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愛知県美術館「カンディンスキーと青騎士展」 [美術]

3月23日(水)、愛知県美術館へ
「カンディンスキーと青騎士展」を見に行きました。
Kandinsky.jpg
やっと新しいパートの仕事が決まったので、美術展でも見てくるかと。
実はチラシとか見ても、あんまり見たいとは思わなかったんですよ。
あれ?カンディンスキーって、こんな絵描いてたっけ?って。
Kandinsky2.jpg
抽象絵画の開拓者ということは知識としてありました。
もっと幾何学的な円や線が並んでいるような絵じゃなかったっけ?
チラシ裏の抽象的なカンディンスキーの絵は、色がぐちゃっとしていて、
うーん、こういうのってどうなんだろう?って。

でも、読んでいるブログ「みみずく通信」の記事
カンディンスキーと青騎士展
http://now-and-forever.blog.so-net.ne.jp/2011-01-31
mamiさんが、よかったって書いてらして、この記事を読んで
ちょっと行ってみようかって気になってたんです。

で、結論から言うと、うーん、やっぱり私、
カンディンスキーよくわかりませんって。

でも、ま、なかなか興味深い展覧会でありました。
私、今までカンディンスキーのことも青騎士というグループのことも
よく知らなかったんですよね。そのあたりが丁寧に展示してありました。

この展覧会はミュンヘンのレンバッハハウス美術館の所蔵品ですが、
レンバッハハウス美術館の写真、歴史的な豪華な館で、
カンディンスキーのイメージとあまり合わないんじゃないって思ったんですが、
肖像画家として成功したレンバッハの家だったそうですね。
ビスマルクの肖像画も描き、貴族にもなったフランツ・フォン・レンバッハ
上流階級が肖像画を描いてもらいに連日訪れていたとか。

序章の部屋にはレンバッハが描いたビスマルクの肖像画(1895年)もありました。
ちょっと描きかけのような肖像画でしたが、
ビスマルクの顔はいかにも鉄血宰相ってカンジで、こちらを見据えており、
当時のお金持ちが肖像画を描いてもらいたがったというのがわかります。

こういう絵、上手いなーって思って、カンディンスキーらの絵は、
ふーん、って感じるのは、私の美的感覚は古い?
小学生なんかも、リアルな絵はすごいって言うのに、
抽象画はなんだこれーって反応が多いですよね。
実は私、最近やっとゴッホや印象派の絵、いいじゃないって思えてきたので、
そのうち良さがわかる日が来るかしら?

で、なんでレンバッハハウス美術館にこんなにたくさんの
青騎士グループの絵があるのかってのは、
青騎士のメンバーの一人で、カンディンスキーの恋人でもあった
ガブリエーレ・ミュンター(1877-1962年)が、
戦時中これらの絵を地下室に隠して守り抜き、
1957年、80歳の誕生日にミュンヘン市に寄贈したからだそう。
Munter.jpg
カンディンスキーが描いた写実的なミュンターの肖像画(1905年)や、
《カルミュンツ――絵を描くガブリエーレ・ミュンターⅡ》(1903年)
そして、ミュンターが描いた《風景を描くカンディンスキー》(1903年)
当時の彼らの親しさがわかります。でも宗教上の理由で離婚できなかった
カンディンスキーは、ミュンターと共に旅に出ます。

当時のカンディンスキーの絵はペインティングナイフを使って、
かなり具象を残して描かれており、
《コッヘル――ボートの浮かぶ湖》《コッヘル――シュレードルフ》(1902年)
などは、岐阜の長良川と金華山の風景みたいで、親近感を抱きました。
コッヘル、きっと風光明媚なところなんでしょうね。
行ってみたくなりました(絵の感想として、それはどうなの?)

そういえば、去年秋の岐阜県美術館の企画展
岐阜県美術館「語りかける風景」展
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2010-10-18
カンディンスキーの風景画の小品《サン=クルー公園》が
展示されていて、私、このかなり具象を残した風景画、
気に入ったんですが、この頃の作品だったんでしょうね。

1911年、カンディンスキーの抽象があまりに革新的であったため、
絵の展示を拒否され、反発したカンディンスキーは
マルクやミュンターと共に「青騎士」の活動を始めます。

フランツ・マルク(1880-1916年)については、この展覧会を取材した
NHKの日曜美術館「『青騎士』時代との闘い」(2010年12月放送)
で、初めて知りました。

動物を愛し、動物の絵を描いた画家。色彩に意味を見出そうとして、
馬は男性的な青で、牛は女性的な黄色で描いたりしたとか。
この展覧会では、かなり具象的な《薄明のなかの鹿》(1909年)
牛を黄色や赤、緑で描いた《牛、黄・赤・緑》(1911年)
そして《虎》(1912年)の絵は、画面が直線的な線で分割されて、
色面構成されているけど、虎の顔がキリッとしていてよかった。
Marc.jpg
日曜美術館の放送で、一番印象に残ったのが、
1914年に第一次世界大戦が勃発して、
ロシア人であるカンディンスキーは敵国人としてドイツを脱出、
マルクは召集され、戦場へと送られることになる。
カンディンスキーはマルクの家を訪ね、
「Auf Wiedersehen(アウフヴィーダーゼン・また会おう)」と言う。
戦争は数ヶ月で終わると信じられていたから。
でもマルクは
「Adieu (アデュー・お別れです)」と言う。
「もう二度と会うことはないでしょう。僕にはわかっています」と。
その言葉どおり、二人はこれが最後の別れとなり、マルクは、
1916年戦場で没。36歳。
‥‥こういう話を聞くと、なんかやりきれなくなります。
この展覧会では展示されてなかったですが、
テレビではマルクが戦場で描いた《創造のための集積》という
スケッチを紹介していました。

20世紀初頭、美術の世界に革新をもたらした青騎士のメンバーは、
激動の歴史に翻弄されていったんですね。

ちょっと遅めの時間だったこともあり、鑑賞者も少なめで、
ゆったりした展示スペースで鑑賞できてよかったです。

この「カンディンスキーと青騎士展」
東京の三菱一号館美術館を最初に、
愛知県美術館(2月15日~4月17日)
兵庫県立美術館(4月26日~6月26日)
山口県立美術館 (7月5日~9月4日)
と、4会場を巡回しますが、愛知県美術館のみの展示が4点あるんです。

レンバッハの《犬を抱く肖像》
シュトゥック《ファウヌスたちに聞き耳を立てられている泉のニンフ》
カンディンスキー《夕暮れ》(1903年)と《鏡》(1907年)
このカンディンスキーの2点、木版とリノカットのとても小さな作品なんですが、
私は今回展示されていたカンディンスキーの絵の中で、この2点が一番好きかも。
油彩のコテコテした抽象画は、私にはどうもよくわかりません。
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