SSブログ

ヤマザキマザック美術館「エマイユの煌き」展 [美術]

8月7日(火)、パートが休みの平日なので、美術館へ行こうと決めてました。
いざ出かけるとなると色々あって、電車に乗ったのは12時近かったのですが。

まず、ヤマザキマザック美術館「エマイユの煌(きらめ)き」展へ
yamazakimazak2nd.jpg

優美なロココ絵画や、アール・ヌーヴォーのガラス作品や家具など、
ヤマザキマザック美術館はどっぷり私の趣味なんです。
開館2周年記念の企画展をやっているうちに行かなくてはと思っていたんですが、
会期が4月24日(火)~8月26日(日)なのに、なかなか行けなくて‥‥

「エマイユ」って言葉は初めて知りましたが、七宝のことだそう。

チラシ表面に使われているジョルジュ・フーケ《ドラゴン・ティアラ》
すごく素敵です。ドラゴンが口に加えているのはアクアマリン!
デザインも素敵だし、宝石とエマイユとで、なんて豪華なティアラでしょう!

この企画展、七宝の花瓶や器はもちろんですが、このように
エマイユ(七宝)を巧みにデザインに取り入れたジュエリーが
たくさん展示されていて、その美しさにため息が出ます。
yamazakimazak2nd-2.jpg

ヤマザキマザック美術館1階で、入館料一般当日1,200円を払い、
エレベータ前で無料のイヤホンガイドを借りて、4階へ。

いつもは5階のロココ美術の部屋から回って、4階へ降りるんですが、
今回の企画展は、いつもは最後に回るアール・ヌーヴォーのガラス器の
部屋が企画展会場となっています。

そこに、最初は日本の明治期の七宝焼きの展示。
「殖産興業」として海外に輸出された明治期の七宝。
1880年から1910年は「七宝のゴールデンエイジ」と呼ばれているとか。

細いテープ状の銀線で輪郭を作って釉薬をさしていく有線七宝の
気の遠くなるような作業!

粂野締太郎(くめのていたろう)の《千羽蝶文七宝鉢》が展示されていましたが、
一匹の大きさが5mmにも満たない蝶で埋め尽くされた鉢!
一匹一匹銀線で輪郭が作られて、細かな隙間に針先で釉薬を指して作られている
そうで、もう気が遠くなるような、明治の職人の超絶技巧です。

涛川惣助(なみかわそうすけ)は、釉薬を塗った後、色と色との境界線に使う銀線を
そっと抜き取る「無線七宝」を開発し、水墨画や水彩画のような輪郭をぼかした表現で、
数多くの賞を受賞したそう。

私は七宝焼きというと、愛知県の七宝町(現在は合併してあま市七宝町)が
思い浮かぶのですが、明治時代は京都と尾張が重要な産地だったとか。
尾張では多数の職人の分業によって組織化されていたのに対し、
京都は、天才肌の並河靖之らの個人作家の活動に支えられていたので、
優美なデザインの京七宝の高度な技は伝承されることなく終わってしまったと。
しかし、その尾張の七宝も、膨大な時間と手間がかかるため、
古きよき伝統の存続が難しくなっているとのこと。

次のコーナーがヨーロッパのエマイユ(七宝)の展示
私が一番気に入ったのが、セミのブローチ
薄く透けるセミの羽の儚いほどの美しさ!!
「プリカジュール」というステンドグラスのように見せる七宝の技法で、
高度な技法が必要だとか。
yamazakimazak2nd-3.jpg
ヤマザキマザック美術館で売っていたパンフ(200円っていう値段が嬉しい!)より

セミのブローチも、いかにもアール・ヌーヴォーってデザインの蜻蛉のブローチも、
ブシュロンだとか。1858年、28歳のフレデリック・ブシュロンによって創立された
ブシュロンは、現在もパリ・ヴァンドーム広場に軒を連ねる高級宝飾店として、
世界中のセレブを魅了しているそう。私とは全く関係ない世界のことなので知りませんでした。

そして、中嶋邦夫のエマイユ・ジュエリーも初めて知りましたが、すっごく素敵!!!
1955年、飾職の家に生まれた中嶋邦夫は、アール・ヌーヴォー時代の
エマイユ・ジュエリーの技法を現代に蘇らせたそう。
チラシ裏面のアザミのネックレスやオオムラサキのブローチなど、
自然をモチーフに優美にデザインされ、宝石や七宝で飾られたジュエリー!!
私、宝石には興味ないんですが‥‥何であんな石がいいの?って‥‥でも、
こんなネックレスやブローチなら目がくらむかも?
(その前に“0”がいくつ並んでいるの?っていう値段に目がくらむでしょうね。
 もちろんこの展示には値段はついてませんでしたが)

入館者は私が思ったより多かったですが、ほとんどが女性でした。

それから常設展示のアール・ヌーヴォー時代の家具などの部屋へ。
藤がデザインされた家具の部屋、素敵な香りがすると思ったら、
藤の香りだそう。

そして、別の部屋には「シダの香り」をイメージしたという香り
こちらは香りを浸した紙をもらって帰ることができました。
バッグの中で今でも香っています。シダ?ってカンジですが。

後でヤマザキマザック美術館のHP見たら「3つの香り」を体験することができる
ってあったんですが、もう一つはわかりませんでした。残念!

前回の「ロココの雅」展はバラの香りだったんですよね。
こんな優雅なところも、さすがヤマザキマザック美術館!って気に入ってます。

ちょうど14時のオルゴール・コンサートがあったので聞きました。
(展示されている2台のディスクオルゴールを鳴らしてくれます)

そして5階へ
私の大好きな赤い壁紙とシャンデリアが優美なロココ絵画の部屋!

この間見てきた「マリー・アントワネット物語展」の絵の画家
ヴィジェ・ルブランの絵が2点並んでいます。
マリー・アントワネットの宮廷画家だった彼女がフランス革命を逃れ、
ロシアに滞在した時に依頼を受けて描いた作品という
《エカチェリーナ・フェオドロヴナ・ドルゴロウキー皇女》
この作品の支払いとして、立派な四輪馬車と、ダイヤモンドのブレスレットを受け取ったとか。
《リラを弾く女性》は、イギリスに滞在した時に制作された作品とのこと。
あらためて興味深く見ました。
(ヤマザキマザック美術館のHP「コレクション」に、画像と詳しい解説があります)

その反対側は、ルイ15世の愛妾ポンパドール侯爵夫人が所蔵していたと伝えられる
フランソワ・ブーシェの《アウロラとケファロス》の大きな絵。
ヤマザキマザック美術館を代表する絵で、見る度に優美さに感動します。

この日、夕方に名古屋ボストン美術館へ行こうと思っていて、その間に
できたらもう一館‥‥って思ってたんですが‥‥視覚、嗅覚、聴覚と堪能したので、
味覚の方も堪能することに。
美術館1Fのカフェテリア・トペで
本日のサンドウィッチセット880円
2012.8.7i-005.jpg
ドリンクはアイスコーヒーを選びました。

ヤマザキマザック美術館のHP: http://www.mazak-art.com/
美術館の収蔵作品についての詳細な解説など、とても充実しています。
nice!(3)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:アート

nice! 3

コメント 2

prismiclyon

ヤマザキマザック美術館、行ってみたくなりました。
蝉のブローチ、確かに微妙な色使いが難しそうですね。
七宝焼の複雑な色使いにぴったりな気がします。
by prismiclyon (2012-08-11 19:50) 

しーちゃん

prismiclyon さん、たくさんのnice! & コメントありがとうございます。ヤマザキマザック美術館、とっても優雅で素敵な美術館です。七宝焼きやジュエリーの展示は8月26日(日)までです。
by しーちゃん (2012-08-13 11:12) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

トラックバックの受付は締め切りました