも見に行こうかなって
思ってたんですが、まぁ、寒そうだし、私はもういいです。
興味のある方はどうぞ。いずれも入場無料・雨天決行です。
2月18日(土)午後2時~ 美並町の星宮神社(円空修行の地。「円空ふるさと館」があります)
3月3日(土)午後2時~ 羽島大橋下(円空生誕地は羽島とする説と美並とする説がある)
3月4日(日)午後2時~ 関市の弥勒寺跡(円空入定の地)
詳しくは岐阜県美術館のHPで http://www.kenbi.pref.gifu.lg.jp/
円空大賞展に戻って、
円空賞の流政之(ながれ まさゆき)
ニューヨーク世界貿易センタービル前にあった《雲の砦》という彫刻は
この人の作品だったとのことで、私は知りませんでしたが、世界的に認められた
彫刻家だそうですね。
この展覧会でも《雲の砦》のミニサイズと、
かつての世界貿易センター前にあった写真が展示されていました。
テロでも残っていたそうですが、重機などが入るために撤去されたとか。
零戦搭乗員だったという経歴がすごい。
この間読んで感動した「永遠の0」を思い出してしまいました。
《森サキモリ》という作品からは、戦没者への想いが込められているように
感じました。‥‥しかし、色々な作品を作っているんですね。
《森サキモリ》はブロンズですが、《雲の砦》はミカゲ石、
初期の《飛》は木。《時の扉》は「ワレハダ」という石の独特の加工で、
この技法で流は先に世界に認められたとのこと。
そしてなんと椅子《ナガレチェアー》まで展示してあり、座ることもできました。
展示してある流政之の彫刻も触ってもOKとのことでした。
円空賞の林武史の作品は美術館のエントランスホールに
ずらーーっと石が並べられており、乗ってもOKとのこと。
《歩く人―白川》というタイトルで、白川産の石が用いられており、
自然の石を並べたようでいて、上を歩くとぐらつくものもあります。
ところどころに穴があったり、加工されたものもあって面白いです。
林武史は去年の展覧会でも紹介されてました。
岐阜県美術館「伊藤慶二+林武史展」
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2011-03-06
円空大賞展についての過去記事
岐阜県美術館「円空大賞展」へ行く(第4回 円空大賞展)
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2007-03-24
岐阜県美術館(第3回の円空大賞展についてちょっと書いてます)
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2005-09-06
今までの円空大賞展は全て見に行っていますので、
第5回の円空大賞展にも行っているんですが、
やはり感想を書いておかないと、印象が薄れてしまってますねー。
「第5回 円空大賞展」2009年2月24日~3月20日
円空大賞が、李 禹煥(リ・ウーファン)
円空賞が、遠藤利克、浜田知明、藤森照信・横尾忠則 でした。
岐阜県ゆかりの円空にちなみ、現代の円空といえるアーティストを表彰する円空大賞。
平成11年(1999)に制定された円空大賞も今回で6回目
今回の受賞者は、
円空大賞が、フランス・クライスバーグ
円空賞が、高山登、田中泯、流政之、林武史
「円空大賞展」の会期は2月10日(金)~3月4日(日)ですが、
12日(日)は、午後3時から作品鑑賞会、4時から田中泯さんの場踊りがあるということで、
1時半頃に行き、いつもは後で見る一般展示室の自由美術岐阜グループ展、
大垣女子短期大学デザイン美術科の卒業記念展を先に見ました。
マンガコースなんてあるんですね。ストーリーマンガ楽しかったです。
チラシでは見落としていましたが、2時から多目的ホールで
パイプオルガンの演奏会がありました。イベントがたくさんあってラッキー!
作品鑑賞会の前にひととおり見て、3時から美術館学芸員さんの説明を聞きながら
もう一度鑑賞しました。
まず円空大賞のフランス・クライスバーグ
チラシの写真を見て黒いガイコツのようだと思った
フランス・クライスバーグさんの彫刻は、
自然破壊で焼け出された木を使ったものだそう。
4点の作品が展示されていましたが、チラシの写真にもなっている
見上げるような大きさの作品も、彼の作品の中では小さいものだそう。
熱帯の花のような形に赤く塗られた部分も、命がうごめいているような
迫力でドキッとしてしまいました。他、白や緑の作品もありましたが、
必ず天然顔料で彩色されているそうです。
クライスバーグさんが撮影したアマゾンの自然と森林破壊を訴える写真がよかった。
――熱帯の花の鮮やかで複雑な形の美しさ、
そしてアマゾンの森が焼き払われる炎の残酷なまでの美しさ――
解説によると、彼は彫刻家というより環境保護活動家だと言って欲しいとか。
彼の経歴がすごいです。
ホロコーストで家族全員を殺され、ブラジルに移住して
アマゾンの自然に感動し、その自然が破壊されるのを見て、
自然破壊の怖ろしさを訴える作品を作り続けているそう。
作品から命の素晴らしさと不気味さと‥‥なんかすごい迫力が感じられました。
円空賞の高山登(たかやま のぼる)の作品は、
鉄道の線路の枕木を用いて作られています。
岐阜県美術館の庭に入った時にわー面白いって思いました。
展示室にも枕木とアクリル板を使った大きな造形と、
ドローイングがずらりと並べられていました。
墨のにじみを生かしたような作品は、解説によると筆で直接描いたものではなくて、
画面にのりをおいた後で黒鉛をふりかけたりするような技法で作られているとか。
田中泯(たなか みん)「場踊り」の写真パネルと映像が展示されていました。
ふーん‥‥アングラというか暗黒舞踏みたいな?
学生時代、こういうダンスや演劇にハマってた人がいたけど、
私はいまいち興味がわかなくて、見に行ったたことはなかったです。
美術館の庭で踊るのをタダで見られるので、せっかくなので見てみようと。
裸体で踊っている写真もあって、ちょっと心配というか期待したんですが(笑)
この日の田中泯の場踊りは「榎倉康二に捧ぐ」として
岐阜県美術館の庭にある2本の樹の間をモルタルで塗り込んだ《壁》という作品
の前で踊られました。
この作品。美術館の庭の木々に囲まれた自然の中にあって、
面白い作品だなーって思ってましたが、
作者については今まであまり知りませんでした。
榎倉康二(えのくら こうじ)1942-1995
1971年巴里青年ビエンナーレで《壁》が高い評価を受け、
岐阜県美術館にあるのは、
1995年「1970年、物質と知覚――もの派と根源を問う作家たち」展で
再制作された遺作とのこと。
で、4時からの踊りですが‥‥うーーん。
やっぱり私にはよくわからないなぁー。
何度も壁に向かって突進していくところはなんとなく
情念のようなものも感じたけど。
退屈して、寒くて、足がしびれた(しゃがんで見ていたので)
この踊り見てよかったら、円空ゆかりの場所で行われる踊りも見に行こうかなって
思ってたんですが、まぁ、寒そうだし、私はもういいです。
興味のある方はどうぞ。いずれも入場無料・雨天決行です。
2月18日(土)午後2時~ 美並町の星宮神社(円空修行の地。「円空ふるさと館」があります)
3月3日(土)午後2時~ 羽島大橋下(円空生誕地は羽島とする説と美並とする説がある)
3月4日(日)午後2時~ 関市の弥勒寺跡(円空入定の地)
詳しくは岐阜県美術館のHPで http://www.kenbi.pref.gifu.lg.jp/
円空大賞展に戻って、
円空賞の流政之(ながれ まさゆき)
ニューヨーク世界貿易センタービル前にあった《雲の砦》という彫刻は
この人の作品だったとのことで、私は知りませんでしたが、世界的に認められた
彫刻家だそうですね。
この展覧会でも《雲の砦》のミニサイズと、
かつての世界貿易センター前にあった写真が展示されていました。
テロでも残っていたそうですが、重機などが入るために撤去されたとか。
零戦搭乗員だったという経歴がすごい。
この間読んで感動した「永遠の0」を思い出してしまいました。
《森サキモリ》という作品からは、戦没者への想いが込められているように
感じました。‥‥しかし、色々な作品を作っているんですね。
《森サキモリ》はブロンズですが、《雲の砦》はミカゲ石、
初期の《飛》は木。《時の扉》は「ワレハダ」という石の独特の加工で、
この技法で流は先に世界に認められたとのこと。
そしてなんと椅子《ナガレチェアー》まで展示してあり、座ることもできました。
展示してある流政之の彫刻も触ってもOKとのことでした。
円空賞の林武史の作品は美術館のエントランスホールに
ずらーーっと石が並べられており、乗ってもOKとのこと。
《歩く人―白川》というタイトルで、白川産の石が用いられており、
自然の石を並べたようでいて、上を歩くとぐらつくものもあります。
ところどころに穴があったり、加工されたものもあって面白いです。
林武史は去年の展覧会でも紹介されてました。
岐阜県美術館「伊藤慶二+林武史展」
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2011-03-06
円空大賞展についての過去記事
岐阜県美術館「円空大賞展」へ行く(第4回 円空大賞展)
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2007-03-24
岐阜県美術館(第3回の円空大賞展についてちょっと書いてます)
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2005-09-06
今までの円空大賞展は全て見に行っていますので、
第5回の円空大賞展にも行っているんですが、
やはり感想を書いておかないと、印象が薄れてしまってますねー。
「第5回 円空大賞展」2009年2月24日~3月20日
円空大賞が、李 禹煥(リ・ウーファン)
円空賞が、遠藤利克、浜田知明、藤森照信・横尾忠則 でした。
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