なめらかでないしぐさ 現代美術in西尾 (1) [美術]
10月29日(日)愛知県西尾市へ行ってきました。
「国際芸術祭地域展開事業
なめらかでないしぐさ
現代美術 in 西尾」が開催されています。
名古屋市美術館「福田美蘭―美術って、なに?」
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2023-10-16
を見に、名鉄電車に乗った時、
中吊り広告でこのイベントを知りました。
でもその時は、メインビジュアルに使われている
神農理恵さんの作品が、切り紙細工とか、
デジタルで加工した写真のようにも見えて、
えー、なにこれ?? みたいなカンジだったんです。
でもそれからツイッター(いまだにXって名称に馴染めない)や
インスタで、フォローしている方々が、
この芸術祭(って言っていい?)のことをアップされてるのを見て、
なんか面白そう‥‥って。
「国際芸術祭地域展開事業」とは、
国際芸術祭(あいちトリエンナーレ)の開催成果を県内各地に広め、
文化芸術への関心を高めてもらい、次回の国際芸術祭の
開催気運の醸成を図るために、
2020年度は大府で「境界のかたち 現代美術 in 大府」
2018年度は豊田で「Windshield Time - わたしのフロントガラスから 現代美術 in 豊田」
2017年度は一宮で「織り目の在りか 現代美術展 in 一宮」
2015年度は春日井で「となりの人びと 現代美術展 in 春日井」
2014年度は豊川で「豊穣なるもの 現代美術展 in 豊川」
2012年度は岡崎で「岡崎 ART & JAZZ」
2011年度は豊橋で「現代美術展 in とよはし」
と、開催されてきたのだそう(知らなかった!)
今回の「なめらかでないしぐさ」というタイトルは、
幡豆郡西尾町(現・西尾市)で少女時代を過ごした作家・茨木のり子の「汲む」という詩に、「なめらかでないしぐさ」というフレーズが登場します。(チラシ中面の文章)
からつけられていて、開催概要として、
日々の暮らしに追われるあまり、じっくりと考えることをやめてしまったり、見てみぬふりをしてしまったりしがちな出来事に対し、アーティストたちはそれぞれの感受性で目を留め、作品を生み出します。そのやり方は、必ずしも周囲に波風を立てないなめらかなものばかりとは限りません。しかし、身の回りのさまざまな物事をオトナな態度でやり過ごさない、そのなめらかでないしぐさが私たちの心に立てる美しいさざなみこそが、ときに明日を生きる原動力にもなり得るでしょう。
本展では、国内外で活躍するアーティストたちが、地域にまつわる様々な文化や伝承などにも触れながら、西尾駅周辺の文化施設やまちなかの会場に作品を展開します。
西尾市は今まで行ったことがありませんでした。
調べてみると、我が家から名鉄電車を利用して約2時間。
結構遠いけど、西尾市は抹茶生産で全国有数の産地で、
抹茶のスイーツもいろいろあることを聞いていて、
行ってみたいと思ってたんです。
あいちトリエンナーレで、街を歩きながら
アートを鑑賞する楽しさってのに目覚めたというか、
この機会に西尾の街も観光してみようと。
私にしては朝早い8時前に家を出ました。
2回の乗換で行けるので(時間はかかるけど)わりと便利。
名鉄西尾線「西尾駅」に着いたのが10時。
駅前の街の案内看板「三河の小京都・西尾」
「西尾市は六万石城下町として発展した都市で茶文化など京都とも関りが深く 平成七年に全国京都会議に加盟しました 文化の薫る散策路を歩いてみて下さい」と
チラシ中面の地図を見て(チラシはこの日、名鉄の乗換駅の新安城で
手に入れたけど、それまではウエブサイトからダウンロードしてた)
なめらかでないしぐさ 現代美術in西尾
https://aichitriennale.jp/aichi-art/
まずは尚古荘不言庵かな、と歩き始めたんだけど、
なんか面白そうなイベントやってるって横道に逸れ、
で、大通り(中央通り)に出たら、え?! この人形なに(^▽^)
「高砂町商店街へようこそ!!」と
銀行のウインドウに、ポスターと
茨木のり子の詩「倚りかからず」が掲示されてます。
茨木のり子「自分の感受性くらい」
茨木のり子「わたしが一番きれいだったとき」
ちょっとモダンで面白いなって建物。床屋さんの
ウインドウに顔(誰?)が書いてある(^^)
吾妻町商店街の人形は獅子舞?
幸町商店街 背中にしょっているのはお好み焼きのコテ?
「本町商店街へようこそ」と。
芸術祭の会場のひとつ 西尾山 康全寺
本堂
こちらのお堂に作品があります
大東忍 Daito Shinobu 1993年 愛知県出身
《かつての騒ぎと今日の踊り》2023年
わっ!! これはすごい! すごくいい!!
堂内のたくさんの襖に絵が描かれています。
木炭で描かれたモノクロームの夜の景色
どこか懐かしいような‥‥
「日本中のどこにでもありそうな住宅地の静まり返った夜。ひとり、またひとりと去ってしまった限界集落の夜。祭りが終わり、その余韻すらもすでに消えて静まり返った広場の夜。ただ生活の気配だけがかすかに漂っている、そんな抜け殻のような景色を舞台に、」
ウェブサイトの文章より
https://aichitriennale.jp/aichi-art/artists/daito-shinobu.html
「月明かりや街灯をスポットライトにして、黒い人影が黙々と踊り続けています。」
大東忍さん、2019年のアーツ・チャレンジに
出品してらした作家さんだ!
アーツ・チャレンジ2019
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2019-03-03
大東忍さんは全国の盆踊りを訪ねていくうちに、
「その秩序と混乱の狭間にある状態に、強く惹かれるようになりました。」
隣の座敷で、大東忍さんの画集や、
盆踊りのレポート(?)を読むことができました。
康全寺の閻魔堂を覗くと、閻魔王はじめ
仏(?)様の像が。格子の隙間から写真撮らせてもらいました。
本町通りの街灯 雲一つない秋晴れ。
ハロウィンも近い。
会場の一つ 旧上田家具店
岡本健児 Okamoto Kenji 1980年 愛知県出身
無数の点が集まって、キラキラしているような大きな絵
この場所にあってきれいだけど、何を描こうとしたのか?
「特別支援学校での造形あそびや美術の指導の経験を通じて、岡本は絵を描くという行為を「描きたいもの」や「描く技術」ありきで考えるのではなく、画材に使えそうな色々なものと、それを握って画面に擦り付ける人の動きの組み合わせとして捉えるようになりました。」
そうか、無心に点を打っていくのって、
なんか楽しくなってきますよね。
この流し台の前にある綿花から糸を紡いで、
キャンバスを織り、それに土や貝殻を砕いた顔料で
描くってのも《絵を描く》って作品なんだ
「799(延暦18)年、天竺(インド)から現在の西尾市に小舟で漂着した一人の若者が携えていた綿の種。それこそが、日本への綿の伝来だとされています(『日本後紀』)。綿の祖を祀るここ西尾の地で、岡本の絵は自らの成り立ちを丁寧に手繰り寄せながら、より確かな手触りを帯びていくのです。」
https://aichitriennale.jp/aichi-art/artists/okamoto-kenji.html より
旧上田家具店の奥にあったのは、
キ・スルギ Ki Seulki 1983年 ソウル(韓国)出身
茨木のり子の詩「わたしが一番きれいだったとき」が、
鏡に一行おきに鏡文字で書かれています。
《彼女たちが一番きれいだったとき》
ヘッドホンからは、二人の女性が英語で朗読する声が聞こえます。
現在のモスクワとキーウに暮らす女性とのこと。
それを知って聞くと、戦時下の青春をうたった茨木の詩が、
現在のロシアやウクライナの状況と重なって聞こえます。
「街々はがらがら崩れていって
とんでもないところから
青空なんかが見えたりした」
「まわりの人達が沢山死んだ」
「男たちは挙手の礼しか知らなくて
きれいな眼差しだけを残し皆発っていった」
床に映った文字は、鏡の文字とは反転するんですね。
部屋の中央に置かれたテーブルは、
テーブルクロスの上に置かれた茨木のり子の眼鏡と
ティーカップを写した写真をモチーフに制作したとのこと
この写真は、茨木のり子の肖像写真を作家が演じた作品
《なめらかなしぐさをまねる》
こちらは、茨木のり子と、27歳の若さで敗戦直前の日本で獄死した
韓国の国民的詩人ユン・ドンジュが一緒にいるかのような合成写真
《わたしたちが一番きれいだったとき》
「茨木はユンの詩を高く評価していました。二人が一緒にいるかのような合成写真は、もし彼らが出会っていたら交わされたであろう会話についての私たちの想像を掻き立てます。」
https://aichitriennale.jp/aichi-art/artists/ki-seulki.html
茨木のり子は「50歳を超える年齢で韓国語を勉強し始め、 韓国現代詩人たちとの交流を深め、日本国内でユン・ドンジュの詩と その生涯を広く知らしめるのに大きく貢献した人物だ。」
(写真下に書かれたキ・スルギの文章より)
私が昔、韓国語を習っていた頃――冬ソナがブームになる前、
ハングル文字が面白いなーって軽い気持ちで始めたんだけど、
その頃は、なんで韓国語‘なんか’習うの? って言われた。
冬ソナがヒットして、周囲で韓国語を習う人が増え、
あっという間に私より上達していくのを見て、
なんか熱が冷めちゃったというか(^^;>
尹 東柱「序詩」を知って感動したな。
「死ぬ日まで天を仰ぎ
一点の恥ずべきなきを
草葉にそよぐ風にも
私は苦しんだ。
星をうたう心もて
すべての死にゆくものを愛さねば
そして 私に与えられた道を
歩まねばならないだろう
今夜も 星は風にふれている」
別冊宝島42「10日間のハングル」より
チュンヌン ナルカジ ハヌル ウロロ‥‥
韓国にホームステイ(っても2泊くらい?)に行った時、
この詩を暗唱したら、すごく喜んでもらった。
茨木のり子やユン・ドンジュの資料も展示されていて、
尹東柱の詩集「空と風と星と詩」の
表紙(リー・ジョン作の版画)を模写して、
オマージュの意味で星を描き入れた絵と、
茨木のり子が9歳の時に作った初めての絵本に収録された
折り紙のコラージュを同じように制作し、星(あるいは雪)を
表現した絵が展示されていました。
「私は幼い頃から絵を描いたことがない。写真家の私にとって、今回の絵画の展示は、最初で最後の展示となる可能性が非常に高い。恥ずかしい腕前だが、この2人の詩人への愛情と尊敬の念を込めて、一生懸命描いた。」(絵の下に書かれていた文章)
なんかいろいろ考えさせられる作品で良かった。
旧上田家具店の店先に、額田郡幸田町のヴィーガンレストラン
「monologue」のコーヒースタンドが出店されてます。
見た目も美しいケーキもあって、
コーヒーと、フルーツタルトを 1,274円(税込)
コップの蓋も紙でできています。
岡本健児さんの展示空間内のテーブルで
いただくことができました。
さて、旧上田家具店を出て、尚古荘不言庵へ向かいます。
あ、こちらのお店のウインドウにも
茨木のり子の詩が貼られている。
わー、ユニークな建物! 歯科医院らしい。
緑色の二階建てバス
立派な古いお家!
「西尾城三之丸新門跡」にあるのが、
抹茶ラボ 西尾伝想茶屋店
西尾の名産・抹茶を使ったスイーツが楽しめるお店
ってことで、心ひかれたけど、今コーヒーとケーキを
食べたところなので‥‥その隣にあるのが
会場の一つである「尚古荘不言庵」
長くなりましたので、とりあえずここまででアップします。
‥‥こんな調子でブログ記事書いていったら、
この一日のこと、いつになったら完成するのか? なんだけどー
この「なめらかでないしぐさ」11月5日(日)までですが、
観覧無料なのに、とても良かった! 行ける方は是非!
なめらかでないしぐさ 現代美術in西尾:
https://aichitriennale.jp/aichi-art/
「国際芸術祭地域展開事業
なめらかでないしぐさ
現代美術 in 西尾」が開催されています。
名古屋市美術館「福田美蘭―美術って、なに?」
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2023-10-16
を見に、名鉄電車に乗った時、
中吊り広告でこのイベントを知りました。
でもその時は、メインビジュアルに使われている
神農理恵さんの作品が、切り紙細工とか、
デジタルで加工した写真のようにも見えて、
えー、なにこれ?? みたいなカンジだったんです。
でもそれからツイッター(いまだにXって名称に馴染めない)や
インスタで、フォローしている方々が、
この芸術祭(って言っていい?)のことをアップされてるのを見て、
なんか面白そう‥‥って。
「国際芸術祭地域展開事業」とは、
国際芸術祭(あいちトリエンナーレ)の開催成果を県内各地に広め、
文化芸術への関心を高めてもらい、次回の国際芸術祭の
開催気運の醸成を図るために、
2020年度は大府で「境界のかたち 現代美術 in 大府」
2018年度は豊田で「Windshield Time - わたしのフロントガラスから 現代美術 in 豊田」
2017年度は一宮で「織り目の在りか 現代美術展 in 一宮」
2015年度は春日井で「となりの人びと 現代美術展 in 春日井」
2014年度は豊川で「豊穣なるもの 現代美術展 in 豊川」
2012年度は岡崎で「岡崎 ART & JAZZ」
2011年度は豊橋で「現代美術展 in とよはし」
と、開催されてきたのだそう(知らなかった!)
今回の「なめらかでないしぐさ」というタイトルは、
幡豆郡西尾町(現・西尾市)で少女時代を過ごした作家・茨木のり子の「汲む」という詩に、「なめらかでないしぐさ」というフレーズが登場します。(チラシ中面の文章)
からつけられていて、開催概要として、
日々の暮らしに追われるあまり、じっくりと考えることをやめてしまったり、見てみぬふりをしてしまったりしがちな出来事に対し、アーティストたちはそれぞれの感受性で目を留め、作品を生み出します。そのやり方は、必ずしも周囲に波風を立てないなめらかなものばかりとは限りません。しかし、身の回りのさまざまな物事をオトナな態度でやり過ごさない、そのなめらかでないしぐさが私たちの心に立てる美しいさざなみこそが、ときに明日を生きる原動力にもなり得るでしょう。
本展では、国内外で活躍するアーティストたちが、地域にまつわる様々な文化や伝承などにも触れながら、西尾駅周辺の文化施設やまちなかの会場に作品を展開します。
西尾市は今まで行ったことがありませんでした。
調べてみると、我が家から名鉄電車を利用して約2時間。
結構遠いけど、西尾市は抹茶生産で全国有数の産地で、
抹茶のスイーツもいろいろあることを聞いていて、
行ってみたいと思ってたんです。
あいちトリエンナーレで、街を歩きながら
アートを鑑賞する楽しさってのに目覚めたというか、
この機会に西尾の街も観光してみようと。
私にしては朝早い8時前に家を出ました。
2回の乗換で行けるので(時間はかかるけど)わりと便利。
名鉄西尾線「西尾駅」に着いたのが10時。
駅前の街の案内看板「三河の小京都・西尾」
「西尾市は六万石城下町として発展した都市で茶文化など京都とも関りが深く 平成七年に全国京都会議に加盟しました 文化の薫る散策路を歩いてみて下さい」と
チラシ中面の地図を見て(チラシはこの日、名鉄の乗換駅の新安城で
手に入れたけど、それまではウエブサイトからダウンロードしてた)
なめらかでないしぐさ 現代美術in西尾
https://aichitriennale.jp/aichi-art/
まずは尚古荘不言庵かな、と歩き始めたんだけど、
なんか面白そうなイベントやってるって横道に逸れ、
で、大通り(中央通り)に出たら、え?! この人形なに(^▽^)
「高砂町商店街へようこそ!!」と
銀行のウインドウに、ポスターと
茨木のり子の詩「倚りかからず」が掲示されてます。
茨木のり子「自分の感受性くらい」
茨木のり子「わたしが一番きれいだったとき」
ちょっとモダンで面白いなって建物。床屋さんの
ウインドウに顔(誰?)が書いてある(^^)
吾妻町商店街の人形は獅子舞?
幸町商店街 背中にしょっているのはお好み焼きのコテ?
「本町商店街へようこそ」と。
芸術祭の会場のひとつ 西尾山 康全寺
本堂
こちらのお堂に作品があります
大東忍 Daito Shinobu 1993年 愛知県出身
《かつての騒ぎと今日の踊り》2023年
わっ!! これはすごい! すごくいい!!
堂内のたくさんの襖に絵が描かれています。
木炭で描かれたモノクロームの夜の景色
どこか懐かしいような‥‥
「日本中のどこにでもありそうな住宅地の静まり返った夜。ひとり、またひとりと去ってしまった限界集落の夜。祭りが終わり、その余韻すらもすでに消えて静まり返った広場の夜。ただ生活の気配だけがかすかに漂っている、そんな抜け殻のような景色を舞台に、」
ウェブサイトの文章より
https://aichitriennale.jp/aichi-art/artists/daito-shinobu.html
「月明かりや街灯をスポットライトにして、黒い人影が黙々と踊り続けています。」
大東忍さん、2019年のアーツ・チャレンジに
出品してらした作家さんだ!
アーツ・チャレンジ2019
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2019-03-03
大東忍さんは全国の盆踊りを訪ねていくうちに、
「その秩序と混乱の狭間にある状態に、強く惹かれるようになりました。」
隣の座敷で、大東忍さんの画集や、
盆踊りのレポート(?)を読むことができました。
康全寺の閻魔堂を覗くと、閻魔王はじめ
仏(?)様の像が。格子の隙間から写真撮らせてもらいました。
本町通りの街灯 雲一つない秋晴れ。
ハロウィンも近い。
会場の一つ 旧上田家具店
岡本健児 Okamoto Kenji 1980年 愛知県出身
無数の点が集まって、キラキラしているような大きな絵
この場所にあってきれいだけど、何を描こうとしたのか?
「特別支援学校での造形あそびや美術の指導の経験を通じて、岡本は絵を描くという行為を「描きたいもの」や「描く技術」ありきで考えるのではなく、画材に使えそうな色々なものと、それを握って画面に擦り付ける人の動きの組み合わせとして捉えるようになりました。」
そうか、無心に点を打っていくのって、
なんか楽しくなってきますよね。
この流し台の前にある綿花から糸を紡いで、
キャンバスを織り、それに土や貝殻を砕いた顔料で
描くってのも《絵を描く》って作品なんだ
「799(延暦18)年、天竺(インド)から現在の西尾市に小舟で漂着した一人の若者が携えていた綿の種。それこそが、日本への綿の伝来だとされています(『日本後紀』)。綿の祖を祀るここ西尾の地で、岡本の絵は自らの成り立ちを丁寧に手繰り寄せながら、より確かな手触りを帯びていくのです。」
https://aichitriennale.jp/aichi-art/artists/okamoto-kenji.html より
旧上田家具店の奥にあったのは、
キ・スルギ Ki Seulki 1983年 ソウル(韓国)出身
茨木のり子の詩「わたしが一番きれいだったとき」が、
鏡に一行おきに鏡文字で書かれています。
《彼女たちが一番きれいだったとき》
ヘッドホンからは、二人の女性が英語で朗読する声が聞こえます。
現在のモスクワとキーウに暮らす女性とのこと。
それを知って聞くと、戦時下の青春をうたった茨木の詩が、
現在のロシアやウクライナの状況と重なって聞こえます。
「街々はがらがら崩れていって
とんでもないところから
青空なんかが見えたりした」
「まわりの人達が沢山死んだ」
「男たちは挙手の礼しか知らなくて
きれいな眼差しだけを残し皆発っていった」
床に映った文字は、鏡の文字とは反転するんですね。
部屋の中央に置かれたテーブルは、
テーブルクロスの上に置かれた茨木のり子の眼鏡と
ティーカップを写した写真をモチーフに制作したとのこと
この写真は、茨木のり子の肖像写真を作家が演じた作品
《なめらかなしぐさをまねる》
こちらは、茨木のり子と、27歳の若さで敗戦直前の日本で獄死した
韓国の国民的詩人ユン・ドンジュが一緒にいるかのような合成写真
《わたしたちが一番きれいだったとき》
「茨木はユンの詩を高く評価していました。二人が一緒にいるかのような合成写真は、もし彼らが出会っていたら交わされたであろう会話についての私たちの想像を掻き立てます。」
https://aichitriennale.jp/aichi-art/artists/ki-seulki.html
茨木のり子は「50歳を超える年齢で韓国語を勉強し始め、 韓国現代詩人たちとの交流を深め、日本国内でユン・ドンジュの詩と その生涯を広く知らしめるのに大きく貢献した人物だ。」
(写真下に書かれたキ・スルギの文章より)
私が昔、韓国語を習っていた頃――冬ソナがブームになる前、
ハングル文字が面白いなーって軽い気持ちで始めたんだけど、
その頃は、なんで韓国語‘なんか’習うの? って言われた。
冬ソナがヒットして、周囲で韓国語を習う人が増え、
あっという間に私より上達していくのを見て、
なんか熱が冷めちゃったというか(^^;>
尹 東柱「序詩」を知って感動したな。
「死ぬ日まで天を仰ぎ
一点の恥ずべきなきを
草葉にそよぐ風にも
私は苦しんだ。
星をうたう心もて
すべての死にゆくものを愛さねば
そして 私に与えられた道を
歩まねばならないだろう
今夜も 星は風にふれている」
別冊宝島42「10日間のハングル」より
チュンヌン ナルカジ ハヌル ウロロ‥‥
韓国にホームステイ(っても2泊くらい?)に行った時、
この詩を暗唱したら、すごく喜んでもらった。
茨木のり子やユン・ドンジュの資料も展示されていて、
尹東柱の詩集「空と風と星と詩」の
表紙(リー・ジョン作の版画)を模写して、
オマージュの意味で星を描き入れた絵と、
茨木のり子が9歳の時に作った初めての絵本に収録された
折り紙のコラージュを同じように制作し、星(あるいは雪)を
表現した絵が展示されていました。
「私は幼い頃から絵を描いたことがない。写真家の私にとって、今回の絵画の展示は、最初で最後の展示となる可能性が非常に高い。恥ずかしい腕前だが、この2人の詩人への愛情と尊敬の念を込めて、一生懸命描いた。」(絵の下に書かれていた文章)
なんかいろいろ考えさせられる作品で良かった。
旧上田家具店の店先に、額田郡幸田町のヴィーガンレストラン
「monologue」のコーヒースタンドが出店されてます。
見た目も美しいケーキもあって、
コーヒーと、フルーツタルトを 1,274円(税込)
コップの蓋も紙でできています。
岡本健児さんの展示空間内のテーブルで
いただくことができました。
さて、旧上田家具店を出て、尚古荘不言庵へ向かいます。
あ、こちらのお店のウインドウにも
茨木のり子の詩が貼られている。
わー、ユニークな建物! 歯科医院らしい。
緑色の二階建てバス
立派な古いお家!
「西尾城三之丸新門跡」にあるのが、
抹茶ラボ 西尾伝想茶屋店
西尾の名産・抹茶を使ったスイーツが楽しめるお店
ってことで、心ひかれたけど、今コーヒーとケーキを
食べたところなので‥‥その隣にあるのが
会場の一つである「尚古荘不言庵」
長くなりましたので、とりあえずここまででアップします。
‥‥こんな調子でブログ記事書いていったら、
この一日のこと、いつになったら完成するのか? なんだけどー
この「なめらかでないしぐさ」11月5日(日)までですが、
観覧無料なのに、とても良かった! 行ける方は是非!
なめらかでないしぐさ 現代美術in西尾:
https://aichitriennale.jp/aichi-art/
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