国立西洋美術館「カラヴァッジョ展」 [美術]
3月8日(火)、夜行高速バスで上京して、上野の
東京都美術館「ボッティチェリ展」のあと、
国立西洋美術館「カラヴァッジョ展」を見ました。
(もうだいぶ前のことなのに、なかなかブログに感想が書けません)
チラシ表面に使われているのは《バッカス》1597-98年頃
そして《果物籠を持つ少年》1593-94年
「ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョ(1571-1610年)は、 バロック絵画の創始者の1人であり、イタリアが誇る大画家です。」(チラシ中面より)
私も名前は知っていました。私が学生時代
「ミケランジェロ」と「ボッティチェルリ」の巻だけ買った
世界美術全集 Vingtans 集英社 全18巻の
11巻で取り上げられているのが「カラヴァッジオ」
ちなみに、この世界美術全集、第1回配本が昭和53年(1978年)5月12日で、
5巻「レオナルド・ダ・ヴィンチ」を
定価1,450円のところ発刊記念特価980円で発売したそう。
第2回配本が「ミケランジェロ」以降「レンブラント」「ボス/ブリューゲル」
「ラファエルロ」「ボッティチェルリ」「ルーベンス」と続いたようです。
今なら、なんでフェルメールがないの?って思いますけどね。
あぁ、閑話休題
でもイマイチよく知らなくて、今回見て、あ、この絵も
カラヴァッジョだったんだって知って、その偉大さと、
「カラヴァジェスキ」と呼ばれる、彼の絵に影響を受けた
継承者たちが、イタリアのみでなくヨーロッパ各地へと
カラヴァッジョの画法を波及させて、
バロックという美術様式となったということを知り、
あらためて西洋絵画におけるカラヴァッジョの存在の大きさを
知ったわけですが‥‥でも、結論から言うと、私はどうも
この画家好きになれないなぁと。あまりに生々しすぎる? 暗い??
だいぶ前(2009年11月22日放送)のNHK日曜美術館で
「劇的? やりすぎ? バロックって何だ?!」として、
http://www.nhk.or.jp/nichibi/weekly/2009/1122/index.html
バロック美術とルネサンス美術を比べて、バロックの特徴を
解説していましたが、その時も私はルネサンスの方が好きだなって
感じたんですけどね。(音楽はバロックの方が好きかも)
今回の展覧会は、風俗画、静物、斬首とかってテーマ別に構成されて、
カラヴァッジョの作品とカラヴァジェスキの作品が並んでいるんですが、
特に私はカラヴァジェスキの作品が好きになれなかったので、
よけいにそう思うのかなぁと。
さすがに、カラヴァッジョの《エマオの晩餐》1606年 と、
《エッケ・ホモ》1605年頃 は、この絵すごい!!って感じました。
(チラシ中面左ページ)
国立西洋美術館には学生時代に来たことがある‥‥っていうと、
36年ぶりくらい?(3月8日(火)朝7時頃に撮影)
建物の入口横でチケット(一般当日1,600円)を購入して、
ロッカーに荷物を入れて、地下の企画展示室へ。
36年前にはこんな地下の展示室なんてなかったなぁ。
(36年前ですからね)
地下1階でチケットを見せて、地下2階へ。
そこに《バッカス》の記念撮影パネルとか、
カラヴァッジョを紹介する映像の上映もあったんですが、
私、てっきり展覧会の出口もここだって思ったんですよね。
なので、カラヴァッジョの絵を先に見ようと展示室に入ったんです。
入ってスグの正面に《女占い師》1597年頃 が。
これはローマ、カピトリーノ絵画館あるもので、
パリのルーブル美術館にも《女占い師》のバージョンがあるそう。
(世界美術全集のリーフに使われているのは、
ルーブル美術館蔵の《女占い師》ですね)
カラヴァッジョを代表する絵の一つでありますが、
‥‥どうも私、ジョルジュ・ド・ラ・トゥール(1593-1652年)の
《女占い師》や《いかさま師》とごっちゃにしていたりして。
この展覧会でも、カラヴァッジョの影響を受けた画家として、
ラ・トゥールの《煙草を吸う男》1646年 東京富士美術館蔵
が展示されていました。この絵よかったです。
展覧会の中でちょっとホッとしました。
カラヴァジェスキの絵がどうもダメだった私ですが、
ラ・トゥールだけは好きというか、画集で見る限りの印象ですが、
私はカラヴァッジョよりラ・トゥールの絵の方が好きだなと。
カラヴァッジョが死ぬ間際まで携えていた絵画だとされる
《法悦のマグダラのマリア》1606年 が世界初公開だということも
話題になっていましたが、これがカラヴァッジョの真筆かどうかは
私にはわからないですが、やっぱり私は好きじゃないというか、
マリアの黒い唇が気持ち悪いって思っちゃいました。
でもカラヴァッジョの画力はすごいです。写真もなかった時代に、
この絵は驚きだったでしょうね。天才画家ともてはやされる一方、
生来の激しい気性から諍いが絶えなくて、ついには殺人を犯し、
逃亡を余儀なくされながらも作品を描き続け、38歳で死去します。
展覧会には、彼が犯した事件の裁判や、刀剣の不法所持などの
ローマ国立古文書館の史料も展示されていて興味深かったです。
この展覧会、私の趣味とはちょっと違ったんですが、
世界初公開も含め、これだけのカラヴァッジョの作品が集められていて、
すごい展覧会であることは間違いないでしょうね。
「日伊国交樹立150年記念」ということで、
「出品数は日本で過去最多、世界でも有数の規模」だそうです。
(チラシ中面右ページ)
絵を見た後で映像を見るつもりでいたら、全く別の出口に出てしまい、
あら、しまった‥‥もういいかとも思いましたが、
チケット提示場所で聞いたら、半券で当日1回限り再入場できるとのことで、
半券にハンコ押してもらって入りました。
カラヴァッジョの生涯を紹介する映像を見て、
(ラストの、作品を積んだ船を追いかけて波打ち際を歩く
カラヴァッジョの後姿が印象的だった)
《バッカス》の顔出し記念撮影パネルを撮影して入口から出ました。
2016年3月1日(火)~3月18日(金)の期間は常設展示室が閉室とのことで、
この日、常設展示が見られなかったのが残念でした。
6月12日(日)まで有効の常設展無料観覧券ってのをもらったんですが、
ちょっと行けないなぁー。
カフェすいれんにてケーキセットをいただきました。788円
国立西洋美術館の庭のロダンの彫刻は昔からありましたね。
ロダン《カレーの市民》
ブールデル《弓をひくヘラクレス》と
ロダン《地獄の門》
次の日のパートが夕方からなら、東京の友人と会って食事して
最終で帰ろうと思うところなんですが、朝から入ってたんですよね。
夜行バスの疲れも出てきていたので、他は寄らずに、
東京駅16:20の新幹線で帰りました。でもそれでよかった!
帰ったら、お隣の御主人が亡くなったとのことで、
3月まではウチが近所の班長だったので、バタバタしました。
(今は葬儀場でほとんどやっていただけるので、ずいぶんラクにはなりましたが)
国立西洋美術館: http://www.nmwa.go.jp/jp/
「カラヴァッジョ展」公式ホームページ: http://caravaggio.jp/
東京都美術館「ボッティチェリ展」のあと、
国立西洋美術館「カラヴァッジョ展」を見ました。
(もうだいぶ前のことなのに、なかなかブログに感想が書けません)
チラシ表面に使われているのは《バッカス》1597-98年頃
そして《果物籠を持つ少年》1593-94年
「ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョ(1571-1610年)は、 バロック絵画の創始者の1人であり、イタリアが誇る大画家です。」(チラシ中面より)
私も名前は知っていました。私が学生時代
「ミケランジェロ」と「ボッティチェルリ」の巻だけ買った
世界美術全集 Vingtans 集英社 全18巻の
11巻で取り上げられているのが「カラヴァッジオ」
ちなみに、この世界美術全集、第1回配本が昭和53年(1978年)5月12日で、
5巻「レオナルド・ダ・ヴィンチ」を
定価1,450円のところ発刊記念特価980円で発売したそう。
第2回配本が「ミケランジェロ」以降「レンブラント」「ボス/ブリューゲル」
「ラファエルロ」「ボッティチェルリ」「ルーベンス」と続いたようです。
今なら、なんでフェルメールがないの?って思いますけどね。
あぁ、閑話休題
でもイマイチよく知らなくて、今回見て、あ、この絵も
カラヴァッジョだったんだって知って、その偉大さと、
「カラヴァジェスキ」と呼ばれる、彼の絵に影響を受けた
継承者たちが、イタリアのみでなくヨーロッパ各地へと
カラヴァッジョの画法を波及させて、
バロックという美術様式となったということを知り、
あらためて西洋絵画におけるカラヴァッジョの存在の大きさを
知ったわけですが‥‥でも、結論から言うと、私はどうも
この画家好きになれないなぁと。あまりに生々しすぎる? 暗い??
だいぶ前(2009年11月22日放送)のNHK日曜美術館で
「劇的? やりすぎ? バロックって何だ?!」として、
http://www.nhk.or.jp/nichibi/weekly/2009/1122/index.html
バロック美術とルネサンス美術を比べて、バロックの特徴を
解説していましたが、その時も私はルネサンスの方が好きだなって
感じたんですけどね。(音楽はバロックの方が好きかも)
今回の展覧会は、風俗画、静物、斬首とかってテーマ別に構成されて、
カラヴァッジョの作品とカラヴァジェスキの作品が並んでいるんですが、
特に私はカラヴァジェスキの作品が好きになれなかったので、
よけいにそう思うのかなぁと。
さすがに、カラヴァッジョの《エマオの晩餐》1606年 と、
《エッケ・ホモ》1605年頃 は、この絵すごい!!って感じました。
(チラシ中面左ページ)
国立西洋美術館には学生時代に来たことがある‥‥っていうと、
36年ぶりくらい?(3月8日(火)朝7時頃に撮影)
建物の入口横でチケット(一般当日1,600円)を購入して、
ロッカーに荷物を入れて、地下の企画展示室へ。
36年前にはこんな地下の展示室なんてなかったなぁ。
(36年前ですからね)
地下1階でチケットを見せて、地下2階へ。
そこに《バッカス》の記念撮影パネルとか、
カラヴァッジョを紹介する映像の上映もあったんですが、
私、てっきり展覧会の出口もここだって思ったんですよね。
なので、カラヴァッジョの絵を先に見ようと展示室に入ったんです。
入ってスグの正面に《女占い師》1597年頃 が。
これはローマ、カピトリーノ絵画館あるもので、
パリのルーブル美術館にも《女占い師》のバージョンがあるそう。
(世界美術全集のリーフに使われているのは、
ルーブル美術館蔵の《女占い師》ですね)
カラヴァッジョを代表する絵の一つでありますが、
‥‥どうも私、ジョルジュ・ド・ラ・トゥール(1593-1652年)の
《女占い師》や《いかさま師》とごっちゃにしていたりして。
この展覧会でも、カラヴァッジョの影響を受けた画家として、
ラ・トゥールの《煙草を吸う男》1646年 東京富士美術館蔵
が展示されていました。この絵よかったです。
展覧会の中でちょっとホッとしました。
カラヴァジェスキの絵がどうもダメだった私ですが、
ラ・トゥールだけは好きというか、画集で見る限りの印象ですが、
私はカラヴァッジョよりラ・トゥールの絵の方が好きだなと。
カラヴァッジョが死ぬ間際まで携えていた絵画だとされる
《法悦のマグダラのマリア》1606年 が世界初公開だということも
話題になっていましたが、これがカラヴァッジョの真筆かどうかは
私にはわからないですが、やっぱり私は好きじゃないというか、
マリアの黒い唇が気持ち悪いって思っちゃいました。
でもカラヴァッジョの画力はすごいです。写真もなかった時代に、
この絵は驚きだったでしょうね。天才画家ともてはやされる一方、
生来の激しい気性から諍いが絶えなくて、ついには殺人を犯し、
逃亡を余儀なくされながらも作品を描き続け、38歳で死去します。
展覧会には、彼が犯した事件の裁判や、刀剣の不法所持などの
ローマ国立古文書館の史料も展示されていて興味深かったです。
この展覧会、私の趣味とはちょっと違ったんですが、
世界初公開も含め、これだけのカラヴァッジョの作品が集められていて、
すごい展覧会であることは間違いないでしょうね。
「日伊国交樹立150年記念」ということで、
「出品数は日本で過去最多、世界でも有数の規模」だそうです。
(チラシ中面右ページ)
絵を見た後で映像を見るつもりでいたら、全く別の出口に出てしまい、
あら、しまった‥‥もういいかとも思いましたが、
チケット提示場所で聞いたら、半券で当日1回限り再入場できるとのことで、
半券にハンコ押してもらって入りました。
カラヴァッジョの生涯を紹介する映像を見て、
(ラストの、作品を積んだ船を追いかけて波打ち際を歩く
カラヴァッジョの後姿が印象的だった)
《バッカス》の顔出し記念撮影パネルを撮影して入口から出ました。
2016年3月1日(火)~3月18日(金)の期間は常設展示室が閉室とのことで、
この日、常設展示が見られなかったのが残念でした。
6月12日(日)まで有効の常設展無料観覧券ってのをもらったんですが、
ちょっと行けないなぁー。
カフェすいれんにてケーキセットをいただきました。788円
国立西洋美術館の庭のロダンの彫刻は昔からありましたね。
ロダン《カレーの市民》
ブールデル《弓をひくヘラクレス》と
ロダン《地獄の門》
次の日のパートが夕方からなら、東京の友人と会って食事して
最終で帰ろうと思うところなんですが、朝から入ってたんですよね。
夜行バスの疲れも出てきていたので、他は寄らずに、
東京駅16:20の新幹線で帰りました。でもそれでよかった!
帰ったら、お隣の御主人が亡くなったとのことで、
3月まではウチが近所の班長だったので、バタバタしました。
(今は葬儀場でほとんどやっていただけるので、ずいぶんラクにはなりましたが)
国立西洋美術館: http://www.nmwa.go.jp/jp/
「カラヴァッジョ展」公式ホームページ: http://caravaggio.jp/
こんにちは。
私もカラヴァッジョ展を見てきましたので、率直なご感想など興味を持って読ませていただきました。劇的な明暗法によって浮かび出る人物表現と「光と影」の自由な感動的表現、リアリティーのある絵画表現、衝撃の強さ独特の美意識のせめぎあいは好き嫌いが分れるとろ過もしれませんが、私はカラヴァッジョの魅力だと感じました。
今回のカラヴァッジョ展からカラヴァッジョの絵画の魅力と、なぜカラヴァッジョが美術史を塗り替えるほどの影響力を持ったのかを考察してみました。読んでいただけると嬉しいです。ご意見・ご感想などコメントをいただけると感謝いたします。
by dezire (2016-05-13 14:38)
dezire さん、ご訪問、コメントありがとうございます。
たいへんお返事が遅れまして失礼しました。
実は、dezire さんのブログを読ませていただき、
深い知識に圧倒されておりました。
ロクに知らずに「好きじゃないー」なんて書いてるのが、
恥ずかしくなりますが‥‥まぁ私の趣味がボッティチェリと、
世紀末あたりのお耽美(少女マンガみたいな)なので。
dezire さんの、
「カラヴァッジェスキの作品はグロテスクにしか感じないのに、
カラヴァッジョの作品には美意識を感じ何か魅力を感じさせる
作品に仕上がっている」
というところ、全く同感です。カラヴァッジョの絵は
どこか上品なところがあって、追随者の絵と違うなぁと感じました。
他の記事も詳しくて、勉強になります。
これからも dezire さんのブログ読ませていただきます。
by しーちゃん (2016-05-23 01:19)