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あいちトリエンナーレ2019 その1「表現の不自由展・その後」の中止 [美術]

あいちトリエンナーレ 2010年に初回が始まって、
現代美術にハマり、このブログにも感想を書いてますが、
毎回楽しみに見てるんです。

第4回目となる今回は、芸術監督が津田大介だけあって、
ジェンダー平等とか、開催前から話題になって、
さすがジャーナリストを選んだだけあるなって思ってました。

あいちトリエンナーレ 先行チラシ
ドアラバージョンと
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名古屋城バージョンがあります。
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裏面には2018年10月18日時点での参加アーティストが
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トリエンナーレ開催の1ヶ月程前、6月28日(金)のNHKラジオ第一「すっぴん!」で、
津田大介のインタビューがあって、
あちこちで展示拒否された作品を集めて展示しますって言ってたんですね。



私はあまり政治的な作品好きじゃないけど、街宣車が来ちゃう? 面白そう~って、
のんきにしてたんです。「アートなんだからー」みたいに考えてたんですね。

特別先行前売券(4月1日~30日)・前売券(5月1日~7月31日)の案内がある
2つ折りチラシ
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中面には2019年3月27日時点の参加アーティストが
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でも始まったら、「表現の不自由展・その後」の
慰安婦を象徴する像や昭和天皇の写真を燃やす映像作品が問題になって炎上。
抗議や脅迫電話が殺到して、わずか3日間で中止となりました。

ある程度の反発は予想していたし、それも「炎上商法」で
話題作りとしていいんじゃない? なんて、まだ余裕で
開幕を報じる新聞を見てたんです。中日新聞8月2日の記事
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ツイッターのTLがあいちトリエンナーレのことで騒がしいのも、
いろんな議論があっていいんじゃない? と。
でもツイッターで注意しなきゃいけないのは、自分のTLが
世間一般の意見じゃないってことですよね。
自分の好みの人をフォローしていくと、自分が気持ちいい
ツイートばかりになっていくわけですから。
以前、フォロー返しした人が、あまりに嫌韓ツイートがひどくて
フォローを外したんですが、その人のTLでは
罵詈雑言が飛び交っているんだろうなと。


そして「表現の不自由展・その後」の騒動。3日間のみの展示となったけど、
私は、3日間だけでも開催できたのは良かったんじゃないかって
思ってたんですよ。 問題となった
キム・ウンソン、キム・ソギョン夫妻の《平和の少女像》
写真で見る限り、少女の表情がいいし、肩の小鳥も可愛いし、
隣の椅子が空いているのもいろんなことを感じさせて、
とてもいい彫刻だと思うし、見たかったけど、
とても鑑賞できるような環境ではないですものね。
この少女像の何が「日本人の心を傷つけるもの」なのかわからないけど。

中日新聞8月4日の記事
chunichi2019-8-4.jpg

まぁ、クレームをつけた河村名古屋市長は、
南京大虐殺はなかったんじゃないかと言って
名古屋の姉妹都市である南京市から抗議されたり、
(現在も名古屋と南京市は友好姉妹都市関係にあります)

大阪府知事・吉村洋文氏は大阪市長時代、
サンフランシスコに慰安婦像が設置されるのに抗議して、
姉妹都市の解消をしたんだそうですね。
そりゃ河村市長や吉村府知事の心は傷つくでしょうが、
それを日本国民全員がそうだとは決めつけないでほしい。

そして、心が傷つくような不名誉な過去でも、
それを直視して反省することが大切なんじゃないですか?

戦争で心がすさんだ兵士たちの暴行は古今東西あることだし、
それはその兵士、ましてや日本人が下劣だから起こしたのではなく、
極限状態の下で人間の残虐な本性が出てしまったわけで。
だって、日常の生活なら殺人という行為は決して許されないのに、
戦争では殺人を強要され、それが賞賛されちゃうんですよ。
狂わない方がどうかしてますよね。

憎むべきなのは戦争なんです。
(だからと言って謝罪しなくてもいいわけではない)

《平和の少女像》を作ったキム・ウンソンとキム・ソギョン夫妻が制作した、
《ベトナム・ピエタ》とも呼ばれる韓国軍による民間人虐殺を謝罪した像が
済州島にあるんですってね。中日新聞8月9日夕刊より
chunichi2019-8-9.jpg

公道や公園へ設置したのならともかく、美術館の展示室だし、
嫌なら見なきゃいいのにって思うんですが。

この展示の騒動で、今の日本の表現の自由ってのがわかって、
この経緯が「表現の不自由展・その後」そのものなんじゃない?

もちろん私もどんな表現も自由だとは思いません。
「表現の不自由展・その後」の作品解説にも
表現の自由とは、民主主義や基本的人権の核心となる概念の一つです。本来は、権力への批判を、いつでも、どこでも、どのような方法でも、自由に行える権利を指します。
しかし現代において、その対象は為政者や権力者とは限りません。そのため、表現の自由は無制限に認められるわけではなく、他者の人権を損なう場合は調整が行われます。
と、しっかり表記してあります。

なので、展示拒否された作品を集めてみたので考えましょう。って
展示だったんですよね。

それがあの大炎上。脅迫電話。
「ガソリンをまく」という脅迫FAXを送った男は逮捕されましたが、
若い引きこもり男かって思ってたら59歳の会社員の男ですって?
社会経験も積んだと思われるいい大人が何やってんだろう? って。
ネトウヨは意外にも高学歴で、都市部に住むミドルクラス以上、
自営業者、40歳あたりの、余裕がある人が多い
という調査結果もあるそうですね。

そういう社会人として成熟した、金銭的に余裕のある人が
なぜ嫌韓・反中といった排外主義になるのか?

いわゆるネトウヨは、フェミニストやLGBT、生活保護者に対する
批判もしているようで、これって
「弱い(と思われる)者は強い者に逆らうな」みたいな感覚?

おとなしく男に従う女はカワイイけど、
権利を主張する女は生意気だ、みたいな?

自分より下だと思っている相手が反撃してくると
頭に血が上っちゃうのかなぁ?

これからの日本の中核になるだろうと思われる40歳のミドルクラスが
ネトウヨっぽいってのは、かなり危機感を持たないといけないのかもしれない。
今までの「現実に対する不満をネットで憂さ晴らししている社会不適合者」
って冷笑は危険かも。

でも、展示物を嫌いだって言うのは自由だけど、
暴力で中止させようとするのはダメでしょ?!

力で言うことを聞かせようってのがテロや戦争なんですよね。

しかし、対話が大事、必要っても、
ネトウヨは「うるせぇグダグダ言うなコロスぞ」って、
他人の言葉など聞こうとはしないだろうし。
自分の主張(はたして「自分の」なのか?)をただ大声で言うだけで。
信じたい情報のみを信じる、ってのはネトウヨに限らず、全ての人に
言えることかもしれません。

これだけ情報があふれている現代、自分に都合の悪いものは
「フェイクニュースだ」という大国の大統領もいますしね。

「表現の不自由展・その後」が、検閲でなく、主催者側の
安全に対する判断で中止されたことにより、
いわゆる「自主規制」「自粛」が、これからの日本で
どんどん増えていくんじゃないかって懸念はあります。

「表現の不自由展・その後」の中止を受け、
参加アーティスト達(8月20日時点で、海外アーティスト12組)が
展示中止に対する抗議の意で、作品の展示中止や変更をしています。

作家は作品を見てもらいたいと制作していると思うので、
(不特定多数に向けてか、ある特定のグループを対象としているかはあるだろうけど)
その作品を見せないというのは、かなりの決断なんでしょうが‥‥

「表現の不自由展・その後」の再開を主張してますが、
私は今の日本の状態でそれはどうかなと。
これだけ話題と議論になったから一定の効果はあったんじゃないかと。
(私の望む方向とはちょっと違うけど)

なによりこの
作品は展示中止となりました。
って掲示が現代アートなんじゃないですか?
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そして、作品の変更も、現代アートとしてまた別の感慨があります。
A04 レジーナ・ホセ・ガリンドの、名古屋在住のラテン系外国人労働者たちの
パーティの様子を記録した映像作品(まぁ、私8月4日に見たんですけど、
これならNHKのドキュメンタリーとかの方がわかりやすくていいんじゃない?
くらいの感想ではありました)は、
上映が中止され、撮影時に使用した小道具が散乱しています。
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‥‥展示中止はやめてほしい。

A06 ウーゴ・ロンディノーネ《孤独のボキャブラリー》の部屋で
子供連れの来場者がピエロと一緒に記念撮影しているような
和やかな雰囲気を壊したくないです。
(この作品が展示中止にならなくて本当に良かった)
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ウーゴ・ロンディノーネの作品をイメージに使った現在の4つ折りチラシ

以上、政治には疎い、軟弱な現代アートファンなので、
今回のあいちトリエンナーレもカメラ持って見て回り、
ブログに書くのを楽しみにしていたんですが、
今回はまず、この「表現の不自由展・その後」の中止問題を
書いておかなくてはならないだろうと。
慣れないことなので、ずいぶん時間がかかってしまいました。

あいちトリエンナーレ2019、
8月4日(日)愛知芸術文化センター、
18日(日)愛知芸術文化センターと四間道・円頓寺、
25日(日)豊田市美術館と豊田市駅周辺、
27日(火)名古屋市美術館と愛知芸術文化センター
と、カメラを持って楽しく見て廻りました。
まだ少し見逃している作品があるし、何度も見るとまた違う感想もあるので、
会期末の10月14日(月・祝)まで楽しみます!

もちろんブログ書くのは楽しみなので、
前回同様、今回もしつこく書こうと思ってますー


あいちトリエンナーレ公式webサイト: https://aichitriennale.jp/

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あいちトリエンナーレ 私の過去記事

あいちトリエンナーレ2010 https://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2010-10-10
その2 長者町会場 https://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2010-10-12
その3 名古屋市美術館 https://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2010-10-21
その4 納屋橋会場他 https://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2010-10-23

あいちトリエンナーレ2013
展示第一号「昭和時代階段」 http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2013-06-02
(1) 愛知芸術文化センター その1 http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2013-09-04
(2) 愛知芸術文化センター その2 http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2013-09-06
(3) 岡崎エリア その1 http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2013-09-10
(4) 岡崎エリア その2 http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2013-09-11
(5) 納屋橋エリア http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2013-09-15
(6) 白川公園エリア http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2013-09-24
(7) 長者町エリア その1 http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2013-09-28
(8) 長者町エリア その2 http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2013-09-29

あいちトリエンナーレ2016
(1) 愛知芸術文化センター10階 http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2016-09-04
(2) 愛知芸術文化センター8階 http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2016-09-05
(3) 岡崎エリアその1 http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2016-09-16
(4) 岡崎エリアその2 http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2016-09-17
(5) 名古屋市美術館・長者町 http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2016-09-19
(6) 豊橋エリアその1 PLAT会場他 http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2016-10-04
(7) 豊橋エリアその2 開発ビル他 https://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2016-10-09
(8) 名古屋駅・旧明治屋栄ビル他 https://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2016-10-12
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東京ステーションギャラリー「メスキータ」展 [美術]

8月6日(火)、東京ステーションギャラリーの
「メスキータ」展を見てきました。
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ダンナの仕事の関係で、東京・渋谷へ行く用事があったので、
そのついでに、この展覧会見てこようって計画したんです。

「メスキータ」という版画家のことは、
この展覧会が開かれるまで全く知りませんでした。
雑誌「美術の窓」で2019年の展覧会をチェックしてた時も、
キャッチイメージ(?)に使われているこのチラシの絵を見て、
なんだか恐そうな絵だなぁってくらいの印象だったんです。

でも、5月19日朝の日曜美術館「エッシャー 無限性の彼方へ」で、
エッシャーの師として紹介されていて、白と黒の画面の
インパクトと、ナチスによってアウシュビッツで亡くなり、
アトリエに残された作品をエッシャーたちが決死の思い―
ナチスに知られれば命の保証はない―で持ち出して、
守り抜いたということを知って、興味がわきました。
そして、展覧会開幕以降、ツイッター等で流れてくる
良い評判もあって見てみたいと思ったんです。

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サミュエル・イェスルン・デ・メスキータ(1868-1944)は、 19世紀末から20世紀初頭のオランダで活躍した画家、版画家、 デザイナーで、この時代のオランダにおける最も重要な グラフィック・アーティストの1人と言われます。
彼は美術学校で多くの学生を指導しましたが、そのうちの1人である M.C.エッシャーは大きな影響をうけ、生涯メスキータを敬愛して止みませんでした。

(チラシ裏面より)

メスキータ展のチラシ、東京ステーションギャラリーに行って
初めて手に入れたんですが、絵柄の違う4種類があったので、
図々しいとは思いつつ、全て持ち帰らせていただきました。
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モノクロの版画と力強い文字がインパクトあります!
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そして、4種類のチラシ裏面に載っている作品が違うんですね!!
(共通して使われている作品もありますが)
カラーの作品も入れているところなんかも洒落てます!

東京ステーションギャラリーに行くのは初めてで、
どこに入口があるのか、ウロウロしてしまいました。

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辰野金吾の設計により1914(大正3)年に建てられた東京駅丸の内駅舎
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歴史を感じさせる重厚な建物です。

凝った装飾が施されたドーム天井(南ドームで撮りました)
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北ドームに入口があります。
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券売機でチケット(一般1,100円)を買い、
エレベーターで3階展示室へ。

第1章 メスキータ紹介
自画像や息子をモデルにした作品などが展示されていました。
私がなんだかコワイ‥‥って見たチラシの男性の顔、
息子のヤープの肖像なんですね。1922年制作
《マントを着たヤープ》は1913年、
幼い頃の息子をモデルにした水彩画は1912年の制作と、
幼い頃から成人後まで作品があります。

頭蓋骨と向き合う自画像《メメント・モリ》1926年
彫った線で老いた男の顔が表現されていて、
頭蓋骨に向き合うあきらめのような表情、この作品いいなぁ!!
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第2章 人物
輪郭線でなく、彫った線の太さや形で立体感を出していたり、
白と黒で単純化されたフォルムの強烈なインパクトが面白い。

なんか素朴なところが魅力というか、
自分で彫って刷ってたんだなって。
彫っていく間の試行錯誤の跡がわかる展示もあって興味深かった。
この展覧会で、版画の「ステート」という言葉を知りました。
《ユリ》1916-17年 という作品では、全5ステートのうち、
第1ステート(左ページ)
第2ステート(右ページ上)
第3ステート(右ページ下)が展示されていました。
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早いステートにある彫刻刀の試し彫りの跡とかも興味深かった。

木版画では彫ってしまったら元に戻すことは難しいので、
ステートが進んで完成作となったものが一番いいとは限らないんですよね。
(見る側の好みもありますけど)
このチラシに使われている《鹿》1925年 は、
全10ステートのうち第4ステートなんですが、
ステートが進むと背景が整理されすぎちゃって、
シンプルになりすぎちゃってるなーって感じました。
(第9ステートと第10ステートが展示されていました)
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3階の展示室を出て、2階の展示室に向かう階段が素敵!!

小窓のステンドグラスとシャンデリアが素敵!!
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2階の展示室は歴史を感じさせる煉瓦の壁に作品が掛けられています。


第3章 自然
アムステルダムのアルティス動物園に取材した熱帯の植物や
エキゾチックな動物などが単純化、デザイン化されていて、
アール・デコっぽい?

京都国立近代美術館「世紀末ウィーンのグラフィック」展
https://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2019-02-23
で見た木版画とか、

日本の田中恭吉・藤森静雄・恩地孝四郎が1914~15年に出版した
冊子『月映』の木版画の雰囲気にも似ているなって感じました。
愛知県美術館「月映」展
https://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2015-06-08


第5章 ウェンディンゲン
展示室の中央に、メスキータが表紙を描いた
雑誌『ウェンディンゲン』が展示されていました。

「建築と友好」協会が発行する雑誌で、同協会には
建築家のみならず画家、彫刻家なども会員となっていて、
メスキータは1902年以来、協会の会員として活動し、

建築、絵画、彫刻、演劇、東洋美術なども取り上げた
雑誌『ウェンディンゲン』の表紙を
計9回(うち3回は同じデザインの色違い)デザインして、
そのうち第7巻1号(1925年5月)と第12巻1号は、
メスキータの特集だったそう。


展示の章が前後してたけど、
第4章 空想 では、
メスキータが無意識的に描いたというドローイングや、
1915年に印刷された『10点のリトグラフ集』や、
1918年に出版されたエッチング集
『グロテスクなイマジネーション』1910-17
の絵が展示されていました。
なんだか不思議な、タイトルどおりグロテスクな人々の絵で、
皮肉っぽいような? 正直木版画ほど好きにはなれなかったけど。

最後のコーナーのみ撮影可
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ドームの2階回廊を通って、ショップへ行きます。
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回廊には、辰野金吾が設計した創建当時の東京駅の模型や、
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戦災で南北ドームや3階が消失し、戦後の復興工事で、
2階建て、南北ドームの屋根は八角屋根に変更され、
1947(昭和22)年3月に竣工。
この姿で2007(平成19)年までの60年間使い続けられたそう。
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あ、私にはこの建物の方が「東京駅」ってイメージ!

1964年の東京駅周辺のジオラマ
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この前年まで、都市景観の保護のため建物の高さが
百尺(33メートル)以下に規制されていたが

規制が撤廃されて、超高層ビルが立ち並ぶようになり、
2014年にはこのように
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ドームの装飾に使われている干支のレリーフ(レプリカ)が
展示されていました。
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図録が3,080円でちょっと迷ったけど、買っちゃいました。
黒い紗(?)の生地を貼った表紙が版画っぽく(?)て、手触りも面白い。
(表紙がもうちょっとしっかりしてるといいなぁ。反り返ってきちゃうので)
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クリアホルダーも1種類購入。486円
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「メスキータ」展、
東京ステーションギャラリーで2019年6月29日(土)~8月18日(日)
に開催された後、

佐倉市立美術館で2020年1月25日(土)~3月22日(日)
西宮市大谷記念美術館で2020年4月4日(土)~6月14日(日)
宇都宮美術館で2020年7月5日(土)~8月30日(日)(予定)
いわき市立美術館で2020年9月12日(土)~10月25日(日)
と、巡回するそうです。

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展覧会を見終わった後、日本橋三越本店へ行きました。
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今年2月に見た
碧南市藤井達吉現代美術館「佐藤玄々(朝山)展」で知った
https://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2019-03-19
佐藤玄々の代表作《天女(まごころ)像》を見てみたいと思ってたからです。
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ドハデで巨大な彫刻だけど、巨大な中央ホールの中に立っていると、
それほどの大きさや派手さをを感じないというか、
彫刻も確かにすごいけど、この5階まで吹き抜けの中央ホールに
圧倒されました。
内装に使われた大理石にアンモナイトの化石が見えるのもすごい!

閉店時間が迫っていたので、地下の食品売り場で、2割引きに
なっていたお弁当を購入。新幹線の中で食べようと。
(ついでに東京のお土産も買おうかと思ったけど、ここは
高いものしかなかったので、東京駅の土産物店で買った)

日本橋
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翼のある麒麟像
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日本橋高島屋のディスプレイ カッコイイ!
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ヤマザキマザック美術館「ロイヤルコペンハーゲンのアール・ヌーヴォー」 [美術]

7月14日(日)、ヤマザキマザック美術館へ行きました。

「ロイヤルコペンハーゲンのアール・ヌーヴォー」
 という企画展をやっています。
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ヤマザキマザック美術館は私の大好きな美術館で、
これまでも、企画展毎に行っています。
(近年は感想をブログに書けてないですが)

まぁ今回、ちょっとテンション低め‥‥だったのは、
チラシのデザインがイマイチだったのと、
今回展示されている塩川コレクション、
岐阜県現代陶芸美術館「アール・ヌーヴォーの装飾磁器」展
https://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2016-04-28
で見たし、「デンマーク・デザイン」展
https://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2018-07-02
での陶器のコーナーも塩川コレクションだったなぁって思ってて。
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でも行ったら、写真撮影もできたし、
とろっとした釉下彩(ゆうかさい)のどうぶつたちが可愛くて
‥‥チラシでは「ミルク色に輝くどうぶつたち」って表現してますね。
焼き物の知識とかなくても楽しめて、
見てて幸せな気分になりました。
やっぱり私、アール・ヌーヴォー好きだなぁって。

入場料一般当日1,300円が、大垣共立銀行のスマイル倶楽部カードで
100円引きの1,200円になりました。
他、ドニチエコきっぷやJAF会員証等でも割引きになります(併用不可)

まず4階からってことで、
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無料の音声ガイドも借りました。

ビング オー グレンダール《釉下彩小鹿置物》(左)
ロイヤル コペンハーゲン《釉下彩小鹿置物》(右)
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カワイイ!! 撮影可にテンションあがっちゃいます!

ロイヤル コペンハーゲン《釉下彩岩穴の上の狐置物》(左)
ロイヤル コペンハーゲン《釉下彩岩穴を覗く犬置物》(右)
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ロイヤル コペンハーゲン《釉下彩猫蓋物》
猫が蓋になって、台にネズミが描かれているのも面白い!
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この展覧会「ロイヤル コペンハーゲンの~」って
タイトルがついてますが、ビング オー グレンダールのものも
多かったです。

 1775年にデンマーク王立磁器工場として創立されたロイヤル コペンハーゲンは、クリスマスのイヤープレートや、青い小花をレース状に描いたブルーフルーテッドの食器などが有名で、日本でも人気が高い陶磁器メーカーです。長い歴史を誇る名門ですが、19世紀末に釉下彩(ゆうかさい)という技術を確立し、やわらかいパステル調の風合いの作品を生み出してセンセーションを巻き起こしました。

 釉下彩とは顔料であらかじめ描いた絵の上に釉薬をかけて焼成する技法です。主に吹き付けで着彩するため、淡くにじんだ色彩がニュアンス豊かなグラデーションを形成します。
(以下略・チラシ中面より)

「ロイヤル」という称号は残っていますが、1868年に民間窯となったそう。

デンマークにはアール・ヌーヴォーの時代に世界的に注目された窯がもうひとつありました。1853年に創立したビング オー グレンダール陶磁器工房です。
1885年に芸術監督に就任したピエトロ・クローンは、動植物のフォルムを取り入れた自然主義を展開し、日本の芸術様式なども参考にした作品を次々に発表しました。
釉下彩は技術的な難易度が高いため、当時はロイヤル コペンハーゲンとビング オー グレンダールの2社にしか生産できないものでした。
(チラシ中面より)

あくまで私の印象では、ビング オー グレンダールの方がリアルで、私の好みです。

両端の猫と犬(ファラオハウンド)がビング オー グレンダール
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左が、ビング オー グレンダール《釉下彩犬置物 シェットランドシープドッグ》
右が、ロイヤル コペンハーゲン《釉下彩犬置物 ペキニーズ》
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あ、この猫は「アール・ヌーヴォーの装飾磁器」展でも印象深かったです。
左がロイヤルコペンハーゲン、右が京都 錦光山宗兵衛が模したと推測されるもの
やっぱりロイヤル コペンハーゲンのものの方が素敵
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チラシのメインビジュアルにも使われている
ロイヤル コペンハーゲンの犬の置物たち。やわらかな印象です。
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ビング オー グレンダール《釉下彩一夜茸花瓶》
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塩川コレクションに購入された当時、製作当時につけられていた蓋が
ついていませんでした。今回の展覧会に出品するにあたり、
制作当時つけられていた蓋の復元を、
多治見市市之倉にある窯元「平正窯」の五代目にあたる陶器師
高木典利氏にお願いしたとのことで、

高木典利氏による復元のプロセスや、苦労した点
‥‥焼き上がると縮むので、その収縮率を割り出すことや、
焼きあがった色を見るためのテストピースが並んでいたり‥‥
そうやって復元された蓋がついています。

そしてせっかくなのでと、高木氏が制作した
和風にアレンジした一夜茸の花瓶も展示されていました。
釉下彩の難しさに苦労したと。
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こちらの3点の花瓶は、高木典利氏所蔵の西浦焼の釉下彩の花瓶
明治期に多治見で発展した西浦焼は、釉下彩による絵付けが主流だったと。
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ロイヤル コペンハーゲン《釉下彩カタツムリ文花瓶》(中央奥)
ビング オー グレンダール《釉下彩カタツムリ置物》(左)
ロイヤル コペンハーゲン《釉下彩三匹蝸牛花瓶》(右)
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中央奥は、ヤマザキマザック美術館所蔵 エミール・ガレ《オダマキ文花瓶》
手前左が、ロイヤル コペンハーゲン《釉下彩アーティチョーク花瓶》
右が、ロイヤル コペンハーゲン《釉下彩葉文手付花瓶》
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中央奥が、ヤマザキマザック美術館所蔵の
エミール・ガレ《蝶にカラスムギ文花器》
手前左が、ロイヤル コペンハーゲン《釉下彩紋白蝶小花瓶》
右が、ロイヤル コペンハーゲン《釉下彩青羽蝶小花瓶》
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ロイヤル コペンハーゲンの釉下彩の魚のフィギャリンたち。
ぬめっとした魚の質感が見事です。
中央奥は、ヤマザキマザック美術館所蔵のエミール・ガレ《海馬文花器》
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北斎漫画の影響を感じさせるって説明がありました。
そういえば、こんな魚のポーズが北斎漫画にあったような。
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右の、ロイヤル コペンハーゲン《釉下彩アシカ置物》は、
尾張徳川家第19代当主・徳川義親のコレクションであった可能性があるそう。
彼が設立したのが徳川美術館ですが、準備のために重複・不要品とされた
ものが競売に出されたそうですね。
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鳩や鳥たちがカワイイ
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ロイヤルコペンハーゲン《釉下彩トラ置物》(左)
ロイヤルコペンハーゲン《釉下彩北極熊置物》(右)
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そんなに大きくないフィギャリンですが、迫力あります。
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ロイヤル コペンハーゲン《結晶釉花瓶》
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ロイヤル コペンハーゲン《釉下彩魚文中皿》
青色のグラデーションがすごくきれい!!
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1888年11月アウグスト・ハリン制作のユニカ
※ユニカとは作家の一点物をさす。絵付け作家の芸術作品。

展覧会のガイドブックによると「これを西洋絵具で出すのは 非常に難しい。なぜかというと、西洋絵具は酸化コバルトを使って 青色を出すのですが、酸化コバルトだけだと発色が悪く、濃すぎて 濃淡が出せないからです。

「アール・ヌーヴォーの装飾磁器」展でも見た
ビング オー グレンダール《釉下彩鷺センターピース》
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ピエトロ・クローンの代表作「鷺のサービス」のセンターピースは、
24人用のディナーサービスのためにつくられました。


とても素敵!!

ポール・アレクサンドロ・デュマのナナカマドのモチーフがちりばめられた
食堂用家具の部屋のテーブルには、「鷺のサービス」の
アイスバスケットや、コンポート、塩入れが置かれていました。
ちょっと実用には‥‥って感じですが。
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4階を見終わって、5階へ。
この優雅な赤い壁紙の部屋はいつ来ても素敵!!
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ロココを代表する画家、フランソワ・ブーシェの
大作《アウロラとケファロス》1745年頃
ルイ15世の愛妾ポンパドール侯爵夫人の旧蔵と伝わる作品で
ヤマザキマザック美術館を代表する絵ですね! とても素敵!!
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その左隣は、ニコラ・ド ラルジエール《ジャッソ夫人とふたりの子供》
1707年頃

次の部屋はクリーム色の壁紙に、印象派の絵などが飾られています。
左が、クロード モネ《アムステルダムの港》1874年
右が、アルフレッド シスレー《サン=マメのロワン運河》1885年
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毎回見ているはずなんですが、今回すごくいいなって思った3枚の海の風景、
どれもアルベール マルケの作品
フォーヴィスム(野獣派)に分類されるフランスの画家だそうですが、
穏やかでとても気持ちがいい絵だなぁって見ました。
左が、《サン・ジャン・ドウ・リュズの港》1927年
右上が、《税関前の艦船》1942-43年 《ラ・ショームの家並み》1921年
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次の部屋は青い壁紙に、エコール・ド・バリやそれ以降の絵が
並んでいます。
この作品なんてすごいですよね!!
アメディオ モディリアーニ《ポール・アレクサンドル博士の肖像》1909年
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最後の部屋にはピカソとかもありますが、写真撮影禁止のマークが
付けられています。著作権とかの関係なんでしょうね。

ショップで、今回の展覧会のガイドブックを購入。
なんと本体300円という安さ!!(+消費税24円)
そして、近くにあった
「すぐわかる[作家別]アール・ヌーヴォーの美術」岡部昌幸=著
ガレやミュシャ、クリムト等の他、建築や家具、インテリア、
ファッションまで載ってていいなって思ったので、
ついでに買いました。2000円+消費税160円
そしたら、ガイドブック購入で100円引きになって、
さらに、2000円超えで、ポストカードもプレゼントされて嬉しい!
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今回、時間に余裕があったので、1階のカフェで
ケーキセットいただきました。900円
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ヤマザキマザック美術館: http://www.mazak-art.com/
コレクションのページには、所蔵作品検索システムがあって、
画像や詳しい説明等も充実しています。





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