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愛知県美術館「ロイヤル・アカデミー」展 [美術]

愛知県美術館で2月3日(火)~4月5日(日)まで開催されていた
「ロイヤル・アカデミー」展のことを書いておきます。
RoyalAcademy-1.jpg

愛知県美術館の友の会会員になっているので、こちらの企画展の
チラシ等が送られてきた時に、とっても期待したんです。

私、ロマンチックなラファエル前派が大好きなんですよ。

特にチラシ裏面に使われている
ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス《人魚》
RoyalAcademy-2.jpg

ミステリアスな美禰子が三四郎に見せたのはこの絵かーって。
夏目漱石の『三四郎』でも印象的なシーンですよね。
明治時代の、田舎から出てきた素朴な大学生が
こんな絵を見せられたら、ぼーっとしちゃいますよねぇ。
こちらを魅惑するような人魚の妖しい表情がなんとも素敵!!

正確には、ウォーターハウスはラファエル前派のメンバーでは
なかったそうですが。

ラファエル前派の中心的人物であり、《オフィーリア》の絵が有名な
ジョン・エヴァレット・ミレイの《ベラスケスの思い出》もいいなぁー
服の袖とか筆跡も荒く残っているのに、
少し離れて見ると、とてもリアルに見える!

チラシ中面の絵もそれぞれ重厚な雰囲気で私好みだと。
RoyalAcademy-m.jpg

2月中は色々忙しくて行くことができなくて、3月1日(日)に
やっと行くことができたんですが、愛知地芸術文化センターで
ちょうど「アーツ・チャレンジ2015」をやっていたんですね。
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2015-03-04

あら面白そう!って、スタンプラリーもあったので、
あちこち会場を見て、お腹が空いたので食事もしていたら、
すっかり遅くなってしまいました。

会場に入ったのが4時半頃でしたか。愛知県美術館は6時まで
やっているので、私のような朝が弱い人間には助かるんですが。

最初に創設者のジョージ3世の胸像。
アゴスティーノ・カルリーニによる古典的なスタイルの胸像です。
(石膏デッサン用の胸像みたいだなって)

奥に初代会長ジョシュア・レノルズ《セオリー》(チラシ中面2段目右)
割とあっさりした絵だなって感じたのは、天井画として描かれたものだからかな。

そして、いかにも「泰西名画」ってカンジの、
正に「アカデミックな」絵が並んでいます。

多くの額縁に作家名やタイトルと共に「DIPLOMA WORK」って銘板が
取り付けてあったのは、これらの絵は、アカデミーの会員になるために
提出された作品(ディプロマ・ワーク)とのこと。

ウィリアム・ホッジズ《ベナレスのガート》の光に輝く建物がいいなとか、

トマス・ゲインズバラ《泉に羊のいるロマンティックな風景》
(チラシ中面下左)を見て、
“ロマンティック”の意味が私がイメージしているのと違うみたいとか。
(私なら“ロマンティック”っていうより“ドラマチック”だと思うけど)

ヘンリー・レイバーン《少年とうさぎ》(チラシ中面3段目右)を見て、
おー、描写力さすが!って見て行ったんだけど‥‥

ちょっと私の期待が大きすぎたのかな。なんかうわー素敵!!って
思えるのがあんまりなくて‥‥。どの作品も水準以上なので、
かえってそれぞれの魅力が引き立たないのかも。
もちろん、ミレイ《ベラスケスの思い出》や、
ウォーターハウス《人魚》はとても素敵でしたけど。

フランク・カダガン・クーパー《虚栄》(チラシ中面上左)
女性の衣服や装飾品もとてもリアルに美しく描かれていて、
私こういう絵好きなハズなのに、なんか‥‥うーんちょっと違うな‥‥
みたいなカンジが。あまりに私のツボの少女マンガっぽい雰囲気が
逆に拒否反応をおこした?

そして、私、愛知県美術館所蔵の《世界の若かりし頃》が
すごく気に入っているんですが、
そのエドワード・ジョン・ポインターの《占い師》の絵を見て、
《世界の‥‥》の絵と背景のローマの神殿風の建物とかよく似ているのに、
なんか女性がゴツくて魅力がイマイチだなぁーと。
これについては、後日、3月31日(火)の中日新聞の記事で、
《占い師》と《世界の‥‥》との間には13年の画家の進化・深化があるのだという
記事を読んで、とても納得しました。
(《世界の若かりし頃》はコレクション展の入口に飾られていました)
Poynter.jpg

チャールズ・ウェスト・コウプ
《1875年度のロイヤル・アカデミー展出品審査会》(チラシ中面上右)
出品作品リストに、詳しい鑑賞ガイドがあって興味深く見ました。

ジョン・フレデリック・ルイス《カイロのカフェの入り口》や、
デイヴィッド・ロバーツ《パールベックの大神殿入り口》、
フレデリック・グドール《ヌビア人奴隷の唄》とか、
エキゾチックな画題が多いなって見たのは、
やっぱり、植民地支配が盛んだった大英帝国時代のイギリスだから?
私もエキゾチシズムあふれるこれらの絵好きですが、
テレビも映画もなかった当時の人々は、これらの絵で
遠い異国の風俗を知ったり、そこでのドラマを想像したりしたんでしょうねぇ。

アーティスト教育のコーナーは、まぁハッキリ言って退屈‥‥なんだけど、
ラオコーン像のデッサンを見て、私も昔、美大受験のために
この石膏像(もっと一部分のやつでしたが)のデッサンも描いたなとか、
裸体のスケッチとか、筋肉や骨格の解剖図とか、色相環とか、
美術教育の根本はもうこんな昔から確立されていたんだなと。

3月1日(日)は、ロイヤル・アカデミー展を見た時点で、
かなり時間が押していて、コレクション展はかなり駆け足で見て、
展示室6のプロジェクト・アーチの映像は見られなかったのが残念だったんです。

なので、愛知県美術館の友の会会員になっていて、展覧会を年10回見られるのが
まだ残っていたのと、継続の手続きをするのとで、3月29日(日)に、
もう一度見に行きました。

ロイヤル・アカデミー展をもう一度見て、やはり、
アカデミックに上手く描かれているなーと。

なので、コレクション展の展示室4の「グロテスク・モデルヌ」って
テーマで展示された絵の面白さがよけい際立ったように思います。
浜田知明の立体作品《情報過多的人間》面白いなぁー!

そして前回時間がなくて見られなかった展示室6の
プロジェクト・アーチvol.13は、伊東宣明《アート》
ItohNobuaki.jpg

展示室の床にはいくつかビーズクッションが置かれ、ソファもありました。
映像が映されている壁の前には白い台が置かれていました。
映像には「アートとは何か」と語る、
制作者である伊東宣明の顔が大きく映っています。
ウェブ上でよく見かける自撮り映像のようにも見えます。
熱っぽく語る彼のバックは、コロコロと場面が変わり、
愛知県美術館や豊田市美術館、金沢21世紀美術館など
見覚えのある風景が出てきて楽しかった。
最後のシーンは、上映されているこの展示室6へ伊東が入ってきて、
壁の前に置かれた白い台に上がり、
彼が主張するアート「X」になろうとする映像。

彼のバックばかり見ていて、彼の主張する「アートとは何か」っての、
ほとんど覚えてないんですけど、楽しかった。
(って感想は、アーティスト側からしたらどうなのかな?)
一緒に見ていた小学生くらいの男の子が最後のポーズを真似していたのには笑った。

展示室7は「名古屋洋画壇の重鎮として活躍」した鬼頭鍋三郎の展示。
平成25年に寄贈された油彩画15点を含む20点が(一部部屋の外に)展示されて、
画家の初期から晩年にわたる画業を知ることができました。

展示室8は木村定三コレクション「めでたきもの」というテーマで、
若冲の《菊に双鶴図》や、白隠慧鶴《寿老人図》《布袋図》など、
スゴイ‥‥ものなんでしょうね。でもなんか力の抜けたカンジが
ユーモラスにも見えてきます。シブイです。

と、いつもながら愛知県美術館はコレクション展の方も充実しているので
楽しませてもらいました。


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