豊田市美術館「コレクション展:絶対現在」 [美術]
豊田市美術館のコレクション展「絶対現在」のことを。
2021年12月12日(日)、豊田市美術館へ行って、
「ホー・ツーニェン 百鬼夜行」展を見ました。
「ホー・ツーニェン 百鬼夜行」展のことは前記事に書きましたが、
鑑賞に思ったより時間がかかって、コレクション展まで見ることが
できなかったんです。豊田市美術館のコレクション展はいつも
とてもいいので、翌週の19日(日)にまた、豊田市美術館まで行きました。
年間パスポート持ってて良かった!
展示室の最初に「問い」として展示されていたのは、
ジェームズ・リー・バイヤーズ《球形の本("Q Is Point")》1990年
大理石の球体に「QIS」と刻印され、丸い穴が開いています。
もらったギャラリーガイドによると、
「Q」は問いかけの「クエスチョン」を、「・」は「論点」、そして穴としての「無」を示している。作家は「『Q』の尻尾を取って『○』に、そして『○』を単なる『・』に略して、『Question』の象徴たる『・』をしっかり刻印した」と語っている。この白い球体は、なかなか答えの出ない問い、無、そして‘今ここ’に向き合うための、ひとつの標である。
えー? わかったようなわからないような‥‥
バイヤーズは、京都に10年間滞在した間に禅の思想を学んだそう。
次は「歴史/幽霊」
なんかボヤけた写真に文字が書き込んであるような作品は、
ウクライナ出身のボリス・ミハイロフ(1938- )
《イエスタディズ・サンドイッチ》の 5、7、12
冷戦時代に撮りためていたフィルムを後に2枚重ねて(=サンドイッチ)現像し、世界が東西に分かれていた時代を、郷愁とユーモアを込めて振り返る。
向かい合う壁に展示されていたのが
下道基行《trii》2006-12年
第二次世界大戦期、太平洋地域には千を超える鳥居が建てられたが、その多くは取り壊された。下道基行は、2006年から2012年にかけて、世界中にわずかに残る鳥居を撮影している。サハリンでは海に面して広がる草原の斜面にぽつりと、サイパンでは十字架の墓が居並ぶ墓地の向こうに不釣り合いに、台湾では公園で人々の憩いの場になって残っている。国家共同体と宗教のシンボルであった鳥居は、かつての意味を失い、風景や人々の生に溶け込んで時の流れを伝える。
‥‥これらの鳥居、妖怪になりそうだなーとか。
続いて「日常」
ダニエル・スペーリ《レストラン・シティ・ギャラリー》1965年
友人や知人を招いて手料理をふるまった際のテーブルを、そのまま固定して作品にした。
‥‥えー? 保存が大変そう(そこ?)
日々食事をし、人と語らうという何気ない一瞬が、ここに凝固している。
‥‥なんだかこじつけみたいだけどー(^^;
以前にもコレクション展で見て、
飽きもせずに毎日よく描いたもんだ、って感心した
ローマン・オパルカの作品3点や、
暗号パズルだったんかーい、って
アリギエロ・ボエッティ《ALIGHIERO BOETTI》1975年(右) や、
黒い台形のカンヴァスが9点並んでいるのは、
昨年1月に、
豊田市美術館コレクション展「作っているのは誰?」
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2021-02-02
で、初公開された 徳冨 満の作品。
それぞれに「My BLACK」「My BLUE」「My GREEN」「My ORANGE」
「My RED」「My VIOLET」「My WHITE」「My YELLOW」と
「MISTURU TOKUTOMI」と書かれています。
私の色は、他の人とは違う色なのかも?
そして「過去/未来」
豊田市美術館が所蔵する
河原温の「日付絵画」シリーズが、1か月分並んでいます。
その日のうちにその日の日付を描くというルールの下で制作されたそう。
なぜか《MAY 7,1971》だけ2枚ある
(サイズが少し違ってて上下に展示されてます)
中央のガラスケースには、
河原温《百万年・過去》と《百万年・未来》
過去では、制作年の前の100万年の西暦数字が、
未来では後の100万年の西暦が、1ページに500年ずつタイプされて、
10万年が1冊のバインダーに綴じられています。
過去偏は、「生き、そして死んだすべての者たちのために」と書かれたページで始まり(中略・未来偏は)「最後の一人のために」という献辞が添えられている。
気の遠くなるような時の流れ。人の一生のなんと短いことか‥‥
河原温の日付絵画
《MAY 29,1971 Todayシリーズ(1966-2013)より》
《MAY 30,1971 Todayシリーズ(1966-2013)より》
《MAY 31,1971 Todayシリーズ(1966-2013)より》
が並んだ壁の突き当りには、
ミケランジェロ・ピストレット《窃視者(M.ピストレットとV.ピサーニ)》
鏡(ステンレス)を使った作品で、歩いていくと、
自分の姿が作品に映って面白い。
「海/鏡」
《窃視者(M.ピストレットとV.ピサーニ)》の隣には、
高松次郎《赤ん坊の影 No.122》
杉本博司の写真が並んでいます
世界の始まりを思わせるような海の写真たち
ソフィ・カル《盲目の人々》No.2とNo.17 1986年
生まれつき目の見えない人に「あなたにとって
美しいものは何か」と問いかけた回答を、
テキストと写真のかたちで展示しているとのこと。
「瞑想/庭」
壁に李禹煥の作品が壁に並んでいます。
展示室の真ん中には庭石のように
ルーチョ・フォンターナ《空間概念 N3》1959-60年
カンヴァスを切り裂いた作品で知られるフォンターナ、
こんな彫刻作品も作っていたんだ。
《線より》が2点並んでるー
なんか禅寺の庭のような空間
もう一つの彫刻作品は、
ジュゼッペ・ペノーネ《解剖学 3》1993年
近づいて見ると、この作品、水が流れているんです!!
豊田市美術館の美しい展示室が、
禅の精神のような? 時とは何か、瞑想させるような
空間になっていて、とても素敵でした。
1階の展示室6には、豊田市美術館が誇る
クリムト《オイゲニア・プリマフェージの肖像》と
エゴン・シーレ《カール・グリュンヴァルトの肖像》が
並んでいました。
展示室7はいつもの(展示作品の入れ替えはありますが)
宮脇晴・愛子の作品
左はよく展示されていて、描写力に驚く
宮脇晴《自画像(17才)》1919年
右の《自画像》は1925年制作ってことは、23才?!
この後、レストランで「百鬼夜行」展のコンセプトデザート
「おまえの目玉」をいただいたことは前記事に。
2階の展示室5は「百鬼夜行」展に合わせて、
コレクションの中の、戦争や妖怪をイメージさせる絵が並んでるなと。
藤田嗣治の《キヤンボシヤ平原》1943年 がありましたし、
浜田知明《群盲》1960年
藤島武二の虎のスケッチなど
あ、ここにも川原温の「日付絵画」が! って見たら、
右側の作品《印刷絵画 No.2「いれずみ」》1958年 も
河原温!!
河井寛次郎《碧釉扁壺》1964年 は、
「百鬼夜行」展を見た後で見ると、なんだかユーモラスな
妖怪っぽい。後ろの壁の作品も妖怪みたいに見えちゃう(^^)
二曲一双屏風 横山大観《焚火》1914年
寒山拾得ですよね。彼らのような隠者も妖怪みたいなもの?
豊田市美術館、いつもとても素敵です。
----
豊田市美術館の七州城 隅櫓で、
とよたまちなか芸術祭の展示をやっているってことで、
帰る時に行ってみたんですが、17時で閉まるってことで、
もう5分もなかったのですが、
光岡幸一さんの作品
石がガタガタと動き出した時にはびっくりしました。
面白ーい!
ここを含む豊田市駅周辺の12会場にアートが展示されていたそう。
(喜楽亭の《旅館アポリア》は特別展示)
2021年12月12日(日)、豊田市美術館へ行って、
「ホー・ツーニェン 百鬼夜行」展を見ました。
「ホー・ツーニェン 百鬼夜行」展のことは前記事に書きましたが、
鑑賞に思ったより時間がかかって、コレクション展まで見ることが
できなかったんです。豊田市美術館のコレクション展はいつも
とてもいいので、翌週の19日(日)にまた、豊田市美術館まで行きました。
年間パスポート持ってて良かった!
展示室の最初に「問い」として展示されていたのは、
ジェームズ・リー・バイヤーズ《球形の本("Q Is Point")》1990年
大理石の球体に「QIS」と刻印され、丸い穴が開いています。
もらったギャラリーガイドによると、
「Q」は問いかけの「クエスチョン」を、「・」は「論点」、そして穴としての「無」を示している。作家は「『Q』の尻尾を取って『○』に、そして『○』を単なる『・』に略して、『Question』の象徴たる『・』をしっかり刻印した」と語っている。この白い球体は、なかなか答えの出ない問い、無、そして‘今ここ’に向き合うための、ひとつの標である。
えー? わかったようなわからないような‥‥
バイヤーズは、京都に10年間滞在した間に禅の思想を学んだそう。
次は「歴史/幽霊」
なんかボヤけた写真に文字が書き込んであるような作品は、
ウクライナ出身のボリス・ミハイロフ(1938- )
《イエスタディズ・サンドイッチ》の 5、7、12
冷戦時代に撮りためていたフィルムを後に2枚重ねて(=サンドイッチ)現像し、世界が東西に分かれていた時代を、郷愁とユーモアを込めて振り返る。
向かい合う壁に展示されていたのが
下道基行《trii》2006-12年
第二次世界大戦期、太平洋地域には千を超える鳥居が建てられたが、その多くは取り壊された。下道基行は、2006年から2012年にかけて、世界中にわずかに残る鳥居を撮影している。サハリンでは海に面して広がる草原の斜面にぽつりと、サイパンでは十字架の墓が居並ぶ墓地の向こうに不釣り合いに、台湾では公園で人々の憩いの場になって残っている。国家共同体と宗教のシンボルであった鳥居は、かつての意味を失い、風景や人々の生に溶け込んで時の流れを伝える。
‥‥これらの鳥居、妖怪になりそうだなーとか。
続いて「日常」
ダニエル・スペーリ《レストラン・シティ・ギャラリー》1965年
友人や知人を招いて手料理をふるまった際のテーブルを、そのまま固定して作品にした。
‥‥えー? 保存が大変そう(そこ?)
日々食事をし、人と語らうという何気ない一瞬が、ここに凝固している。
‥‥なんだかこじつけみたいだけどー(^^;
以前にもコレクション展で見て、
飽きもせずに毎日よく描いたもんだ、って感心した
ローマン・オパルカの作品3点や、
暗号パズルだったんかーい、って
アリギエロ・ボエッティ《ALIGHIERO BOETTI》1975年(右) や、
黒い台形のカンヴァスが9点並んでいるのは、
昨年1月に、
豊田市美術館コレクション展「作っているのは誰?」
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2021-02-02
で、初公開された 徳冨 満の作品。
それぞれに「My BLACK」「My BLUE」「My GREEN」「My ORANGE」
「My RED」「My VIOLET」「My WHITE」「My YELLOW」と
「MISTURU TOKUTOMI」と書かれています。
私の色は、他の人とは違う色なのかも?
そして「過去/未来」
豊田市美術館が所蔵する
河原温の「日付絵画」シリーズが、1か月分並んでいます。
その日のうちにその日の日付を描くというルールの下で制作されたそう。
なぜか《MAY 7,1971》だけ2枚ある
(サイズが少し違ってて上下に展示されてます)
中央のガラスケースには、
河原温《百万年・過去》と《百万年・未来》
過去では、制作年の前の100万年の西暦数字が、
未来では後の100万年の西暦が、1ページに500年ずつタイプされて、
10万年が1冊のバインダーに綴じられています。
過去偏は、「生き、そして死んだすべての者たちのために」と書かれたページで始まり(中略・未来偏は)「最後の一人のために」という献辞が添えられている。
気の遠くなるような時の流れ。人の一生のなんと短いことか‥‥
河原温の日付絵画
《MAY 29,1971 Todayシリーズ(1966-2013)より》
《MAY 30,1971 Todayシリーズ(1966-2013)より》
《MAY 31,1971 Todayシリーズ(1966-2013)より》
が並んだ壁の突き当りには、
ミケランジェロ・ピストレット《窃視者(M.ピストレットとV.ピサーニ)》
鏡(ステンレス)を使った作品で、歩いていくと、
自分の姿が作品に映って面白い。
「海/鏡」
《窃視者(M.ピストレットとV.ピサーニ)》の隣には、
高松次郎《赤ん坊の影 No.122》
杉本博司の写真が並んでいます
世界の始まりを思わせるような海の写真たち
ソフィ・カル《盲目の人々》No.2とNo.17 1986年
生まれつき目の見えない人に「あなたにとって
美しいものは何か」と問いかけた回答を、
テキストと写真のかたちで展示しているとのこと。
「瞑想/庭」
壁に李禹煥の作品が壁に並んでいます。
展示室の真ん中には庭石のように
ルーチョ・フォンターナ《空間概念 N3》1959-60年
カンヴァスを切り裂いた作品で知られるフォンターナ、
こんな彫刻作品も作っていたんだ。
《線より》が2点並んでるー
なんか禅寺の庭のような空間
もう一つの彫刻作品は、
ジュゼッペ・ペノーネ《解剖学 3》1993年
近づいて見ると、この作品、水が流れているんです!!
豊田市美術館の美しい展示室が、
禅の精神のような? 時とは何か、瞑想させるような
空間になっていて、とても素敵でした。
1階の展示室6には、豊田市美術館が誇る
クリムト《オイゲニア・プリマフェージの肖像》と
エゴン・シーレ《カール・グリュンヴァルトの肖像》が
並んでいました。
展示室7はいつもの(展示作品の入れ替えはありますが)
宮脇晴・愛子の作品
左はよく展示されていて、描写力に驚く
宮脇晴《自画像(17才)》1919年
右の《自画像》は1925年制作ってことは、23才?!
この後、レストランで「百鬼夜行」展のコンセプトデザート
「おまえの目玉」をいただいたことは前記事に。
2階の展示室5は「百鬼夜行」展に合わせて、
コレクションの中の、戦争や妖怪をイメージさせる絵が並んでるなと。
藤田嗣治の《キヤンボシヤ平原》1943年 がありましたし、
浜田知明《群盲》1960年
藤島武二の虎のスケッチなど
あ、ここにも川原温の「日付絵画」が! って見たら、
右側の作品《印刷絵画 No.2「いれずみ」》1958年 も
河原温!!
河井寛次郎《碧釉扁壺》1964年 は、
「百鬼夜行」展を見た後で見ると、なんだかユーモラスな
妖怪っぽい。後ろの壁の作品も妖怪みたいに見えちゃう(^^)
二曲一双屏風 横山大観《焚火》1914年
寒山拾得ですよね。彼らのような隠者も妖怪みたいなもの?
豊田市美術館、いつもとても素敵です。
----
豊田市美術館の七州城 隅櫓で、
とよたまちなか芸術祭の展示をやっているってことで、
帰る時に行ってみたんですが、17時で閉まるってことで、
もう5分もなかったのですが、
光岡幸一さんの作品
石がガタガタと動き出した時にはびっくりしました。
面白ーい!
ここを含む豊田市駅周辺の12会場にアートが展示されていたそう。
(喜楽亭の《旅館アポリア》は特別展示)
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