豊橋市美術博物館「『描く!』マンガ展」 [マンガ]
5月10日(火)、豊橋市美術博物館へ、
「『描く!』マンガ展」を見に行きました。
近頃は、マンガやアニメ関連の展覧会も増えてきましたね。
人気のあるジブリの展覧会とか‥‥
私はアニメはイマイチ見てないのですが、
恩師のグループ展の帰りに、松坂屋美術館でやっていた
「スタジオジブリ・レイアウト展」を見てきたり、
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2010-05-30
『ラピュタ』や『もののけ姫』の 背景を描いた山本二三の展覧会が
大垣で開催されていたので見ましたし、
大垣市スイトピアセンター「山本ニ三展」
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2013-02-26
そして、大ファンである青池保子の個展が
京都国際マンガミュージアムであるってので見に行きました。
京都国際マンガミュージアム「青池保子原画展」
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2015-01-09
美しいカラー原画がたくさん見られてテンションあがりましたし、
常設展示(?)の「マンガって何?」ってコーナーも興味深かったです。
ということで、マンガ大好きな私、GWに始まったこの展覧会、
(会期: 4月29日(金・祝)~6月5日(日)
子どもたちが来ない平日に行こうって思い、
パートが休みだった5月10日(火)に出かけたのです。ま、私のことですから、
朝イロイロやってて、家を出たのは11時半過ぎ。最寄りの名鉄の駅から、
名鉄岐阜へ。12:18の快速特急で、13:37豊橋着。
豊橋市美術博物館へ行くのは2度目。
2011年7月3日(日)に「カンヴァスに描かれた女性たち」展を
見に行ってます。
豊橋市美術博物館「カンヴァスに描かれた女性たち」展
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2011-07-08
その時のように、豊橋駅前から路面電車に乗りました。
150円という値段も嬉しいけど、マナカが使えるようになっていた!
「豊橋公園前」で降りて、豊橋公園の中にある豊橋市美術博物館へ。
雨の平日のせいなのか、申し訳ない程空いていました。
で、私、豊橋市美術博物館のHPをチェックした時に、
http://www.toyohashi-bihaku.jp/
「アンケート記入でマンガ展割引きします」ってお知らせに気がついて、
HPからアンケートをプリントアウトして、記入し、
会場の受付(チケットは受付で購入します)へ持って行ったので、
一般・大学生600円の観覧料が、100円引きの500円になりました!!
600円でも最近の展覧会にしては安いって思ったのに、500円!!
(小・中・高校生は、300円のところなんと200円になるんですよ!!)
そんな嬉しい観覧料なのに、展示は充実してました!!
さらに驚いたことは、かなりの展示が撮影可!!だったこと。
受付で説明がありましたが、第一章の手塚治虫、石ノ森章太郎、
水野英子、藤子不二雄(A)、赤塚不二夫という漫画界の巨匠の
展示こそ撮影禁止でしたが、
第二章の、さいとう・たかを から撮影可!!!
なのでバチバチ撮影‥‥実は最初のうち、あまりに鑑賞者が少なくて、
ホントに撮影していいのよね、ってちょっとおっかなびっくり‥‥
だけど慣れたらもうバチバチ撮影しちゃいました。
撮影と、展示のマンガ読んでたり(諸星大二郎の短編マンガ全部展示!)で、
2時頃に入ったのに、気付いたらもう閉館の5時近い!!
前回来た時は、2階の所蔵作品展も見たり、豊橋公園内や街を散策したんですが、
そんな余裕はなく、展示室の途中に「マンガ閲覧コーナー」って
展示してある作家のマンガが読めるコーナーもあったんですが、
とても時間が足りませんでした。
写真撮影不可だった第一章ですが、
“マンガの神様”手塚治虫が小学三年生ごろに作り、
クラスで回覧されていたという、鉛筆描きのマンガは興味深い!
「ブラック・ジャック」の「灰色の館」の
コマの枠線とセリフのないページ(チラシ左上)は、
ミルト・グロッスの作品を意識したもので、日本では
「突喊居士」というタイトルで、1937年に「新青年」誌に掲載されたと。
手塚はこの作品を中学時代に読んだ際の記憶を繰り返し語っているそう。
そして、“神様”手塚治虫に対して、“マンガの王様”とも呼ばれた
石ノ森章太郎が、なんと手塚治虫のアシスタントとして、
「鉄腕アトム」のペン入れをした原稿!!!!
所々のコマが切り取られているのは、単行本収録時に切り抜いて
使用されたからだそう。
石ノ森章太郎のデビュー作「二級天使」や、
石ノ森章太郎が主催した肉筆回覧誌『墨汁一滴』の一部(複製)が
読めるようになっていたのも興味深かったです。
そして、私が小学~中学生時代に夢中になった水野英子!!
このブログでも、水野英子の『星のたてごと』
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2009-02-25
『白いトロイカ』
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2009-12-17
短編を収録した単行本『星のファンタジー』について、
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2011-02-06
気を入れて書いています!
水野英子の初期のマンガや、水野英子が石ノ森章太郎・赤塚不二夫と
U・マイアという名で合作(!)した作品が展示されていて
テンション上がりました。
水野英子はかの「トキワ荘」に住んだ唯一の女性マンガ家です。
閉館間際に駆け込んだショップで、
水野英子の自費出版だという「トキワ荘日記」という本を売っていたので、
1,296円というちょっと高めの値段にもかかわらず買ってしまいました。
とても興味深い内容で、特に赤塚不二夫が意外で驚きました。
赤塚不二夫氏のお母様が食事の世話をしてくださったとか、初めて知りました。
「トキワ荘物語」に描かれた、赤塚不二夫(左)と石ノ森章太郎(右)
そんな赤塚不二夫の最初のマンガは、後年のギャグマンガとは全く違ってました。
そしてトキワ荘に住んだ藤子不二雄(A)の「まんが道」
多分にフィクション化されているそう。
これら、マンガの巨匠のお宝原稿に加え、
特攻隊員として戦死した山崎祐則の絵手紙や、
戦前の駄菓子屋で赤本マンガを読む少年たちが写っている写真などの
資料もあって、とても興味深かったです。
そして撮影可の第二章は、
さいとう・たかを の展示から始まっています。
私、手塚治虫のすごさは前からわかっていましたが、この展覧会で、
さいとう・たかを のすごさを再認識しました。
「劇画」や、プロダクションという分業体制による作品制作システムの確立など、
それまで子供のものであったマンガを、「映画的手法」やリアリズムによって、
大人も読むものにしたわけですね。
初期の作品のスタイリッシュなデザインセンス!!
リアルな描写の美しさ! 「無用ノ介」
そして言わずと知れた「ゴルゴ13」の作者 連載開始は1968年!!
各マンガ家に「田中圭一の着眼点!」という解説(?)パネルがあり、
さいとう・たかをのGペンによる描線の抑揚について
人物の輪郭線を太く描き、目、鼻、口については
凹凸の度合いにあわせて線幅を変えていると
え? これってマンガの常識じゃ?って思った私、
この、さいとう。たかを によって定着した描線が、
90年代あたりまでのすべてのマンガのスタンダードとなり、
それまで、ディズニーアニメの影響を受けて、すべて同じ太さで
描いていた手塚治虫までも線のメリハリを使い始めたという説明は
目からウロコでありました。
竹宮惠子の展示
雑誌『COM』の月例新人賞で佳作入選となった
「ここのつの友情」(左ページ)
え?右ページは長谷川法世ではないですか!?
ネームも展示されています。
『COM』1967年7月号に載った「ここのつの友情」(右)と、
『少女コミック』1971年7月25日号/30号の「ここのつの友情」(左)
「ケーコたんのお絵かき教室」
動きと服のシワ、男と女の体つきの違い‥‥そうかー!!
このあたりしっかり読んでおりました。
ケーコたんというと、この絵が浮かぶかな?
「地球(テラ)へ…」劇場アニメ用ポスターイラスト
実はこれは原画ではなく、精巧な複製原画「原画'(ダッシュ)」
原画と見分けがつきません!
“おとめチック”マンガの代表・陸奥A子の展示
私、“おとめチック”はあまり評価していないんですが、
陸奥A子のデビュー作「獅子座うまれのあなたさま」は
新鮮で印象的でした。(今でもスクラップして持っています)
こちらの記事に印象を少し書いています。
『うれし恥ずかしなつかしの少女マンガ』
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2010-03-19
陸奥A子の絵は細く均質な描線で描かれているのが特徴と、
田中圭一の着眼点で指摘されていました。
それが「フワっとした優しい空間」を作りだしていると。
ところどころにコラム的に、「赤本マンガ」「貸本マンガ」など、
マンガ媒体についての展示も興味深かった。
「まんがエリートのためのまんが専門誌」として虫プロ商事から刊行された
『COM』懐かしい!!
マンガ投稿コーナーからは竹宮惠子をはじめ、そうそうたるマンガ家が
巣立っていったんですよね。
順路に従い、別の展示室へ入ると、諸星大二郎の展示
『週刊ヤングジャンプ』1982年9月16日号/39号に掲載された
「妖怪ハンター ヒトニグサ」が、全部読めるようになっていました。
続いて島本和彦
私、2014年の12月に山梨の同級生宅へ遊びに行った時に、
皆で「アオイホノオ」のDVDを見て、まるで自分たちの青春時代って
大盛り上がりしたんです。それからコミックカフェで、
島本和彦の自伝的作品である原作を読みまして、
大げさに、ギャグチックに描かれているけど、
青春特有の煩悶など、懐かしく、甘酸っぱく読みました。
諸星大二郎や星野之宣の名前も出てきますし、
読んでいて、私が一番笑ったのがこのページ
高橋留美子の作品について主人公が語るところ。
あだち充の「ムフ」とか、原秀則の「アハ」とかも面白かった!
島本和彦の愛用のペンなども展示されていました。
次の平野耕太‥‥スミマセン私この方知りませんでした。
流麗な線で描かれた迫力ある絵、すごいです。
別の展示室で、あずまきよひこ の展示。
私「あずまきよひこ」ではピンときませんでしたが、
「よつばと!」はコミックカフェで読んで、
ほのぼのとした日常のマンガ、いいなって思ってたんですが、
実はチラシ表面、ゴルゴ13はすぐわかりましたが、
よつばちゃんだってのは、なかなか気がつかず(^^;)>
あずまきよひこの展示で印象的だったのは、マンガをデジタルで
制作することが普及してきたんだなと。
データ入稿になってきたので、「生原稿」がデータ上で差し替えられて、
コミックスに掲載してあるのと違ってきているとか、
背景と人物が2枚の原稿に描き分けられていたり。
何気なく読んでいるマンガだけど、
構図とか、いろいろ修正して、工夫されているんだなぁと。
次の PEACH-PIT という作家(2人のユニットだそう)知りませんでした。
いかにもデジタルで制作しましたってカンジのカラーですね。
とても時間が足りなかったのですが、展示されているマンガ家の作品を
読めるコーナーもありました。
ガラスケースに展示してあったアニメのパロディ誌
懐かしいなぁ! 友人が夢中になってたっけ。
「オタク」なんて言葉もこの頃からですよね。
わー!! マンガ技法書が並んでいます。
私、左から2番目「マンガのかきかた」冒険王編集部 秋田書店
3番目 石ノ森章太郎(執筆時は石森章太郎)「マンガ家入門」
4番目 石ノ森章太郎「続・マンガ家入門」
持ってました!!
石森章太郎「マンガ家入門」は名著です!! 自作の「龍神沼」を例に
解説していくところなど、マンガの奥深さを教えられました。
竹宮惠子もこの本を見て勉強されたそうですね。
今はこんなマンガ描き方キットなども販売されているんですね!
「マンガなんか描いて」と怒られていた私たちの頃となんと違うことか。
大学にマンガ学科(学部・コース)がある時代ですものね!
ケーコたん(竹宮惠子)2000年から京都精華大学マンガ学科で
教鞭をとり、今や学長ですって?!
デジタルのマンガ制作を体験できるコーナーもありました。
マンガ作成ツール「コミPo!」体験コーナー
他、自分が描いたキャラクターや4コマを投稿できるコーナーなども。
閉館時間ギリギリで、あわてて図録1,800円買いました。
世代を超えたマンガの展示で、昔、マンガファンであった世代から、
若い世代まで、幅広い年齢層が楽しめる、
マンガの歴史がよくわかる充実の展示でした。
この「『描く!』マンガ展」、
豊橋市美術博物館で4月29日(金・祝)~6月5日(日)に開催された後、
川崎市市民ミュージアム 2016年7月23日(土)~9月25日(日)
京都国際マンガミュージアム 2017年3月2日(木)~4月16日(日)
に、巡回するそうです。
豊橋市美術博物館のHP: http://www.toyohashi-bihaku.jp/
「『描く!』マンガ展」を見に行きました。
近頃は、マンガやアニメ関連の展覧会も増えてきましたね。
人気のあるジブリの展覧会とか‥‥
私はアニメはイマイチ見てないのですが、
恩師のグループ展の帰りに、松坂屋美術館でやっていた
「スタジオジブリ・レイアウト展」を見てきたり、
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2010-05-30
『ラピュタ』や『もののけ姫』の 背景を描いた山本二三の展覧会が
大垣で開催されていたので見ましたし、
大垣市スイトピアセンター「山本ニ三展」
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2013-02-26
そして、大ファンである青池保子の個展が
京都国際マンガミュージアムであるってので見に行きました。
京都国際マンガミュージアム「青池保子原画展」
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2015-01-09
美しいカラー原画がたくさん見られてテンションあがりましたし、
常設展示(?)の「マンガって何?」ってコーナーも興味深かったです。
ということで、マンガ大好きな私、GWに始まったこの展覧会、
(会期: 4月29日(金・祝)~6月5日(日)
子どもたちが来ない平日に行こうって思い、
パートが休みだった5月10日(火)に出かけたのです。ま、私のことですから、
朝イロイロやってて、家を出たのは11時半過ぎ。最寄りの名鉄の駅から、
名鉄岐阜へ。12:18の快速特急で、13:37豊橋着。
豊橋市美術博物館へ行くのは2度目。
2011年7月3日(日)に「カンヴァスに描かれた女性たち」展を
見に行ってます。
豊橋市美術博物館「カンヴァスに描かれた女性たち」展
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2011-07-08
その時のように、豊橋駅前から路面電車に乗りました。
150円という値段も嬉しいけど、マナカが使えるようになっていた!
「豊橋公園前」で降りて、豊橋公園の中にある豊橋市美術博物館へ。
雨の平日のせいなのか、申し訳ない程空いていました。
で、私、豊橋市美術博物館のHPをチェックした時に、
http://www.toyohashi-bihaku.jp/
「アンケート記入でマンガ展割引きします」ってお知らせに気がついて、
HPからアンケートをプリントアウトして、記入し、
会場の受付(チケットは受付で購入します)へ持って行ったので、
一般・大学生600円の観覧料が、100円引きの500円になりました!!
600円でも最近の展覧会にしては安いって思ったのに、500円!!
(小・中・高校生は、300円のところなんと200円になるんですよ!!)
そんな嬉しい観覧料なのに、展示は充実してました!!
さらに驚いたことは、かなりの展示が撮影可!!だったこと。
受付で説明がありましたが、第一章の手塚治虫、石ノ森章太郎、
水野英子、藤子不二雄(A)、赤塚不二夫という漫画界の巨匠の
展示こそ撮影禁止でしたが、
第二章の、さいとう・たかを から撮影可!!!
なのでバチバチ撮影‥‥実は最初のうち、あまりに鑑賞者が少なくて、
ホントに撮影していいのよね、ってちょっとおっかなびっくり‥‥
だけど慣れたらもうバチバチ撮影しちゃいました。
撮影と、展示のマンガ読んでたり(諸星大二郎の短編マンガ全部展示!)で、
2時頃に入ったのに、気付いたらもう閉館の5時近い!!
前回来た時は、2階の所蔵作品展も見たり、豊橋公園内や街を散策したんですが、
そんな余裕はなく、展示室の途中に「マンガ閲覧コーナー」って
展示してある作家のマンガが読めるコーナーもあったんですが、
とても時間が足りませんでした。
写真撮影不可だった第一章ですが、
“マンガの神様”手塚治虫が小学三年生ごろに作り、
クラスで回覧されていたという、鉛筆描きのマンガは興味深い!
「ブラック・ジャック」の「灰色の館」の
コマの枠線とセリフのないページ(チラシ左上)は、
ミルト・グロッスの作品を意識したもので、日本では
「突喊居士」というタイトルで、1937年に「新青年」誌に掲載されたと。
手塚はこの作品を中学時代に読んだ際の記憶を繰り返し語っているそう。
そして、“神様”手塚治虫に対して、“マンガの王様”とも呼ばれた
石ノ森章太郎が、なんと手塚治虫のアシスタントとして、
「鉄腕アトム」のペン入れをした原稿!!!!
所々のコマが切り取られているのは、単行本収録時に切り抜いて
使用されたからだそう。
石ノ森章太郎のデビュー作「二級天使」や、
石ノ森章太郎が主催した肉筆回覧誌『墨汁一滴』の一部(複製)が
読めるようになっていたのも興味深かったです。
そして、私が小学~中学生時代に夢中になった水野英子!!
このブログでも、水野英子の『星のたてごと』
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2009-02-25
『白いトロイカ』
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2009-12-17
短編を収録した単行本『星のファンタジー』について、
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2011-02-06
気を入れて書いています!
水野英子の初期のマンガや、水野英子が石ノ森章太郎・赤塚不二夫と
U・マイアという名で合作(!)した作品が展示されていて
テンション上がりました。
水野英子はかの「トキワ荘」に住んだ唯一の女性マンガ家です。
閉館間際に駆け込んだショップで、
水野英子の自費出版だという「トキワ荘日記」という本を売っていたので、
1,296円というちょっと高めの値段にもかかわらず買ってしまいました。
とても興味深い内容で、特に赤塚不二夫が意外で驚きました。
赤塚不二夫氏のお母様が食事の世話をしてくださったとか、初めて知りました。
「トキワ荘物語」に描かれた、赤塚不二夫(左)と石ノ森章太郎(右)
そんな赤塚不二夫の最初のマンガは、後年のギャグマンガとは全く違ってました。
そしてトキワ荘に住んだ藤子不二雄(A)の「まんが道」
多分にフィクション化されているそう。
これら、マンガの巨匠のお宝原稿に加え、
特攻隊員として戦死した山崎祐則の絵手紙や、
戦前の駄菓子屋で赤本マンガを読む少年たちが写っている写真などの
資料もあって、とても興味深かったです。
そして撮影可の第二章は、
さいとう・たかを の展示から始まっています。
私、手塚治虫のすごさは前からわかっていましたが、この展覧会で、
さいとう・たかを のすごさを再認識しました。
「劇画」や、プロダクションという分業体制による作品制作システムの確立など、
それまで子供のものであったマンガを、「映画的手法」やリアリズムによって、
大人も読むものにしたわけですね。
初期の作品のスタイリッシュなデザインセンス!!
リアルな描写の美しさ! 「無用ノ介」
そして言わずと知れた「ゴルゴ13」の作者 連載開始は1968年!!
各マンガ家に「田中圭一の着眼点!」という解説(?)パネルがあり、
さいとう・たかをのGペンによる描線の抑揚について
人物の輪郭線を太く描き、目、鼻、口については
凹凸の度合いにあわせて線幅を変えていると
え? これってマンガの常識じゃ?って思った私、
この、さいとう。たかを によって定着した描線が、
90年代あたりまでのすべてのマンガのスタンダードとなり、
それまで、ディズニーアニメの影響を受けて、すべて同じ太さで
描いていた手塚治虫までも線のメリハリを使い始めたという説明は
目からウロコでありました。
竹宮惠子の展示
雑誌『COM』の月例新人賞で佳作入選となった
「ここのつの友情」(左ページ)
え?右ページは長谷川法世ではないですか!?
ネームも展示されています。
『COM』1967年7月号に載った「ここのつの友情」(右)と、
『少女コミック』1971年7月25日号/30号の「ここのつの友情」(左)
「ケーコたんのお絵かき教室」
動きと服のシワ、男と女の体つきの違い‥‥そうかー!!
このあたりしっかり読んでおりました。
ケーコたんというと、この絵が浮かぶかな?
「地球(テラ)へ…」劇場アニメ用ポスターイラスト
実はこれは原画ではなく、精巧な複製原画「原画'(ダッシュ)」
原画と見分けがつきません!
“おとめチック”マンガの代表・陸奥A子の展示
私、“おとめチック”はあまり評価していないんですが、
陸奥A子のデビュー作「獅子座うまれのあなたさま」は
新鮮で印象的でした。(今でもスクラップして持っています)
こちらの記事に印象を少し書いています。
『うれし恥ずかしなつかしの少女マンガ』
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2010-03-19
陸奥A子の絵は細く均質な描線で描かれているのが特徴と、
田中圭一の着眼点で指摘されていました。
それが「フワっとした優しい空間」を作りだしていると。
ところどころにコラム的に、「赤本マンガ」「貸本マンガ」など、
マンガ媒体についての展示も興味深かった。
「まんがエリートのためのまんが専門誌」として虫プロ商事から刊行された
『COM』懐かしい!!
マンガ投稿コーナーからは竹宮惠子をはじめ、そうそうたるマンガ家が
巣立っていったんですよね。
順路に従い、別の展示室へ入ると、諸星大二郎の展示
『週刊ヤングジャンプ』1982年9月16日号/39号に掲載された
「妖怪ハンター ヒトニグサ」が、全部読めるようになっていました。
続いて島本和彦
私、2014年の12月に山梨の同級生宅へ遊びに行った時に、
皆で「アオイホノオ」のDVDを見て、まるで自分たちの青春時代って
大盛り上がりしたんです。それからコミックカフェで、
島本和彦の自伝的作品である原作を読みまして、
大げさに、ギャグチックに描かれているけど、
青春特有の煩悶など、懐かしく、甘酸っぱく読みました。
諸星大二郎や星野之宣の名前も出てきますし、
読んでいて、私が一番笑ったのがこのページ
高橋留美子の作品について主人公が語るところ。
あだち充の「ムフ」とか、原秀則の「アハ」とかも面白かった!
島本和彦の愛用のペンなども展示されていました。
次の平野耕太‥‥スミマセン私この方知りませんでした。
流麗な線で描かれた迫力ある絵、すごいです。
別の展示室で、あずまきよひこ の展示。
私「あずまきよひこ」ではピンときませんでしたが、
「よつばと!」はコミックカフェで読んで、
ほのぼのとした日常のマンガ、いいなって思ってたんですが、
実はチラシ表面、ゴルゴ13はすぐわかりましたが、
よつばちゃんだってのは、なかなか気がつかず(^^;)>
あずまきよひこの展示で印象的だったのは、マンガをデジタルで
制作することが普及してきたんだなと。
データ入稿になってきたので、「生原稿」がデータ上で差し替えられて、
コミックスに掲載してあるのと違ってきているとか、
背景と人物が2枚の原稿に描き分けられていたり。
何気なく読んでいるマンガだけど、
構図とか、いろいろ修正して、工夫されているんだなぁと。
次の PEACH-PIT という作家(2人のユニットだそう)知りませんでした。
いかにもデジタルで制作しましたってカンジのカラーですね。
とても時間が足りなかったのですが、展示されているマンガ家の作品を
読めるコーナーもありました。
ガラスケースに展示してあったアニメのパロディ誌
懐かしいなぁ! 友人が夢中になってたっけ。
「オタク」なんて言葉もこの頃からですよね。
わー!! マンガ技法書が並んでいます。
私、左から2番目「マンガのかきかた」冒険王編集部 秋田書店
3番目 石ノ森章太郎(執筆時は石森章太郎)「マンガ家入門」
4番目 石ノ森章太郎「続・マンガ家入門」
持ってました!!
石森章太郎「マンガ家入門」は名著です!! 自作の「龍神沼」を例に
解説していくところなど、マンガの奥深さを教えられました。
竹宮惠子もこの本を見て勉強されたそうですね。
今はこんなマンガ描き方キットなども販売されているんですね!
「マンガなんか描いて」と怒られていた私たちの頃となんと違うことか。
大学にマンガ学科(学部・コース)がある時代ですものね!
ケーコたん(竹宮惠子)2000年から京都精華大学マンガ学科で
教鞭をとり、今や学長ですって?!
デジタルのマンガ制作を体験できるコーナーもありました。
マンガ作成ツール「コミPo!」体験コーナー
他、自分が描いたキャラクターや4コマを投稿できるコーナーなども。
閉館時間ギリギリで、あわてて図録1,800円買いました。
世代を超えたマンガの展示で、昔、マンガファンであった世代から、
若い世代まで、幅広い年齢層が楽しめる、
マンガの歴史がよくわかる充実の展示でした。
この「『描く!』マンガ展」、
豊橋市美術博物館で4月29日(金・祝)~6月5日(日)に開催された後、
川崎市市民ミュージアム 2016年7月23日(土)~9月25日(日)
京都国際マンガミュージアム 2017年3月2日(木)~4月16日(日)
に、巡回するそうです。
豊橋市美術博物館のHP: http://www.toyohashi-bihaku.jp/
しーちゃん 、こんばんは。
東京では「萩尾望都SF原画展」(武蔵野市立吉祥寺美術館 4/9~5/29)が開催。
新装版『なのはな』(小学館)、『萩尾望都 SFアートワークス』(河出書房新社)、文庫版『一瞬と永遠と』(朝日新聞出版)、
「ポーの一族」の最新作が掲載された月刊flowers 7月号が完売するなど、
モト・ブーム再来(?)で盛り上がっています。
石森章太郎が描いたアトムは「電光人間」だったと思いますが^^;
by sknys (2016-06-01 00:00)
sknys さん、さすがです!! 図録見たら、石ノ森章太郎筆のアトムは、
『少年』1955年1月号付録の「電光人間の巻」とのことでした。
おモーさまの展覧会、名古屋でもやらないかなー。
NHKで放送された「浦沢直樹の漫勉」萩尾望都の回を見て、
長いキャリアがあるのに、今もすごく真面目(?)に、苦心して
描いていらっしゃるのを知って感動しました。
仕事部屋の散らかり具合?も納得というか。
漫画の展覧会も増えてきましたね。次の記事で
松坂屋美術館「わたしのマーガレット展」のことを書きましたが、
懐かしさに悶えました。
松坂屋美術館で7/16~9/4「藤子・F・不二雄展」はちょっと楽しみ。
おかざき世界こども美術博物館「仮面ライダーアート展」4/23~6/19
は、まぁいいかって。
by しーちゃん (2016-06-02 12:58)