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ヤマザキマザック美術館「名古屋城からはじまる植物物語」 [美術]

7月11日(日)名古屋のヤマザキマザック美術館へ行きました。

「名古屋城からはじまる植物物語」という展覧会をやっています。
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4月24日(土)からはじまったこの展覧会、8月29日(日)までやっているので、
のんびりしていたんですが、そろそろ行かなくては‥‥と。
私、ヤマザキマザック美術館の企画展は今まで全て見ているんです。
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割引券付のチラシ持参で、入館料1,300円が100円引きの
1,200円になりました。(持参のチラシは引き換えになったので、
これは割引券がついていないチラシ)
市バス・地下鉄のドニチエコきっぷ、一日乗車券、
JAF会員証、大垣共立銀行のスマイル会員証などでも
100円引きになります。(併用不可)

4階から見ていきます。

まずは、焼失前の名古屋城の写真
nagoya-castle.jpg
(図録より)

すごい‥‥「尾張名古屋は城でもつ」なんて歌がありましたが納得です。
これだけの城が第二次世界大戦の空襲で焼失してしまったなんて!

慶長14年(1609)に徳川家康が築城した名古屋城は、 260年間、尾張徳川家の居城でした。
慶長20年(1615)に完成した本丸御殿は、加納貞信を筆頭とする狩野派の主要絵師によって障壁画が施されました。さらに寛永10年(1633)三代将軍 徳川家光上洛に先立ち増築が行われた時には、狩野探幽を筆頭とする狩野派の絵師による障壁画が施されました。
(図録より)

空襲の直前にとりはずされ、焼失をまぬがれた天井板絵と
復元模写された天井板絵が並んで展示されています。

当時の色合いが復元された絵は、ちょっとキレイすぎるような
気もするけど、今、風格とか重厚って見てる昔のものって、
時の経過による変化なのかもしれない‥‥なんて。

「御下屋敷(おしたやしき)」と呼ばれた尾張徳川家の別荘の
絵図がありました。今、ヤマザキマザック美術館がある場所は
御下屋敷の南西にある池や陸が配された庭の辺りだったそう。

御下屋敷には朝鮮人参の栽培を行っていた畑もあったと。

人参は、根が枝分かれした姿が人の形にみえるところから
その名がついたそう。

文政9年(1826)3月29日、江戸に参府するシーボルトは、
熱田神宮で、水谷豊文や伊藤圭介らと出会います。

水谷豊文(1779-1833)は、御下屋敷薬草園の管理の仕事をしていて、
狩野派の流れをくんだと思われる絵師に絵を習っていたが、
シーボルトから植物解剖学の概略を教えられ、完成度の高い
ボタニカルアートを描くようになったとのこと。

(図録より
熱田でシーボルトに見せたハシリドコロと、
シーボルトから譲り受けたタバコの絵)
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豊文の弟子の伊藤圭介(1803-1901)は、熱田で出会ったシーボルトから
長崎留学をすすめられ、シーボルトのもとで西洋の植物学を学びました。

「おしべ」「めしべ」「花粉」という言葉を作ったのも
伊藤圭介なんだそう。

90歳になった伊藤圭介が自らの知識や資料をまとめた
門外不出の秘本『錦窠(きんか)植物図説』や、
植物や生き物の絵や本、収集していた矢尻や勾玉も展示されてました。

(図録より 伊藤圭介が書いた本)
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まぁ、このあたり、植物の絵はきれいだなって見たけど、
解説は、私にはちょっと難しくて‥‥

でも伊藤圭介がすごい人だってことはわかりました。
伊藤圭介にちなむ名前がついた植物も多いとのこと。


そして『尾張名所図会』に描かれた「医学館薬品会」の様子は興味深かった。
江戸末期に、現在の中区錦にあった「尾張医学館」で開催された
物産会。人々がひしめき合い、人骨模型や脱皮したヘビの皮、
クロタヌキや双頭蛇など、めずらしい物産を覗き込んでいます。

さらに、明治5年(1872)湯島の聖堂で、日本で初めて開催された
博覧会の錦絵(チラシ中面下)には、中央に名古屋城の金のシャチホコが
展示されています。左右には鳥や動物の剥製や日本各地の産物が並び、
すごい人だかりです。ほとんどの人は着物姿ですが、洋装の人もいます。
名古屋城の金のシャチホコは、明治政府への服従の証として
宮内庁へ献納するために天守閣から降ろされ、
オスは湯島聖堂の博覧会に出品され、以降日本各地を巡回。
メスはウィーン万国博覧会(1873)に出品されます。
名古屋城に金鯱が戻るのは1879年のことで、地元の有志らが嘆願書を出して
聞き届けられた結果だそう。

この展覧会では、植物を描いた絵や『北斎漫画』と並んで、
ヤマザキマザック美術館が所蔵するガレやドームのガラス作品が
展示されていたり、アール・ヌーヴォーの家具に象嵌された
植物のデザインなど、日本の美術工芸品が「アール・ヌーヴォー」に
多大な影響を与えたことがわかります。

最後に展示されていた《百華文七宝大壺》明治時代後期 がすごい!!
林喜兵衛/安藤七宝店製造 名古屋市博物館所蔵
チラシのメインビジュアルに一部が使われていますが、
「茄子紺」と呼ばれる尾張七宝特有の濃い紺色の地に、50種類もの
花々が描かれた有線七宝の大壺。まさに明治の超絶技巧!

続いて、5階へ。今回初めて、4階と5階を階段を使って上がりました。

ブーシェやナティエ、ヴィジェ・ルブランなど、私の大好きな
赤い壁紙の部屋。作品はおなじみになったけど、今回、
シャンデリアがとても明るく輝いて、なんかすごく部屋が豪華に見えた。

黄色い壁紙の部屋も、照明が明るくなった?
前回(2月25日(木)「富田菜摘 スクラップ・ワールド」展)来た時に、
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2021-03-07
「クールベと海」展に貸し出されていた
クールベ《波、夕暮れにうねる海》1869 も
いつもの場所に戻ってました。


ミュージアムショップで、図録買いました。495円(税込)
yamazakiart2021(2).jpg
左から、チケット、チラシ、図録

リーズナブルさが嬉しい!! 解説も詳しくて、
今回、博物館的な展示だったので、この冊子の解説を読んで、
理解できたことも多かったです。


1階のカフェで、オレンジのタルトとコーヒーをいただきました。900円
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ヤマザキマザック美術館の斜め前には、今回の展覧会に
いろいろ協力をされている名古屋園芸があります。
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お店の前にハスが育てられている鉢が並んでいました。
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名古屋園芸のご隠居さんが、NHK「趣味の園芸」などにも出演されている
小笠原左衛門尉亮軒さんです。


ヤマザキマザック美術館: http://www.mazak-art.com

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2018年8月に行った、ヤマザキマザック美術館の
「尾州徳川の花相撲 
 帝もサムライも熱中!いとしの植物たち」展
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ブログに感想が書けておりません。今回の「植物物語」と重なるような
展示(日本の植物の絵がアール・ヌーヴォーに影響したところなど)も
ありました。今回は写真撮影禁止だったので、その時の写真を
アップしておきます。

北斎漫画とガレ《朝顔文ランプ》
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ガレ《トンボのテーブル》の天板に象嵌(寄木細工)された
カーネーションの文様
2018-8-7-(45).jpg
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