豊田市美術館「世界を開くのは誰だ?」展 [美術]
やっと5月に行った「ギュスターヴ・モロー展」の記事が書けました。
6月もいくつか展覧会に行ったし、ダンナの仕事の関係で
東京、それも渋谷(!)まで行ったりと、結構リア充(?)してたんですが、
ブログはおろかツイッターも投稿できてない‥‥
さて、どの展覧会のことを書こうかなぁ‥‥迷いますが
6月23日(日)に行った
豊田市美術館リニューアルオープン記念コレクション展
世界を開くのは誰だ?
WHO OPENS UP THE WORLD?
昨年7月から今年5月末まで改修工事のため休館していた
豊田市美術館が6月1日(土)リニューアルオープンする記念の展覧会。
チラシの折り方が変わっててセンスいい!
6月1日(土)、2日(日)は全館無料だとか
(そもそもこの展覧会、観覧料300円という安さ!)
「お庭でマルシェ」というイベントが行われたりと、
ツイッターで楽しそうな様子が流れてきて、
わー楽しそう、行かなくちゃと思ってたんですが、
会期が6月30日(日)までと、1ヶ月しかなくて、
気が付いたら、後1週間しかない!
この日曜日こそ行こうと思ってたのに、
私のことなので、午前中はダラダラしちゃって、
1時過ぎにやっと車で出発。途中PAで休憩して、
豊田市美術館に着いたのは3時過ぎー。
キャンバスらしき荷物を持った人たちが歩いてくるのに出会いました。
ギャラリーでの展示の搬出だったんでしょうか。
1階の受付で年間パスポートを見せて、観覧整理券をもらいます。
私、奈良美智展を見に行った時(2017年9月21日)に
3,000円で年間パスポート買ったら、
休館のため期限が今年2019年8月末までと伸びて、
ジャコメッティ展も、ブリューゲル展も見れて、それだけでも
オトクなのに、次回のクリムト展も間に合いそうなんですよ!
なんてオトクなんでしょう!!
1階の展示室に入ると、第1章「身体」を開く
身体をテーマとした作品が並んでいます。
(豊田市美術館のコレクション展、写真撮影可に気が付いて、
これらの写真はもう一度展示室に戻って撮りました)
最初の作品が
塩田 千春《不在との対話》2009年
白いドレスから下がっている赤い糸が血のようにも見えて、
インパクトあります。
壁にかかっているのは
加藤 泉《無題》2006年
いきなりスゴくて、嬉しくなっちゃいますが、
次へ進むと、豊田市美術館の名品がズラリ!
テンションあがっちゃいます。
安田 靫彦《波上燄灮》1942年 (左) と
横山 大観《達磨》1907年(左)
左より(写真ではわかりにくくてスミマセン)
メダルド・ロッソ《門番女》1883-84年
オスカー・ココシュカ《絵筆を持つ自画像》1914年
エゴン・シーレ《カール・グリュンヴァルトの肖像》1917年
梅原 龍三郎《少女アニーン》1908年
藤田 嗣治《美しいスペイン女》1949年
国吉 康雄《花飾りをつけた女》1932年
左より
エドヴァルト・ムンク《魅惑》1896年
エドヴァルト・ムンク《接吻》1895年
ジェームズ・アンソール《愛の園》1888年
熊谷 守一《裸婦》1961年
熊谷 守一《裸婦》1960年(寄託)
岸田劉生《横臥裸婦》1913年
ミケランジェロ・ピストレット《窃視者 (M・ピストレットとV・ピサーニ)》1962,72年
二人の人物(右は作者自身の自画像だそう)以外はステンレスの鏡に
なっているので、周囲の空間が写り込んでいます。
絵を見ると、鑑賞する自分が写るので、
絵に描かれている二人に見られているような気になります。
高松 次郎《赤ん坊の影 No.122》1965年
中央の彫刻が
アルベルト・ジャコメッティ《ディエゴの胸像》1954年
奥左 フランシス・ベーコン《スフィンクス》1953年
奥右に、森 千裕の4枚の絵のうち2枚が写っています
上が《Toothache(サイン)》2012年(寄託)
下が《Headache(ナイン)》2012年(寄託)
全て白い(グレイ?)の画面に見えるこの4作品、
手前3点が
ローマン・オパルカ《オパルカ 1965/1-∞》
1965年から黒いキャンバスに白い絵具で1から数字を描いていく絵画を
描き始め、次第にキャンパスの地は白くなっていったと。
数字?かどうか判読しかねるんですが、
一番グレイの濃い手前が 《ディテイル 2601104-2626001》1977年
真ん中が《3395602-3411010》1981年
ほとんど白いキャンバスにしか見えないのが
《ディテイル 4968512-4988005》1994年
数字を描くのは一日も休まなかったそうで、まぁ‥‥飽きもせずというか。
ローマン・オパルカさん、2011年に79歳で亡くなったそう。
その奥が、豊田市美術館が誇る 草間 彌生《No.AB.》1959年
国立新美術館「草間彌生 わが永遠の魂」展 にも出品されてたなー。
豊田市美術館「蜘蛛の糸」展 を見に行った時、
「作品をゆっくり読みとくギャラリートーク」ってイベントで
この作品を取り上げていて、キャンバスを黒で塗りつぶして、
それから薄い白を塗り、無数の白い網目を描いていったと聞きました。
石原 友明《I.S.M.(H)》1989年
表面が継ぎ合わされた革でできているぬいぐるみのような立体作品
人が抱き合っているようにも見えてきます。
後ろの長谷川 繁の絵《タイトル無し》1998年 と、
なんかシンクロ(?)しているようにも見えてきます。
左奥に、会田誠の《あぜ道》1991年 が見えてます。
その右側にあるのはなんと、
サルバドール・ダリ《皿のない二つの目玉焼きを背に乗せ、
ポルトガルパンのかけらを犯そうとしている平凡なフランスパン》1932年
そのあたりから 第2章「日常」を開く
自然や日常を構成しているモノをテーマとした作品が展示されています。
日高 理恵子《樹を見上げてⅠ》1989年
日高 理恵子《樹を見上げてⅡ》1989年
樹を下から撮影したモノクロ写真みたいに見えるんですが、
日本画の岩絵具で丹念に描かれているんです。
奥の壁に掛かっているのは、丸山 直文《appear》2008年
名古屋市美術館「モネ それからの100年」展 で、
モネの絵に影響を受けた現代アートとして丸山直文の絵が
展示されていましたっけ。
右の壁に掛かっている3点は、中村一美
奥から《空木Ⅱ》1984年 《丹沢》1983年
手前が《赤紫鉱》1987年
奥の2点は抽象的表現だけど描かれているものがわかるけど、
手前の《赤紫鉱》は、タイトルも色の名前で‥‥?
左より
菱田 春草《春色》1905年
菱田 春草《鹿》1909年
徳岡 神泉《柳》1953年
菱田春草の鹿の描き込み、スゴイ!!
徳岡神泉の柳の枝と葉だけで構成された絵もなんかすごくいい雰囲気。
中村 彝《静物》1917年 (左)と、
速水 御舟《果物》1920年 (右)
日本画で西洋画のような質感を表現している御舟の絵、すごい。
堀 浩哉《池へ-81. 4》1981年
今回の展覧会で、この絵、すごく涼しげな雰囲気で気に入りました。
隣には、李 禹煥《風と共に》1987年
こちらもなんか爽やかな風が吹いてくるみたいな雰囲気がいいな。
椅子を展示しているコーナーがありました。
左側の絨毯の上の3脚には座ることができました。
(私は座りませんでしたが)
1階の展示室8を出て、展示室6・7では、
宮脇晴の油彩や宮脇綾子のアプリケが展示されていました。
その前のスペースで、ミヤギフトシの《花の名前》2015年
というヴィデオが流れていました。
ゴージャスな衣装と金髪の女性が歌っている場面を見ましたが、
20分のヴィデオってことで、全部見るのはあきらめました。
(チラシ中面右下に画像あります)
2階の展示室へ行くと、第3章「歴史・記憶・社会」を開く
日常において打ち捨てられたものや目を向けてこなかった出来事、
時代が抱える問題などを取り上げた
「アルテ・ポーヴェラ(貧しい美術)」
と呼ばれる作品が展示されています。
広い空間にあったのが
マリオ・メルツ《廃棄される新聞、自然、蝸牛の体のうちに、
空間の力として継起する螺旋がある》1979年
ネオンの数字が1、1、2、3、5、8、13、21、34、55となっていて、
部屋にあった解説によると、これはフィボナッチ数列だそう。
フィボナッチ数は自然界の現象に数多く出現、
螺旋にも関係する数字だそうですね。
3階から見下ろした作品
布に書かれたメッセージが読めれば、もっと作品が理解できたかな?
ギリシャ彫刻(?の石膏コピー)とぼろ布が対比しています。
ミケランジェロ・ピストレット《ぼろぎれのヴィーナス》1967年
1階で展示されていた鏡の絵《窃視者》の作家なんですね。
“美”の代表ともいえるヴィーナスと、ゴミ‥‥とまではいかないのかな?
猥雑な生活を象徴している? ぼろぎれの対比。
階段を上がって3階から館内を見下ろす
小部屋の展示室2には、部屋いっぱいに
木組みの構造物が傾いています。
側面のスクリーンには、チラシのメインビジュアルにもなっている
加藤 翼《Break it before it’s Broken》2015年
大きな建造物を大勢で引き倒す様子が映されています。
‥‥うーん、なんかこれ危なくない??なんて印象を持っちゃったんですが。
ビデオの見せ方とかセンスいいなって。
加藤 翼、「蜘蛛の糸」展で見た、東日本大震災の被災地で、
大勢の人がロープをひっぱって巨大な建造物を引き起こす映像作品が
良かった。
ワシントン条約で取引が禁止されている希少動物の皮を使った
ランドセルが壁に並んでいます。
あら、これ、村上隆の作品だったんだ!
村上 隆《R. P. (ランドセル・プロジェクト)》1991年
Chim↑Pom《BLACK OF DEATH 2013》というビデオ、
なんでこのカラスの群れはずっと追ってくるの? って不思議に思って
見ていたら、バイクに乗った人物がカラスの死骸(? 模型?)を持って
走ってるんだ。カラスたちは仲間を助けようとしている?
東日本大震災で壊れた街や大阪万博の太陽の塔などが映り、
カラスの鳴き声が不吉に響いて、心がざわざわしました。
豊田の街が見える通路を通って展示室4へ行くと、
第4章「まだ見ぬ世界」を開く
「具体的な物事を絵画や彫刻よって再現するという、
これまで何世紀にもわたって当たり前のようにおこなわれてきた
制作方法に異議を申し立てるアーティストたち」が、
「まだ見ぬ何か」を求めて制作した作品。
とてもシンプルな絵が並んだ展示室。素敵!
左より、ピンクの画面に穴が開いてます。
ルーチョ・フォンターナ《空間概念》1962年
緑色の作品も同じく
ルーチョ・フォンターナ《空間概念》1962年(寄託作品だそう)
中央の立体作品も
ルーチョ・フォンターナ《空間概念 N3》1959-60年
溶けた赤いプラスチックが貼り付けられています
アルベルト・ブッリ《赤 プラスチック》1964年
写真では何か描かれているようにも見えるんですが、映り込みで、画面は一面の青一色!
イヴ・クライン《モノクローム IKB 65》1960年
白と赤のストライプ
ダニエル・ビュレン《無題》1970年
展示室の反対側はモノトーンの世界で、こちら側も素敵!
左より
画面の中央に襞がよってます
ピエロ・マンゾーニ《無色》1958/59年
タイトル通り、布と紐で梱包されています。
クリスト《梱包》1961年
3枚の風合いの違う布が貼られている
ブリンキー・パレルモ《無題》1970年
黒く塗られた▼と、鏡の▽
ブリンキー・パレルモ《無題 (セロニアス・モンクに捧げる)》1973年
そして、私これ気に入ったんですが
ギュンター・ユッカー《変動する白の場》1965年
白い画面に打たれた白い釘が柔らかな陰影を作り出していて、
繊細に表情が変わって素敵。
諏訪 直樹《THE ALPHA AND THE OMEGA F-1》1978年
単純な赤・緑・白の色面ではなくて、
それぞれ別の色の上に点描で色がのせられています。
形の分割も、色も、システマチックな法則でできているそうです。
イミ・クネーベル《規格 I B 1-B 4》1994年
赤・青・白・黄‥‥
佐藤 克久
それぞれにキャプションが2つずつ付けられているので、
聞くと、■の中の〇にカラフルな格子が描かれているのが
《みすます》という作品で、それに
左は《ありあり》という作品が、
右は《ちらほら》という作品が組み合わされているそう。
隣の壁面に展示された4点も、
佐藤 克久の《空空枠枠》という作品(作家蔵)
‥‥うーん、なんだろう?? 幼稚園の工作みたいな(失礼^^;>
最後の展示室、暗幕をめくって入ると、暗い部屋の中で
ドラマチックなライティングに照らされていたのが、
ライアン・ガンダー《おかあさんに心配しないでといって(6)》2013年
タイトルからすると、布をかぶった子どもの彫刻?
昔、石膏デッサンで布とかビニールシートをかぶせたものを
描いたりしたなぁ、なんて思いながら見てました。
階段を降りた下には
佐藤 克久《はあ》2018年(作家蔵)
‥‥はあ、、
この展覧会、手持ちのスマートフォンで、
音声ガイドを聴くことができるとのことでした。
(私はスマホのイヤホンを持ってないので試しませんでしたが)
豊田市美術館: https://www.museum.toyota.aichi.jp/ の、
ウェブサイト「コレクション」のページで、
https://www.museum.toyota.aichi.jp/collection/
音声ガイドが付けられている作品もあって、
パソコンで聴くことができて、この記事を書くのに
とても参考になりました。素敵な試みですね!
展示室5は、閉鎖されていました。
修復記念特別公開「よみがえる織田信長像」の展示は
16日(日)までだったんだ。残念‥‥
教科書で見た織田信長像、豊田市の長興寺が所蔵してるんですね。
「重要文化財 紙本著色織田信長像」
2016年度の修復に合わせて行った調査で明らかになった事実などを展示していたそう。
しかし、リニューアルっても、私の見た目では
どこが変わったのかよくわかりませんでしたが
素敵な雰囲気が変わってなくて、安心したというか。
ダニエル・ビュレン《色の浮遊│3つの破裂した小屋 》2003年
高橋節郎館の前庭
閉館時間(17:30)が迫っていたので、高橋節郎館は入りませんでした。
ヘンリー・ムア《坐る女:細い首》1961年
さぁ、7月23日(火)からクリムト展が始まります! 楽しみ!!
豊田市美術館: https://www.museum.toyota.aichi.jp/
--過去記事--
豊田市美術館「ブリューゲル展」
https://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2018-06-06
豊田市美術館「コレクション:閉じる、開く、また閉じる。」他
https://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2018-06-10
豊田市美術館「蜘蛛の糸」展
https://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2017-01-15
6月もいくつか展覧会に行ったし、ダンナの仕事の関係で
東京、それも渋谷(!)まで行ったりと、結構リア充(?)してたんですが、
ブログはおろかツイッターも投稿できてない‥‥
さて、どの展覧会のことを書こうかなぁ‥‥迷いますが
6月23日(日)に行った
豊田市美術館リニューアルオープン記念コレクション展
世界を開くのは誰だ?
WHO OPENS UP THE WORLD?
昨年7月から今年5月末まで改修工事のため休館していた
豊田市美術館が6月1日(土)リニューアルオープンする記念の展覧会。
チラシの折り方が変わっててセンスいい!
6月1日(土)、2日(日)は全館無料だとか
(そもそもこの展覧会、観覧料300円という安さ!)
「お庭でマルシェ」というイベントが行われたりと、
ツイッターで楽しそうな様子が流れてきて、
わー楽しそう、行かなくちゃと思ってたんですが、
会期が6月30日(日)までと、1ヶ月しかなくて、
気が付いたら、後1週間しかない!
この日曜日こそ行こうと思ってたのに、
私のことなので、午前中はダラダラしちゃって、
1時過ぎにやっと車で出発。途中PAで休憩して、
豊田市美術館に着いたのは3時過ぎー。
キャンバスらしき荷物を持った人たちが歩いてくるのに出会いました。
ギャラリーでの展示の搬出だったんでしょうか。
1階の受付で年間パスポートを見せて、観覧整理券をもらいます。
私、奈良美智展を見に行った時(2017年9月21日)に
3,000円で年間パスポート買ったら、
休館のため期限が今年2019年8月末までと伸びて、
ジャコメッティ展も、ブリューゲル展も見れて、それだけでも
オトクなのに、次回のクリムト展も間に合いそうなんですよ!
なんてオトクなんでしょう!!
1階の展示室に入ると、第1章「身体」を開く
身体をテーマとした作品が並んでいます。
(豊田市美術館のコレクション展、写真撮影可に気が付いて、
これらの写真はもう一度展示室に戻って撮りました)
最初の作品が
塩田 千春《不在との対話》2009年
白いドレスから下がっている赤い糸が血のようにも見えて、
インパクトあります。
壁にかかっているのは
加藤 泉《無題》2006年
いきなりスゴくて、嬉しくなっちゃいますが、
次へ進むと、豊田市美術館の名品がズラリ!
テンションあがっちゃいます。
安田 靫彦《波上燄灮》1942年 (左) と
横山 大観《達磨》1907年(左)
左より(写真ではわかりにくくてスミマセン)
メダルド・ロッソ《門番女》1883-84年
オスカー・ココシュカ《絵筆を持つ自画像》1914年
エゴン・シーレ《カール・グリュンヴァルトの肖像》1917年
梅原 龍三郎《少女アニーン》1908年
藤田 嗣治《美しいスペイン女》1949年
国吉 康雄《花飾りをつけた女》1932年
左より
エドヴァルト・ムンク《魅惑》1896年
エドヴァルト・ムンク《接吻》1895年
ジェームズ・アンソール《愛の園》1888年
熊谷 守一《裸婦》1961年
熊谷 守一《裸婦》1960年(寄託)
岸田劉生《横臥裸婦》1913年
ミケランジェロ・ピストレット《窃視者 (M・ピストレットとV・ピサーニ)》1962,72年
二人の人物(右は作者自身の自画像だそう)以外はステンレスの鏡に
なっているので、周囲の空間が写り込んでいます。
絵を見ると、鑑賞する自分が写るので、
絵に描かれている二人に見られているような気になります。
高松 次郎《赤ん坊の影 No.122》1965年
中央の彫刻が
アルベルト・ジャコメッティ《ディエゴの胸像》1954年
奥左 フランシス・ベーコン《スフィンクス》1953年
奥右に、森 千裕の4枚の絵のうち2枚が写っています
上が《Toothache(サイン)》2012年(寄託)
下が《Headache(ナイン)》2012年(寄託)
全て白い(グレイ?)の画面に見えるこの4作品、
手前3点が
ローマン・オパルカ《オパルカ 1965/1-∞》
1965年から黒いキャンバスに白い絵具で1から数字を描いていく絵画を
描き始め、次第にキャンパスの地は白くなっていったと。
数字?かどうか判読しかねるんですが、
一番グレイの濃い手前が 《ディテイル 2601104-2626001》1977年
真ん中が《3395602-3411010》1981年
ほとんど白いキャンバスにしか見えないのが
《ディテイル 4968512-4988005》1994年
数字を描くのは一日も休まなかったそうで、まぁ‥‥飽きもせずというか。
ローマン・オパルカさん、2011年に79歳で亡くなったそう。
その奥が、豊田市美術館が誇る 草間 彌生《No.AB.》1959年
国立新美術館「草間彌生 わが永遠の魂」展 にも出品されてたなー。
豊田市美術館「蜘蛛の糸」展 を見に行った時、
「作品をゆっくり読みとくギャラリートーク」ってイベントで
この作品を取り上げていて、キャンバスを黒で塗りつぶして、
それから薄い白を塗り、無数の白い網目を描いていったと聞きました。
石原 友明《I.S.M.(H)》1989年
表面が継ぎ合わされた革でできているぬいぐるみのような立体作品
人が抱き合っているようにも見えてきます。
後ろの長谷川 繁の絵《タイトル無し》1998年 と、
なんかシンクロ(?)しているようにも見えてきます。
左奥に、会田誠の《あぜ道》1991年 が見えてます。
その右側にあるのはなんと、
サルバドール・ダリ《皿のない二つの目玉焼きを背に乗せ、
ポルトガルパンのかけらを犯そうとしている平凡なフランスパン》1932年
そのあたりから 第2章「日常」を開く
自然や日常を構成しているモノをテーマとした作品が展示されています。
日高 理恵子《樹を見上げてⅠ》1989年
日高 理恵子《樹を見上げてⅡ》1989年
樹を下から撮影したモノクロ写真みたいに見えるんですが、
日本画の岩絵具で丹念に描かれているんです。
奥の壁に掛かっているのは、丸山 直文《appear》2008年
名古屋市美術館「モネ それからの100年」展 で、
モネの絵に影響を受けた現代アートとして丸山直文の絵が
展示されていましたっけ。
右の壁に掛かっている3点は、中村一美
奥から《空木Ⅱ》1984年 《丹沢》1983年
手前が《赤紫鉱》1987年
奥の2点は抽象的表現だけど描かれているものがわかるけど、
手前の《赤紫鉱》は、タイトルも色の名前で‥‥?
左より
菱田 春草《春色》1905年
菱田 春草《鹿》1909年
徳岡 神泉《柳》1953年
菱田春草の鹿の描き込み、スゴイ!!
徳岡神泉の柳の枝と葉だけで構成された絵もなんかすごくいい雰囲気。
中村 彝《静物》1917年 (左)と、
速水 御舟《果物》1920年 (右)
日本画で西洋画のような質感を表現している御舟の絵、すごい。
堀 浩哉《池へ-81. 4》1981年
今回の展覧会で、この絵、すごく涼しげな雰囲気で気に入りました。
隣には、李 禹煥《風と共に》1987年
こちらもなんか爽やかな風が吹いてくるみたいな雰囲気がいいな。
椅子を展示しているコーナーがありました。
左側の絨毯の上の3脚には座ることができました。
(私は座りませんでしたが)
1階の展示室8を出て、展示室6・7では、
宮脇晴の油彩や宮脇綾子のアプリケが展示されていました。
その前のスペースで、ミヤギフトシの《花の名前》2015年
というヴィデオが流れていました。
ゴージャスな衣装と金髪の女性が歌っている場面を見ましたが、
20分のヴィデオってことで、全部見るのはあきらめました。
(チラシ中面右下に画像あります)
2階の展示室へ行くと、第3章「歴史・記憶・社会」を開く
日常において打ち捨てられたものや目を向けてこなかった出来事、
時代が抱える問題などを取り上げた
「アルテ・ポーヴェラ(貧しい美術)」
と呼ばれる作品が展示されています。
広い空間にあったのが
マリオ・メルツ《廃棄される新聞、自然、蝸牛の体のうちに、
空間の力として継起する螺旋がある》1979年
ネオンの数字が1、1、2、3、5、8、13、21、34、55となっていて、
部屋にあった解説によると、これはフィボナッチ数列だそう。
フィボナッチ数は自然界の現象に数多く出現、
螺旋にも関係する数字だそうですね。
3階から見下ろした作品
布に書かれたメッセージが読めれば、もっと作品が理解できたかな?
ギリシャ彫刻(?の石膏コピー)とぼろ布が対比しています。
ミケランジェロ・ピストレット《ぼろぎれのヴィーナス》1967年
1階で展示されていた鏡の絵《窃視者》の作家なんですね。
“美”の代表ともいえるヴィーナスと、ゴミ‥‥とまではいかないのかな?
猥雑な生活を象徴している? ぼろぎれの対比。
階段を上がって3階から館内を見下ろす
小部屋の展示室2には、部屋いっぱいに
木組みの構造物が傾いています。
側面のスクリーンには、チラシのメインビジュアルにもなっている
加藤 翼《Break it before it’s Broken》2015年
大きな建造物を大勢で引き倒す様子が映されています。
‥‥うーん、なんかこれ危なくない??なんて印象を持っちゃったんですが。
ビデオの見せ方とかセンスいいなって。
加藤 翼、「蜘蛛の糸」展で見た、東日本大震災の被災地で、
大勢の人がロープをひっぱって巨大な建造物を引き起こす映像作品が
良かった。
ワシントン条約で取引が禁止されている希少動物の皮を使った
ランドセルが壁に並んでいます。
あら、これ、村上隆の作品だったんだ!
村上 隆《R. P. (ランドセル・プロジェクト)》1991年
Chim↑Pom《BLACK OF DEATH 2013》というビデオ、
なんでこのカラスの群れはずっと追ってくるの? って不思議に思って
見ていたら、バイクに乗った人物がカラスの死骸(? 模型?)を持って
走ってるんだ。カラスたちは仲間を助けようとしている?
東日本大震災で壊れた街や大阪万博の太陽の塔などが映り、
カラスの鳴き声が不吉に響いて、心がざわざわしました。
豊田の街が見える通路を通って展示室4へ行くと、
第4章「まだ見ぬ世界」を開く
「具体的な物事を絵画や彫刻よって再現するという、
これまで何世紀にもわたって当たり前のようにおこなわれてきた
制作方法に異議を申し立てるアーティストたち」が、
「まだ見ぬ何か」を求めて制作した作品。
とてもシンプルな絵が並んだ展示室。素敵!
左より、ピンクの画面に穴が開いてます。
ルーチョ・フォンターナ《空間概念》1962年
緑色の作品も同じく
ルーチョ・フォンターナ《空間概念》1962年(寄託作品だそう)
中央の立体作品も
ルーチョ・フォンターナ《空間概念 N3》1959-60年
溶けた赤いプラスチックが貼り付けられています
アルベルト・ブッリ《赤 プラスチック》1964年
写真では何か描かれているようにも見えるんですが、映り込みで、画面は一面の青一色!
イヴ・クライン《モノクローム IKB 65》1960年
白と赤のストライプ
ダニエル・ビュレン《無題》1970年
展示室の反対側はモノトーンの世界で、こちら側も素敵!
左より
画面の中央に襞がよってます
ピエロ・マンゾーニ《無色》1958/59年
タイトル通り、布と紐で梱包されています。
クリスト《梱包》1961年
3枚の風合いの違う布が貼られている
ブリンキー・パレルモ《無題》1970年
黒く塗られた▼と、鏡の▽
ブリンキー・パレルモ《無題 (セロニアス・モンクに捧げる)》1973年
そして、私これ気に入ったんですが
ギュンター・ユッカー《変動する白の場》1965年
白い画面に打たれた白い釘が柔らかな陰影を作り出していて、
繊細に表情が変わって素敵。
諏訪 直樹《THE ALPHA AND THE OMEGA F-1》1978年
単純な赤・緑・白の色面ではなくて、
それぞれ別の色の上に点描で色がのせられています。
形の分割も、色も、システマチックな法則でできているそうです。
イミ・クネーベル《規格 I B 1-B 4》1994年
赤・青・白・黄‥‥
佐藤 克久
それぞれにキャプションが2つずつ付けられているので、
聞くと、■の中の〇にカラフルな格子が描かれているのが
《みすます》という作品で、それに
左は《ありあり》という作品が、
右は《ちらほら》という作品が組み合わされているそう。
隣の壁面に展示された4点も、
佐藤 克久の《空空枠枠》という作品(作家蔵)
‥‥うーん、なんだろう?? 幼稚園の工作みたいな(失礼^^;>
最後の展示室、暗幕をめくって入ると、暗い部屋の中で
ドラマチックなライティングに照らされていたのが、
ライアン・ガンダー《おかあさんに心配しないでといって(6)》2013年
タイトルからすると、布をかぶった子どもの彫刻?
昔、石膏デッサンで布とかビニールシートをかぶせたものを
描いたりしたなぁ、なんて思いながら見てました。
階段を降りた下には
佐藤 克久《はあ》2018年(作家蔵)
‥‥はあ、、
この展覧会、手持ちのスマートフォンで、
音声ガイドを聴くことができるとのことでした。
(私はスマホのイヤホンを持ってないので試しませんでしたが)
豊田市美術館: https://www.museum.toyota.aichi.jp/ の、
ウェブサイト「コレクション」のページで、
https://www.museum.toyota.aichi.jp/collection/
音声ガイドが付けられている作品もあって、
パソコンで聴くことができて、この記事を書くのに
とても参考になりました。素敵な試みですね!
展示室5は、閉鎖されていました。
修復記念特別公開「よみがえる織田信長像」の展示は
16日(日)までだったんだ。残念‥‥
教科書で見た織田信長像、豊田市の長興寺が所蔵してるんですね。
「重要文化財 紙本著色織田信長像」
2016年度の修復に合わせて行った調査で明らかになった事実などを展示していたそう。
しかし、リニューアルっても、私の見た目では
どこが変わったのかよくわかりませんでしたが
素敵な雰囲気が変わってなくて、安心したというか。
ダニエル・ビュレン《色の浮遊│3つの破裂した小屋 》2003年
高橋節郎館の前庭
閉館時間(17:30)が迫っていたので、高橋節郎館は入りませんでした。
ヘンリー・ムア《坐る女:細い首》1961年
さぁ、7月23日(火)からクリムト展が始まります! 楽しみ!!
豊田市美術館: https://www.museum.toyota.aichi.jp/
--過去記事--
豊田市美術館「ブリューゲル展」
https://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2018-06-06
豊田市美術館「コレクション:閉じる、開く、また閉じる。」他
https://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2018-06-10
豊田市美術館「蜘蛛の糸」展
https://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2017-01-15
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