SSブログ

秋葉原無差別殺傷事件と派遣社員

就職活動真っ只中の息子に内定通知が届いた。
色々問題もある息子なので、少し前の就職難の頃と比べて、かなり採用状況が良くなった(特に中部圏においては)と聞いていたが、はたして無事就職できるのか心配していたので、これでやっと子育て終了と喜んだのだが‥‥

どんな会社か聞いてみると、派遣会社だという。
うーーむ。

派遣社員の不安定な境遇、収入、そして、グッドウィルなどの派遣会社の不正事件などを聞くと、親としては、やはり正社員として採用されてほしいと思う。

だいたい、昔は、派遣会社なんてのはなかった。
いつから、どうしてこんなになったのか?

派遣社員という労働者は、1999年の労働者派遣法改正により、それまで一部の職種に限定されていた派遣社員が、一般的な企業現場のほぼすべての職種で受け入れ可能になったそうだ。その結果、1998年に90万人程度だった派遣労働者数は、わずか5年で200万人を越えたとのこと。今はもっと増えているだろう。
先日、名古屋に行くために一年ぶりに電車に乗ったが、車内の広告には派遣会社がやたら多くて、なんとも味気なかった。

なぜ派遣社員という新しい労働者が生まれたのか?
それは、正社員の人件費高騰に苦しむ経済界の要望による。
企業にとって、派遣社員は賞与も社会保険の企業負担分も、退職金の積み立ても必要ない。不要になったらいつでも切れる――なんと便利な存在であることか!

8日におきた、秋葉原無差別殺傷事件、犯人はトヨタ系の自動車工場の派遣社員だという。
彼の犯罪はもちろん許すことはできないし、たまたまそこに居たというだけで殺された7人の無念さは察するに余りあるが、
彼の「どーせおれなんて、中年になっても6畳一間のボロアパートで一人暮らしでしょう」という派遣社員の絶望感には、同情する。

中日新聞に「結いの心(ゆいのこころ)」という連載がある。
ダンナも「中日新聞がよくここまで書いたなー」と感心していたのだが、世界企業となったトヨタの変化と、厳しいコスト削減に悲鳴を上げる下請工場や、派遣社員、外国人労働者などを取材していて、考えさせられた。読者からの反応も多くあるようだ。

こちらの中日新聞のサイトで「結いの心」の記事が読めます:
http://www.chunichi.co.jp/article/feature/yui_no_kokoro/

5月28日に載った記事では、「期間工」と呼ばれる期限付きで雇用される契約社員を取り上げていた。正社員と同じ仕事でも収入は半分とか、契約は6ヵ月ごとで、残り1ヵ月になると「延長は?」とビクビクする。結婚したい相手がいたが、いつ無職になるか分からない身では踏み切れなかった。「将来が見えないから、地域に根付きたくても根付けない。」「結婚もできず、家も買えず、子どももつくれない。いつかこんな社会は終わりがくるんじゃないか」と、「彼はやり場のない憤りを覚える」と結ばれていた。
このような期間工はトヨタの愛知県内12工場で、現場従業員の3割にあたる9,000人に上るそうだ。6ヵ月以上働くと正社員登用試験が受けられるそうだが、なかなか合格しないとのこと。‥‥企業側からすれば、景気の調整弁としても、人件費削減としても、正社員より期間工でいてくれた方がいいに決まっている。だが、当然ながらそんな契約社員では愛社精神みたいなものは育たない。そして、いつ切られるかわからないとなるとローンが組めない、家が買えないとなると、住宅産業は衰退。結婚できない、子どもがつくれないとなると、次代が育たない。結果、彼の言うように「こんな社会は終わりがくる」――今現在の企業の経営数字を上げるためだけに、未来が犠牲になるわけだ。

いくら経営環境が厳しいからと言っても、企業には社会的責任もある。従業員を正社員として雇わないと、技術の継承もできないから、やがてそれは企業の未来を奪うことになるし、社会の未来を奪うことになるだろう。

では、終身雇用が当たり前であった年功序列制度は優れた制度か?

城繁幸『若者はなぜ3年で辞めるのか?』を読んだ。
  副題は「年功序列が奪う日本の未来」
今の日本の社会について、若者の置かれた境遇について、色々考えさせられた。

(感想は、次の記事で)
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

トラックバックの受付は締め切りました