SSブログ

長谷川等伯 [美術]

京都国立博物館「THE ハプスブルク」展を見に行ったことは書きましたが、
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2010-02-24
次の展覧会のチラシが置いてあったんです。
HasegawaTohaku1.jpg
没後400年特別展 長谷川等伯

おおーーーっ!!!
こういう展覧会のチラシって集めるの好きなんですが、
この京都国立博物館の変形のチラシはまた素晴らしい!!
HasegawaTohaku2.jpg
渋い 国宝《松林図屏風(右隻)》の図部分をめくると、
絢爛豪華な数々の絵が現れます。
HasegawaTohaku3.jpg

もう一面は《楓図壁貼付》(部分)こちらも国宝に指定されています。
HasegawaTohaku5.jpg
いかん、行きたくなってしまった。
「たった27日間の超短期展、お見逃しなく!」なんてあると、よけい
心がウズウズと‥‥。京都かぁー。

長谷川等伯といえば、なんといっても《松林図屏風》が有名ですよね。
日本史の教科書にも出てました。日本の水墨画の最高峰というか。
いかにも日本的な、余白の表現が、ワビ・サビの世界というか、
霧立ち込める松林の幽玄な雰囲気が見事に描写されていますよね。

この屏風について、以前NHKの番組(多分、日曜美術館)で取り上げていて、
屏風の紙の継ぎ目がずれていることに注目して、
この作品は襖絵として描かれたものを
屏風に仕立て直したのではないかと言っていた。
shourinzu.jpg
  紙の継ぎ目を合わせてみると、こんなカンジに。
  うん、松の高さなど、こっちの方が自然なような気もする。

襖絵だとすると、部屋がまるごと霧立ち込める松林の中に
入り込んだような空間になるわけで、それは素敵なアイデアだ。
(でも今、Wikipediaを調べたら、そういう説もあるが、
 実際に屏風を立てて観察すると、屏風が奥に折り曲げられている所では樹木は奥に向かい、手前で折られている部分では、松樹は濃墨で描かれ、奥になるほど淡墨になる、といった屏風絵として鑑賞されることを想定しなければ不可能な工夫も凝らされている。
 とのことで、うーーん、それぞれの説にうなづけるところがあるなぁ)

そして、この間、3月7日放送のNHK日曜美術館
「夢の等伯 傑作10選!」として、
長谷川等伯の名作10点を選んで、それぞれの魅力を探っていました。

最初に取り上げられていたのが《萩芒図屏風》
いいですねー!! 当時の狩野派の絢爛豪華さとはちょっと違う、
金地の屏風の右隻に白萩だけを、左隻に芒を描いて、すっきりとしているのに、
装飾性があるし、詩情というか叙情性もあって、すごく素敵!

それから、縦10m、横6mという、超巨大な《仏涅槃図》

若き日の作品でも、技術が抜き出ていたことがわかる《日蓮上人像》
着物の柄まで細かく描かれていてすごいです。

住職に襖に絵を描くことを許されていなかったのに、不在の時に上がりこんで、
描いてしまったという、《山水図襖》
襖の模様を雪に見立てた写実と装飾性の融合がすごい。

そして、猿がとても人間的な《枯木猿猴図》

豪華な《楓図壁貼付》は、秀吉の秀吉の長男、 鶴松の菩提を弔うために
建立された京都の祥雲寺(現在の智積院)に描かれた金碧障壁画。
狩野派の絵かと思うような豪華さですが、巨木の側にケイトウや萩などの
繊細な植物が優美に描かれて、それが一層、命のはかなさのようなものを
感じさせると言っていました。この絵の完成直前に、等伯は
将来を嘱望した息子を失ったそうです。

そして、私がこれは素敵!と思ったのが、《柳橋水車図屏風》
金で描かれた橋の直線と、柔らかな柳の緑や水の表現が、
とてもモダンというか、デザイン的というか。
蒔絵のような工芸品の雰囲気ですね。
当時もこの絵は大人気だったらしく、類似作が、現存するだけでも
20点以上確認されていて、当時の一大ヒット商品であったとのこと。、
ライバルである狩野派による《豊国祭礼図》という秀吉の七回忌の祭礼を
描く絵で、祭礼を見物する人物の後ろに見えるのがこの屏風で、
いかに当時流行したかわかる証拠だそうです。

この番組を見て、長谷川等伯が様々なスタイルの絵を描いていることに
ちょっと驚きました。

今まで、《松林図屏風》のイメージが強くて、ワビ・サビ的な
水墨画の絵師かと思っていたんです。
歴史の教科書で見ていた千利休の肖像画も等伯が描いていたんですね。

私が等伯のホンモノを見たのは、犬山の有楽苑の特別公開で、
国宝の茶室「如庵」や旧正伝院書院の中を見せてもらった時に、
長谷川等伯の襖絵だといわれたのですが、名前は知っていて、
すごいとは思ったものの、古びた、枯れた絵という印象で、
あまり良さがわからなかったんですよ。

この番組を見て、ますます長谷川等伯展、行きたくなってしまいました。
今、東京国立博物館で3月22日までやっているんですね。
それから京都国立博物館で、4月10日(土)~5月9日(日)
‥‥うーーん。

「没後400年特別展 長谷川等伯」のサイト
http://www.tohaku400th.jp/

nice!(2)  コメント(4)  トラックバック(0) 
共通テーマ:アート

nice! 2

コメント 4

たまのママ

おぉ~なんてタイムリーな話題でしょう。。
私、昨日夜NHKの番組で見ましたよ~。長谷川等伯の《松林図屏風》
紙の目の流れが違うと言ってました。
私もじっと見てたら、霧かモヤのかかった中に松の木がシャキッと立ってるような気になってきたから不思議でした。
今日も何かのTVで、当時は狩野派が主流だったけれど、頭角を現してきた長谷川等伯が京都御所の絵を描くことを命じられて、それを不服に思った狩野派が反対して、結局それは叶わなかったと言ってました。
出る杭は打たれる・・・(??)いつの時代にも、あるんだなぁって思いました。
by たまのママ (2010-03-14 23:07) 

しーちゃん

たまのママさん、コメントありがとうございます。NHKで等伯の別の番組もやっていたんですね。見たかったです。《松林図屏風》そう言われると、紙の継ぎ目が違っているのはなぜなんだろうと不思議に思いますね。
狩野派に対抗するために、等伯が結構プロデューサー的な活動をしたりしていたこととか、興味深かったです。
by しーちゃん (2010-03-15 23:30) 

mami

しーちゃんさん、ご訪問ありがとうございました。
東京展と京都展ではチラシのデザインが違うんですね!面白いです。
豪華絢爛な等伯展、これだけ揃うのはもうないかも、と言うことなのでぜひぜひご覧下さいね。
by mami (2010-03-16 23:56) 

しーちゃん

mamiさん、nice! & コメントありがとうございます。等伯展に行かれた記事を見て、ますます行きたくなってしまいました。でも、たった27日間ということで、行ける日があるかなぁー。
by しーちゃん (2010-03-17 02:12) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

トラックバックの受付は締め切りました