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岐阜県博物館「パレオアート作品展」 [美術]

2月12日(日)、岐阜県博物館へ行きました。
「パレオアート作品展
-二人のパレオアーティスト-」という特別展をやっています。
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本特別展では、古生物の復元作品として、小田隆氏(画家・イラストレーター)の古生物復元画と、徳川広和氏(古生物復元模型作家)の古生物復元模型をそれぞれ作品展示します。これらの作品を通して、古生物の科学的な側面だけでなく、彼らの生き生きとした姿を感じるとともに、芸術作品(アート)としての技術や価値など多方面から展示をお楽しみいただけます。(チラシ裏面の文)
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この展覧会のことを知ったのは、
毎年、美術展の情報がたくさん載っていて楽しみにしている
「美術の窓」2022年12月号

岐阜県ではどんな展覧会が開催されるのかなーと、
見たら、岐阜県の施設で唯一載っていたのが、この
岐阜県博物館「パレオアート作品展」

私、それまで、「パレオアート(paleoart)」って言葉も知りませんでした。
科学的根拠に基づいて、古生物を復元したアートのこと。

古生物の復元画ってことだけなら、私それほど興味なかった
かもしれませんが、
小田隆さんの名前を見て、岐阜市の上宮寺で開催された
岐阜アートフォーラム「純情動物園Ⅱ」や、
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2020-05-12
(2019年10月に開催されたイベント。
ブログはコロナの外出自粛中に書いてます)
ギャラリーいまじん「小田隆展」で、
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2020-05-14
作品を見て、とても写実的で美しい絵を描かれる人だなぁと。
図鑑や博物館の復元画も描いていらっしゃることを知りました。

岐阜県博物館
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関市の岐阜県百年公園内にあります。

入館料一般600円が、JAF会員証提示で、団体料金の520円になりました。

特別展は本館4階の特別展示室で
撮影可!

プロローグ 化石とパレオアート

古生物の復元は、ほとんどの場合は断片的な化石をもとに
行なわれます。なので、恐竜などの「色」はわからない、と
言われてましたよね。でも近年、保存状態の良い化石の表面に
残された「メラノソーム」という構造物が認識されはじめたことで、
限定的ではあるが、色の復元さえも可能となってきたそう。
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左の《シノサウロプテリクスの全身骨格(複製)》は、
羽毛の痕跡が見つかった初めての恐竜化石で、
メラノソームの痕跡から、体全体は赤みがかったオレンジ色で、
尾は縞模様であったと考えられているそう。


第1章 二人のパレオアーティスト

小田隆氏の作品や仕事が紹介されていました
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1969年 三重県生まれ
1995年 東京芸術大学美術研究科修士課程修了。油画と壁画を専攻
1996年 恐竜の化石の組み立てに参加したことから復元画の制作を始め、
博物館のグラフィック展示、図鑑の復元画、絵本など多数制作
京都精華大学教授、美術解剖学会員、日本古生物学会員、古脊椎動物学会員

小田隆公式ウェブサイト: http://www.studio-corvo.com/

小田隆《オルニトミモサウルス類の群れ》復元画
羽の色が黒と白でくっきりとハデ!
私が子どもの頃に見た恐竜の絵とは全く違う
って、オルニトミモサウルスは小型獣脚類なんですね。
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徳川広和氏の作品や仕事
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1973年 福岡県生まれ
丹波市立丹波竜化石工房「ちーたんの館」や博物館などで
恐竜をはじめとする古生物の復元模型を多数制作
株式会社ActoW代表取締役、日本古生物学会員、古脊椎動物学会員、化石研究会員、きしわだ自然資料館特別専門員


第2章 古生物の復元画

小田隆氏の古生物の復元画が展示されています
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時代も違う大型の古生物を多数描いて、大きさを比べた作品は
子どもが夢中になりそうですね
(恐竜にすごく詳しい子ども、いますよね)

三畳紀、ジュラ紀、白亜紀の恐竜たちを環境も含めて描いた絵、
恐竜に興味のない私でも、恐竜の生き生きした姿、
太古の昔の世界をイメージすることができて、ワクワクします。

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ペン画がずらりと並んでいます
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小型の角竜類であるプシッタコサウルスの復元画(左上)
ワンポイント解説で「赤ちゃんが集団で一緒に見つかることがある」と、
《プシッタコサウルス幼体の集団》が下に展示されてました
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《始祖鳥:アーケオプテリクス》の骨格と復元画
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2019年に岐阜市内のショッピングモールで開催した
「恐竜ライブペインティング」で描かれた作品
《ティラノサウルスの頭骨と頭部復元画》
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左のモニタに、ライブペインティングの様子が映されていました。
250×250cmの大きな作品ですが、
2日間、計約10時間程で描かれたとか。
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あらかじめ小型のキャンバスに描いたものを拡大して、
1日目に頭骨を、2日目に復元を描かれてました。

《ゴルゴサウルス vs スティラコサウルス》
ペン画ですが、巨大(280×620cm)な作品
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第3章 古生物の復元模型

徳川広和氏が制作した古生物の復元模型が展示されています
恐竜類
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上段が《ティラノサウルス(旧復元)》
そうそう、私が子どもの頃は、こんなゴジラみたいな姿でしたよね!
下段が《ティラノサウルス3体》
成長段階ごとに復元された3体のティラノサウルス・レックス
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首長竜類 モササウルス類 カメ類
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哺乳類
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鳥類
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エピローグ 最新復元模型制作

今回の特別展にあわせて新規制作された
徳川広和氏の作品
《トロオドン科恐竜の復元模型》
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制作過程が紹介されていました
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恐竜に興味のない私でも楽しかったです。
熱心に復元模型を見ている子供いましたよ。
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ショップで図録購入 1,800円
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小田隆氏の絵を使った岐阜県博物館のクリアファイル
2つ組で500円(お値打ち!)
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岐阜県博物館の他の展示については次の記事で書きますが、
2月23日(木・祝)に開催された小田隆氏の講演会
「古生物の復元画の世界」に行くことができました。

23日はパート先で団体も入っていたんですが、
大学生のアルバイトが入ってくれて、私は休むことができました。
事前予約もしてなかったですが、問い合わせたら、
当日の席が少しだけ用意できると。

小田隆さんが、丹波竜の復元画の仕事を例に、
研究者との共同作業で復元画を描いていく過程を
説明されていました。

発見された断片的な恐竜の骨の化石から、
今生きている動物の骨格などの知識から推測される
恐竜の骨格を描いて(小田隆氏の鉛筆画、精細でキレイ!)
研究者へ渡すと、細かな修正の指示が返ってきて
(図だけでなく、びっしりと書かれたレポートも!)
描き直し、といったやりとりが何度も続くのだそう。
(うわー、面倒くさそう)

でも、世界で最初に復元された姿を見ることができるのが
面白いと。

化石を見ても何が何だかわからない私には、
復元された絵を見て、やっと、昔こんな生物がいたんだって、
イメージすることができます。

自分の好きに描いていい絵とは違い、研究者と協議しながら、
科学的根拠に基づいて描かれる復元画。
大変な労力がかかることですが、こういう絵を見て、
恐竜や古生物、地球の歴史などに興味を持ち、
未来の科学者となる子どもたちも多いでしょうね。

質疑応答(付箋に質問を書いてホワイトボードに貼る方式)で、
画材について、鉛筆はステッドラー、
アクリル絵具はチューブではなく液体のものを、
デジタルはフォトショップ、レイヤーに分けて編集できるのがいい。
板タブレットではなく、液晶タブレットを使用とのことでした。

講演会の後で撮影
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ホワイトボードの絵は、以前の講演会のその場で描かれたもの。
撮影可とのことで。
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翌日(2023年2月24日)の中日新聞朝刊岐阜県版の記事
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岐阜県博物館: https://www.gifu-kenpaku.jp/

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