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愛知県美術館「ジブリパークとジブリ展」のコレクション展 [美術]

11月3日(木・祝)に、愛知県美術館友の会の
特別鑑賞会で「ジブリパークとジブリ展」に行ったことは
前記事に書きました。
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2022-11-26

11月3日には、美術館事業として、コレクション・トーク
(1) あさいますおの24年 14:30-15:30
(2) 木村定三コレクションの文人趣味 15:40-16-40

も開催されるってことだったので、せっかくなので
そちらも聴講しました。

まぁ、展覧会場空いてるようなら、そちら見てもいいかなと
思ってたんですが、祝日ですし、
当然ながら10階の美術館前には長い行列。
12階のコレクション・トーク会場まで上がりました。


以下、コレクション・トークの内容は、あくまで私が聞いたことなどから
書いてるので、聞き違いや、間違っていることがあるかもしれません


コレクション・トーク(1)
「あさいますおの24年」

講師: 石崎尚(愛知県美術館学芸員)

あさいますお? 名前も聞いたことがないし、
(「アイチアートクロニクル展」に作品が出てたそうですが
全く印象に残っていない(^^;>
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2019-04-15
事前にググってもほとんど情報がなかったです。

24歳で事故死された60年代のわずかな期間に活動された前衛芸術家で、
トークでは、地べたに寝たりするハプニング
(そうそう当時パフォーマンスのことをこう言ってましたっけ!)を行い、
ゼロ次元とも交流があったと。

あさいますお生誕80年となる今年、近年の調査で発見された
作品を一挙公開する本展は、貴重な機会となるであろうと。
あさいますおの作品集も発行される予定だそう。

コレクション・トークの後、その展示を見に行きました。

展示室6 生誕80年 あさいますお―不可視の後衛
愛知県長久手出身の前衛芸術家、あさいますお(1942-1966)。絵画の制作、前衛的なパフォーマンス、ガリ版誌の発行、日本各地の辺境への旅、子どもたちへの美術教育など、多岐にわたる活動を展開したこの知られざる作家の作品を紹介します。

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コレクション・トークを聞いて、60年代の
わけのわからないような独特のパワーやエネルギーを感じて、
うーん、私あまり好みじゃないかも‥‥なんて思ったんですが、
展示室の作品見たら、意外と(って言ったら失礼かもしれないけど)
いいじゃんって。
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なんか静謐ささえ感じるような画面‥‥
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『月刊漫画ガロ』1965年7月号 が展示されていて、
武良茂が「鳥」というエッセイ?を書いています。
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武良茂は水木しげるの本名で、登場するエカキが
あさいますお とのこと。
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水木しげるに、鳥のような自由な生活ができるものだナと
感心されています!


コレクション・トーク(2)
木村定三コレクションの文人趣味

講師: 中野悠(愛知県美術館学芸員)

文人とは? 中国と日本、また時代によっても違いがありますが、
中国・宋時代の科挙に合格できる程の教養を身に着け、
琴棋書画(琴と碁と書と絵)といった風流事を
自らの楽しみとした人々のことで、

日本では江戸時代から明治・大正時代にかけて、
中国の文人への憧れから、風雅を楽しんだ人々のこと

今回の展示構成(私のメモなので違っているかも)
1. 明清の書画
2. 日本の近世文人画
3. 玉器・青銅器
4. 文房具
5. 煎茶具


江戸時代前期、中国の禅僧・隠元隆琦(いんげん りゅうき1592-1673)が
渡来し、黄檗宗(おうばくしゅう)を開きます。

隠元は、中国の書や文化を日本に伝えました。
インゲン豆も、隠元から名前がついたとされます。

ダンナの実家が黄檗宗なので(ってことはウチも黄檗宗?)
ずいぶん前、義母と一緒に黄檗宗の本山、
京都・宇治の萬福寺(まんぷくじ)へ行ったことがあります。


展示室7
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開祖・隠元隆琦の書
《梅一大字 得色梅花三五點云々 七言二句》江戸時代前期(17世紀後半)
(愛知県美術館コレクション検索のパブリック・ドメイン画像お借りしました)
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費隠通容《七言二句「不藉春風千萬好」》中国・明時代(17世紀中頃)
費隠通容(ひいん つうよう)は、中国の禅僧で、隠元の師
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木庵性瑫(もくあん しょうとう)
《一行書「龜毛拂」「萬年春」「兎角杖」》 江戸時代前期(17世紀後半)
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即非如一(そくひ にょいつ)
《一行書「栴檀林裏鳳皇飛」》江戸時代前期(17世紀後半)
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隠元隆琦と、木庵性瑫、即非如一が
「黄檗の三筆」と称されているとのこと。

まぁ、私には書はよくわかりませんが‥‥


江戸時代中期、中国の文人画に憧れて、南画が誕生します
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重要文化財の
与謝蕪村《富嶽列松図》江戸時代中期(18世紀後半)
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浦上玉堂の絵がいくつか展示されていましたが、
なんか私には高尚すぎる? っていうか、ジミな絵‥‥なんて(^^;


呉春《急須に燭台図》江戸時代後期(18世紀末‐19世紀初)
「ほととぎす いかに若衆(わかしゅ)の声がはり」
 呉春は与謝蕪村、円山応挙に学び、両者の画風を採り入れつつ自らの画風を築き、京都四条派の祖となりました。句は呉春と同じ蕪村門下の俳人・高井几董(きとう)の作です。煎茶用の急須と燭台の組み合わせ、さらに夜もなくほととぎすの句から、この作品は夜を徹しての遊興の成果なのかもしれません。
(キャプションの説明)
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このあたりの俳画風の洒落っ気は結構好きかも。

風外慧薫《芦葉達磨図》江戸時代前期(16世紀後半-17世紀前半)
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展示室8

文房具の、筆・墨・硯・紙は、文房四宝と呼ばれる
木村定三コレクションでは、硯が多いとのこと。

文人の嗜みとされた煎茶
初期の煎茶は中国製が多かった。

右《青花山水文水注(古染付)》景徳鎮窯、明時代末(17世紀前半)
左《三彩鯱文水注》石湾窯、清時代(18世紀~19世紀)
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左、青木木米《交趾写魚形水注》江戸時代後期(19世紀)
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青木木米《白磁双龍宝珠文急須》江戸時代後期(19世紀)
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煎茶の道具は、ちょっと小ぶりで、抹茶の道具より繊細なカンジ。
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螺鈿が豪華!
《黒漆楼閣人物図螺鈿卓》中国・明時代(16世紀-17世紀)
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右《青磁魚耳三唐子/四唐子花生(七官青磁)》明時代後期(16世紀~17世紀前半)
左《青花花鳥文瓶》景徳鎮窯、明時代末(17世紀前半)
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右《青花唐草文瓢形瓶》景徳鎮窯、明時代末(17世紀前半)
左《茶葉末釉瓶》景徳鎮窯、清時代末~民国以降(19世紀~20世紀)
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12階のアートスペースで行われた
コレクション・トークが終って、まだ特別鑑賞会まで
時間があるので、10階へ降りました。

コレクション展だけ見るつもりだったんですが、
人の流れにつられて「ジブリパークとジブリ展」の入口へ
行ってしまい、

友の会会員証で入れるので、まぁ特別鑑賞会の前にざっと見るかって
思ったんです。最終入場枠の時間がそろそろ終わる時間だったので、
少しは空いたかと思ったんですが、甘かった~!

人がいっぱいでなかなか進めない。コレクション展を見る時間が
なくなるーと焦りました。


2022年度第2期コレクション展

展示室5 ピカソと同時代の作家たち
他館の展覧会への出品が続いたパブロ・ピカソ《青い肩かけの女》が当館に戻りました。この作品を中心に、ピカソの版画や陶器、同時代の作家の作品を紹介します。また日本の美術界におけるピカソの影響について、作品や関連資料を展示します。

国内外の20世紀美術をコレクションの柱の一つとしている
愛知県美術館の常連(?)作品
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左・アメデオ・モディリアーニ《カリアティード》1911-13年
中・エルンスト・ルートヴィヒ・キルヒナー《グラスのある静物》1912年
右・エミール・ノルデ 《静物L(アマゾーン、能面等)》1915年


ピカソの日本美術への影響のコーナーでは、
この作品、好きだなー!
太田三郎《三嬌図》1929年
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シャガール風の幻想的な画面が素敵
川口軌外《二婦》1939年
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東郷青児《月夜》1958年 が展示されていました。
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前のケースには、ピカソに関する書籍などが。



展示室4 追悼 設楽知昭
昨年3月に愛知県立芸術大学を退任後、7月に急逝した設楽知昭(1955-2021)。人が世界を「見る」意味から問い直し、自分の着衣や鏡に描いた作品、世界をドームに見立てた立体と絵画、約4×11mの《透明壁画》など23件の所蔵品ほかを展示します。

右・設楽知昭《目の服・上衣》1993年
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壁一面に《透明壁画、人工夢》2005年
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立体の《ドーム》の後ろの壁には、ドームの内部を描いた絵が
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ドーム内部には船の絵が描かれ(鏡で内部が見えるようになっていました)
1枚の絵にも描かれて展示されています。

夢の中のような、ぼんやりと静謐な絵、好きだなー。
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設楽知昭《母子手帳をください》2001年
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それから、コレクション・トークで聞いていた、
展示室6 生誕80年 あさいますお―不可視の後衛
展示室7・8 木村定三コレクション 文人趣味と煎茶
を見ました。

閉館時間つまり「ジブリパークとジブリ展」の特別鑑賞会の
集合時間が迫っていて、かなり駆け足になってしまいましたが‥‥

「木村定三コレクション 文人趣味と煎茶」は
前期(10/29-11/27)、後期(11/29-12/25)でかなり入れ替えがある
とのことなので、できればもう一度見に行きたいです。


愛知県美術館: https://www-art.aac.pref.aichi.jp/
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