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岐阜県美術館「塔本シスコ展 シスコ・パラダイス」 [美術]

4月24日(日)、岐阜県美術館へ行きました。

「塔本シスコ展
 ススコ・パラダイス
 かかずにはいられない! 人生絵日記」をやっています。
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前日の4月23日(土)から始まったばかりの展覧会。
Eテレ「日曜美術館」でも放送(2022年2月20日)されましたし、
その前にアートシーンでも紹介されて(2021年10月3日)て、
岐阜県美術館に巡回してくる―!! と、楽しみにしていたんです。

塔本シスコ展
世田谷美術館で、2021年9月4日(土)~11月7日(日)
熊本市現代美術館で、2022年2月5日(土)~4月10日(日)
岐阜県美術館で、 2022年4月23日(土)~6月26日(日)
滋賀県立美術館で、2022年7月9日(土)~9月4日(日) に開催予定

ま、ホントは、閉幕が近い展覧会に行きたかったんですが、
夕方から自治会の予定があって遠出できなかったので、
岐阜県美術館なら近いからいいかーってこともあったんですけど(^▽^)

でも、展覧会は本当に良かった!! 思わず笑っちゃう程のパワー!!
最近忙しかったこともあって、ちょっと疲れてたんですが、
スゴイ、パワーをもらったカンジです。
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 塔本シスコは、 1913(大正2)年、現在の熊本県八代市に生まれました。 養父の傳八は、自身のサンフランシスコ行きの夢を託し、彼女をシスコと命名します。 次第に家業がかたむき、シスコは小学校を中退。 その後、奉公を重ね、 20歳で結婚し、一男一女を得ます。 46歳の年には、夫が急逝、心身ともに衰弱する日々から立ち直るなかで、子どもの頃から憧れていた絵を描くことに心をよせていきます。
 53歳のある日、シスコは大きなキャンバスに油絵を描き始めました。 その絵画世界は、何ものにもとらわれない、胸中に沸きおこる喜びや夢があふれ出てくるものです。 作品の主題は、大切に育てている草花や小動物たち、そして時間も場所も自由自在に乗り越えて、子どもの頃の想い出にまで広がります。生涯にわたって、少女のような純粋さを保ち、喜びと夢を制作の源泉にしていたシスコは、「私は死ぬまで絵ば描きましょうたい」と絵筆を握り続け、 2005年に91歳の人生を閉じました。
(チラシ裏面の文)

ロビーの記念撮影パネル
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この展覧会、撮影可!!
フラッシュ、動画はNG シャッター音に配慮くださいと、
音が出る部分に貼るテープも用意されてました。(nice!)

後援会員証を呈示して展示室へ入ります。
(観覧料は、一般800円、大学生600円、高校生以下無料)
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第1章「私も大きな絵ば描きたかった」パラダイスへの第一歩

最初に石を彫って作られた《シスコの女神》1961年頃
1959年、夫を突然の事故で亡くし、心労が重なったシスコさんは、
1961年に軽い脳溢血で倒れ、リハビリのために作られたものだそう。
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その隣の絵は《自画像》1969年

1966年、画家を目指していた息子の賢一さんが家を出て働きはじめると、シスコさんは、賢一さんが家にのこした作品の油絵具を包丁で削り落とし、その上に自分の作品を描き始めます。

その時に描かれたのが
《秋の庭》1967年(左)や、《私が愛する生物たち》1969年(正面)
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第2章「どがんねぇ、よかでしょうが」熊本から大阪へ

2-1「ちょっとみてくれんね」団地の4畳半はシスコのアトリエ
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シスコさん手描きの着物と帯も展示されています。
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1970年の夏、シスコさんは、息子の賢一さんと同居するため、京都と大阪の中間地点、大阪府枚方市の一軒家に引っ越します。

家の周りにひまわりを育て、その風景に故郷の田植え風景を重ねた
《長尾の田植風景》1971年 公募展で入賞し、絵を描くことへの自信を得ます。
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賢一さんの結婚に伴い、同市内の団地に移ってからは、4畳半の自室をアトリエとして、家族で訪れた行楽地を、まるで絵日記のように次々と作品を描いていきます。
《造幣局の桜》1987年
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桜の木になぜかウサギがいっぱいいるし、同じ服を着ているのは園児たち。
見てるとすごく幸せな気持ちになってきます!

「どっちを上にしてもよかです」と書き込まれている
《野外彫刻展を見に行く》1995年
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《枚方総合体育館前のコスモス畑》1996年
コスモスが咲き乱れていて、園児たちも来ていて、すごく幸せそうな絵に見えるけど、
'96 7月 長女 和子を亡したシスコは、まったく元気がなかった。
 10月近くのコスモス畑をスケッチに行く。 2週間ほどでこの作品を描上げる
 絵を描くことによって又、元気が出たようだ 賢一

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2-2「シスコの絵を見て下さいませ」ちょっとおでかけ、山田池公園
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左《山田池の春》1992年

《山田池 春のスケッチ》1998年
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第3章「ムツゴロウが潮に乗って跳んでさるく」ふるさとの思い出日記
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シスコさんのふるさと熊本や九州の風景を描いた作品が展示されています。
《五色山の想い出》1988年
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絵の中に「熊本県宇土ノ花園ノ五色山へ原先生と三人で行き ぴっくりたまげた絵 スミコ10才・シスコ9才ノ時」って書かれています。
子ども時代を思い出して描いた作品

《八景水谷 桜見》1997年
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この絵見て、私も小さい頃、母の実家の近くを流れる木曽川で、
タオルでメダカをすくったことを思い出しました!

《シャク取り(不知火海にて)》1989年
海の表現が面白いなぁーって
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《ネコ岳ミヤマキリシマ》1989年
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娘の家に泊まり、ネコ岳のミヤマキリシマを見に行ったことを
ダンボールを連結させた巨大なパネルに描いています。
シスコさんの楽しさが伝わってきます。

《ふるさとの海》1992年
幼い頃のふるさとの海の風景を、巨大なパネルに描いています。
パネルの裏には、子どもの頃の記憶や説明文が書かれているそう。
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左《ウマイレガワ》2001年 右《古里の家》2003年
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《ウマイレガワ》
この青年はセンソウで死にました。ウマイレ川の想い出デス もうだれもいませんよう シスコ88才


シスコさんが作った日本人形も展示されています。
これらの人形、シスコさんの絵にも登場します。
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第4章「私にはこがん見えるったい」あふれるシスコ・パラダイス
4-1「自分で植わったカボチャ」シスコの庭

《秋の庭》1993年
私が植たニガゴリ ニガゴリがうれると割れる。甘いドロプス じゃの目ちょうが来て しゅるを吸う。
ゴーヤの実が熟れると黄色くなって割れ、中の赤い種は甘いんですよね。
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《私の窓からのながめ》1995年
阪神淡路大震災が発生した時に描いていた絵
1995.1.17. 大地である
 シスコもおどろいています
 シスコ81才 テレビ毎日たへん

 関西大地震発生
 ヨシンゆらゆらしながら描く

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4-2「アジサイの中であそびなさい」シスコといきものたち
左《ひまわりの中で インコ》1987年
右《玉子から育てたルリコシボタンインコ手のりです》1989年
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花やいきものたちがいっぱいに描かれた絵が展示された部屋の中央には、
しゃもじに描かれた作品が! 楽しいー!
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4-3「ミーイはよか男」―シスコとネコ
猫の絵! もいいけど、額がまた素敵!!
図録で知ったけど、これらの額、息子の賢一さんの手作りみたい。
いいなぁ!!
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《三匹のネコ》1993年
1993.10.25朝
 竹ヤブノ中で野鳥 コスモスノ花ざかり
 黒ネコノ親子です
 シスコ 80才
 今年も絵がトテモ忙い 年もこれで
 おわりなり又明年
 私しのあそびもあと少です

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粘土の作品は《鳥の精》1990年

板に描かれています。カワイイというよりパワフル!
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第5章「また新しかキャンバスを持って来てはいよ」
とまらないシスコ・ワールド

5-1「バックには好きな花を描くけん。なんの花がよかね」
シスコの家族

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左《ヒロコさんのチューリップとシスコのライラック》2002年
シスコさんの家系図 いろんな人を描いているんですね。
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それぞれの肖像画には、各自の好きな花が描かれています。
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《ミアのケッコンシキ》1997年
孫の弥麻さんの結婚式。シスコさんの喜びが伝わってくるような絵です。
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5-2「シスコのパアテイデスヨ」にぎやかなこと、ありがとう
《NHKがやって来た》1995年
NHKの取材を受けるシスコさん。近所の人たちも集まって見ています。
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《自由の女神達》1994年 滋賀県立美術館蔵
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滋賀県立八日市文化芸術会館(現・東近江市立八日市文化芸術会館)で
1994年3月、初の大規模個展「塔本シスコはキャンバスを耕す」開催。
シスコさんが感謝の気持ちを込めて、担当学芸員の2人を
女神になぞらえ描いた作品とのこと。

画面右上に描かれているのは展覧会のポスターで、
シスコさんの絵《桜島》と
塔本シスコはキャンバスを耕す
 1994年3月5日-3月27日(土)
 滋賀県立八日市文化芸術会館
」とあり、

画面の下に「お2方には、ヤッとお礼ができました」と書かれています。

《シスコの晴姿》1988年
京都、東映太秦映画村で、時代劇の登場人物に扮したシスコさん。
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《前田館長と記念写真》1995年 世田谷美術館蔵
前田館長は、枚方市にお住まいで、ひろしま美術館の学芸部長から
大阪府立現代美術センターの館長を務められた方だそう。
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《エイサー水口》2001年 滋賀県立美術館蔵
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2001年に滋賀県立水口文化芸術館で開催された個展の間に行われた
エイサーのパフォーマンスを描いた作品。
この絵を描いている途中で貧血でたおれ入院。
すっかり弱っていたシスコさんですが、
描きかけの絵を見て、弱々しく描き始め完成させた後、
また制作をはじめたそう。

この2枚は丸山明宏さんを描いた作品
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粘土の作品も楽しい《鳥の女神》2000年
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(展示が出品リスト順ではないですが)
第7章「シスコは絵をかく事シかデキナイので困った物です」
かかずにはいられない!


7-1「もったいなか」全てがたからもの

展示台にはシスコさんのスケッチなどが。
いちばん手前の《松虫、ジュズダマ》の絵は、
1952年とのことなので、シスコさん39才、
まだ夫の末蔵さんが存命で、子どもたちと絵を描いていた頃の作品。
小さい頃から絵は好きだったんですね。
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猫のスケッチ(?)の横には、1998年の長野オリンピックのメモが書かれてます。
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2000年、シスコ87才 愛媛県美術館で
「『素朴』って?ライフ&ビジョン」という展覧会が開催された時のスケッチ。
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7-3「シスコの晴姿」手描きの着物
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展示最初にも手描きの着物がありましたけど、
このパワフルな着物たち! すごい!!
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左《帽子をかぶっているケンイチ》2003年
右《帽子をかぶっているヒロコさん》2003年
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シスコさん90才の作品。シスコさんの制作には、
息子さんとお嫁さんの協力も大きかったと思いますね。

シスコさんの暮らした団地の間取りも紹介されてましたが、
まぁ、この4畳半での制作、すごいなぁーってことと、
(大きな作品は天気の良い日に団地の外壁に立て掛けて仕上げたとか!)
この狭さでは、嫁としてはいろいろ思うこともあったのではないか‥‥
なんてことも想像してしまったんですけどね。
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(図録より)


7-2「シスコはネンドヲツクリましたよう」楽園の住人たち
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第6章「私は死ぬるまで絵ば描きましょうたい」シスコの月
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シスコさんは88才(2001年)で貧血で倒れ認知症を発症したそうですが、
創作のエネルギーが衰えることはありませんでした。
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並んだ椿の花や鳥が可愛らしい。
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空き瓶や引き出しにまで絵を描いてます!
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シスコさんの絵には、月が描かれているものが多いですね。
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《シスコ89才の名月 私が作った人形の上に月昇る》2002年
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《フレ川綱引き》2003年
シスコ 豊川の 四年生 東松崎の フレ川ノ十五夜の つなひき
幼児が発達段階の過程で描く“頭足人”を思わせる人が
綱引きをしています。
この綱引きの輪の中にあるのは十五夜の月なのだそう。
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絶筆《シスコの月》2004年
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良かったー! あふれるパワー!
まさに「シスコ・パラダイス」ですね!

ショップで図録購入。2,640円(税込)
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ついでに置いてあったカワイイクッキーも。
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2つで500円(税込)
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所蔵品展は時間がなくてこの日はパス。
4月26日(火)に寄ってみたけど、
「特集ラリッサ・サンスール」が映像作品3点で、それぞれ
9分、29分、28分あって‥‥時間切れになりましたー。
(映像はすごく良かった)
後援会員証で、所蔵作品展はまた入れるハズなので、
あらためてアップしたいと思います。
(最近は記事書くのに時間かかるからいつになるか‥‥だけど)


岐阜県美術館: https://kenbi.pref.gifu.lg.jp/

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