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愛知県美術館「あなたのリアル、わたしのリアル。」展 [美術]

7月6日(日)、愛知県美術館へ行きました。

real-1.jpg

「あなたのリアル、わたしのリアル。
 What is Real? Where is Real?
from the Collection of the Aichi Prefectural Museum of Art」

という展覧会をやっています。

「リアル」という観点で構成した、愛知県美術館の所蔵作品展。
チラシのスーパーリアリズムの玉子の絵を見て、
あぁ、昔―70年代後半?―にこういう絵、流行ったなー
上田薫って画家だったのね、と。
玉子が割れた瞬間の大きな絵とか、インパクトありました。
へー、愛知県美術館何度も行ってるけど、こんな絵もあったとは! と。
あらためて愛知県美術館のコレクションの膨大さに驚きます。
(所蔵作品は8,000点にのぼるとか)

私は愛知県美術館の友の会会員なので、会員証で入れるのですが、
友の会より送られてきた観覧券をあげた友人が行ってきて、
面白い展示だったけど、平日に行ったら、人がいなくてビックリしたと。

私が行ったのは日曜日だったのですが、チケット売り場あたり、
この間のシャガール展とは全く雰囲気が違って閑散と‥‥。
所蔵作品展は人気ないのかなぁ。いい絵あるのにーと思いつつ。

いつもの入り口でなく、少し入ったところが入口になっています。
(展示室1は使われていなかった。)
展示室に入ると、そこそこ鑑賞者もいました。

チラシに使われている上田薫《なま玉子G》やはりこの大きさに驚きますが、

何より、入口近くにあった イ・ファン=クォンの立体《A Wondering Man》
すごーい!!! 面白~い!!! 細く引き伸ばされた体も決してリアルではないのに、
顔がドキッとするほどリアルな雰囲気?で、傘の柄がライトになっているのも、
とにかく、すごく面白い!!!
寄託作品だそう。とにかくインパクトあって面白かった~!!

三尾公三のエアブラシの作品は、あぁ三尾公三ねってカンジだけど、
この立体の近くにあると、引き伸ばされたような体や顔のゆがみ?とか
ちょっと関連っぽく見ちゃったりして。

小松崎邦雄のビートルズを描いた《ゲット・バック》
うーん、これは‥‥あまりにもあっけらかーん(?)と描いちゃったみたいな?
写実のテクニック?とかってのはすごいけど。

稲垣考二《陽光》も、写実的なのはすごい。
女性が映っている鏡が割れて、バックの板が見えて、
ちょっとトリックアート?っぽいようなところまで、
描写力すごいなと。

よく所蔵作品展で見る 高橋由一《不忍池》
西洋の絵画を初めて見た人々は、実物のようなリアルさに驚いたんだろうなと。

岸田劉生《高須光治君之肖像》の他、肖像画が3点並んでいて、
1915年~1920年という近い間に描かれたものだけど、違った雰囲気で興味深かった。
宗教画のような岸田劉生の絵。
河野通勢(こうの みちせい)の肖像画もデューラー風の重厚なもの。
宮脇晴の自画像はそれらより5年もたたないうちに描かれているのに、
なんか若々しいというか。18歳の肖像画なの?すごいねー!

立体ではロダン《歩く人》、ジョージ・シーガル《ロバート&エセル・スカルの肖像》
イヴ・クライン《アルマン》が並んでいた。
ロダンはあまりにリアルで、人体から型を取ったのではないかって疑われたのよね、
シーガルはそれまで彫刻家がやっちゃダメだろうって思われてた
人体の型取りで石膏彫刻を作ったのよね。
イヴ・クラインのこの青一色の彫刻も型取りなのかな?
(この人がちゃんと?彫刻を作るとは思えない)

ちょっとわからなかったのが、写真の杉本博《Henry Ⅷ》
えっ?写真って、リアルなのはわかるけど、これはどうやって撮ったの?
 今、ネットで調べてたら、これはどうやらマダム・タッソーの蝋人形
 ヘンリー8世を、ルネサンス絵画のような照明で、生きているように撮影した
 作品らしい。「杉本博司」で出てきました。

國領經郎(こくりょう つねろう)《風》(チラシ裏面下左)は、
なんか夢の中のような、砂丘を走る黒衣の女たち(何人いるの? 残像なの?)と、
裸体の女が不思議な雰囲気で面白い。
real-2.jpg

そんな夢の中のような世界を描く、シュールレアリスムの代表作家の一人、
ポール・デルヴォーの《こだま(あるいは「街路の神秘」)》
私の好きな作品です。

黄世眞《2(Jealousy)》これも寄託作品だそうだけど、
ド派手な絵で、すごく面白かった!!
華麗なチマチョゴリを着た二人の少女が向き合っています。
頭の上にはバッグやら靴やら、それぞれ派手な装飾品満載の籠をのせています。
バックの本棚にある美しく装丁された本たちや壺に生けられた花や、
とにかくハデハデの装飾が精緻に描かれていて目がチカチカしちゃうほど。
インパクトありますねー!!! なんか韓国のアート? 面白いじゃん!!って。

小林孝亘《Stairs》(チラシ中段右)
たしか「アイチのチカラ!」展でも見たけど、
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2014-02-03
現実を単純化したような風景は、夢の中のような、
懐かしいような気分になります。木漏れ日がいい雰囲気。

やはり「アイチのチカラ!」展で見た、
杉戸洋《The Rainbow Wall》(チラシ裏面中段中)
これはリアルだろうか‥‥とか。
この人の作品、私イマイチ良さがわからないなぁ。

設楽知昭の作品が8点並べられていて、どれもぼんやりした、
夢の中のような世界で、
リアル?って思いはありますが、なかなか雰囲気があって良かった。

そして最後に、さわひらきの映像《Going Places Sitting Down》
部屋の中を飛行機が飛んだり、木馬が動いていたり‥‥
夢の中のようなまったりした雰囲気がいいなと。
(友人はこの部屋でウトウトしてしまったと)

一旦出て、いつもの所蔵作品展の部屋へ。
前室には、舟越保武の彫刻作品が2点。初々しい少女の像です。
そして展示室4には舟越桂の彫刻作品が6点!!

おぉー、メナード美術館の「舟越桂」展、すごく良かったけど、
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2012-09-23
そこで感動した《戦争を見るスフィンクスⅡ》もありますね!
愛知県美術館が所蔵するのは《肩で眠る月》いいですねぇー!
(それ以外の5点は寄託作品)
この隣に《山を包む私》が置かれているのもいいなぁー!!

展示室5は、クリムトの《人生は戦いなり(黄金の騎士)》はじめ20世紀の美術。

後半の、ただ四角形を描いただけ?という、
ジョーゼフ・アルバース《正方形頌》とか、

絵の具を垂らしただけ?という、
モーリス・ルイス《デルタ・ミュー》には慣れた(?)けど、

吉川民仁《対話》(平成25年度新収蔵作品)あたりは、うーん???

若手アーティストを紹介する展示室6のプロジェクト・アーチvol.10は、
丹羽康博「詩としての行為」

展示室のカーペットが剥がされて、中央に積み上げられています。

むき出しの床、白い壁‥‥そんな飾り気のない展示室に、

4つのソファーのうち1つが燃やされています。

小さな石と発泡剤(どちらがどちらか見ただけではわからなかった。
どちらも海で拾ったものだそう)がケースに入て展示されています。

壁に何枚もの紙がピンでとめられていて、二つの数字が書かれています。
ある紙は一組だけ、ある紙はずらずらと。
二つのサイコロをぞろ目が出るまで振ったその組み合わせみたい。

そんなものが展示されています。詩的‥‥?

ロビーには、何も入っていない瓶が並べられていて、
これらの瓶、中で3分間呼吸して密閉したものだそう。
《Three minutes breathing》うーーん。
飾り気のない瓶が並ぶ雰囲気は、詩的といえば詩的だが‥‥。

展示室7 木村定三コレクションは、風外、白隠、仙厓―禅画のユーモア
仙厓義梵の寒山拾得図、ほのぼのして面白かった。

展示室8は、近代の創作版画
谷中安規(たになか やすのり)の版画、単純化したフォルムが素朴で面白いなと。

いつもながら、愛知県美術館の多彩な展示はとても見応えあります。

この「あなたのリアル、わたしのリアル。」展、所蔵作品展なので、
なんと一般当日500円で見られるんですよ! 7月21日(月・祝)まで。

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さくらに甘雨

お久しぶりです♪
ギリギリになってしまったけど今週行く予定なんです~
しーちゃんさんの感想読んで、ますます楽しみになりました!
写実のホキ美術館のような感じではなく、
いろんな意味のリアルなんですかね。
ポール・デルヴォー好きだから楽しみです♪1点だけかな。

みうらじゅんの展覧会行かれたなんて驚きました(笑)
みうらじゅんが関わった番組はつい見てしまいます。
こんなイベント知ってたら行ってみたかったなぁ。
by さくらに甘雨 (2014-07-17 14:32) 

しーちゃん

さくらに甘雨 さん、コメントありがとうございます。愛知県美術館「あなたのリアル、わたしのリアル。」展、会期が短いんですよね。すっごいリアルから、夢の中のリアル?って作品まで、愛知県美術館の所蔵品のスゴさがわかります。ポール・デルヴォーはこの展覧会では1点だけですが、近くのヤマザキマザック美術館で今、
「ポール・デルヴォーとベルギー近代絵画」って企画展やってます。
みうらじゅんの展覧会、とても楽しかったですよー。
by しーちゃん (2014-07-19 13:10) 

さくらに甘雨

やはり空いてました。ほんと数人て感じで。。。
美術展は有名ドコロだとおそろしいほど混むのに、
差が激しいですよね。
舟越桂、とても良かったです。
正面から見据えると、ぞわっと怖いですが(笑)
あの部屋は空気がピリッとしていました。

最後の映像、私も好きです、あの雰囲気。
長すぎないし。
ほど良いテンポで飽きなかったです。
by さくらに甘雨 (2014-07-23 14:36) 

しーちゃん

さくらに甘雨 さん、展覧会行かれたんですね。いい作品が並んでいるのに、空いてましたよね。見る方からすればじっくり見られていいんですけど、もったいないなぁと。
舟越桂の部屋、良かったですね。鑑賞者が少なく、作品たちに囲まれるようにして鑑賞できて、とても贅沢なひと時を過ごしました。
by しーちゃん (2014-07-24 01:36) 

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