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パナソニック汐留美術館「ギュスターヴ・モロー展」 [美術]

もう1ヶ月も前のことを書いているのもなんだかなーって思いますが‥‥

5月27日(月)、大阪の友人と
国立新美術館「ウィーン・モダン」展を見まして、
予定では美術館の後、六本木の街へ出てランチでも、って
ことだったんですが、予想外に鑑賞に時間がかかりまして‥‥
ものすごい出品数と充実した展示で良かったんですが、
疲れて街へ出る元気がなくなって、国立新美術館の地下で
食べたんですね。で、出たのが3時半頃。
なんか中途半端な時間‥‥
友人は羽田発6時の飛行機で帰るので、どこかへ行くほどの
時間はないし、今食事したばかりでカフェってのも‥‥
ってことで、ここで別れることに。
で、私はこれで帰るのもなんかモッタイナイ(?)気がして、
どっか行こうかなぁ‥‥なんて考えて、

月曜日に開いている美術館を調べていた時、
パナソニック汐留美術館が開いてるってチェックしてて、
(今年2019年4月にパナソニック汐留ミュージアムから改称されたそうですね)

ギュスターヴ・モロー展をやってたので、
ついでに行けたら行きたいとは思ってたんです。

モローは私の好きな画家で、代表作ともいえる
《出現》が見られるってことで、
この展覧会、楽しみにしていました。

パナソニック汐留美術館で4月6日(土)~6月23日(日)で開催された後、
あべのハルカス美術館に7月13日(土)~9月23日(月・祝)
福岡市美術館に10月1日(火)~11月24日(日)と巡回するってことで、
大阪へ見に行くつもりでいたんですが、この機会に見れたらと。

それで、パナソニック汐留美術館の閉館時間をチェックしてみたら、
午後6時まで(入館5時30分)ってことで、
そこから20分程で行けるってことは調べてあったので、
うーーん、4時半までには入れるかな? 1時間半か‥と、
ちょっと迷いましたが、まぁ、ざっと見るだけでもいいかーと。

六本木から都営大江戸線汐留駅へ、
見上げるような高いビル(汐留シティセンター)の横を通って
2019-5-27-(34).jpg

パナソニック東京汐留ビル ここの4階にあります。
2019-5-27-(35).jpg

ずいぶん前置きが長くなってしまいましたが、

ギュスターヴ・モロー展
サロメと宿命の女たち
Gustave Moreau
Salome and the femme fatale
Moreau-1.jpg
Moreau-2.jpg

ロッカーに荷物を預け、入館料1,000円を払って入ります。
この展覧会、作品が年代順ではなく、テーマ別に展示されていました。

最初に《24歳の自画像》1850年
191px-GustaveMoreau02.jpg
Wikipediaのギュスターヴ・モローの自画像に使われている絵ですね。
Wikiからお借りしてきました。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AE%E3%83%A5%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%B4%E3%83%BB%E3%83%A2%E3%83%AD%E3%83%BC
ギュスターヴ・モロー(Gustave Moreau, 1826年4月6日–1898年4月18日)は、フランスの象徴主義の画家である。パリに生まれパリで亡くなった。聖書や神話に題材をとった幻想的な作風で知られる。

印象派の画家たちとほぼ同時代に活動したモローですが、
印象派の光あふれる風景や日常生活ではなく、
聖書やギリシャ神話をおもな題材として、
想像と幻想の世界を描いたと。

5月5日に放送されたNHK日曜美術館で、この展覧会を取り上げていました。
「ギュスターヴ・モロー ファム・ファタル(魔性の女)に魅せられて」
https://www4.nhk.or.jp/nichibi/x/2019-05-05/31/26926/1902799/

ゲストに『怖い絵』の中野京子さんが出てらして、
晩年のモローの装飾過多の絵を「大金持ちのゴミ屋敷」と
表現されていたのには笑ってしまいましたが。

精神科医で作詞家の きたやまおさむ さんと、モローの解釈が
全く違ってて、それも面白かった。
(私は中野京子さんの解釈を支持するなぁ)

母親に全て面倒見てもらってる、金持ちで、働く必要のない
引きこもりのボンボンが、
自分が想像した世界に閉じこもって描いた絵ではないかと思うんだけど、
‥‥現代日本なら、引きこもりで、二次元の世界で夢想している男、みたいな。
あ、これは非難しているのではなくて、
私は、もしお金があって環境が許せば、
引きこもって自分の空想世界に遊ぶ生活ってのは
ある意味理想ではないかと思う性格なので、
モローのこれらの絵、すごくよくわかる(?)っていうか。

昔、私は世界美術全集など見て、コーフンしていたというか。
ポルノ雑誌に載っている女性のハダカ写真より、
西洋の画家たちが描いたヌード(但し印象派は除く)の方が
ずっとエロティックに見えたんですよね。
そういった絵に描かれているってこともあって、
旧約聖書やギリシャ神話、アーサー王伝説などの物語が好きでした。
私は助け出される姫君で‥‥(笑)

今回の展覧会、サロメを描いた絵がたくさん並んでます。
紙に黒鉛で描いた「習作」ってキャプションがついているのもありますが、、
これらは、より良い作品を創作するための試行錯誤っていうより、
何度も同じような場面を繰り返し空想するので、
それを描いているだけなんじゃない? なんて(^^;)

第1章 モローが愛した女たち で、
母親のスケッチや、母に宛てた手紙があって、
親密な親子関係だったことはわかります。
金持ちで息子が自立しなくても全く困らない、むしろ
ずっと自分の傍にいてくれるのが嬉しい母親と、それに甘える息子。
(現代日本なら「なぜ働かない」って言って家庭内暴力になったりする)

でも、日曜美術館で中野京子さんが言ってたけど、
モローは晩年、美術大学の教授になって、大勢の弟子たち、
マティスやルオーを育てているんですよね。
彼の指導方針は弟子たちの個性を尊重して、才能を自由に伸ばすことだったと。

もし、彼の母親がもっと前に―30代40代の時に―亡くなっていたら、
(母が亡くなったのはモロー58歳の時)
また別の世界へ行ったんじゃないかと。

生涯独身だったモローですが、30年近く親しい関係であったという
恋人アレクサンドリーヌ・デュルー
「私の最後の時には二人きりになって手を握ってほしい」と
手紙に書き送っていたそう。
でも彼女も母親の6年後に亡くなって、彼は深い悲しみに沈みます。

《雲の上を歩く翼のあるアレクサンドリーヌ・デュルーと
ギュスターヴ・モロー》
恋する少年が描いたような、思わず微笑んでしまうような可愛らしい絵

でも現実には彼女とはどうだったのかなぁ?
なーんか、プラトニックだったんじゃないか? なんて私は思うんだけど。


‥‥なんか展覧会以外のことばかり書いちゃいました。
《出現》をはじめ、《一角獣》や、《エウロペの誘拐》とか、
素敵な絵があって良かったけど、わりとあっさり見ちゃったというか。
まぁ、時間があまりないって思い込んでたこともあるけど。

これらの絵、モローの住居を死後、遺言により美術館にしたという
ギュスターヴ・モロー美術館で見たいなって。
(今回展示されている絵は全てモロー美術館所蔵の作品)
モロー美術館の映像がありましたが、
壁一面に飾られた絵には圧倒されますよね。
「大金持ちのゴミ屋敷」状態っていうか、
まぁ、西欧のお城とかって日本人には驚くような
ゴテゴテ装飾がされてますよね。
歴史とか伝統の重み? いろんな幻想が湧き出てくるようにも思えます。

図録は買いませんでしたが、《出現》のクリアファイルを購入。400円
Moreau-3.jpg

--オマケ--
メナード美術館がモローの《サロメの舞踏》を持ってるんだ! って驚いたのが、
岐阜県美術館「象徴派」展
https://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2012-07-23
小さな水彩画でしたが、素敵でした。
symbolisme.jpg

メナード美術館のウェブサイトで見られます。
メナード美術館《サロメの舞踏》1876頃 23.0×15.7cm
https://museum.menard.co.jp/collection/european/moreau_gu_01.html

岐阜県美術館はモローの珍しい初期作品《ピエタ》1854年 と、
https://gifu-art.info/details.php?id=3831
《聖セバスティアヌスと天使》1876年頃 を所蔵してます。
https://gifu-art.info/details.php?id=3820

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sknys

トビカン(クリムト展)は休館日だったのね。
「ギュスターヴ・モロー美術館」にランプを持って夜中に忍び込むことを
夢見ていたアンドレ・ブルトンは『魔術的芸術』(1957)の中で、
モローの「その人生における最大の悲しみの1つは、
母の遅すぎた死であった」と、皮肉っぽく書いています。

国立新美術館へのアクセスは六本木駅からだと確実に迷います^^;
美術館に直結している乃木坂駅で下車した方が安全です。
by sknys (2019-07-01 22:53) 

しーちゃん

sknys さん、コメントありがとうございます。
クリムト展は豊田市美術館へ行く予定なんです。
奈良美智展の時に買った年間パスポートが8月末まで有効なので、クリムト展にも間に合うんですよ!!(3,000円でジャコメッティ展も見たし、リニューアルオープンコレクション展も見たし、なんておトクなんでしょう!) 東京都美術館よりは空いてるんじゃないかって期待もありますし。
今年は私好みの展覧会が多くて嬉しいです。

国立新美術館、前回は六本木駅からミュシャ展のポスターが続いていて、それをたどって行ったんですが、今回は改札が違ったのか、すっかり迷ってしまいました。結構距離ありますよね。次回は乃木坂駅にしよう!
by しーちゃん (2019-07-03 10:25) 

神奈川のしーちゃん

すっかり無沙汰してしまいました。
私、書き込むのが遅いので時間がかかって、つい面倒くさくなってブロブもあまり書かなかったり、旅行やコンサートに行ったので、良し書こう!と思ったらPCの調子が悪かったりで、あまりブログもアップできませんでした。
体調的には、あっちがガタ!こっちがピシ!ですが、頑張って仕事もしてます。
岐阜のしーちゃんは、積極的にあちこちの展覧会に行って、うらやまし~~

モローは、中学からの親友が大好きで、何回か見に行きました。
私の好きな古典SFで、バローズの金星シリーズの中で、表紙絵の一つに、モローの絵画の首が宙に浮いてるのをサロメが手を差し伸べているのとそっくりの絵がありました。
表紙絵を担当した武部本一郎画伯が、きっとモローファンだったのでしょうね。すごく印象に残ってます。

たま~に、ダンナが美術展の誘ってくれて、新国立美術館にも行きますが、方向音痴の私はついていくだけで、はぐれたら帰ってこれないかも・・・^^;

いつも読み逃げっぽくて申し訳ないですが、またいろいろ紹介してくださいね。。

by 神奈川のしーちゃん (2019-07-04 00:00) 

しーちゃん

神奈川のしーちゃん さん、ご無沙汰しております。そう、私も書くのに時間がかかって、なかなかブログの記事がアップできないんですよ。
モローの幻想的な絵、いろんなイメージが湧き出すようで好きです。
国立新美術館は展示室も広くて、充実した展覧会をやってますね。
あちこち行っても、なかなかブログ記事にまとめられないことが多いんですが、お暇な時にまた見に来てくださいね。

by しーちゃん (2019-07-06 11:40) 

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