あいちトリエンナーレ2013 (1) 愛知芸術文化センター その1 [美術]
9月1日(日)、あいちトリエンナーレ2013に行きました。
3年に一度開催されるトリエンナーレ。
2010年に開催されて今回が第2回目となります。
この間に、日本では東日本大震災と原発事故という、
第一回の時には想像もしなかったようなことが起こってしまいました。
なので(?)、テーマも
「揺れる大地―われわれはどこに立っているのか:場所、記憶、そして復活」
前回はピンクの矢印で、都市をあげての文化祭ってノリで楽しかったけど、
今回はブルーの矢印をなにやら複雑なラインが囲んでいるマーク‥‥
私も、三年前は今ほど美術展を見て回ってなくて、トリエンナーレも
お金払ってまで見るか迷ったんですが、たまたま名古屋に行ったので
見たら、すごくハマりました。
今回は愛知県美術館の友の会に入会してフリーパスが送られてきてたし、
開催前から楽しみにしていたんです。
もう、伏見地下街の打開連合設計事務所の作品はできたってんで見てきちゃってますし、
あいちトリエンナーレ展示第一号「昭和時代階段」 http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2013-06-02
ツイッターでいろんな情報も流れてきてましたし。
でも開会の8月10日(土)あたりからしばらくはパートが忙しいのと、
ものすごく暑かったのと、他の展覧会先に行ったりしてたので‥‥
やっと9月1日(日)に行くことができました。
まず、愛知芸術文化センター(愛知県美術館)を見ようと、
オアシス21からの連絡通路を通っていくと、
地下2階の吹き抜けにドーンと立っているのが、
ヤノベケンジ《サン・チャイルド》
あいちトリエンナーレのメインビジュアルにも使われていますね。
(チラシの写真とは持っている太陽の形が違いますが)
かつて《アトムスーツ》という黄色い防護服を着て、
チェルノブイリを訪問したヤノベケンジ
まさか、日本で防護服が必要となる日が来るなんて、
想像もしなかったですね。
防護ヘルメットを脱いで、空を見上げる少年は希望の象徴だとか。
日曜だったせいか、多くの人が写真を撮っていました。
(ここはチケット無しでも入れます)
10階の愛知県美術館の展示室へ、フリーパスを提示して入ります。
最初の部屋が、ソン・ドン《貧者の知恵:借地権》
古びた(風情がある?)鏡や窓ガラスや机や壊れた棚などが
再構成されています。これだけの規模で並んでいると迫力ですし、
私はこういったレトロな雰囲気のモノ好きです。
作者の母への思いを書いた文章がありましたが、
「無駄にしない(Waste Not)」って、日本の「もったいない」にも通じる
思想(価値観)ですよね。「勤勉と倹約は中国人の美徳となりました」って
ありましたが、かつての日本も同じ価値観を持っていたし、なにより私が
古いモノを捨てることができない性格なので、すごくよくわかります。
高さの違う机が並んでいて、上を橋のように渡っていけたりするのも面白かった。
踏みそうなくらいに鏡が置いてあるのも――「鏡を上向きに置いてはいけない」
って言われてたことも思い出したけど――面白いなって。
こんなレトロなモノに囲まれてお茶してみたい――喫茶店文化の盛んなこのあたりでは
古民家カフェも人気で、こういう雰囲気のカフェもありそうだけど。
次の部屋が、コーネリア・パーカー《無限カノン》
平べったくつぶされた金管楽器が吊るされ、光が当てられていて、
白い壁に投影されたシルエットが美しい。
自分たちの影と重ねて楽しんでいる人たちもいました。
次の部屋の、岡本信治郎《ころがるさくら・東京大空襲》
‥‥へー、岡本信治郎さんって1933年生まれなんだ!(もっと若い方かと‥‥)
明るいポップな色彩の中に、ものすごい情報とメッセージがこめられていて
迫力でした。
アーノウト・ミック《段ボールの壁》は、避難所での生活を思わせて‥‥
でも、プライバシーの全くない体育館などでの避難生活のストレスが、
こういった段ボールの仕切りがあるだけで、かなり軽減されると聞きました。
そして、ヤノベケンジの展示スペース《太陽の結婚式》の
《クイーン・マンマ》
イッセイミヤケの新店舗の為に制作された、着衣室の機能を持つ彫刻作品だとか。
‥‥うーん、ヤノベケンジもすごいけど、イッセイミヤケ、すごい!!
実際の結婚式もできるスペース。参列者のための動物の椅子
ノアの箱舟に乗せられた動物たちをイメージしているとか
小さな太陽が降り注ぐ亀型のシャンデリア《ファンタスマゴリア》
豊田市美術館の展覧会で見たことがあるけど、また違った雰囲気。
ピカピカ光る《ウルトラ・サン・チャイルド》
北野武(ビートたけし)デザインのステンドグラスが飾られた教会
次の、いつも挑戦的な作品が展示されている展示室6には、
ハン・フェンのインスタレーション《浮遊する都市》
紙でできたビルが天井からの細い糸で吊られています
ビル群がゆらゆらと揺れる様子は、はかなげで、
都市の危うさ、脆さを表しているようです。
まさに「揺れる大地」
一つ一つのビルは結構ザツな作りなんですが、それがまた味があって、
これだけあると迫力です。
それから米田知子の写真や青野文昭の展示を見て有料スペースを出ると、
ミュージアムショップがまた楽しかった!
ブルーのTシャツやクリアホルダーとか、
「ペンデアオゲール」とかってペンをセットすると団扇のようになるのは
ネーミングがいい!ボールペンが付いたのと付かないのがあった。
そして、ブルーのビンが素敵な、ラムネまで売っていた!
公式ガイドブック買おうかな‥‥と迷ったし、その隣にあった
「あいち建築ガイド」も街歩きが楽しくなりそうで欲しかったけど、
とりあえず今日はガマン。
展望回廊の、ダン・ペルジョヴスキの展示を見ました。
テレビ塔やオアシス21、名古屋の街並みを見下ろす展望回廊のガラス窓に
落書き風に描かれたメッセージ性の強い作品。
いつも見ている街とのコラボ(?)が面白い
‥‥この後、エスカレータで8階の「キッズトリエンナーレ」の部屋を見て、
8階の展示スペースを見に行きましたが、そのことは次の記事にでも‥‥
私は展覧会の感想を書きだすと長くなって時間がかかってしまうんですが、
こうやって書いておかないとスグ忘れちゃうんですよね。
ここまで読んでくださった方がいらっしゃいましたら、
本当にお疲れ様でした。ありがとうございます。
あいちトリエンナーレ公式サイト: http://aichitriennale.jp/
あいちトリエンナーレ2010の感想記事
あいちトリエンナーレ2010:http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2010-10-10
あいちトリエンナーレ2010(その2 長者町会場):http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2010-10-12
あいちトリエンナーレ2010(その3 名古屋市美術館):http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2010-10-21
あいちトリエンナーレ2010(その4 納屋橋会場他):http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2010-10-23
ヤノベケンジの展覧会感想記事
発電所美術館ヤノベケンジ「MYTHOS」展: http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2010-09-25
ヤノベケンジ―ウルトラ展/豊田市美術館: http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2009-06-22
3年に一度開催されるトリエンナーレ。
2010年に開催されて今回が第2回目となります。
この間に、日本では東日本大震災と原発事故という、
第一回の時には想像もしなかったようなことが起こってしまいました。
なので(?)、テーマも
「揺れる大地―われわれはどこに立っているのか:場所、記憶、そして復活」
前回はピンクの矢印で、都市をあげての文化祭ってノリで楽しかったけど、
今回はブルーの矢印をなにやら複雑なラインが囲んでいるマーク‥‥
私も、三年前は今ほど美術展を見て回ってなくて、トリエンナーレも
お金払ってまで見るか迷ったんですが、たまたま名古屋に行ったので
見たら、すごくハマりました。
今回は愛知県美術館の友の会に入会してフリーパスが送られてきてたし、
開催前から楽しみにしていたんです。
もう、伏見地下街の打開連合設計事務所の作品はできたってんで見てきちゃってますし、
あいちトリエンナーレ展示第一号「昭和時代階段」 http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2013-06-02
ツイッターでいろんな情報も流れてきてましたし。
でも開会の8月10日(土)あたりからしばらくはパートが忙しいのと、
ものすごく暑かったのと、他の展覧会先に行ったりしてたので‥‥
やっと9月1日(日)に行くことができました。
まず、愛知芸術文化センター(愛知県美術館)を見ようと、
オアシス21からの連絡通路を通っていくと、
地下2階の吹き抜けにドーンと立っているのが、
ヤノベケンジ《サン・チャイルド》
あいちトリエンナーレのメインビジュアルにも使われていますね。
(チラシの写真とは持っている太陽の形が違いますが)
かつて《アトムスーツ》という黄色い防護服を着て、
チェルノブイリを訪問したヤノベケンジ
まさか、日本で防護服が必要となる日が来るなんて、
想像もしなかったですね。
防護ヘルメットを脱いで、空を見上げる少年は希望の象徴だとか。
日曜だったせいか、多くの人が写真を撮っていました。
(ここはチケット無しでも入れます)
10階の愛知県美術館の展示室へ、フリーパスを提示して入ります。
最初の部屋が、ソン・ドン《貧者の知恵:借地権》
古びた(風情がある?)鏡や窓ガラスや机や壊れた棚などが
再構成されています。これだけの規模で並んでいると迫力ですし、
私はこういったレトロな雰囲気のモノ好きです。
作者の母への思いを書いた文章がありましたが、
「無駄にしない(Waste Not)」って、日本の「もったいない」にも通じる
思想(価値観)ですよね。「勤勉と倹約は中国人の美徳となりました」って
ありましたが、かつての日本も同じ価値観を持っていたし、なにより私が
古いモノを捨てることができない性格なので、すごくよくわかります。
高さの違う机が並んでいて、上を橋のように渡っていけたりするのも面白かった。
踏みそうなくらいに鏡が置いてあるのも――「鏡を上向きに置いてはいけない」
って言われてたことも思い出したけど――面白いなって。
こんなレトロなモノに囲まれてお茶してみたい――喫茶店文化の盛んなこのあたりでは
古民家カフェも人気で、こういう雰囲気のカフェもありそうだけど。
次の部屋が、コーネリア・パーカー《無限カノン》
平べったくつぶされた金管楽器が吊るされ、光が当てられていて、
白い壁に投影されたシルエットが美しい。
自分たちの影と重ねて楽しんでいる人たちもいました。
次の部屋の、岡本信治郎《ころがるさくら・東京大空襲》
‥‥へー、岡本信治郎さんって1933年生まれなんだ!(もっと若い方かと‥‥)
明るいポップな色彩の中に、ものすごい情報とメッセージがこめられていて
迫力でした。
アーノウト・ミック《段ボールの壁》は、避難所での生活を思わせて‥‥
でも、プライバシーの全くない体育館などでの避難生活のストレスが、
こういった段ボールの仕切りがあるだけで、かなり軽減されると聞きました。
そして、ヤノベケンジの展示スペース《太陽の結婚式》の
《クイーン・マンマ》
イッセイミヤケの新店舗の為に制作された、着衣室の機能を持つ彫刻作品だとか。
‥‥うーん、ヤノベケンジもすごいけど、イッセイミヤケ、すごい!!
実際の結婚式もできるスペース。参列者のための動物の椅子
ノアの箱舟に乗せられた動物たちをイメージしているとか
小さな太陽が降り注ぐ亀型のシャンデリア《ファンタスマゴリア》
豊田市美術館の展覧会で見たことがあるけど、また違った雰囲気。
ピカピカ光る《ウルトラ・サン・チャイルド》
北野武(ビートたけし)デザインのステンドグラスが飾られた教会
次の、いつも挑戦的な作品が展示されている展示室6には、
ハン・フェンのインスタレーション《浮遊する都市》
紙でできたビルが天井からの細い糸で吊られています
ビル群がゆらゆらと揺れる様子は、はかなげで、
都市の危うさ、脆さを表しているようです。
まさに「揺れる大地」
一つ一つのビルは結構ザツな作りなんですが、それがまた味があって、
これだけあると迫力です。
それから米田知子の写真や青野文昭の展示を見て有料スペースを出ると、
ミュージアムショップがまた楽しかった!
ブルーのTシャツやクリアホルダーとか、
「ペンデアオゲール」とかってペンをセットすると団扇のようになるのは
ネーミングがいい!ボールペンが付いたのと付かないのがあった。
そして、ブルーのビンが素敵な、ラムネまで売っていた!
公式ガイドブック買おうかな‥‥と迷ったし、その隣にあった
「あいち建築ガイド」も街歩きが楽しくなりそうで欲しかったけど、
とりあえず今日はガマン。
展望回廊の、ダン・ペルジョヴスキの展示を見ました。
テレビ塔やオアシス21、名古屋の街並みを見下ろす展望回廊のガラス窓に
落書き風に描かれたメッセージ性の強い作品。
いつも見ている街とのコラボ(?)が面白い
‥‥この後、エスカレータで8階の「キッズトリエンナーレ」の部屋を見て、
8階の展示スペースを見に行きましたが、そのことは次の記事にでも‥‥
私は展覧会の感想を書きだすと長くなって時間がかかってしまうんですが、
こうやって書いておかないとスグ忘れちゃうんですよね。
ここまで読んでくださった方がいらっしゃいましたら、
本当にお疲れ様でした。ありがとうございます。
あいちトリエンナーレ公式サイト: http://aichitriennale.jp/
あいちトリエンナーレ2010の感想記事
あいちトリエンナーレ2010:http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2010-10-10
あいちトリエンナーレ2010(その2 長者町会場):http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2010-10-12
あいちトリエンナーレ2010(その3 名古屋市美術館):http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2010-10-21
あいちトリエンナーレ2010(その4 納屋橋会場他):http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2010-10-23
ヤノベケンジの展覧会感想記事
発電所美術館ヤノベケンジ「MYTHOS」展: http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2010-09-25
ヤノベケンジ―ウルトラ展/豊田市美術館: http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2009-06-22
初めまして。
トリエンナーレの検索でおじゃましました。
先行チケを購入し、まだ行っていませんが楽しみです。
3年前も楽しみました~☆
よろしければおしえていただきたいのですが、
芸術文化センターで靴を脱ぐ作品はありましたか?
3年前は多かったですよね。
by さくらに甘雨 (2013-09-04 18:31)
さくらに甘雨 さん、コメントありがとうございます。3年前のトリエンナーレ、「現代美術かーチケット買ってまで見るかどうしようか」なんて思いながら見たら、なんかよくわからないけど楽しかったので、今回も楽しみにしていました。まだ芸術文化センターしか見てませんが、靴を脱ぐ作品は、予約制の石上純也の部屋くらいだったように思います(この日の予約はいっぱいだったので私は見てませんが)
by しーちゃん (2013-09-05 11:26)
ご丁寧なお返事ありがとうございます。
とても参考になりました♪
そうなんですよね!現代美術てなかなか…
理解しづらいというか、正解が見えないというか(笑)
私も3年前、予想以上に楽しめたので今回も。
しーちゃんさんは愛知の方でしょうか。
私は岡崎なんです。
こっちもトリエンナーレ会場なんですけどまだ行ってません。
アート好きです♪(知識は全くナイですが)
先月は兵庫県立美術館でクラークコレクション見てきました☆
またおじゃまさせてくださいね。
by さくらに甘雨 (2013-09-05 19:06)
さくらに甘雨 さん、岡崎の方ですか!今回のトリエンナーレの会場になってますね。私は岐阜(各務原)ですが、岡崎って行ったことないかも‥‥トリエンナーレを見がてら行かなくてはと楽しみです。
私は兵庫県立美術館、去年、バーン・ジョーンズ展で行きました。大きな美術館で、目当ての展覧会以外でもいろいろ楽しめてよかったです。
by しーちゃん (2013-09-06 14:27)