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あいちトリエンナーレ2019 その1「表現の不自由展・その後」の中止 [美術]

あいちトリエンナーレ 2010年に初回が始まって、
現代美術にハマり、このブログにも感想を書いてますが、
毎回楽しみに見てるんです。

第4回目となる今回は、芸術監督が津田大介だけあって、
ジェンダー平等とか、開催前から話題になって、
さすがジャーナリストを選んだだけあるなって思ってました。

あいちトリエンナーレ 先行チラシ
ドアラバージョンと
AT2019(1).jpg

名古屋城バージョンがあります。
AT2019(2).jpg

裏面には2018年10月18日時点での参加アーティストが
AT2019(3).jpg

トリエンナーレ開催の1ヶ月程前、6月28日(金)のNHKラジオ第一「すっぴん!」で、
津田大介のインタビューがあって、
あちこちで展示拒否された作品を集めて展示しますって言ってたんですね。



私はあまり政治的な作品好きじゃないけど、街宣車が来ちゃう? 面白そう~って、
のんきにしてたんです。「アートなんだからー」みたいに考えてたんですね。

特別先行前売券(4月1日~30日)・前売券(5月1日~7月31日)の案内がある
2つ折りチラシ
AT2019(4).jpg

中面には2019年3月27日時点の参加アーティストが
AT2019(5).jpg

でも始まったら、「表現の不自由展・その後」の
慰安婦を象徴する像や昭和天皇の写真を燃やす映像作品が問題になって炎上。
抗議や脅迫電話が殺到して、わずか3日間で中止となりました。

ある程度の反発は予想していたし、それも「炎上商法」で
話題作りとしていいんじゃない? なんて、まだ余裕で
開幕を報じる新聞を見てたんです。中日新聞8月2日の記事
chunichi2019-8-2.jpg

ツイッターのTLがあいちトリエンナーレのことで騒がしいのも、
いろんな議論があっていいんじゃない? と。
でもツイッターで注意しなきゃいけないのは、自分のTLが
世間一般の意見じゃないってことですよね。
自分の好みの人をフォローしていくと、自分が気持ちいい
ツイートばかりになっていくわけですから。
以前、フォロー返しした人が、あまりに嫌韓ツイートがひどくて
フォローを外したんですが、その人のTLでは
罵詈雑言が飛び交っているんだろうなと。


そして「表現の不自由展・その後」の騒動。3日間のみの展示となったけど、
私は、3日間だけでも開催できたのは良かったんじゃないかって
思ってたんですよ。 問題となった
キム・ウンソン、キム・ソギョン夫妻の《平和の少女像》
写真で見る限り、少女の表情がいいし、肩の小鳥も可愛いし、
隣の椅子が空いているのもいろんなことを感じさせて、
とてもいい彫刻だと思うし、見たかったけど、
とても鑑賞できるような環境ではないですものね。
この少女像の何が「日本人の心を傷つけるもの」なのかわからないけど。

中日新聞8月4日の記事
chunichi2019-8-4.jpg

まぁ、クレームをつけた河村名古屋市長は、
南京大虐殺はなかったんじゃないかと言って
名古屋の姉妹都市である南京市から抗議されたり、
(現在も名古屋と南京市は友好姉妹都市関係にあります)

大阪府知事・吉村洋文氏は大阪市長時代、
サンフランシスコに慰安婦像が設置されるのに抗議して、
姉妹都市の解消をしたんだそうですね。
そりゃ河村市長や吉村府知事の心は傷つくでしょうが、
それを日本国民全員がそうだとは決めつけないでほしい。

そして、心が傷つくような不名誉な過去でも、
それを直視して反省することが大切なんじゃないですか?

戦争で心がすさんだ兵士たちの暴行は古今東西あることだし、
それはその兵士、ましてや日本人が下劣だから起こしたのではなく、
極限状態の下で人間の残虐な本性が出てしまったわけで。
だって、日常の生活なら殺人という行為は決して許されないのに、
戦争では殺人を強要され、それが賞賛されちゃうんですよ。
狂わない方がどうかしてますよね。

憎むべきなのは戦争なんです。
(だからと言って謝罪しなくてもいいわけではない)

《平和の少女像》を作ったキム・ウンソンとキム・ソギョン夫妻が制作した、
《ベトナム・ピエタ》とも呼ばれる韓国軍による民間人虐殺を謝罪した像が
済州島にあるんですってね。中日新聞8月9日夕刊より
chunichi2019-8-9.jpg

公道や公園へ設置したのならともかく、美術館の展示室だし、
嫌なら見なきゃいいのにって思うんですが。

この展示の騒動で、今の日本の表現の自由ってのがわかって、
この経緯が「表現の不自由展・その後」そのものなんじゃない?

もちろん私もどんな表現も自由だとは思いません。
「表現の不自由展・その後」の作品解説にも
表現の自由とは、民主主義や基本的人権の核心となる概念の一つです。本来は、権力への批判を、いつでも、どこでも、どのような方法でも、自由に行える権利を指します。
しかし現代において、その対象は為政者や権力者とは限りません。そのため、表現の自由は無制限に認められるわけではなく、他者の人権を損なう場合は調整が行われます。
と、しっかり表記してあります。

なので、展示拒否された作品を集めてみたので考えましょう。って
展示だったんですよね。

それがあの大炎上。脅迫電話。
「ガソリンをまく」という脅迫FAXを送った男は逮捕されましたが、
若い引きこもり男かって思ってたら59歳の会社員の男ですって?
社会経験も積んだと思われるいい大人が何やってんだろう? って。
ネトウヨは意外にも高学歴で、都市部に住むミドルクラス以上、
自営業者、40歳あたりの、余裕がある人が多い
という調査結果もあるそうですね。

そういう社会人として成熟した、金銭的に余裕のある人が
なぜ嫌韓・反中といった排外主義になるのか?

いわゆるネトウヨは、フェミニストやLGBT、生活保護者に対する
批判もしているようで、これって
「弱い(と思われる)者は強い者に逆らうな」みたいな感覚?

おとなしく男に従う女はカワイイけど、
権利を主張する女は生意気だ、みたいな?

自分より下だと思っている相手が反撃してくると
頭に血が上っちゃうのかなぁ?

これからの日本の中核になるだろうと思われる40歳のミドルクラスが
ネトウヨっぽいってのは、かなり危機感を持たないといけないのかもしれない。
今までの「現実に対する不満をネットで憂さ晴らししている社会不適合者」
って冷笑は危険かも。

でも、展示物を嫌いだって言うのは自由だけど、
暴力で中止させようとするのはダメでしょ?!

力で言うことを聞かせようってのがテロや戦争なんですよね。

しかし、対話が大事、必要っても、
ネトウヨは「うるせぇグダグダ言うなコロスぞ」って、
他人の言葉など聞こうとはしないだろうし。
自分の主張(はたして「自分の」なのか?)をただ大声で言うだけで。
信じたい情報のみを信じる、ってのはネトウヨに限らず、全ての人に
言えることかもしれません。

これだけ情報があふれている現代、自分に都合の悪いものは
「フェイクニュースだ」という大国の大統領もいますしね。

「表現の不自由展・その後」が、検閲でなく、主催者側の
安全に対する判断で中止されたことにより、
いわゆる「自主規制」「自粛」が、これからの日本で
どんどん増えていくんじゃないかって懸念はあります。

「表現の不自由展・その後」の中止を受け、
参加アーティスト達(8月20日時点で、海外アーティスト12組)が
展示中止に対する抗議の意で、作品の展示中止や変更をしています。

作家は作品を見てもらいたいと制作していると思うので、
(不特定多数に向けてか、ある特定のグループを対象としているかはあるだろうけど)
その作品を見せないというのは、かなりの決断なんでしょうが‥‥

「表現の不自由展・その後」の再開を主張してますが、
私は今の日本の状態でそれはどうかなと。
これだけ話題と議論になったから一定の効果はあったんじゃないかと。
(私の望む方向とはちょっと違うけど)

なによりこの
作品は展示中止となりました。
って掲示が現代アートなんじゃないですか?
2019-8-27-(107).jpg

そして、作品の変更も、現代アートとしてまた別の感慨があります。
A04 レジーナ・ホセ・ガリンドの、名古屋在住のラテン系外国人労働者たちの
パーティの様子を記録した映像作品(まぁ、私8月4日に見たんですけど、
これならNHKのドキュメンタリーとかの方がわかりやすくていいんじゃない?
くらいの感想ではありました)は、
上映が中止され、撮影時に使用した小道具が散乱しています。
2019-8-27-(78).jpg

‥‥展示中止はやめてほしい。

A06 ウーゴ・ロンディノーネ《孤独のボキャブラリー》の部屋で
子供連れの来場者がピエロと一緒に記念撮影しているような
和やかな雰囲気を壊したくないです。
(この作品が展示中止にならなくて本当に良かった)
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ウーゴ・ロンディノーネの作品をイメージに使った現在の4つ折りチラシ

以上、政治には疎い、軟弱な現代アートファンなので、
今回のあいちトリエンナーレもカメラ持って見て回り、
ブログに書くのを楽しみにしていたんですが、
今回はまず、この「表現の不自由展・その後」の中止問題を
書いておかなくてはならないだろうと。
慣れないことなので、ずいぶん時間がかかってしまいました。

あいちトリエンナーレ2019、
8月4日(日)愛知芸術文化センター、
18日(日)愛知芸術文化センターと四間道・円頓寺、
25日(日)豊田市美術館と豊田市駅周辺、
27日(火)名古屋市美術館と愛知芸術文化センター
と、カメラを持って楽しく見て廻りました。
まだ少し見逃している作品があるし、何度も見るとまた違う感想もあるので、
会期末の10月14日(月・祝)まで楽しみます!

もちろんブログ書くのは楽しみなので、
前回同様、今回もしつこく書こうと思ってますー


あいちトリエンナーレ公式webサイト: https://aichitriennale.jp/

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あいちトリエンナーレ 私の過去記事

あいちトリエンナーレ2010 https://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2010-10-10
その2 長者町会場 https://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2010-10-12
その3 名古屋市美術館 https://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2010-10-21
その4 納屋橋会場他 https://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2010-10-23

あいちトリエンナーレ2013
展示第一号「昭和時代階段」 http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2013-06-02
(1) 愛知芸術文化センター その1 http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2013-09-04
(2) 愛知芸術文化センター その2 http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2013-09-06
(3) 岡崎エリア その1 http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2013-09-10
(4) 岡崎エリア その2 http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2013-09-11
(5) 納屋橋エリア http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2013-09-15
(6) 白川公園エリア http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2013-09-24
(7) 長者町エリア その1 http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2013-09-28
(8) 長者町エリア その2 http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2013-09-29

あいちトリエンナーレ2016
(1) 愛知芸術文化センター10階 http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2016-09-04
(2) 愛知芸術文化センター8階 http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2016-09-05
(3) 岡崎エリアその1 http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2016-09-16
(4) 岡崎エリアその2 http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2016-09-17
(5) 名古屋市美術館・長者町 http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2016-09-19
(6) 豊橋エリアその1 PLAT会場他 http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2016-10-04
(7) 豊橋エリアその2 開発ビル他 https://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2016-10-09
(8) 名古屋駅・旧明治屋栄ビル他 https://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2016-10-12
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sknys

どのような作品であっても、展示された作品を観てから批評すべきです。
政治的な圧力や暴力的な脅迫にビビって中止するなんて、
そもそも腰が引けていませんか。

その一方で、真の芸術は同時代人には理解されないのではないかと思う。
19世紀人にはゴッホの絵の価値が分からなかったし、
ロンドン・タイムズ紙はジョン・エヴァレット・ミレイの〈オフィーリア〉を「雑草だらけの溝」の中で横たわっているように見えると腐し、
クリムトの〈天井画〉もウィーン大学の教授たちから激しく批判された。

鑑賞者を挑発し、不愉快にさせるアートもある。
ムンクやフランシス・ベーコンの絵画は不安や不快感を引き起こすし、
マシュー・バーニーのパフォーマンスは変態的で、
ダミアン・ハーストのホルマリン漬けされた水槽の動物も気味悪い。

上に立つ人(為政者や権力者)たちが「芸術オンチ」なのも致命的‥‥
名古屋市長にマルセル・デュシャンの〈泉〉や〈L.H.O.O.Q.〉を見せたら、
何と言うでしょうか?
by sknys (2019-08-28 22:33) 

しーちゃん

sknys さん、コメントありがとうございます。
ハハハ、河村名古屋市長がデュシャンの〈泉〉を見たら?
「こんなもの美術館に置いたらイカンわ」と、撤去を要請しそう。
これは有名な美術作品でものすごい価値があるんですと言われたら、あわて取り消す?

まぁ、私もあの作品を見てこれのどこがアート?って思っちゃうクチなので、
あまり批判はできませんが、撤去しろとは言いません。

警備や抗議電話に対する準備はそれなりにしたそうですが、
読みが甘かったと言われてもしょうがないですが、
ガソリンをまくとか、職員を殺害するとかってテロ予告や、
会場で騒ぐ人も押しかけていたそうで、
中止はやむを得ない措置だったのかなと思います。

私もここまで嫌韓とか日本の状態が酷いとは思ってなかったので、
ちょっとショックです。

後年、この騒動はどのように評価されるか?
あれが日本の表現の自由が規制されていった初期の出来事だった
ってならないといいんですけど‥‥
by しーちゃん (2019-08-29 14:14) 

hagemaizo

しーちゃんさん、記事ありがとうございます。
キム・ウンソンとキム・ソギョン夫妻の《ベトナム・ピエタ》があることを初めて知りました、本物の現代アート作家なのですね。
by hagemaizo (2019-08-29 18:00) 

しーちゃん

hagemaizo さん、nice! & コメントありがとうございます。
私も中日新聞の記事で初めて知りました(だいたい彫刻家の名前も知りませんでしたので) この《平和の少女像》慰安婦を象徴する像としてあまりに有名になったのは、作品として良かったのかどうか? 写真で見る限り、私はいい彫刻だと思いましたけどね。
by しーちゃん (2019-08-30 10:47) 

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