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岐阜県美術館「第8回 円空大賞展」 [美術]

2月7日(日)、岐阜県美術館へ行きました。

岐阜県ゆかりの円空にちなみ、
21世紀の円空ともいうべき芸術家を顕彰する「円空大賞」

平成11年度より始まった「円空大賞展」も今回8回目になりました。
毎回面白い多彩な現代美術が紹介されているので楽しみにしています。
今回のテーマ(?)は、「神羅万象宿精霊」
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第8回円空大賞では、大地を駆け巡り、険しい山々で修業を重ねた円空の山岳信仰、森羅万象すべて魂が宿るといったアニミズム的世界観に通じるような5人の現代作家が選ばれました。
とのことで、
円空大賞に 中谷芙二子
円空賞に 淺野健一、大巻伸嗣、西野陽一、ノロ燐
が選ばれました。

チラシ表面に使われているのは、
円空大賞の中谷芙二子の「霧の彫刻」
上の写真は、豊田市美術館「反重力」展ですね!
あの展覧会すごく面白かった!

豊田市美術館「反重力」展: http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2013-12-02

岐阜県美術館に着いたのが、14時半少し前。
門のところに看板がありました。
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10:30から16:30まで一時間毎に霧が発生しますと。
(但し、気温が低く、凍る恐れがある場合などは中止になるようです)

ちょうどいいので、庭で待つことにしました。
庭には、あちこちに倒木が置かれています。
風は冷たいけど、とてもよく晴れた日でした。
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芝生広場の向こうから霧が吹きだしてきました。
中谷芙二子《Fog Sculpture #47632 “雲のごとく”》
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ちょうど子どもの造形教室が終わったところらしく、
大勢の子どもたちが霧の中で大はしゃぎしてました。
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霧の彫刻、動画です。


美術館の庭に見慣れぬ彫刻があるのに気がつきました。
しめ縄が張られています。
淺野健一《オーパーツ》
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巨大な手が地面に落ちてきた! みたいな?
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(16:30の霧の彫刻時に撮影)
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淺野健一さん、円空賞受賞の方です。
チラシ裏面の上段の相撲取りの木彫作品《生神》
展示室で見ましたが、面白かった!
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能面をつけた格闘技の人形(?)《能格》
大きな枠に吊り下げられて展示してあったのは、いろいろ動くのかな?

能面が現代的にアレンジしてあるようなのとか、

祭りの山車に武将のからくり人形が載っているみたいな《魍魎車》
LED(?)で光って、カッコイイ!!

光る兜(かぶと)とかもあって、クールジャパン!!ってカンジ。
木彫の古典的技法を使いながらも最新のテクノロジーと現代的センスで 和の伝統美を表現する」(チラシ裏面の文)
淺野健一さん、1981年生まれの若い方なんですね!

自ら秘境に赴き、鋭い感性と観察力で躍動感に満ちた生きものたちを日本画で表現する
西野陽一の日本画は、とてもダイナミック!!
大きさもすごいけど、鯨漁を描いた《勇漁狩(いさながり)》と
鯨の解体を描いた《解体》たくさんの人物も描かれていて迫力でした。
魚などのリアルさと、金箔の装飾的なところが調和しているのも素敵。
《水の中の森》巨大なアロワナの迫力!
《生命の樹》は、どこかの展覧会のチラシで見たことがあるなぁ。

日本古来の精神風土に根差し、人間の心の深層にせまり、生命の尊厳を表現する
ノロ燐
うわー、なんかおどろおどろしい! 60年代のアングラの雰囲気?
夢でうなされそう‥‥
薄暗い展示室の中の《麻の蚊帳絵》
蚊帳の中に入って見てみたいなぁ。
高山在住の方なんですね。

ミケランジェロの模刻がある多目的ホールにあるのが、
大巻伸嗣《Liminal Air Space-Time》
薄い布が下からの風でゆっくりと舞い上がります。
庭で見た霧の彫刻にも通じるような。
ライトで照らされて、白く透ける布がダイナミックにも、
はかなげにも見えて、見てて飽きません。
このインスタレーション、チケット無しでも見られます。

庭の「霧の彫刻」もチケット無しでも見られますが、
「円空大賞展」観覧料は一般800円とお値打ちなので、
ぜひ淺野健一や西野陽一、ノロ燐の作品も見てくださいね。
(大学生600円、高校生以下無料!)
円空の仏像も5体展示されていますし、
チケットの半券で見られる所蔵品展も充実していますよ!

所蔵品展、最初の部屋は
北蓮蔵(きた れんぞう)1876-1949の特集

岐阜市生まれの北蓮蔵の作品、所蔵品展で山本芳翠と並んで
展示されているのは見ますが、今回まとまって展示されていて
見応えありました。

男たちが昼休みに将棋などをしている様子を描いた大作《午の憩》や、
懐かしい農村風景の中での藁を打つ女を描いた《藁打(わらうち)》と
その習作?の《藁打つ女》(よく並んで展示されているんだけど、
本画はなんか全体的に白っぽくなっちゃって、
習作の方が生き生きしているなぁといつも思うんだけど‥)
《コンセルジュ》という作品は初めて見る(覚えていないだけ?)けど、
椅子に座ったカッチリとした老婦人の威厳。
《コンセルジュ(習作)》は老婦人上半身の斜め前からの絵で、
へーこれが習作?って思った。いろんな角度から描いた一枚なのかな。
《乃木大将の兵服による人物》なんか不思議な絵。なぜ顔と胴体と
キャンバスが分かれているのか? 習作らしいけど‥‥??

山本芳翠、藤島武二や、窪田喜作の絵も展示されていました。
岐阜県揖斐郡小島村生まれの窪田喜作(1874-1941)《農家》
馬や鶏もいる懐かしい農家が描かれています。
(岐阜県美術館の所蔵品検索に画像もあります:
http://gifu-art.info/details.php?id=935)

展示室1-Bは、荒川修作の作品と、荒川修作を含む版画のセットから
ジャスパー・ジョーンズ《無題》や
エドワード・ルシェ(ルーシェイ?)《虫の斜面》が展示されていました。

ルドン部屋は、「色彩のルドン」とのことで、
カラーの作品が並んでいました。

新しい展示室2は「加藤栄三・東一とゆかりの作家」展
岐阜市生まれの加藤栄三(1906-1972)・東一(1916-1996)兄弟
二人とも日展を舞台に活躍された日本画家で、
岐阜公園に「加藤栄三・東一記念美術館」がありますが、
岐阜県美術館にも多くの作品があります。
加藤栄三の日本芸術院賞を受賞した《空》は今回、最後の展示室に
下絵も展示されていました。
加藤東一は若い頃の意欲作《残照の浜》他、《高山夜祭り》など。
最後の展示室にあった金屏風の《木魂―淡墨桜》と、
銀地に描かれた《臥龍梅》は迫力でした。
長縄士郎、片桐乙日子、熊崎勝利、土屋禮一らの作品も並んでいました。

工芸部屋は、片方のケースが陶芸、片方がガラスでした。
私はやっぱり陶芸よりガラスが好きだなぁ。
岩田藤七の色ガラスや、各務鑛三のクリスタルガラス素敵です。

霧の彫刻16:30の回も見ました。太陽が沈んでいくところで、
14:30の回とはだいぶ印象も違いますね。
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中谷芙二子さんのお父様は雪の研究で有名な中谷宇吉郎博士だそうですね。
私、家族旅行で片山津温泉に行った時に
「中谷宇吉郎 雪の科学館」へ行ったことがあります(2000年7月でした)
なかなかカッコイイ建物(設計/磯崎新だそう)の
中庭が、グリーンランド氷河の原を再現したとのことで、
現地から運んできたというゴロゴロした石に人工霧が流れてきて
カッコいいなぁって思ったんですが、
中谷芙二子さんのプロデュースだったんですね!
中谷宇吉郎 雪の科学館のHP: http://kagashi-ss.co.jp/yuki-mus/yuki_home/

中谷芙二子の初めての霧の彫刻は1970年の大阪万博のペプシ館だそうですが、
うーん覚えていないなぁ‥‥

この翌週の2月14日(日)にも岐阜県美術館へ行って、
大巻伸嗣の作品がある多目的ホールでのパイプオルガンコンサート
聴きました。そのことは次の記事で。

「円空大賞展」の過去記事
岐阜県美術館「第7回 円空大賞展」: http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2014-02-19

岐阜県美術館「円空大賞展」と田中泯の場踊り(第6回)
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2012-02-18

岐阜県美術館「円空大賞展」へ行く(第4回 円空大賞展)
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2007-03-24

岐阜県美術館(第3回の円空大賞展についてちょっと書いてます)
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2005-09-06

岐阜県美術館のHP: http://www.kenbi.pref.gifu.lg.jp/
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