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岐阜県現代陶芸美術館「1964」展 [美術]

1月14日(日)、岐阜県現代陶芸美術館へ行きました。
「1964
 証言―現代国際陶芸展の衝撃」という企画展をやっています。
1964ceramic.jpg

この展覧会、1月7日放送のNHK日曜美術館アートシーンでも取り上げられたり、
ツイッターでも好意的なつぶやきが流れてきていまして、
1964年当時「日本陶芸の敗北」と評されるほどの衝撃を、
日本の陶芸界に与えたという海外の作品はどんなものなのか?って
見に行きました。

でも、私の印象としては、
あれ?? 意外と端正な作品が並んでいるけど‥‥だったんですが。

もちろん、ピーター・ヴォーコスや、サム・フランシスの
自由(?)な作品もあったけど、壺や皿などの実用的で、そんなに大きくない
作品が多くて、私にはどこが衝撃だったのか??って。

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1月14日(日)14:00-15:00「当館学芸員が展示を詳しく解説します」
という、スライドレクチャーがあるとのことだったので、
その前に一通り展示を見れたら‥‥なーんて思ってたのですが、
やっぱり私のことなので(自分一人で、車で出かけるとなると、
ついズルズルと遅くなっちゃいますー)着いたのが、2時少し前。
岐阜県美術館の後援会員証を提示して入ります。
(岐阜県美術館の後援会員は、岐阜県現代陶芸美術館の企画展も1回ずつ
見られるんですよ!! 年会費3,000円はなんておトクなんでしょう!!)

もう10分もなかったんですが、ちょっとだけ会場を見て、それから
スライドレクチャーが行われる部屋へ。

この展覧会の担当学芸員である花井素子さんが解説してくださいました。

残念なことに、ちょっと聞き取りづらかったかなー。
私、近年の健康診断で、特に左耳が聞こえていないって言われるんですよね。
耳鼻科に行ったら、ちょっと早いけど、老化現象でしょうって(T.T)
でも、1964年に開催された「現代国際陶芸展」がどんな展覧会だったのか、
知ることができました。
日本ではじめて海外の現代陶芸を紹介した展覧会であったと。
19か国(日本含む)の約200点(うち、日本人作家104名)が、
国立近代美術館(東京)、石橋美術館(久留米)、
国立近代美術館京都分館(京都)、愛知県文化会館美術館(名古屋)と
巡回したそう。
名古屋での展示はわずか1週間ほどだったそうですが。

それまで海外の陶芸についてはほとんど知らなかった、
陶芸は日本が一番って思ってた人たちには、これら
海外の作家の作品は驚きだったのかなぁって。

そんな海外の出品作品は、陶芸家・小山冨士夫が各国を回って陶芸家に会い、
作品の選定、購入または借用の打ち合わせをして選んだのだそう。
そんな小山冨士夫の旅の記録も展示されていました。

今回展示されていた海外の作品は、
4点を除く62点全てが京都国立近代美術館所蔵のもの。
「現代国際陶芸展」に出品された海外作品の多くが
京都国立近代美術館に収蔵されているのだそう。

私がチラシやアートシーンから想像したのは、
アメリカの巨大な陶芸作品が当時衝撃だったのか?って思ったんですが、
――NHK日曜美術館アートシーンで、岐阜県現代陶芸美術館所蔵の
ジョン・メイスン《直立する彫刻》が映っていたので――
1964年の展覧会には、もっと小さな作品が展示されていたのだそう。
これは、大きな作品の輸送にすごくお金がかかるので、
スライドレクチャーで聞いた話だと、当時のお金で40万円ほどかかるとのことで、
主催の朝日新聞社の許可が下りなかったのだそう。

なので、壺とか皿とか、実用的で、わりとシンプルで
シャープなものが多いような気がしました。
このあたりは選定した小山冨士夫の審美眼なのかなぁとも。

私はイタリアのグイド・ガンボーネの作品がいいなと見ました。

展示後半は日本の作家。
「現代国際陶芸展」には日本人作家104名が1点ずつ出品しましたが、
その選定は、展覧会の実行委員たちの投票によって行われたのだそう。

今回の展覧会には、45名の45点が展示されていました。
うち、実際に「現代国際陶芸展」に出品されたものが18点、
その他は、出品作に近い作品が展示されていました。
(出品作は写真で提示されていました)

「現代国際陶芸展」が当時そんなに衝撃だったのは、
日本では海外のような自由な作品はまだ作られていなかったからなのかと
思ったんですが、八木一夫や山田光が「走泥社」を結成して、
前衛陶芸を始めたのが1948年なので、1964年頃には結構自由な
造形も出てきているんですよね。「現代国際陶芸展」にも
山田光の作品《塔》(チラシ表面右上)とかも出品されていますし。

私は浅井礼二郎《昆虫文三連花器》が面白いと見ました。

私は陶芸には詳しくないので――ここに出ている方々、
それぞれ大家なんでしょうが、半分もわかりません――
技術的にどんなにスゴイのか、イマイチわからないんですよね。
だから、日本と海外の陶芸の作品の違いってのも
あまり感じることができませんでしたし、
どちらかっていうと、日本の作家たちの作品の方が
面白いようにも感じたんですが‥‥
日本人の作品の方が大きいってのもその一因かもしれません。

スライドレクチャーで、現代国際陶芸展の会場写真を見せてもらった
のですが、ブロックの上に板を載せて作品を展示しているのには
(カッコイイってやっているんだろうけど)
半世紀以上も前のことなんだなぁって感慨を持ってしまいました。


さて、ギャラリーⅠを出て、所蔵品を中心とした展示が行われている
ギャラリーⅡへ。

「お茶の時間」
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マイセンの、こんなの洗えないじゃん!ってツッコミたくなる
繊細な花のレリーフがついたカップ&ソーサーをはじめ、
セーヴル、ミントン、ロイヤル・ウースター‥‥西洋の名窯の
華麗なカップ&ソーサーが並びます。
マイセンのティーセット「インドの華」が気に入りました。

そして、多治見市美濃焼ミュージアム「幻のナカヤマ」展で知った
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2017-08-27
「美濃の大倉陶園」と称されるほどの評価を一代で達成したという
中山保夫のデザインしたカップはとても素敵!!
私の好みはやっぱりナカヤマのカップかなぁー

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階段を上がったB室に展示されていた抹茶茶碗。
人間国宝の作る萩焼や志野の茶碗はすごいんでしょうが、
こういうワビサビの世界? 私にはイマイチ価値がわかりません。でも
安食ひろ《塩釉椀 平成婆娑羅》(チラシ裏面下段中)の
装飾的な茶碗は素敵だと見ました。

そして、このカップでコーヒーを飲んでみたいって思ったのが、
窓際にあった熊倉順吉《深海緑コーヒーセット》
艶のあるトロリとした深海緑色?がいい感じでした。

最後のD室
ルーシー・リー/ハンス・コパー《ティー・サービス》(チラシ裏面左上)は
もちろんよかったですが、

リチャード・ノトキン《ピラミッド型頭蓋骨のティーポット》
この遊び心、気に入りました。

ロシア・アヴァンギャルドのマレーヴィチがデザインした
ブッとんだティーセット(この作品は以前にもここの展示で見てますけど)も
展示されていましたが、

ホールに展示されていたロトチェンコのデザインを復元した
ティーセット。
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岐阜県現代陶芸美術館のあるセラミックパークMINO、
日陰には雪が残っています。

鯉江良二《雨/陶←→土》の周辺にも雪が残っています。
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お茶室の前の池の氷の上に残った雪
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日曜でしたが、今日は空いていました。
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せっかくなので「1964」展の図録買いました。1,200円
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そして、前回来た時にショップが閉まってしまい買えなかった
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2017-10-29
「引き継がれるコレクター魂」展の図録も買いました。2,000円
この展覧会、とにかく量がすごかったんですよね!!
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岐阜県現代陶芸美術館: http://www.cpm-gifu.jp/museum/

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