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愛知県美術館「日本で洋画、どこまで洋画?」展 [美術]

12月15日(木)、愛知県美術館へ行きました。

「日本で洋画、どこまで洋画?
――高橋由一から現代画家まで――」という展覧会をやっています。
aichi-youga.jpg

11月18日(金)~12月18日(日)までの1か月間
という短めの期間で、最近は雑用も多く、なかなか行けなくて、
パートが休みだったこの日こそ行かなくてはって思ってたんですが、
午前中、用事もできて‥‥2時頃にやっと出かけることができました。
愛知県美術館に着いたのが3時過ぎ。愛知県美術館は午後6時まで
開いててくれるので助かるんですが、展示も多いので、
見るのに結構時間かかるんですよね。(私の場合、2時間では足りません)

会場入口で友の会の会員証を見せて入ります。
今回はコレクション企画なので、会員証にスタンプは押されません。
一般観覧料も500円という安さ!

でも愛知県美術館のコレクションはすごいので、
展示は充実しているんです。
コレクション展となると、愛知県美術館の学芸員さん頑張りますしね!
この展覧会の担当は、平瀬礼太 主任学芸員。
今年4月から愛知県美術館へいらした新しい学芸員さんで、
以前は姫路市立美術館に勤務されていたそうです。
(友の会会報「空中回廊」43号より)

こちらから「空中回廊」バックナンバーが読めます。
http://www-art.aac.pref.aichi.jp/japanese/friend/member/kaiho.html

最初や、所々に掲げられていた説明もとても興味深かったです。
「洋画」という言葉、もちろん知ってます。
でもあらためて言われると確かに不思議ですよね。

映画で洋画というと、外国の(それも西洋の)映画なのに、
美術で洋画というと日本人が描いた絵ですよね。

「日本画」が、「明治時代以降、近代国家としての体制を
確立していく過程で形成された一つの絵画制度」で、
江戸時代までの絵は「日本画」とは言わないってことを、
岐阜県美術館「ゆるり日本画 絵の中の旅」展
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2016-07-31
の講座で聞きました。
「洋画」は、その「日本画」と対になるようにして生まれたわけですね。

明治時代、西洋の文明が入ってきて、西洋絵画のリアルさに
まるで実物がそこにあるようだ! と、
日本人が驚いたことは想像がつきます。
まだ写真もそんなに普及していなかった時代ですしね。

西洋人は西洋人で、日本の美術の素晴らしさに驚いていたんですけど。

そんな双方の驚き(インパクト)をテーマにした展覧会が
名古屋ボストン美術館「ダブル・インパクト」展 でしたね。
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2015-08-30

「日本で洋画‥‥」展では、まず最初に、
山本芳翠がシャルル・シャプランの絵を模した
《月下の裸婦》1882-86年頃 が展示されていました。

高橋由一《厨房具》1878-79年 や、野崎華年《武具》1895年 とかは、
うーん‥‥当時の人はリアルで驚いたのかなぁと。

もう少し後の解説で(あくまで私が覚えていることなので違っていたかも)
植民地絵画とか、優れた美術がある日本人が、なぜこんな低レベルの
模倣をするのかと、海外の人からも批判されたこともあるようです。
でも、頑なに自分たちの文化を守って、外国の文化を排斥するより
いいのではないかと。そういう柔軟な姿勢が、後の様々な表現に
つながっていったのではないかと。

aichi-youga-2.jpg
高橋由一《不忍池》1880年頃(チラシ裏面上左)
この絵はコレクション展で何回も見たことがありますが、
今回なんかすごくキレイに見えました。照明がいいのかな?
今年春、ボッティチェリ展で上京した時に、
不忍池の周囲を散歩したこととかも思い出したりして。
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2016-03-13
うんうん、やっぱり浮世絵の風景画とは全く違うなぁと。

久米桂一郎《秋景》1892年 の、いかにも印象派!って
明るい積みわらの風景、いいなぁって。
そうか、影に紫色が使われているんですね。

海老原喜之助《ゲレンデ》1930年 白と水色のストライプのような
スキー場の風景、いいなぁ好きだなって思いました。

今までも見てますが、古賀春江《夏山》1927年
童画のようにも見えるけど、なんか笑っちゃうほどいい!!

ヴラマンクに師事して、フォーヴィスムの絵を描いた
里見勝蔵(1895-1981)の《裸婦》1928-29年頃
強烈な赤い色が迫力です。

満谷国四郎(みつたに くにしろう 1874-1936)の
ちょっと日本画のような、平面的で穏やかな《裸婦》1930年 と
対比させるように展示されていたのも面白かったです。

中野安次郎《樹氷》1936年 雪の白がとてもきれいに見えました。

伊藤廉《水牛の喧嘩》1937年 迫力!!

鬼頭鍋三郎《機銃分隊習作》1942年
戦争の時代だったんだなぁ‥‥と。

中沢弘光《春来る》1946年 は、
ショールを脱ぐ婦人に、戦争が終わって新しい時代が来たことを
象徴させているのだとか。

戦後すぐは、西洋の絵の複製を有料で見せる展覧会もあって、
人々がつめかけたって解説もあって、皆文化に飢えていたんだなって
興味深かった。

桂ゆき《人と魚》1954年
今年1月、日本のシュルレアリスムをテーマとしたコレクション展で、
とてもインパクトがあった作品。
こちらに感想を少し書いています
愛知県美術館プロジェクト・アーチ「水戸部七絵」展とコレクション展
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2016-01-19
マンガのような人の顔とリアルな縄の対比も面白い。
アメリカの水爆実験で日本の漁船が被曝した事件を扱っているのだとか。

北川民次《砂の工場》1959年(チラシ裏面左下) あたりには、
社会問題的なテーマの大きな作品が並んでいて、
時代のようなものを感じました。

時代と言えば、昭和、戦後の一世を風靡したってカンジの
東郷青児《月夜》1958年 が展示されていて、
わっ、東郷青児だって。この人の絵、お店や個人の家の壁に飾るような
小さな絵のイメージだったので、展示されていた絵の大きさがちょっと意外。
まぁ通俗的で甘くロマンチックな絵ですが、
ツルンとした陶器のような肌の画面がきれいだなって見ました。

「どこまで洋画?」って展覧会のタイトルだけど、このあたりから、
洋画=油絵って区分けもなんか曖昧になってきているようで‥‥

出品リストの種別欄には「日本画」ってある
星野真吾《喪中の作品(昇天)》1965年 とか、

中村正義《ピエロ》1963年 も展示されていました。

そして、
愛知県美術館「あなたのリアル、わたしのリアル。」展
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2014-07-09
メインビジュアルに使われていた上田薫《なま玉子 G》1976年 とか、

変形パネルにアクリル絵具をエアブラシで吹き付けて描いた
三尾公三《FICTION SPACE (X)》1974年
いろんな表現が出てきて面白いなぁと。

吉本作次《中断された眠りⅡ》1985年 では布も使われていました。
岐阜県美術館「Artのメリーゴーランド」展
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2010-01-10
吉本作次の作品を見た時は、なんか装飾的で漫画チック‥‥って、
見たんですが、この作品はそのマンガチックな人物と暗い画面、
そして布がマッチしてて、この雰囲気いいなって見ました。
浜田知明《初年兵哀歌》を思い出したりして。

そして、いつ見ても、
斎藤吾朗《描けば描くほど》2002年 は新たな発見があって迫力です。
今回の説明パネルで、真ん中にラスコー洞窟の壁画の絵があって、
上半分が日本の画家で、下半分に外国の画家が描かれているってことが
わかりました。

最後の部屋には、
「アイチのチカラ!」展「あなたのリアル、わたしのリアル。」展でも見た
小林孝亘《Stairs》2008年 (チラシ裏面上右)や、

「アイチのチカラ!」展 のメインビジュアルだった
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2014-02-03
安藤正子《おへその庭》2010年

女の子の目が月と地球で、何かのキャラクターのようでカワイイ
藤城凡子《Capter5 そして月と地球》2006年

最後に、チラシ表面に使われている
奈良美智《Girl From the North Country》2014年
があり、「洋画」というジャンルにとらわれないような
若手作家たちの作品の展示、楽しかったです。

愛知県美術館の展示はまだ続きますが、とりあえずここでアップします。
出品リスト見てると、この作品も良かった、書いておきたいって、
どんどん長くなってしまうんですよね。(そして時間もかかります)
でも、こうやってブログに書いておくと、後で検索した時に
思い出すことができて便利だって気がついて、忘備録として
書いています。もし読んでくださった方がありましたら、
どうもありがとうございます。お疲れ様でした。

愛知県美術館のウエブサイト: http://www-art.aac.pref.aichi.jp/
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