守屋多々志美術館と大垣城 [美術]
5月28日(日)、大垣駅前のOKBギャラリーおおがき「古川秀昭展」
最終日に駆け込んだ後、駅前通りを散策していたら、
大垣市守屋多々志美術館がありました。
大垣駅から近いところにあるってことは知っていましたが、
今まで入ったことがありませんでした。
大垣出身の日本画家・守屋多々志(1912-2003)
歴史画の第一人者として活躍されました。
2017年5月20日(土)~7月9日(日)は、第66回企画展として
「武士―つわものどもが夢の跡―」というテーマで
作品が展示されています。
チラシ右上に使われている作品は、
《星と武者》1968年 第53回院展出品作
入館料300円を払って入ります。
展示室は1階だけでなく2階にもあり、
今回、90点の作品が展示されていました。
‥‥スミマセン、実は私ちょっと見くびっておりました。
結構見ごたえありました。
《竹千代出陣》1978年 第33回春の院展出品作で、個人蔵
(チラシ裏面上左)
良かったです。あの家康がこんなに可愛かったのか?って
ツッコミもあるけど、きりりとした初々しさ、微笑ましく見ました。
鎧や兜が細かく描かれていてよかった。
本画ももちろんよかったですが、大下図や小下図など、
制作の過程がわかる作品、とても興味深かったです。
《大下図 継信忠信》1941年 第28回院展に初入選した絵の大下図
《小下図 蒙古襲来(東郷神社海軍館)》1942年
海軍館の壁画として描かれた絵は戦禍で焼失とのこと
《小下図 乱世に生きる(信長・日吉・竹千代)》1983年
あ、これ岐阜県美術館で見た絵だ!!
岐阜県美術館「時代を創った日本画家たち」展 で本画が展示されていました。
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2009-07-30
若い信長と日吉と名乗っていた頃の秀吉、幼い竹千代(家康)が
海辺に並んでいる絵。実際にこんな場面があったかもしれませんね。
岐阜県美術館所蔵の絵だそう。
岐阜県美術館のHPのコレクション検索をしたら、
今回とてもいいなって見た《竹千代出陣》の大下図は
岐阜県美術館の所蔵品だそう。
小学校4年時の作品だという兜の絵(1923年)が展示されていましたが、
すごい!! 上手いです!! 「星石」という雅号で絵を描いていたそう。
守屋多々志は、
1912(大正元)年 8月10日、岐阜県大垣市船町の味噌たまり製造元「四代目孫八」の 四男として生まれる。本名は正。 生後100日目に分家守屋貞吉(桐ヶ崎町の米穀商)の養子となる。
(守屋多々志美術館リーフレットより)そうですが、
養父が趣味の人だったよう。
歴史画の第一人者といわれた守屋多々志、兜や鎧のスケッチも多く展示されていました。
《平清盛大鎧兜(安田靫彦先生蔵)》1941年 は、守屋多々志の師である
前田青邨と並ぶ歴史画の大家・安田靫彦の所蔵する兜を借りて、
スケッチをしていて、夢中になって返却が遅くなり、電話があって
恐縮する守屋に対して、安田靫彦先生は、しっかりスケッチできたかと
優しい声をかけてくださったとか(説明うろ覚えです)
そして、鎧をただスケッチするだけでなく、モデルに着てもらい、
いろんなポーズでのスケッチもあって、研究熱心さに感心しました。
「新平家物語」の挿絵や、芭蕉の句を扇形の絵に表現した《扇面芭蕉》なども
展示されていました。
今回の第66回企画展「武士―つわものどもが夢の跡―」は、
5月20日(土)~7月9日(日)の展示で、
7月20日(木)~9月24日(日)には、
第67回企画展「子どもの世界」というテーマで展示されます。
桃太郎や金太郎、源氏物語の幼い皇子や姫君など子どもを描いた作品や、
夢あふれる絵本の挿絵などを展示します。とのこと。
その後の展示予定は、
10月7日(土)~12月10日(日) 特別展「守屋の青春・朱夏」
学生時代~イタリア留学時代及び近代を描いた歴史画などを展示。
大垣市守屋多々志美術館の三つ折りリーフにも使われている
《ウィーンに六段の調(ブラームスと戸田伯爵極子夫人)》1992年
戸田伯爵極子(きわこ)夫人は、岩倉具視の娘で、
11代大垣藩主で明治20年からオーストリア・ハンガリー全権公使としてウィーンに赴任した
戸田氏共(うじたか)の夫人。筝の名手として知られた女性だったそうで、
ブラームスが極子の演奏を聴いている場面(実際にブラームスは極子の演奏を聴いたそう)
この特別展に展示されるとのこと。
2018年1月6日(土)~3月11日(日) 第68回企画展「西域の美」
3月17日(土)~5月13日(日) 第69回企画展「花の宴」
大垣市守屋多々志美術館のホームページによると、
作品保存の難しい日本画作品のため、常設展示は行っておりませんが、3,300点の作品と資料を整理しつつ、2ヶ月ごとに入れ替えて展示し、多くの作品をご覧いただけるように企画展や特別展でご紹介しています。
とのこと。3,300点の作品と資料!! すごいですね。
予想はしていましたが、ほぼ独り占め状態でゆったりと
鑑賞ができまして、私としては良かったんですけど。
会期中の休館日が火曜日なので注意してくださいね。
(大垣の文化施設は火曜休みが多い)
年末年始や展示入替のための休館日もあります。
守屋多々志美術館の近くには大垣城があります。
昭和11年(1936)に国宝に指定されるも、昭和20年(1945)7月29日戦災で焼失。
現在の天守は、昭和34年(1959)4月に再建されたものだそう。
大垣城と「戸田氏鉄公騎馬像」
1635年(寛永12年)戸田氏鉄(とだ うじかね)が大垣戸田藩10万石の
初代藩主となって入城、以降明治維新まで、11代230年続いたそう。
実は戸田氏鉄のこと何も知らなかったんです(だいたい読めなかったし)
写真のキャプションをつけようと、ネットで検索してやっと知ったんですが。
10万石って意外とすごいんですよね。
あの岡崎が「五万石でも岡崎さまは‥‥」って5万石でしたものね。
(あいちトリエンナーレで岡崎へ行って、昔の船着き場の碑で知りました)
11代目、最後の大垣藩主が、守屋多々志が描いた
《ウィーンに六段の調(ブラームスと戸田伯爵極子夫人)》の、
極子夫人の夫・戸田氏共なんですね。
白い壁が優美な城です。
時間も遅かったので、中には入りませんでした。
開館時間午前9時~午後5時 入場料100円
大垣城と守屋多々志美術館、郷土館、奥の細道むすびの地記念館の
四館共通券 600円
大垣市守屋多々志美術館のホームページ: http://www.city.ogaki.lg.jp/0000002019.html
公益財団法人 大垣市文化事業団の大垣城のページ:
http://www2.og-bunka.or.jp/bunka/manage/oogakijo.html
最終日に駆け込んだ後、駅前通りを散策していたら、
大垣市守屋多々志美術館がありました。
大垣駅から近いところにあるってことは知っていましたが、
今まで入ったことがありませんでした。
大垣出身の日本画家・守屋多々志(1912-2003)
歴史画の第一人者として活躍されました。
2017年5月20日(土)~7月9日(日)は、第66回企画展として
「武士―つわものどもが夢の跡―」というテーマで
作品が展示されています。
チラシ右上に使われている作品は、
《星と武者》1968年 第53回院展出品作
入館料300円を払って入ります。
展示室は1階だけでなく2階にもあり、
今回、90点の作品が展示されていました。
‥‥スミマセン、実は私ちょっと見くびっておりました。
結構見ごたえありました。
《竹千代出陣》1978年 第33回春の院展出品作で、個人蔵
(チラシ裏面上左)
良かったです。あの家康がこんなに可愛かったのか?って
ツッコミもあるけど、きりりとした初々しさ、微笑ましく見ました。
鎧や兜が細かく描かれていてよかった。
本画ももちろんよかったですが、大下図や小下図など、
制作の過程がわかる作品、とても興味深かったです。
《大下図 継信忠信》1941年 第28回院展に初入選した絵の大下図
《小下図 蒙古襲来(東郷神社海軍館)》1942年
海軍館の壁画として描かれた絵は戦禍で焼失とのこと
《小下図 乱世に生きる(信長・日吉・竹千代)》1983年
あ、これ岐阜県美術館で見た絵だ!!
岐阜県美術館「時代を創った日本画家たち」展 で本画が展示されていました。
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2009-07-30
若い信長と日吉と名乗っていた頃の秀吉、幼い竹千代(家康)が
海辺に並んでいる絵。実際にこんな場面があったかもしれませんね。
岐阜県美術館所蔵の絵だそう。
岐阜県美術館のHPのコレクション検索をしたら、
今回とてもいいなって見た《竹千代出陣》の大下図は
岐阜県美術館の所蔵品だそう。
小学校4年時の作品だという兜の絵(1923年)が展示されていましたが、
すごい!! 上手いです!! 「星石」という雅号で絵を描いていたそう。
守屋多々志は、
1912(大正元)年 8月10日、岐阜県大垣市船町の味噌たまり製造元「四代目孫八」の 四男として生まれる。本名は正。 生後100日目に分家守屋貞吉(桐ヶ崎町の米穀商)の養子となる。
(守屋多々志美術館リーフレットより)そうですが、
養父が趣味の人だったよう。
歴史画の第一人者といわれた守屋多々志、兜や鎧のスケッチも多く展示されていました。
《平清盛大鎧兜(安田靫彦先生蔵)》1941年 は、守屋多々志の師である
前田青邨と並ぶ歴史画の大家・安田靫彦の所蔵する兜を借りて、
スケッチをしていて、夢中になって返却が遅くなり、電話があって
恐縮する守屋に対して、安田靫彦先生は、しっかりスケッチできたかと
優しい声をかけてくださったとか(説明うろ覚えです)
そして、鎧をただスケッチするだけでなく、モデルに着てもらい、
いろんなポーズでのスケッチもあって、研究熱心さに感心しました。
「新平家物語」の挿絵や、芭蕉の句を扇形の絵に表現した《扇面芭蕉》なども
展示されていました。
今回の第66回企画展「武士―つわものどもが夢の跡―」は、
5月20日(土)~7月9日(日)の展示で、
7月20日(木)~9月24日(日)には、
第67回企画展「子どもの世界」というテーマで展示されます。
桃太郎や金太郎、源氏物語の幼い皇子や姫君など子どもを描いた作品や、
夢あふれる絵本の挿絵などを展示します。とのこと。
その後の展示予定は、
10月7日(土)~12月10日(日) 特別展「守屋の青春・朱夏」
学生時代~イタリア留学時代及び近代を描いた歴史画などを展示。
大垣市守屋多々志美術館の三つ折りリーフにも使われている
《ウィーンに六段の調(ブラームスと戸田伯爵極子夫人)》1992年
戸田伯爵極子(きわこ)夫人は、岩倉具視の娘で、
11代大垣藩主で明治20年からオーストリア・ハンガリー全権公使としてウィーンに赴任した
戸田氏共(うじたか)の夫人。筝の名手として知られた女性だったそうで、
ブラームスが極子の演奏を聴いている場面(実際にブラームスは極子の演奏を聴いたそう)
この特別展に展示されるとのこと。
2018年1月6日(土)~3月11日(日) 第68回企画展「西域の美」
3月17日(土)~5月13日(日) 第69回企画展「花の宴」
大垣市守屋多々志美術館のホームページによると、
作品保存の難しい日本画作品のため、常設展示は行っておりませんが、3,300点の作品と資料を整理しつつ、2ヶ月ごとに入れ替えて展示し、多くの作品をご覧いただけるように企画展や特別展でご紹介しています。
とのこと。3,300点の作品と資料!! すごいですね。
予想はしていましたが、ほぼ独り占め状態でゆったりと
鑑賞ができまして、私としては良かったんですけど。
会期中の休館日が火曜日なので注意してくださいね。
(大垣の文化施設は火曜休みが多い)
年末年始や展示入替のための休館日もあります。
守屋多々志美術館の近くには大垣城があります。
昭和11年(1936)に国宝に指定されるも、昭和20年(1945)7月29日戦災で焼失。
現在の天守は、昭和34年(1959)4月に再建されたものだそう。
大垣城と「戸田氏鉄公騎馬像」
1635年(寛永12年)戸田氏鉄(とだ うじかね)が大垣戸田藩10万石の
初代藩主となって入城、以降明治維新まで、11代230年続いたそう。
実は戸田氏鉄のこと何も知らなかったんです(だいたい読めなかったし)
写真のキャプションをつけようと、ネットで検索してやっと知ったんですが。
10万石って意外とすごいんですよね。
あの岡崎が「五万石でも岡崎さまは‥‥」って5万石でしたものね。
(あいちトリエンナーレで岡崎へ行って、昔の船着き場の碑で知りました)
11代目、最後の大垣藩主が、守屋多々志が描いた
《ウィーンに六段の調(ブラームスと戸田伯爵極子夫人)》の、
極子夫人の夫・戸田氏共なんですね。
白い壁が優美な城です。
時間も遅かったので、中には入りませんでした。
開館時間午前9時~午後5時 入場料100円
大垣城と守屋多々志美術館、郷土館、奥の細道むすびの地記念館の
四館共通券 600円
大垣市守屋多々志美術館のホームページ: http://www.city.ogaki.lg.jp/0000002019.html
公益財団法人 大垣市文化事業団の大垣城のページ:
http://www2.og-bunka.or.jp/bunka/manage/oogakijo.html
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