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東京都庭園美術館「幻想絶佳:アール・デコと古典主義」 [美術]

1月18日(日)、単身上京して友人のイラスト展に行く前に、
東京都庭園美術館へ行きました。
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せっかく上京するのだから、ついで(というか、こっちがメインかも)に
展覧会を見て来ようと。東京はいい展覧会たくさんやっているから、
どれを見ようか迷うかな?と調べ始めたけど、スグに決まりました!!

アール・デコの館と言われている旧朝香宮邸が、
東京都庭園美術館として公開されているということを知ってから
ずっと、一度行ってみたいと思っていたんです。

長くリニューアルのために休館していたのが、昨年秋にオープンして、
ちょうど私の上京する1日前の1月17日(土)から4月7日(水)まで、
「幻想絶佳:アール・デコと古典主義」
という、まさにこの美術館にピッタリの展覧会が開催されるということを知り、
なんて私好みの展覧会なんでしょう!と。

それを知ったのが展覧会の開催前だったので、
当日一般1,200円のところ、960円の前売り券を
e+(イープラス): http://eplus.jp で買うことができました。

近くのセブンイレブンのレジで料金を払って発券されたチケットを
受け取ると、手数料無料!

東京都庭園美術館は、目黒駅から東へ徒歩7分。
途中の街灯にはこんなポスターが。
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目黒駅あたりの喧騒が嘘のような広い庭園の中に美術館はあります。
(庭園は今、整備工事中で、終わったところから順次公開されるそう。)
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門を入ったところのチケット売り場で、セブンイレブンで
受け取ったチケットを引き換えてもらいます。

木々に囲まれたアプローチを歩いていくと、
(帰りに撮影しました)
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旧朝香宮邸の東京都庭園美術館本館があります。
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玄関に入ると、正面にルネ・ラリックのガラスレリーフがある扉!
床のタイルも素敵だし、照明器具も素敵!!!

左側の部屋にガラス越しにポール・ポワレのドレスと
ポール・フォロの化粧机と椅子が展示されていて、
うわー、なんて素敵なのー!!!っと。
もうここだけで私のテンションが高くなってしまいました。

ポール・ポワレについては、愛知県美術館「デュフィ展」
デュフィがテキスタイルデザインをしたポールポワレの
コートとドレスが展示されていたっけ。
女性を締め付けていたコルセットから解放したファッションデザイナーだと。

館内へは玄関右側の受付を通って入ります。
ロッカーに荷物を預けて、大広間へと進むと‥‥
美術館って、展示されている作品がメインで、あまり天井とか
見たりしないんですけど、ここは作品より(っていうと失礼か?)
重厚な木の壁や天井の照明に目が行ってしまいます。

大理石レリーフのイヴァン=レオン・ブランショ《戯れる子供たち》は、
朝香宮邸のもの。古典的な上品なレリーフが、重厚だけど、
シンプルで簡素とも思えるこの大広間の雰囲気に合ってます。

でも、その隣の「次間」は、全く違った雰囲気!
なにより部屋の中央にドーンと置かれた「香水塔」のインパクト!
アール・デコの、今では陳腐ともキッチュとも思えるような形‥‥

そして小客室は、古臭いとも地味ーとも思えるような
グリーンを基調にした壁画が描かれています。
(いや、次間も小客室もけなしているワケではないです)

朝香宮邸の主要な部屋の内装デザインを担当したアンリ・ラバンが
描いた油絵だそう。

アンリ・ラバンは、
1925年のパリ現代装飾美術・産業美術国際博覧会、通称「アール・デコ博」で、
装飾美術館協会のパヴィリオン「フランス大使館」の中心的役割を果たした
装飾美術家。

朝香宮夫妻が滞欧中、1925年のアール・デコ博覧会を見学して感銘を受け、
自邸を建てる際にアンリ・ラバンに内装を依頼したそう。

むかーし、デザインの歴史の授業で、
アール・ヌーボーが曲線的、植物文様など有機的で、
アール・デコは直線的、幾何学的、無機的と習ったんですが、
それぞれの作例を見ると、まぁアール・ヌーボーはグニャグニャでわかるんですが、
どうもアール・デコが、ふーん、これが直線的なの?みたいなカンジだったんですよね。

今回の展覧会で、アール・デコには、古典主義の要素や、
植民地だったアフリカやアジアからのエキゾティシズムなどの要素が
入り混じっていたことを知りました。

大客室はまず天井のシャンデリアに目が行きました。
ルネ・ラリックだー!!

愛知県陶磁資料館「アール・デコ 光のエレガンス」展で、
ルネ・ラリックの天井灯《アルジェⅡ》が展示されていましたが、
こちらは《ブカレスト》こっちの方が豪華で素敵だなぁ!

でも展示されていたルネ・ラリックのダイニング用センターピース
《二人のナイト》(箱根ラリック美術館)より、
光のエレガンス展で展示されていた
《三羽の孔雀》(北澤美術館)の方が素敵。
(光のエレガンス展には東京都庭園美術館の作品もいくつかありました)
ラリックのカーマスコット《勝利の女神》はどちらにも展示されてました。

大客室の扉がまた素敵~!!でございました。
幾何学的な模様がモダンというか、味があるというか。
ヘー、これガラスなの?金属かと思った。
マックス・アングランの銀引きフロスト仕上げのエッチング・ガラスだそう。

扉上部のレイモン・シュブのタンパン(アーチと梁に囲まれた部分)装飾も
幾何学的だけどなんかユーモラス?っていうか、面白いなぁー。

大食堂がまた華やかな部屋で素敵~!!
円形に張り出した窓が素敵だし、その下のラジエーターカバーに魚貝が
デザインされているのも洒落ているし。

銀色の立体的な植物文様の壁面がいいな~。このレリーフ、
イヴァン=レオン・ブランショのデザインで、
コンクリート製でフランスから送られてきたが、到着時にヒビが入っていたため、
日本で型を取り、石膏で作り直して銀灰色の塗装を施したそう。

展示されていたレイモン・シュブのテーブルや椅子が、
ちょっと華奢なカンジでまた素敵~~
レイモン・シユブ、タンパンの制作と同じ人なのね。
作品のイメージがなんか違うけど‥‥アール・デコのみならず
フランスを代表する鉄工芸家だそう。

階段を上がると、照明柱のデザインが素敵。

二階広間は、宮家時代にはピアノが置かれて家族のくつろぎの場と
なっていたそう。大きな窓も、単純な直線のデザインだけど、
なんともいいし、造り付けのソファーもすっきりといいカンジ!

広間の東側に、若宮寝室、合の間、若宮居間、そして書庫に書斎と並びます。
それぞれ照明器具など違っていて、どれも素敵だなぁと。
(このあたり、第一次世界大戦のカモフラージュ隊のスケッチなどが
 展示されてたんだけど、部屋ばかり見ていた気が‥‥)

書斎の四隅に設置された飾り棚が、部屋を八角形のように見せていて、
素敵なアイデアだなと。アンリ・ラバンのデザインという机や椅子も素敵。

南面には書斎の隣に殿下居間。復元されたという壁紙とカーテンがすごく素敵。

南側のベランダは床の市松模様がモダン!
ベランダから浴室を見ることができたけど、いいなぁ!

浴室をはさんで殿下寝室と妃殿下寝室があります。

そして大きな鏡が印象的な妃殿下居間には
レイモン・シュブの肘掛椅子と、
テーブルにティータイムのセッティング。
素敵ー!優雅ー!!
肘掛に布がかけられているのもいいなと。

部屋には入れなかったけど、姫宮寝室とその奥の姫宮居間は、
メタリックブルーの壁紙が素敵。この壁紙は竣工当時からのもの。
妃殿下のアドバイスをもとに、姫宮の好みで選ばれたそう。

‥‥と、本館はもっぱら建物ばかり見ていたような気がします。

新しく建てられたという新館へ行くと
アプローチの波板ガラスがなんとも素敵!
波板ガラス越しに見る風景も揺らめいているようで素敵だけど、
波板ガラスに陽光が差し込んで床に影が落ちるのも幻想的でいい雰囲気!

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この新館いいですね。やっぱり本館は美術館の展示室として使うには、
制約が多すぎますものね。新館は本館のジャマをせずに、それでいて
本館と通じるモダンさがあって、ホワイトキューブの展示室では、
しっかり展覧会らしい充実した展示ができますからね。

新館のギャラリー1では、アール・デコの画家や彫刻家たちの作品が
展示されていました。

チラシ表面に使われているウジェーヌ・ロベール・ブゲオン《蛇》とか、
《イタリアの幻想》《捕虜たち》この画家、私初めて知りましたが、
なんか意味深な雰囲気とか、ちょっと卑猥?っぽいところとか、
結構私のシュミですー。

ジャン・デュパやルイ・ビヨテの絵とかには、うーん?って
感じたりもするんですけどね。

ギャラリー2では、映像で、朝香宮邸についてと、
パリのアール・デコ博覧会や、1931年のパリ植民地博覧会、
アール・ヌーボーの建築とアール・デコの建築との違いが
説明されてて、とてもわかりやすかったです。

売店で「旧朝香宮邸のアール・デコ」1,080円と、
図録は迷ったけど(好きな作品がそんなに多くないってことと、
やっぱり高いから)ここまで来たことだし、作家名とか知らないから
買っておかないと忘れちゃうだろうと奮発しました。2,500円でした。
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ガラス張りで庭園の緑も眺めながらお茶できるカフェがあるのがうれしい!
ウェイティングリストには結構名前が書かれていました。
(こちらに名前を書いて待っている間に売店で買い物をしました。)
お腹も空いてきてたので、サンドイッチとコーヒーを注文。1,550円
オシャレなサンドイッチ。結構ボリュームありました。
コーヒーカップもアール・デコって雰囲気で素敵。ノリタケだそう。
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この展覧会の期間中「饗宴のあと」という、
アプリケーションをダウンロードしたスマートフォンを
ヘッドフォンで聴きながら鑑賞するというプログラムが行われているそう。
鑑賞者にスマホを聴いている人が結構いて、あれはミュージアムガイド?って
思ってたんですが、面白い試みですね。
東京都庭園美術館のHPに、詳しい説明があります。
https://www.teien-art-museum.ne.jp/programs/ignitionbox_d.html
このアプリケーションは、会期中、庭園美術館本館内のみ再生可能とのこと。

東京都庭園美術館: http://www.teien-art-museum.ne.jp/
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