名古屋市博物館「画僧 月僊」展 [美術]
1月27日(日)、名古屋市博物館へ行ってきました。
特別展「画僧 月僊」の最終日。
チラシ中面(クリックで拡大します)
チラシ裏面(クリックで拡大します)
月僊(げっせん 1741-1809)は、江戸時代の中頃に活躍した浄土宗の画僧です。 名古屋に生まれ、幼少にて仏門に入りました。江戸や京都で修行するかたわら絵を学び、 ユニークな仙人の絵で人気を博します。伊勢国、寂照寺の住職となると、絵を売って 寺の再興に努め、貧民救済にも尽力しました。(チラシ裏面より)
27日(日)、ぽっかり空いたんですよね。
美術展行きたいなぁ、どこにしようか? なんて考えてて、
この展覧会、今日までかー、なんてカンジで。
展覧会始まるまで、名前も聞いたことがなかったんです。
チラシ見て、画力すごいな、こんな画家(画僧)がいたんだ!
とは思ったんですが、まぁ私、日本の古い絵画って、
琳派とか金地に描かれた派手な絵は好きだけど、
こういうあまり色のない絵ってなんかジミな印象で、
それほど行きたいとは思ってなかったんですが。
12月30日放送の日曜美術館アートシーンで紹介されてて
なんか良さそう、月僊の絵がまとまって見られるのも、
今日がラストチャンスかも‥‥って。
でも私のことなので、日曜日ついダラダラしてしまい、
家を出たのが2時(^^;) もうあきらめようかなぁとも思ったんですけど。
名古屋市美術館は、名古屋から地下鉄桜通線で「桜山」下車。徒歩約5分。
片道料金が270円なので、600円で地下鉄乗り放題になる「ドニチエコきっぷ」を
購入。往復で570円だけど、「ドニチエコきっぷ」提示で
入館料が100円引きになるんですよ!
名古屋市博物館に着いたのが3時半頃。
アプローチにあった看板が良かった(帰りにじっくり読んで撮影しました)
《人物図衝立(鍾離権・呂洞賓)》
「中国の仙人、鍾離権(しょうりけん・お団子の髪型)と 呂洞賓(りょどうひん・帽子を被る)を描いた風変わりな作品。 仙術を教える場面のようじゃが、妙に馴れ馴れしいのぉ‥‥。」と。
《琴棋書画図(松下百老)》
「集団や群像の表現も月僊作品の魅力のひとつ。白髪白ひげの老人が たくさん集まって琴や囲碁、書道や絵画を楽しむ様子を描いておる。 一人として同じ顔、同じポーズの人がいないのは流石じゃな。」と
それぞれの老人が本当に楽しそうで、こっちまで笑えてきました。
「龍の病気を治したといわれる伝説的な馬医・馬師皇(ばしこう)を描いた作品。 墨で描いた龍の絵はたくさんあるが、こんな姿は珍しいじゃろ。 口をぽっかり開けて医者に全てを委ねる愛らしい姿を描きとめておる。」
この作品、前期(12/15~1/5)展示だったのでこの日は見られませんでした。
月僊は画僧として多くの涅槃図を描いているそう。
今回の展示では、名古屋市博物館が所蔵する巨大なものをはじめ、
この看板に使われている全体を薄墨で塗り込めたものは、
「釈迦の死を悲しむ弟子たちの姿が、法隆寺五重塔の塑像軍とよく似ている」
他に2点が出品されていました。
「ドニチエコきっぷ」を提示して、
観覧料一般当日1,300円が100円引きの1,200円になりました。
第1章 画業のはじまり―復古と革新の18世紀
最初に自画像と伝えられる《僧形立像(伝自画像)》があり、
隣に谷文晁(1763-1841)が56歳の月僊と出逢って描いた
小さなスケッチが展示されていました。
チラシ中面左上に2つが並んでいますが、だいぶ印象が違うのは、
描かれた年齢の違いと、自画像と他人が描いた絵の違いなんでしょうか。
次に、月僊の江戸での修行の師・桜井雪館(1715-1790)の絵が展示されていました。
ギザギザの墨の線が、私には奇想の系譜の曽我蕭白とかを思わせたんですが、
「祖父が雪舟九世を名乗る等禅なる画僧に師事したことから、自らを雪舟十二世と位置づけ、 雪舟の様式を意識的に再現していく。粉本主義によって形式化していた御用絵師・狩野派の 様式を批判し、漢画の伝統に回帰することを提唱、新たな絵画潮流の起点ともいうべき役割を 果たした。」(図録より)
それから京都へ出て、円山応挙(1733-1795)の影響を受けます。
名古屋市博物館が所蔵する円山応挙の絵が展示されていましたが、
こちらはなんとも柔和な仙人の絵《列子御風図》と
お腹の体毛がリアル(?)な《布袋図》
そして、初期の月僊の絵
1768年、月僊28歳の作《加知章騎馬図》
私には絵の見方、よくわからないんですが、すごく上手いなぁって見ました。
《東方朔図》西王母の仙桃を盗もうとする東方朔を描いた絵
背景の桃の樹とか、すごいなーって見ました。
第2章 信仰―清新な近世仏画の世界
名古屋市博物館が所蔵する巨大(342.0×273.0cm)な《仏涅槃図》1786年
他、3点の涅槃図が展示されていました。
四天王や達磨、そして僧侶の肖像画はとてもリアル!
私は、このデザイン的(?)な《十六羅漢図》が気に入りました。
(図録より)
第3章 神仙―ユニークな神様、仙人、英雄たち
1784年に出版された《列仙図賛》は、個性的な仙人たちが話題となって
大人気だったそう。
モニタでそれぞれのページを見られるようになっていたのが良かった。
第4章 山水と花鳥―人気絵師の多様な題材
月僊、山水画もいいなぁ。
木曽の山中で木こりたちが伐採した木材を運搬するために
崖下の川に投げ込む様子を描いた《木曽路図》は、へぇーって
興味深く見ました。
第5章 寂照寺の月僊―豊かな交流と温かなまなざし
月僊愛用と伝わる硯や乳鉢、手紙なども展示されていました。
最後に、目の不自由な人々の行進を描いた《百盲図巻》
一見茶化しているようだけど、迷いながら生きている私たちの姿を
描いているのだと。巻末には目の不自由な人が持つ才能を讃える文も
書かれているそう。月僊は絵を売って貯めたお金で、寺の復興や
貧しい人々の救済事業を行ったそうで、そんな優しいまなざしも
窺うことができます。
閉館時間が迫っていて、図録も買いたかったので、最後はかなり
駆け足になってしまいました。こんな名古屋出身の画僧がいたんだなぁと。
図録 2,300円 丁寧な解説がついていて、とてもいいです。
ついでにこちらの本も買っちゃいました。
マンガでわかる「日本絵画」の見かた
絵もたくさん収録されているし、マンガも楽しくてわかりやすいです。
特別展「画僧 月僊」の最終日。
チラシ中面(クリックで拡大します)
チラシ裏面(クリックで拡大します)
月僊(げっせん 1741-1809)は、江戸時代の中頃に活躍した浄土宗の画僧です。 名古屋に生まれ、幼少にて仏門に入りました。江戸や京都で修行するかたわら絵を学び、 ユニークな仙人の絵で人気を博します。伊勢国、寂照寺の住職となると、絵を売って 寺の再興に努め、貧民救済にも尽力しました。(チラシ裏面より)
27日(日)、ぽっかり空いたんですよね。
美術展行きたいなぁ、どこにしようか? なんて考えてて、
この展覧会、今日までかー、なんてカンジで。
展覧会始まるまで、名前も聞いたことがなかったんです。
チラシ見て、画力すごいな、こんな画家(画僧)がいたんだ!
とは思ったんですが、まぁ私、日本の古い絵画って、
琳派とか金地に描かれた派手な絵は好きだけど、
こういうあまり色のない絵ってなんかジミな印象で、
それほど行きたいとは思ってなかったんですが。
12月30日放送の日曜美術館アートシーンで紹介されてて
なんか良さそう、月僊の絵がまとまって見られるのも、
今日がラストチャンスかも‥‥って。
でも私のことなので、日曜日ついダラダラしてしまい、
家を出たのが2時(^^;) もうあきらめようかなぁとも思ったんですけど。
名古屋市美術館は、名古屋から地下鉄桜通線で「桜山」下車。徒歩約5分。
片道料金が270円なので、600円で地下鉄乗り放題になる「ドニチエコきっぷ」を
購入。往復で570円だけど、「ドニチエコきっぷ」提示で
入館料が100円引きになるんですよ!
名古屋市博物館に着いたのが3時半頃。
アプローチにあった看板が良かった(帰りにじっくり読んで撮影しました)
《人物図衝立(鍾離権・呂洞賓)》
「中国の仙人、鍾離権(しょうりけん・お団子の髪型)と 呂洞賓(りょどうひん・帽子を被る)を描いた風変わりな作品。 仙術を教える場面のようじゃが、妙に馴れ馴れしいのぉ‥‥。」と。
《琴棋書画図(松下百老)》
「集団や群像の表現も月僊作品の魅力のひとつ。白髪白ひげの老人が たくさん集まって琴や囲碁、書道や絵画を楽しむ様子を描いておる。 一人として同じ顔、同じポーズの人がいないのは流石じゃな。」と
それぞれの老人が本当に楽しそうで、こっちまで笑えてきました。
「龍の病気を治したといわれる伝説的な馬医・馬師皇(ばしこう)を描いた作品。 墨で描いた龍の絵はたくさんあるが、こんな姿は珍しいじゃろ。 口をぽっかり開けて医者に全てを委ねる愛らしい姿を描きとめておる。」
この作品、前期(12/15~1/5)展示だったのでこの日は見られませんでした。
月僊は画僧として多くの涅槃図を描いているそう。
今回の展示では、名古屋市博物館が所蔵する巨大なものをはじめ、
この看板に使われている全体を薄墨で塗り込めたものは、
「釈迦の死を悲しむ弟子たちの姿が、法隆寺五重塔の塑像軍とよく似ている」
他に2点が出品されていました。
「ドニチエコきっぷ」を提示して、
観覧料一般当日1,300円が100円引きの1,200円になりました。
第1章 画業のはじまり―復古と革新の18世紀
最初に自画像と伝えられる《僧形立像(伝自画像)》があり、
隣に谷文晁(1763-1841)が56歳の月僊と出逢って描いた
小さなスケッチが展示されていました。
チラシ中面左上に2つが並んでいますが、だいぶ印象が違うのは、
描かれた年齢の違いと、自画像と他人が描いた絵の違いなんでしょうか。
次に、月僊の江戸での修行の師・桜井雪館(1715-1790)の絵が展示されていました。
ギザギザの墨の線が、私には奇想の系譜の曽我蕭白とかを思わせたんですが、
「祖父が雪舟九世を名乗る等禅なる画僧に師事したことから、自らを雪舟十二世と位置づけ、 雪舟の様式を意識的に再現していく。粉本主義によって形式化していた御用絵師・狩野派の 様式を批判し、漢画の伝統に回帰することを提唱、新たな絵画潮流の起点ともいうべき役割を 果たした。」(図録より)
それから京都へ出て、円山応挙(1733-1795)の影響を受けます。
名古屋市博物館が所蔵する円山応挙の絵が展示されていましたが、
こちらはなんとも柔和な仙人の絵《列子御風図》と
お腹の体毛がリアル(?)な《布袋図》
そして、初期の月僊の絵
1768年、月僊28歳の作《加知章騎馬図》
私には絵の見方、よくわからないんですが、すごく上手いなぁって見ました。
《東方朔図》西王母の仙桃を盗もうとする東方朔を描いた絵
背景の桃の樹とか、すごいなーって見ました。
第2章 信仰―清新な近世仏画の世界
名古屋市博物館が所蔵する巨大(342.0×273.0cm)な《仏涅槃図》1786年
他、3点の涅槃図が展示されていました。
四天王や達磨、そして僧侶の肖像画はとてもリアル!
私は、このデザイン的(?)な《十六羅漢図》が気に入りました。
(図録より)
第3章 神仙―ユニークな神様、仙人、英雄たち
1784年に出版された《列仙図賛》は、個性的な仙人たちが話題となって
大人気だったそう。
モニタでそれぞれのページを見られるようになっていたのが良かった。
第4章 山水と花鳥―人気絵師の多様な題材
月僊、山水画もいいなぁ。
木曽の山中で木こりたちが伐採した木材を運搬するために
崖下の川に投げ込む様子を描いた《木曽路図》は、へぇーって
興味深く見ました。
第5章 寂照寺の月僊―豊かな交流と温かなまなざし
月僊愛用と伝わる硯や乳鉢、手紙なども展示されていました。
最後に、目の不自由な人々の行進を描いた《百盲図巻》
一見茶化しているようだけど、迷いながら生きている私たちの姿を
描いているのだと。巻末には目の不自由な人が持つ才能を讃える文も
書かれているそう。月僊は絵を売って貯めたお金で、寺の復興や
貧しい人々の救済事業を行ったそうで、そんな優しいまなざしも
窺うことができます。
閉館時間が迫っていて、図録も買いたかったので、最後はかなり
駆け足になってしまいました。こんな名古屋出身の画僧がいたんだなぁと。
図録 2,300円 丁寧な解説がついていて、とてもいいです。
ついでにこちらの本も買っちゃいました。
マンガでわかる「日本絵画」の見かた
絵もたくさん収録されているし、マンガも楽しくてわかりやすいです。
マンガでわかる「日本絵画」の見かた: 美術展がもっと愉しくなる!
- 作者: 唐木 みゆ
- 出版社/メーカー: 誠文堂新光社
- 発売日: 2017/04/03
- メディア: 単行本
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