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岐阜県現代陶芸美術館「愛のヴィクトリアン・ジュエリー」 [美術]

12月4日(日)岐阜県現代陶芸美術館へ行きました。
「開館20周年記念
 愛のヴィクトリアン・ジュエリー
 華麗なる英国のライフスタイル」という特別展をやっています。
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今年8月21日放送のNHK日曜美術館アートシーンで、
八王子夢美術館で開催されているこの展覧会が紹介されていて、
わー、豪華でキラキラな宝石、素敵って見てたら、
岐阜県現代陶芸美術館に巡回してくると!

私、岐阜県美術館の後援会員になっていて、年3,000円の会費で、
岐阜県美術館だけでなく岐阜県現代陶芸美術館の展覧会も
1回ずつ無料で見ることができるんです!!(なんておトクなんでしょう!)
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ってことで楽しみにしていて、チラシでこの日、ギャラリートークが
14:00からあるってことだったので、どうせなら解説も聞きたいって
思ったんですが‥‥まず、私のことなので出発が遅くなり、
道が混雑してて、ちょっと遅れるかなーって思いつつも
岐阜県現代陶芸美術館があるセラミックパークMINOへ着いたら、
駐車場がいっぱい! え?!宝石展だからこんなに人気がある?
のではなくて、
「たじみ子育て 楽市楽座」ってイベントやってたんです。
(ウェブサイトちゃんと確認すれば良かった‥‥)

シャトルバスが出るって臨時駐車場の地図をもらって、
一度はそこまで行ったんですが、シャトルバスの時間が
最終16:30だったんです。美術館は18:00までやってるので、
それでは困るなーと。もう一度駐車場にチャレンジしようと
戻ると、帰る人の車も出始めていたので、
なんとか停めることができました。

ギャラリートークが聞けなかったのは残念だけど、
岐阜県美術館の後援会員証提示してチケットをもらい
展示会場のギャラリーⅠへ。

最初と最後の部屋は撮影可!

イギリスが繁栄を誇ったヴィクトリア女王の時代
ヴィクトリア女王(1819-1901) 在位1837-1901

18歳で即位し、在位64年間。世界各地に植民地を抱え、
「陽の沈まぬ国」と呼ばれたイギリスが繁栄を極めた時代。

夫・アルバートとの間に9人(4男5女)をもうけ、欧州各国の
王室と婚姻を結んだ結果、「ヨーロッパの祖母」と呼ばれたと。

ヴィンターハルター工房による《若き日のヴィクトリア女王》1842年頃
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おぉ! さすが、ハプスブルク家のエリザベート皇妃や、
フランスのウージェニー皇妃なども描いた
王侯貴族から絶大な人気を得た肖像画家です。

若く美しく、そして威厳も感じられる女王の姿!


第1章 アンティーク ジュエリー
撮影可の最初の展示室には、豪華なセットジュエリーが!

《シリトン&カラーゴールド パリュール
(ティアラ、ブローチ、イヤリング、ペアブレスレット、ネックレス)》
1830年頃 イギリス
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「パリュール」とは、
ティアラ、ブローチ、イヤリング、ブレスレット、ネックレスと、
完全な一揃いのジュエリーのことで、これより少ない揃いを
スウィート、2種類のみをセットとか言うそう。
ケースも豪華ですね。


《エメラルド&ダイヤモンド ゴールド セット》 1830年頃 イギリス
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チラシ表面に、中央のブローチをネックレスの下に
ペンダントとして下げて使われているジュエリーですね。

《ピンクトパーズ&ゴールド スウィート》 1830年頃 イギリス
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ティアラがないけど、ブレスレット、ネックレス、ペンダント、
イヤリングが揃ったスウィート。

ゴールドネックレス&イヤリング セット》 19世紀初期 フランス
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続いて、ゴールド
金は加工が難しいので、他の金属を混ぜた合金にすることが多いのですが、
銅を混ぜると赤っぽくなり、銀を混ぜるとグリーンっぽくなるそうで、
そんな金の色の違いを活かしてデザインされたものや、

《リガード パドロック ペンダント》1820~30年頃 イギリス
「REGARD(敬愛)」の頭文字――
R(ルビー)、E(エメラルド)、G(ガーネット)A(アメジスト)、R(ルビー)、D(ダイヤモンド)――を使った(リガード装飾)ペンダント。
裏にはトルコ石で忘れな草がデザインされてるという
センチメンタルなジュエリー。


パール
まだ養殖真珠がない頃、真珠は貴重なものだったでしょうね。
展示されているジュエリーの真珠の小ささ(シードパール)と、
細かい技法の見事さに驚きます。


ダイヤモンド
18世紀にベルギーでブリリアンカットが開発されて、
ダイヤモンドの輝きが宝石の中心的な存在となりました。
キラキラwww


エナメル
ブローチに夫人の肖像が描かれていたりするんだけど、
これ、手描き? すごい細かい作業ですよね?


インタリオ&カメオ
インタリオとは沈み彫り、カメオは浮き彫り
インタリオは印章として使われたりもしてきたそう。


モザイク
細かい色ガラスの棒を縦に隙間なく並べてモチーフを描き出したもの
とのことなんですが、モザイク? ふつうの絵のようにしか見えない‥‥
すごい手間がかかってるんだろうなぁー


その他、アイボリーや、べっ甲、鉄、
サメの歯や、昆虫(!)を使ったジュエリーもありました。

ボヘミアンガーネットの暗い赤や、
鉄を使った《ベルリンアイアンワーク ペンダント》1820年頃 ベルリン
気に入りました!


英国王室にまつわる宝飾品
革命で処刑されたチャールズ1世の遺髪を編み込んだ
《チャールズ1世のモーニング スライド(エナメル肖像画付)》1650年

ヴィクトリア女王は臣下に宝飾品をよく贈ったとか。
そんな英国王室にまつわる宝飾品が並びます。

《ダイアナ妃のダイヤモンドリング》1985年 ルイ・ジェラール作 フランス
も特別出品されていました。(チラシ裏面中央)


第Ⅱ章 歓びのウェディングから哀しみのモーニング

白いウェディングドレスにベール、結婚指輪の交換、
ウェディングケーキなど、今日のウェディングの形は、
ヴィクトリア女王の結婚式に始まったんだそうですね。

ウェディングベールの着用は、イギリスのレースの発展が
背景にあるとのこと。

繊細なレースがたくさん展示してありました。


亡き人への想い――モーニング ジュエリー のコーナーでは、

遺髪入りのブローチや、

ヴィクトリア女王は最愛の夫アルバートを亡くし、
長い喪に服し(10年以上とか、25年とか、終生?)
黒いドレスと、ジェットの宝飾品を身に付けたため、
この時代にジェットの宝飾品が流行しました。

ジェットは、古代に堆積した石炭層の中から見つかる木の化石で、
磨くと黒く美しい艶が生まれる宝石。

撮影可の最後の部屋にジェットのネックレスが展示してありました。
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ボリュームがあって、重そうに見えるんですが、
実は見た目よりかなり軽いんだとか。


第Ⅲ章 優雅なひととき――アフタヌーン ティー

ヴィクトリア女王の時代に、
アフタヌーンティーの習慣が定着したとのこと
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優雅なアフタヌーン・ティーのセット!
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銀器の輝きやティーカップにため息が出ます。
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銀器は貴族階級のステータス・シンボルであったと。
(小説などに銀器を磨く執事が登場したりしますね)

シュガーバスケット&スプーン 1864年 シェフィールド(イギリス)
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イギリスでは、スターリンクシルバーと言われる高品質のものが
用いられており、品質の保証とともに生産地や制作年代を認定した
ホールマークが刻印されているとのこと。

デザート セット(クルミ割り、ピック、フォーク、ナイフ) 19世紀後期 イギリス
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ローズ ボール 1873年 ロンドン(イギリス)
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サーヴィング セット(カップ&ソーサー、デザート皿、ビスケットトレー) 19世紀中期 イギリス
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展示されている作品は、全て
「穐葉アンティークジュウリー美術館」の所蔵

ブログ書くにあたって、ネット検索したら、2010年とかの
展覧会の感想がヒットしたんですが、
Bunkamuraザ・ミュージアムで、2010年1月2日(土)~2月21日(日)
に開催され、
山梨県立美術館、福井県立美術館、広島県立美術館を巡回し、
2012年には、釧路市立美術館、秋田市立美術館、北海道立旭川美術館
2013年~2015年には、長浜アートセンターで、Part1、2、3 と、
2017年には、山口県立萩美術館・浦上記念館
2019年に、茨城県陶芸美術館
2020年に、渋谷区立松涛美術館で「真珠―海からの贈りもの」
という展覧会名で、
2021年に、尾道市立美術館で「真珠―海からの贈りもの」
そして、
2022年7月1日(金)~9月4日(日)八王子市夢美術館で開催され、

ここ、岐阜県現代陶芸美術館の会期は、
2022年11月26日(土)~2023年1月29日(日)

「穐葉アンティークジュウリー美術館」は、2011年2月末日で、
那須高原にある建物が閉館となったとのこと。

こういう観光地にある美術館って、経営が苦しいんだろうなぁ‥‥
でもコレクションが散逸しなくて良かった。

ヴィクトリア朝の贅と技巧を凝らした豪華で素敵なコレクションです。
宝飾品にそれほど興味がない私でも、すごさ、美しさがわかります。
単眼鏡をお持ちの方は、持っていかれるといいかも。
私には、細かい色ガラスの棒を縦に隙間なく並べたという
モザイクの技法が信じられない! どれだけ細かい作業なんだと!


岐阜県現代陶芸美術館: https://www.cpm-gifu.jp/museum/
穐葉アンティークジュウリー美術館: https://www.jewellery-museum.com/

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スー

美術館巡りの日々、うらやましい限りです。
うっとりと眺めて、ストレス解消しています。

by スー (2022-12-25 23:45) 

しーちゃん

スー さん、たくさんの nice! とコメントありがとうございます。美術館巡り、とても楽しいです。最近は撮影可のところも増えて、展覧会を振り返ったり、ブログに感想を書くのにもいいです。読んでいただいてありがとうございます。

by しーちゃん (2022-12-29 09:56) 

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