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岐阜県美術館「クレパス画名作展」 [美術]

7月12日(金)岐阜県美術館へ「クレパス画名作展」を見に行きました。
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「クレパス」って、サクラクレパスの登録商標なんですってね。
(一般名称は「オイルパステル」とのこと)
「クレヨンとパステルの双方の良さを兼ね備えた描画材料として、1925(大正14)年に日本で誕生しました。」とのこと(チラシ裏面より)
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日本人なら、子供時代に必ず手にしたことのある画材ではないでしょうか?
でもそのためか、なんか「子供の画材」みたいなイメージで、
ちょっと今回の展覧会バカにしてた‥‥って言ったら言いすぎですが、
まぁ後援会員なので企画展にタダで入れるってことでなければ、そんなに
積極的に行かなかったかもしれません。結果から言うと、この展覧会すごく面白かった!

クレパスでここまでの描画ができるのか、さすがプロ!って感心する絵と、
扱いやすいクレパスだから、即興的な面白さが出ているって絵、
やっぱりこの画家はクレパスで描いてもこの画家だわーって絵‥‥

見終わって、私もきっと家のどこかにあるであろうクレパスを
引っ張り出してきて、描いてみたくなってしまいました。

子供さんがいらっしゃったら、一緒に見に行くといいかもしれません。
クレパスでこんな素敵な絵が描けるんだって。

岐阜県美術館、高校生以下は無料ですし、
8月4日(日)までは「やなせたかしと『詩とメルヘン』のなかまたち」展
同時開催されているので、アンパンマンの展示もあります。
「クレパス画名作展」の観覧料が一般当日700円、
「やなせたかし‥‥」展の観覧料も一般当日700円ですが、
両展のセット券は1,000円でお値打ちです。

私は「やなせたかし――」展は会期初日に見たのですが、
(感想はこちら: http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2013-06-29
入口の記念撮影コーナーがグレードアップしてました。
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そして、できれば早めに行くことをお勧めします。この展覧会
「先着ご家族7,000組に全作品を収録した展覧会パンフレットをプレゼント」とのこと。
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やなせたかし展に一緒に行って、クレパス画名作展とのセット券を買った友人が
この、中日新聞7月9日(火)に掲載された広告を見て、

「ちょっと!早く見に行こ!!」って連絡してきました。
なので開催3日目に行きました。7,000組ですから、もちろん展覧会パンフゲットです。
一見、出品目録かと思うのですが、全展示作品158点の画像が収録されているんです。
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これいいですねー! 後から絵と画家の名前を思い出すことができて、
あまり画家の名前知らないので、今はネットがあるので検索すると色々わかって
とてもいいです。
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この広告が効いたのかどうか? 地味な展覧会(?)にもかかわらず、
いつもの岐阜県美術館の入館者数を知っている
(展示室に監視員と私だけってことも珍しくない)者には、
平日なのに意外と人が入ってるーって。

この展覧会、多くが、株式会社サクラクレパスが
1991年に創業70周年記念事業の一環として社屋に設けた
「サクラアートミュージアム」が所蔵する絵と、
笠間日動美術館が所蔵する絵で構成されていますが、入口の5点だけ、
岐阜県美術館所蔵の熊谷守一の作品が展示されています。
(サクラアートミュージアム蔵の熊谷守一の絵も1点ありました)

熊谷守一のクレパス画は、いかにもこの人っていう、子供が描いたような、
天真爛漫の画風に、クレパスっていう画材がすごくマッチしてて、
思わず笑っちゃうくらいにいい!

そして山本鼎(やまもと かなえ 1882-1946)の《江の浦風景》と
チラシ表面にも使われている《西瓜》
山本鼎はそれまでのお手本を写す美術教育でなく、自由に描かせる美術教育を提唱し、
そのために、子供にも扱いやすい画材ということで、クレパスを考案したそう。

今あたりまえだと思っている図工の教育や、子供が描くクレパス画、
これは山本鼎の自由画教育運動からだったんですね。

梅原龍三郎のクレパスでささーっと描いた素描も興味深いですが、

寺内萬治郎(てらうち まんじろう 1890-1964)の《緑衣の婦人像》《裸婦》は、
クレパスでこんな油絵のような重厚な表現ができるんだって驚きます。

難波田龍起(なんばた たつおき 1905-1997)や、
村井正誠(むらい まさなり 1905-1999)
須田剋太(すだ こくた 1906-1990)らの抽象画が並ぶところでは、
時代の雰囲気を感じると共に、クレパスを使っても
この画家たちの表現はこの画家ならではなんだなって。

そんな中でも、チラシにも使われている岡本太郎のクレパス画は、
やっぱり岡本太郎だわーって。

前田常作(まえだ じょうさく 1926-2007)の作品はこの人の世界だけど、
これがクレパスで描かれているの?って。スクラッチ技法かな?

展覧会途中に、クレパスのスクラッチ技法とか、
型紙を使う技法などのパネル展示もあって興味深かったです。

スクラッチ技法――クレパスを重ね塗りして、引っかいて、下の色を出す技法。
あー、そういえば子供の頃やったことがある!
この「クレパスワニス テクニカルコート」を使うと、
スクラッチで下の色が鮮やかに出るそう。
重ね塗りする時に下の色が混ざらない効果もあると。


柴田米三(しばた よねぞう 1926-2006 )《実り讃歌》
さくらんぼを頭に飾った少女の絵。ちょっと少女趣味っぽくはあるけど、
印象的でした。

佐々木豊(ささき ゆたか 1935- )チラシ裏面左下の《アトリエにて》
クレパスを盛り上げたような絵の質感とクレパスならではの鮮やかな色が
とてもいいカンジ。

そして、森本草介(もりもと そうすけ 1937- )の《ぶどう》は、
えっ!?クレパスでここまで繊細で写実的な絵が描けるの?!!!って衝撃的でした。

松井ヨシアキ(まつい よしあき 1947- )《モンパルナスのCafe》は、
クレパスならではのメルヘンチックな表現がいいなって。

歳嶋洋一郎(としじま よういちろう 1952- )《ブーゲンビリアの小路》
即興的に描いたあっさりとした味わいがいい雰囲気。

田伏勉(たぶし べん 1949- )の風景画は、クレパスで油絵に負けない
風景画が描けるんだなーって。

畑中義延(はたなか よしのぶ 1953- )の《ブルゴーニュ風景》も、
印象派の油絵のような画面にクレパスを見直してしまいました。
《木槿の花》も良かった。

油絵を今から描こうとは思わないけど、クレパスでここまでの絵が描けるのなら、
(ま、それは結局ウデなんですけど)ちょっとやってみたいって思った展覧会でした。

岐阜県美術館のHP: http://www.kenbi.pref.gifu.lg.jp/
株式会社サクラクレパスのHP: http://www.craypas.com/
笠間日動美術館のHP: http://www.nichido-museum.or.jp/

専門家向けのクレパス85色!
子供のクレパスを引っ張り出してきてもいいけど、こんなの持ってたら、
名画が描けそうな気分になります(ウデなんですってば!)
角型なので、細い線も描けます。


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