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なめらかでないしぐさ 現代美術in西尾 (2) [美術]

10月29日(日)愛知県西尾市へ行き、

「国際芸術祭地域展開事業
 なめらかでないしぐさ
 現代美術 in 西尾」を見たことの続き。

康全寺で、大東忍さんの作品を、
旧上田家具店で、岡本健児さんとキ・スルギさんの作品を見たことは、
前記事に: https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2023-11-02

会場の一つである尚古荘不言庵

尚古荘 正門
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昭和初期に米穀商・岩崎明三郎が西尾城東之丸の移行の保存のために造営した、日本庭園が美しい別荘・尚古荘。庭園内に移築された不言庵は、元は鍋屋・辻利八の妻・多豆子の茶室で、彼女の和歌の師で幕末明治にかけて活躍した歌人・佐々木弘綱も訪れている。(会場ガイドより)
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色づきはじめたモミジが陽に透けてきれい
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札本 彩子 Fudamoto Ayako 1991年 山口県出身

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不言庵の軒に鮭が吊るされています。
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札本彩子は独自の手法で制作した食品造形を通して、食を取り巻く社会環境や食文化について考察する作品を制作してきました。塩化ビニール製の一般的な食品サンプルとは異なり、札本は樹脂粘土を中心に、食材の質感に合わせてさまざまな素材を組み合わせながら彫刻のような手法で制作しています。
https://aichitriennale.jp/aichi-art/artists/fudamoto-ayako.html より

風情のある茶室に吊るされた、
高橋由一の絵のようなリアルな鮭!
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茶室の隅に、鮭の切り身が置いてある?
《モシャス(焼鮭 辛口)》
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これ、右は樹脂粘土と粘度粘土にアクリル着色で作ったもの
なんですが、左は愛宕山の石なんだそう!

札本はまた、目の前にいる誰かとそっくりの姿に変身するというゲームの呪文に由来する〈モシャス〉シリーズを継続して制作してきました。身の回りのものや道端に落ちている石やレンガがふとした拍子に食べ物に見えることがありますが、この瞬間を捉えてその形状を模した食品造形を制作し、2つを並べたものが札本の〈モシャス〉です。

裏の御勝手にも作品がありますってことで、見ると
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《モシャス(焼鮭 甘口)》
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これも、左はスポンジ(^▽^)


尚古荘の大広間
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東屋へも登ってみました。
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西尾小学校
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西尾城跡に整備された西尾市歴史公園
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西尾城は1221年に起こった承久の乱の戦功で現在の西尾市に進出した足利義氏が築いたと伝えられる城です。義氏の子孫はやがて「吉良」を名乗り、この地を拠点としました。江戸時代は大給松平氏6万石の城下町として栄えました。(案内板の説明より)

二之丸の表門「鍮石門(ちゅうじゃくもん)」
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平成8年(1996)に再建されたもの

顔はめパネルがある(^▽^)
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私、西尾にお城がある(あった)なんて知らなかったんですが、
これは天守ではなく「本丸 丑寅櫓(うしとらやぐら)」
鍮石門と同じ平成8年に再建されたものだそう
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趣のあるお庭の奥に優美な建物が見えます。
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旧近衛邸
江戸時代末期に建てられた公家近衛家の邸宅の一部を
京都から移築したもの。
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お抹茶がいただけます(500円) 見学のみは無料

赤い毛氈が敷かれた広縁でいただきました。
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旧近衛邸からのお庭の眺め
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書院棟の一の間
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掛軸は「月在青天水在瓶」
つきはせいてんにあって、みずはかめにある
右のレンコンの木彫は、神谷健司木彫工房の作品

二の間
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西尾神社
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丑寅櫓への階段
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丑寅櫓は三重の簡素な造り
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敵の見張りにはいい位置にありますね。
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眼下に見える建物が、芸術祭の会場の一つ
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西尾市資料館

西尾市4代市長・杉浦喜之助の遺志で寄附を受け、1977(昭和52)年に西尾城姫丸跡に開館した入母屋造瓦葺きの資料館。(会場ガイドより)
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もらったリーフレット

入口すぐのコーナーは、常設展示として、
かつての西尾城のジオラマや、
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西尾藩主や藩士の暮らしぶりについての展示がありました。
大給松平(おぎゅうまつだいら)10代乗邑(のりさと)が
宝永8年(1711)に発布した『亀山訓(きざんくん)』は、
西尾藩士の教育の根底になっていたと。
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奥のコーナーが、企画展コーナーとして、
「なめらかでないしぐさ」の展示となっています。
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茨木のり子 Ibaragi Noriko 1926年-2006年 大阪府出身

ガラスに茨木の詩が記されています。
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白い壁、白木の展示台、
シンプルでシャープな雰囲気がとても素敵。

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本展のタイトル「なめらかでないしぐさ」は、茨木が戯曲作家時代に知り合った女優・山本安英との思い出をうたった「汲む──Y・Yに──」のフレーズから採ったものです。

この「怒るとき許すとき」という詩、
私初めて知ったけど、とてもいい!
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女がひとり
 頬杖をついて
 慣れない煙草をぷかぷかふかし
 油断すればぽたぽた垂れる涙を
 水道栓のように きっちり締め
 男を許すべきか 怒るべきかについて
 思いをめぐらせている
 (中略)
 女たちは長く長く許してきた
 あまりに長く許してきたので
 どこの国の女たちも鉛の兵隊しか
 生めなくなったのではないか?
 このあたりでひとつ
 男の鼻っぱしらをボイーンと殴り
 アマゾンの焚火でも囲むべきではないか?
 女のひとのやさしさは
 長く世界の潤滑油であったけれど
 それがなにを生んできたというのだろう
 (後略) 


‥‥それは自分で発見しなげぱならないと。

ガラスに記された文字の影が台に落ちています
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大和田俊 Owada Shun 1985年 栃木県出身

この展示室で、時々展示ケースのガラスが
ガタリと音を立てることは、常設展示を見ていた時から
気になっていましたが、

大和田俊さんは「なめらかでないしぐさ」を、
炭酸水を「ごくり」と飲み込むときの音ととらえ、
その音を響かせているのだそう。

炭酸水は二酸化炭素を高圧で水に溶かしたもの。

実際に飲用可能な「清涼飲料水」にするためには、殺菌して容器に充填して密栓するなど、国が定める製造や保存の基準をクリアしなければなりません。

ということで、実際に飲んでもらうために、
許認可を得て作った炭酸水がこちら
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ちゃんと「製造者 炭酸水製造工場」って表示されてる!
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大和田俊さん、この工場の社長さんだそう。
(このあたり、展示室にいらしたスタッフの方から
聞いた話なので、聞き間違い等あるかもしれません。)

石灰岩から炭酸水を作るための装置
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貝類やサンゴ、有孔虫などの海の生き物は、水中に溶けた二酸化炭素を利用して骨格や殻を作ります。石材やセメントの原料となる石灰岩の多くは、こうした生き物の死骸が堆積して形成されたものです。このようなプロセスは数億年という地質学的な時間をかけて、われわれ人間には知覚できないほどゆっくりと進行しています。
大和田俊は、石灰岩が酸性の水溶液と反応して再び二酸化炭素を放出する性質を利用して、この一連のプロセスを私たちにも知覚可能な速さへと変換して見せます。

https://aichitriennale.jp/aichi-art/artists/owada-shun.html


周囲の景観に配慮した公衆トイレ
自動販売機には西尾の抹茶入りのお茶(ペットボトル)も
売られていました。
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令和2年(2020)に完成した「二之丸丑寅櫓」
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西尾歴史公園を出て、西尾市岩瀬文庫へ向かいます。


こういうレトロなお店、いいなぁ。
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古いカメラもウインドウに並んでました。
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煙草屋とかだったのかな?
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唯法寺→ って標識があったので、確か会場の一つだったと、
細い路地を入ってみました。
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唯法寺は10月14日(土)の音楽プログラムの会場なので、
この日は何もやってなかったんですが、この風情のある景色を
見られただけでも良かったと。
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西尾の郵便ポストは抹茶色をしてます(^^)
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なめらかでないしぐさ 現代美術in西尾
西尾市岩瀬文庫の作品については次の記事で。


なめらかでないしぐさ 現代美術in西尾:
https://aichitriennale.jp/aichi-art/

西尾市歴史公園:
https://www.city.nishio.aichi.jp/shisetsu/1005437/1002603.html

西尾市資料館: https://nishio-museum.jp/

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