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ヤマザキマザック美術館「フランスの美しい風景」展 [美術]

5月21日(火)、愛知県美術館「プーシキン美術館展」の後で、
ヤマザキマザック美術館へ行きました。

ヤマザキマザック美術館は私の大好きな美術館なのですが、
愛知県美術館「プーシキン美術館展 フランス絵画300年」を見て、
あっ、この後是非ヤマザキマザック美術館へ行かなくては!って。

「ヤマザキマザック美術館は、ヴァトー、ブーシェ、フラゴナール、シャルダンといったフランスのオールドマスターをはじめとするロココの時代から‥‥(中略)‥‥18世紀から20世紀に至るフランス美術300年の流れが一望できるコレクションで構成されています。」(チラシ裏面の説明より)ってあるように、プーシキン美術館展と似てます。

何より私が大好きなのは、どこかの宮殿の一室かと思えるような
天井のシャンデリア、海外から輸入したという壁紙(絵に合わせて深い赤から黄色、
青の部屋へと変わるところも好き!)の優雅な空間で絵を楽しむことができるところ。

美術館が開館してから、1年ごとに企画展が開催される度に行っているのですが、
今年も開館3周年記念展として
「フランスの美しい風景
 ロココからバルビゾン派、印象派へ」
が、4月27日(土)~7月15日(月・祝)に開催されるので、
愛知県美術館の後に行こうかなって思ってたのが、是非行かなきゃって、
ヤマザキマザック美術館は愛知県美術館から東へ徒歩約10分で行けます。
yamazakimazak-1.jpg

1階で入館料1,200円を払って、ここは無料でイヤホンガイドを貸してくれるので借り、
エレベータで5階へ。いつもならナビ派やエコール・ド・パリなどの絵が展示してある
青い壁紙の部屋と、印象派の黄色い壁紙の部屋が企画展のコーナーになっています。

最初にヤマザキマザック美術館所蔵の
ブーシェ《恋文(羊飼いの女性)》や
ヴァトー《夏の木陰》などロココの絵が展示されていますが、
この時代には風景を主題とした絵はなく、あくまで人物の背景として、
理想化された風景が描かれていたと。

パリ近郊フォンテーヌブローの森の北西にあるバルビゾン村に集い、 見たままの自然を描こうとするバルビゾン派の画家たちは、 のどかな田園風景や素朴な農民の姿を生き生きと描き出しました。(チラシ裏面の説明より)

「バルビゾンの七星」と呼ばれる画家が
ジャン=バティスト・カミーユ・コロー、
ジャン=フランソワ・ミレー、
ナルシス=ヴィルジル・ディアズ・ド・ラ・ペーニャ、
コンスタン・トロワイヨン、
ジュール・デュプレ、
テオドール・ルソー、
シャルル=フランソワ・ドービニー

チラシ表面に使われているのは
ミレー《鵞鳥番の少女》1866-67年 東京富士美術館蔵
油彩画ですが、なんかあっさりとして、日本人の感性に合うなって。
日本人が描いた絵みたいって見たんですが、逆で、
バルビゾン派から影響を受けた日本人画家が多かったんでしょうね。

そして、戸外でスケッチした自然風景をありのままに描き表すバルビゾン派の 制作態度は、ギュスターヴ・クールベの写実主義やクロード・モネ、カミーユ・ピサロ、 アルフレッド、シスレーら印象派の戸外制作と光あふれる明るい画面に大きな影響を与えました。

暗く落ち着いたバルビゾン派の絵に対して、
印象派になるとすごく画面が明るくなるんですよね。

うんうん、こうやって比べると印象派の明るい風景画いいなって。
バルビゾン派の絵ってなんか「古色蒼然」って雰囲気で‥‥
バルビゾン派の絵の中では、「バルビゾンの七星」には入っていないけど、
羊を描いたシャルル=エミール・ジャックの絵がよかったなー。
(あ、ミレーの《鵞鳥番の少女》は別格です)

あと版画も多く展示されていました。「ガラス版画」っての初めて知りました。
印画紙に感光させるという方法で作られているそう。
ちょっとボケたような線が独特の雰囲気です。

フランスの風景画の変遷がよくわかる企画展でした。
yamazakimazak-2.jpg
チラシ裏面(クリックで拡大します)

企画展コーナーを終えて、入口に戻り、常設のロココの部屋へ。

「プーシキン美術館展」で、あっ、これはヤマザキマザックにある絵の少女!って思った
ジャン=バティスト・グルーズ《少女の頭部像》は、今
「夏目漱石の美術世界展」に貸し出されて展示されてませんでしたが、
《犬と遊ぶ子供》は展示されていました。
子供と犬の可愛らしさがたまりません。当時人気だったんだろうなって。

そして私の大好きなフランソワ・ブーシェ《アウロラとケファロス》
ルイ15世の寵愛を受けたポンパドゥール夫人の旧蔵品だったというこの大きな絵を
当時のサロンを彷彿とさせる部屋で、ほぼ独り占め状態で鑑賞できる贅沢さ!

ユベール・ロベール《メレビル庭園の眺め》
ここへ来る度に見ている大きな絵ですが、実は画家のことまで覚えてなかったです。
イヤホンガイドで「廃墟のロベール」と呼ばれましたという説明を聞いて、
えっ!?プーシキン美術館展の《ピラミッドと神殿》の人?って。
ここに描かれた風景は自然の風景ではなく、
ユベール・ロベールがデザインした庭園で、
それまでの左右対称に整然と整備されたフランス式庭園ではなく、
自然の有り様を有効に利用する英国式庭園として作られたとのこと。
(昨年の春に国立西洋美術館で「ユベール・ロベール―時間の庭」って展覧会があって、
 この絵も貸し出されたようですね。)

「プーシキン美術館展」と共通の画家の絵を比べてみたりするのも興味深いです。
私、後で気がついたので、今回ここに展示されていたかどうかわからないのですが、
ヤマザキマザック美術館所蔵のニコラ・ランクレ《からかい》って絵と
プーシキン美術館展に出品されていたニコラ・ランクレ《けちな女の愛人は詐欺師》
(この絵はあまり心に響くものがなくてかなりスッとばして見てたのですが)
あっ、この二つの絵は同じ画家なんだって。雰囲気が似てるなって。
なんかちょっと軽薄っぽいところ(笑) 背景が森と部屋の中ではありますが。
ニコラ・ランクレはロココの雅宴画の画家で、ヴァトーの追随者と見なされてきたが、
ルイ15世時代の上流階級の趣味趣向をより楽しげに鮮やかな色彩で表現をした
風俗画家として近年再評価がすすんでいるとのこと
ヤマザキマザック美術館HPの所蔵作品紹介のページ参照)
‥‥同じ画家だから作品の雰囲気が似てるのは当然でしょ?って言われるかもしれないけど、
ドラクロアの作品は、ヤマザキマザック美術館《シビュラと黄金の小枝》、
プーシキンが《難破して》 ずいぶん違った印象を持ちました。

4階はアール・ヌーボーのガレなどのガラス作品や、家具が展示されていて、
特にナナカマドのモティーフを随所にちりばめた部屋一式がとても素敵です。

ヤマザキマザック美術館の過去記事
ヤマザキマザック美術館http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2011-01-24
ヤマザキマザック美術館「ロココの雅」展http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2011-08-28
ヤマザキマザック美術館「エマイユの煌き」展http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2012-08-09

ヤマザキマザック美術館のHP: http://www.mazak-art.com/
所蔵作品について、詳しい説明や画像もあってとてもいいサイトです。
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