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岐阜県現代陶芸美術館「古典復興からの展開」展 [美術]

7月2日(火)、岐阜県現代陶芸美術館へ行ってきました。

「コレクション展 明治150年記念2
 近現代の美濃陶芸
 古典復興からの展開」
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3月9日(土)から始まったこの展覧会、
7月21日(日)までということで、そろそろ行かなくてはと
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私は岐阜県美術館の後援会員なので、
岐阜県現代陶芸美術館の企画展も一度ずつ見ることができるんです。

‥‥まぁ、こういう陶芸の王道(?)っぽい作品って、
私にはその価値がよくわからないところがあるんですけど。

できればギャラリートークをやってくれる日曜に行きたかったんですが、
夏は息子がバイトで車を使うので(岐阜県現代陶芸美術館へは車がないと不便)
車が使えて、パートが休みだったこの日に行きました。

私のことなので、出かけたのは2時を過ぎていましたが、
ここは6時までやっててくれるので、私のような者にはありがたいです。

3時半頃に到着。ここは日曜でもそんなに混んでない
(セラミックパークMINOのイベントがある日を除いて)んですが、
平日のせいか、さらに閑散としておりまして
‥‥館内独り占め状態だった?
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受付で、岐阜県美術館の後援会員証を見せて、チケットをもらい、
古典復興からの展開」をやっているギャラリーⅠへ。

Ⅰ 明治生まれの陶芸家たち1 美濃桃山陶の復興
荒川 豊蔵(1894-1985)の展示から始まります。

チラシ表面の一番上に使われているのが
荒川 豊蔵《絵志野茶碗》1965年

今回の展覧会、ほとんどが岐阜県現代陶芸美術館の所蔵作品
(多治見市文化財保護センターや土岐市美濃陶磁歴史館などから
借りたものもありますが)
ところどころに持ち帰れる鑑賞カードも置かれています。

荒川 豊蔵《志野水指》昭和10年代半ば
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昭和5年(1930年)、美濃(岐阜県大萱)での志野陶片発見によって、 志野などの桃山陶が瀬戸で焼かれたという通説をくつがえした 荒川豊蔵は、自ら志野、瀬戸黒、黄瀬戸などの復元に挑みます。 豊蔵は桃山の古窯を発見した大萱の地に窯を築き、桃山陶復興への 並々ならぬ決意を示したのです。こうして昭和30年に、 豊蔵は志野と瀬戸黒の技術によって重要無形文化財保持者(いわゆる 人間国宝)に認定されることになります。(以下略・裏面の解説より)

続いて、
林 景正(1891-1988)
加藤 十右衛門(1894-1974)、
加藤 景秋(1899-1972) の作品が展示され、

荒川豊蔵の周辺 として、 と
「からひね会」の
川喜田 半泥子(1878-1981)
三輪 休和(1895-1981)
金重 陶陽(1896-1967)

「水月窯」の
荒川 豊蔵
荒川 武夫(1913-2012)

Ⅱ 明治生まれの陶芸家たち2 中国・日本の古典に学んで

五代 加藤 幸兵衛(1893-1982)
チラシ表面の上から2番目、キラキラの壺がこの人の作品
《萌黄金彩水指》1960年以降


加藤 土師萌(1900-1968)《黄地紅彩蜂葡萄文角皿》1954年頃
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鑑賞カードの解説によると、
加藤土師萌は色絵、金襴手、辰砂、影青(いんちん)、織部、均窯、古瀬戸、釉裏金彩など あらゆる技法を習得し、幅広い政策制作を行った作家です。
中国や日本の古い陶磁器、陶片等を参考にして、
黄地紅彩や萌葱金襴手などの技法を解明し、高い評価を得ます。
黄地紅彩は大変難しく、既に絶えた技法とされていましたが、土師萌は長年の研究によりこの技法を完成させました。
そうかー、そんなに難しい技法なんですね。知識のない私としては、
今まであまり価値がわかってなかったなぁ!

昨年秋に岐阜県現代陶芸美術館で開催された
「加藤土師萌展」(感想が書けておりませんが)
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晩年、皇居新宮殿におさめる萌葱金襴手菊文蓋付大飾壺の制作に没頭し、 完成間近の1968年に他界しました。」(加藤土師萌展チラシより)
試作品のように(?)制作された壺、
金彩のキラキラ文様と萌葱色の深い色の壺が本当にきれいでした。
また、海外を訪れた際の街並みや陶磁器を描いたスケッチなども展示されて
幅広い創作活動をされた方なんだなと。
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富本憲吉と小山冨士夫
加藤土師萌と並ぶ色絵磁器の陶芸家として、
富本 憲吉(1886-1963)《色絵金銀彩四弁花模様飾壺》1960年
岐阜県現代陶芸美術館が誇る名品で、すごく高価なものだと聞いてます。
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金銀の華やかな模様がついた壺はもちろん素敵だけど
私は白のシンプルな《白磁大壺》1941年 も好きだなぁ。

そして、小山冨士夫(1900-1975) の作品も展示されていました。


Ⅲ 大正生まれの陶芸家たち 東洋の古典に学んで

塚本 快示(1912-1990)《白瓷輪花鉢》1977-80年頃(チラシ裏面2番目)
塚本快示は、その目標とした中国唐時代の邢州窯(けいしゅうよう)や北宋時代の 定窯の白磁、北宋時代に景徳鎮窯で産した青白磁に迫る技術で 作品の制作に取り組みました


加藤 卓男(1917-2005)《藍彩四方花器》1993年(チラシ裏面3番目)
1983年、ラスター彩、青釉、三彩の技術により岐阜県重要無形文化財技術保持者に認定
1995年、三彩の技術により重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定


Ⅳ 昭和前半生まれの陶芸家たち 美濃の伝統と陶芸家の個性

若尾 利貞(1933- )《鼠志野俎皿》2003年(チラシ裏面下左)
私、この方の名前知らなかったんですが、
琳派風の装飾がされた作品たち、気に入りました。

鈴木 藏(1934- )《志野大皿》2004年(チラシ表面一番下)
《志野茶碗》2002年
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加藤 孝造(1935- )《瀬戸黒茶碗》2002年(チラシ表面3番目)

安藤 日出武(1938- )《黄瀬戸大壷》2003年(チラシ裏面下右)

玉置 保夫(1941- )

林 正太郎(1947- )

ギャラリーⅠ 最後の部屋は、
受贈記念 コレクション展
 加藤孝造 作品展示

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平成28年度に加藤孝造氏より寄贈された同氏の作品を展示
写真撮影可!! でした。
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《赤絵輪連文壺》1958年頃
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《志野白帯文壺》1962年頃
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《志野花入》《志野茶盌》《鼡志野茶盌》
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《志野大鉢》1990年頃
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《唐津茶盌》《瀬戸黒茶盌》《瀬戸黒茶盌》
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《黄瀬戸壺》《黄瀬戸花入》《黄瀬戸茶盌》
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「黄瀬戸」っても、ずいぶん印象違いますね。
この壺と花入の形気に入りました。
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《鉄釉壷》1967年頃
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今回の展示、「コレクション展 明治150年記念“2”」
ってことなので、“1”って見たっけ? と思ったら、
昨年6月に見た「デンマーク・デザイン」展
https://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2018-07-02

の時に、ギャラリーⅡ D室にて展示されていました。

「近代の美濃陶芸1
 明治期の革新」
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西浦焼の大きな壺とかあったっけ!


ギャラリーⅡでは、
受贈記念 コレクション展
 熊倉順吉展
」が開催されていました。
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熊倉順吉(1920-1985)
京都に生れ、前衛陶芸のパイオニアとして活躍した陶芸家
一時モダンアート協会に属し、また1957年からは走泥社同人となって活動するなど、
早くから前衛陶芸の旗手として知られる陶芸家です。

今回展示されていたコレクションの多くが、
「稲塚コレクション」
京都の歯科医であった故稲塚英樹氏は、縁戚関係にあった熊倉順吉の制作活動を 長く支援してきました。

結婚の引き出物を注文したことが親交のきっかけだったそうで、
食器や花器については、箱に「お中元」「御歳暮」の熨斗紙の
かかるものもあったり、
小さな手や足の作品には稲塚氏の子供の手足から形をとったものがあるそう。
家族を含めた親しい関係がわかります。

今までもここで、熊倉順吉《ジャズの城》1977年 とかの
作品を見たことがあって、なんか面白い作品を作る人だなって
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今回、多くの作品を見ることができて、《ジャズの城》みたいな
オブジェっぽいのももちろん面白いけど、

歯医者さんにウケそう(?)な歯が並んでいる灰皿(?)とか、

《海鼠釉長靴》1968年、《ブーツのような花生》1971年
なんか、見てて笑っちゃうようなユーモアがあっていいし、

日常に使える茶器やお皿の、釉薬がたっぷりかかった
ぽってりとした形がすごくいいなと。

岐阜県現代陶芸美術館「1964」展 の時、
https://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2018-01-28

ギャラリーⅡでやっていた「お茶の時間」で、
熊倉順吉《深海緑コーヒーセット》がすごく気に入ったのを覚えてます。

受付に言うと、熊倉順吉展のリーフレットがもらえました。
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ギャラリーⅡ B室では、熊倉順吉と同じく走泥社で活躍した
八木一夫、鈴木治、山田光の作品が展示されていました。

走泥社の鈴木治(1926-2001)と、美濃陶芸・志野の鈴木藏、
名前の漢字は違うけど、紛らわしいなぁ。

鈴木治《天馬横轉》1973年
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無料で見せてもらってるのに、鑑賞カードやリーフレットなども
もらって、なんだか申し訳ないような。
(でもこの展覧会、コレクション展なので、観覧料330円という安さ!)
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もっと見に来る人があってもいいんですけどねぇ。
まだ明るかったので、写真撮ってきました。(今までも結構撮ってますが)
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磯崎新(いそざき あらた)氏設計のカッコイイ建物です。
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これらは、手入れがされてないプランターではなく、
鯉江 良二《雨/土 ⇆ 陶》という「土に還る」シリーズから発展した作品
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ネジバナが咲いていました。
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岐阜県現代陶芸美術館: http://www.cpm-gifu.jp/museum/
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豊田市美術館「世界を開くのは誰だ?」展 [美術]

やっと5月に行った「ギュスターヴ・モロー展」の記事が書けました。

6月もいくつか展覧会に行ったし、ダンナの仕事の関係で
東京、それも渋谷(!)まで行ったりと、結構リア充(?)してたんですが、
ブログはおろかツイッターも投稿できてない‥‥

さて、どの展覧会のことを書こうかなぁ‥‥迷いますが

6月23日(日)に行った
豊田市美術館リニューアルオープン記念コレクション展
世界を開くのは誰だ?
WHO OPENS UP THE WORLD?
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昨年7月から今年5月末まで改修工事のため休館していた
豊田市美術館が6月1日(土)リニューアルオープンする記念の展覧会。

チラシの折り方が変わっててセンスいい!
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6月1日(土)、2日(日)は全館無料だとか
(そもそもこの展覧会、観覧料300円という安さ!)
「お庭でマルシェ」というイベントが行われたりと、
ツイッターで楽しそうな様子が流れてきて、
わー楽しそう、行かなくちゃと思ってたんですが、
会期が6月30日(日)までと、1ヶ月しかなくて、
気が付いたら、後1週間しかない!
この日曜日こそ行こうと思ってたのに、
私のことなので、午前中はダラダラしちゃって、
1時過ぎにやっと車で出発。途中PAで休憩して、
豊田市美術館に着いたのは3時過ぎー。

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キャンバスらしき荷物を持った人たちが歩いてくるのに出会いました。
ギャラリーでの展示の搬出だったんでしょうか。

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1階の受付で年間パスポートを見せて、観覧整理券をもらいます。

私、奈良美智展を見に行った時(2017年9月21日)に
3,000円で年間パスポート買ったら、
休館のため期限が今年2019年8月末までと伸びて、
ジャコメッティ展も、ブリューゲル展も見れて、それだけでも
オトクなのに、次回のクリムト展も間に合いそうなんですよ!
なんてオトクなんでしょう!!

1階の展示室に入ると、第1章「身体」を開く
身体をテーマとした作品が並んでいます。
(豊田市美術館のコレクション展、写真撮影可に気が付いて、
これらの写真はもう一度展示室に戻って撮りました)

最初の作品が
塩田 千春《不在との対話》2009年
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白いドレスから下がっている赤い糸が血のようにも見えて、
インパクトあります。

壁にかかっているのは
加藤 泉《無題》2006年
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いきなりスゴくて、嬉しくなっちゃいますが、
次へ進むと、豊田市美術館の名品がズラリ!
テンションあがっちゃいます。
安田 靫彦《波上燄灮》1942年 (左) と
横山 大観《達磨》1907年(左)
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左より(写真ではわかりにくくてスミマセン)
メダルド・ロッソ《門番女》1883-84年
オスカー・ココシュカ《絵筆を持つ自画像》1914年
エゴン・シーレ《カール・グリュンヴァルトの肖像》1917年
梅原 龍三郎《少女アニーン》1908年
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藤田 嗣治《美しいスペイン女》1949年
国吉 康雄《花飾りをつけた女》1932年
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左より
エドヴァルト・ムンク《魅惑》1896年
エドヴァルト・ムンク《接吻》1895年
ジェームズ・アンソール《愛の園》1888年
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熊谷 守一《裸婦》1961年
熊谷 守一《裸婦》1960年(寄託)
岸田劉生《横臥裸婦》1913年
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ミケランジェロ・ピストレット《窃視者 (M・ピストレットとV・ピサーニ)》1962,72年
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二人の人物(右は作者自身の自画像だそう)以外はステンレスの鏡に
なっているので、周囲の空間が写り込んでいます。

絵を見ると、鑑賞する自分が写るので、
絵に描かれている二人に見られているような気になります。

高松 次郎《赤ん坊の影 No.122》1965年
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中央の彫刻が
アルベルト・ジャコメッティ《ディエゴの胸像》1954年
奥左 フランシス・ベーコン《スフィンクス》1953年
奥右に、森 千裕の4枚の絵のうち2枚が写っています
上が《Toothache(サイン)》2012年(寄託)
下が《Headache(ナイン)》2012年(寄託)
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全て白い(グレイ?)の画面に見えるこの4作品、
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手前3点が
ローマン・オパルカ《オパルカ 1965/1-∞》
1965年から黒いキャンバスに白い絵具で1から数字を描いていく絵画を
描き始め、次第にキャンパスの地は白くなっていったと。
数字?かどうか判読しかねるんですが、
一番グレイの濃い手前が 《ディテイル 2601104-2626001》1977年
真ん中が《3395602-3411010》1981年
ほとんど白いキャンバスにしか見えないのが
《ディテイル 4968512-4988005》1994年
数字を描くのは一日も休まなかったそうで、まぁ‥‥飽きもせずというか。
ローマン・オパルカさん、2011年に79歳で亡くなったそう。

その奥が、豊田市美術館が誇る 草間 彌生《No.AB.》1959年
国立新美術館「草間彌生 わが永遠の魂」展 にも出品されてたなー。
豊田市美術館「蜘蛛の糸」展 を見に行った時、
「作品をゆっくり読みとくギャラリートーク」ってイベントで
この作品を取り上げていて、キャンバスを黒で塗りつぶして、
それから薄い白を塗り、無数の白い網目を描いていったと聞きました。

石原 友明《I.S.M.(H)》1989年
表面が継ぎ合わされた革でできているぬいぐるみのような立体作品
人が抱き合っているようにも見えてきます。
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後ろの長谷川 繁の絵《タイトル無し》1998年 と、
なんかシンクロ(?)しているようにも見えてきます。

左奥に、会田誠の《あぜ道》1991年 が見えてます。
その右側にあるのはなんと、
サルバドール・ダリ《皿のない二つの目玉焼きを背に乗せ、
ポルトガルパンのかけらを犯そうとしている平凡なフランスパン》1932年

そのあたりから 第2章「日常」を開く
自然や日常を構成しているモノをテーマとした作品が展示されています。

日高 理恵子《樹を見上げてⅠ》1989年
日高 理恵子《樹を見上げてⅡ》1989年
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樹を下から撮影したモノクロ写真みたいに見えるんですが、
日本画の岩絵具で丹念に描かれているんです。

奥の壁に掛かっているのは、丸山 直文《appear》2008年
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名古屋市美術館「モネ それからの100年」展 で、
モネの絵に影響を受けた現代アートとして丸山直文の絵が
展示されていましたっけ。

右の壁に掛かっている3点は、中村一美
奥から《空木Ⅱ》1984年 《丹沢》1983年
手前が《赤紫鉱》1987年
奥の2点は抽象的表現だけど描かれているものがわかるけど、
手前の《赤紫鉱》は、タイトルも色の名前で‥‥?


左より
菱田 春草《春色》1905年
菱田 春草《鹿》1909年
徳岡 神泉《柳》1953年
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菱田春草の鹿の描き込み、スゴイ!!
徳岡神泉の柳の枝と葉だけで構成された絵もなんかすごくいい雰囲気。

中村 彝《静物》1917年 (左)と、
速水 御舟《果物》1920年 (右)
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日本画で西洋画のような質感を表現している御舟の絵、すごい。


堀 浩哉《池へ-81. 4》1981年
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今回の展覧会で、この絵、すごく涼しげな雰囲気で気に入りました。

隣には、李 禹煥《風と共に》1987年
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こちらもなんか爽やかな風が吹いてくるみたいな雰囲気がいいな。

椅子を展示しているコーナーがありました。
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左側の絨毯の上の3脚には座ることができました。
(私は座りませんでしたが)

1階の展示室8を出て、展示室6・7では、
宮脇晴の油彩や宮脇綾子のアプリケが展示されていました。

その前のスペースで、ミヤギフトシの《花の名前》2015年
というヴィデオが流れていました。
ゴージャスな衣装と金髪の女性が歌っている場面を見ましたが、
20分のヴィデオってことで、全部見るのはあきらめました。
(チラシ中面右下に画像あります)

2階の展示室へ行くと、第3章「歴史・記憶・社会」を開く
日常において打ち捨てられたものや目を向けてこなかった出来事、
時代が抱える問題などを取り上げた
「アルテ・ポーヴェラ(貧しい美術)」
と呼ばれる作品が展示されています。

広い空間にあったのが
マリオ・メルツ《廃棄される新聞、自然、蝸牛の体のうちに、
空間の力として継起する螺旋がある》1979年
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ネオンの数字が1、1、2、3、5、8、13、21、34、55となっていて、
部屋にあった解説によると、これはフィボナッチ数列だそう。
フィボナッチ数は自然界の現象に数多く出現、
螺旋にも関係する数字だそうですね。
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3階から見下ろした作品
布に書かれたメッセージが読めれば、もっと作品が理解できたかな?
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ギリシャ彫刻(?の石膏コピー)とぼろ布が対比しています。
ミケランジェロ・ピストレット《ぼろぎれのヴィーナス》1967年
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1階で展示されていた鏡の絵《窃視者》の作家なんですね。
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“美”の代表ともいえるヴィーナスと、ゴミ‥‥とまではいかないのかな?
猥雑な生活を象徴している? ぼろぎれの対比。
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階段を上がって3階から館内を見下ろす
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小部屋の展示室2には、部屋いっぱいに
木組みの構造物が傾いています。
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側面のスクリーンには、チラシのメインビジュアルにもなっている
加藤 翼《Break it before it’s Broken》2015年
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大きな建造物を大勢で引き倒す様子が映されています。
‥‥うーん、なんかこれ危なくない??なんて印象を持っちゃったんですが。
ビデオの見せ方とかセンスいいなって。

加藤 翼、「蜘蛛の糸」展で見た、東日本大震災の被災地で、
大勢の人がロープをひっぱって巨大な建造物を引き起こす映像作品が
良かった。

ワシントン条約で取引が禁止されている希少動物の皮を使った
ランドセルが壁に並んでいます。
あら、これ、村上隆の作品だったんだ!
村上 隆《R. P. (ランドセル・プロジェクト)》1991年

Chim↑Pom《BLACK OF DEATH 2013》というビデオ、
なんでこのカラスの群れはずっと追ってくるの? って不思議に思って
見ていたら、バイクに乗った人物がカラスの死骸(? 模型?)を持って
走ってるんだ。カラスたちは仲間を助けようとしている?
東日本大震災で壊れた街や大阪万博の太陽の塔などが映り、
カラスの鳴き声が不吉に響いて、心がざわざわしました。

豊田の街が見える通路を通って展示室4へ行くと、
第4章「まだ見ぬ世界」を開く
「具体的な物事を絵画や彫刻よって再現するという、
これまで何世紀にもわたって当たり前のようにおこなわれてきた
制作方法に異議を申し立てるアーティストたち」が、
「まだ見ぬ何か」を求めて制作した作品。

とてもシンプルな絵が並んだ展示室。素敵!
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左より、ピンクの画面に穴が開いてます。
 ルーチョ・フォンターナ《空間概念》1962年
緑色の作品も同じく 
 ルーチョ・フォンターナ《空間概念》1962年(寄託作品だそう)
中央の立体作品も
 ルーチョ・フォンターナ《空間概念 N3》1959-60年
溶けた赤いプラスチックが貼り付けられています
 アルベルト・ブッリ《赤 プラスチック》1964年
写真では何か描かれているようにも見えるんですが、映り込みで、画面は一面の青一色!
 イヴ・クライン《モノクローム IKB 65》1960年
白と赤のストライプ
 ダニエル・ビュレン《無題》1970年


展示室の反対側はモノトーンの世界で、こちら側も素敵!
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左より
画面の中央に襞がよってます
 ピエロ・マンゾーニ《無色》1958/59年
タイトル通り、布と紐で梱包されています。
 クリスト《梱包》1961年
3枚の風合いの違う布が貼られている
 ブリンキー・パレルモ《無題》1970年
黒く塗られた▼と、鏡の▽
 ブリンキー・パレルモ《無題 (セロニアス・モンクに捧げる)》1973年

そして、私これ気に入ったんですが
ギュンター・ユッカー《変動する白の場》1965年
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白い画面に打たれた白い釘が柔らかな陰影を作り出していて、
繊細に表情が変わって素敵。
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諏訪 直樹《THE ALPHA AND THE OMEGA F-1》1978年
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単純な赤・緑・白の色面ではなくて、
それぞれ別の色の上に点描で色がのせられています。
形の分割も、色も、システマチックな法則でできているそうです。

イミ・クネーベル《規格 I B 1-B 4》1994年
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赤・青・白・黄‥‥

佐藤 克久
それぞれにキャプションが2つずつ付けられているので、
聞くと、■の中の〇にカラフルな格子が描かれているのが
《みすます》という作品で、それに
左は《ありあり》という作品が、
右は《ちらほら》という作品が組み合わされているそう。
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隣の壁面に展示された4点も、
佐藤 克久の《空空枠枠》という作品(作家蔵)
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‥‥うーん、なんだろう?? 幼稚園の工作みたいな(失礼^^;>

最後の展示室、暗幕をめくって入ると、暗い部屋の中で
ドラマチックなライティングに照らされていたのが、
ライアン・ガンダー《おかあさんに心配しないでといって(6)》2013年
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タイトルからすると、布をかぶった子どもの彫刻?
昔、石膏デッサンで布とかビニールシートをかぶせたものを
描いたりしたなぁ、なんて思いながら見てました。

階段を降りた下には
佐藤 克久《はあ》2018年(作家蔵)
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‥‥はあ、、

この展覧会、手持ちのスマートフォンで、
音声ガイドを聴くことができるとのことでした。
(私はスマホのイヤホンを持ってないので試しませんでしたが)

豊田市美術館: https://www.museum.toyota.aichi.jp/ の、
ウェブサイト「コレクション」のページで、
https://www.museum.toyota.aichi.jp/collection/
音声ガイドが付けられている作品もあって、
パソコンで聴くことができて、この記事を書くのに
とても参考になりました。素敵な試みですね!


展示室5は、閉鎖されていました。
修復記念特別公開「よみがえる織田信長像」の展示は
16日(日)までだったんだ。残念‥‥
教科書で見た織田信長像、豊田市の長興寺が所蔵してるんですね。
「重要文化財 紙本著色織田信長像」
2016年度の修復に合わせて行った調査で明らかになった事実などを展示していたそう。
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しかし、リニューアルっても、私の見た目では
どこが変わったのかよくわかりませんでしたが
素敵な雰囲気が変わってなくて、安心したというか。

ダニエル・ビュレン《色の浮遊│3つの破裂した小屋 》2003年
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高橋節郎館の前庭
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閉館時間(17:30)が迫っていたので、高橋節郎館は入りませんでした。

ヘンリー・ムア《坐る女:細い首》1961年
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さぁ、7月23日(火)からクリムト展が始まります! 楽しみ!!
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豊田市美術館: https://www.museum.toyota.aichi.jp/


--過去記事--
豊田市美術館「ブリューゲル展」
https://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2018-06-06

豊田市美術館「コレクション:閉じる、開く、また閉じる。」他
https://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2018-06-10

豊田市美術館「蜘蛛の糸」展
https://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2017-01-15
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