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多治見市美濃焼ミュージアム「中国陶磁」展 [美術]

6月29日(木)、多治見市にある岐阜県現代陶芸美術館へ
「ハンガリー現代陶芸展」を見に行ったことは前記事に:
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2023-07-18

見終わって、まだ少し時間あるな‥‥って、ついでだから
近くの多治見市美濃焼ミュージアムに寄っていこうかなと。
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多治見市美濃焼ミュージアムには、
岐阜県現代陶芸美術館から車で5分ほどで着きます。

看板見て、中国陶磁か‥‥って気もしたんですけど。
(私は考古学的なものにはあまり関心がない。
知識がないこともあるけど)

観覧料は一般320円 撮影可!!

ギャラリーM1 で開催されていた企画展
「中国陶磁
 よみがえる山本コレクション」
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 平成12年(2000年)に山本正之氏から寄贈いただいた中国磁器を、約20年ぶりに展示します。417点あるる作品の中から厳選し、陶器編と磁器編の二部構成にして、2年連続で紹介していきます。今回の陶器編では、会期前期を彩陶などの土器や漢代の緑釉陶器などを、後期には唐代の三彩や墳墓の副葬品である明器を中心に展示します。(チラシ裏面より)ってことで、

前期展示 令和5年4月29日(土・祝)~6月25日(日)
後期展示 令和5年6月28日(水)~8月27日(日)

と、展示替えがあって、後期展示が始まった時でした。

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最初に展示してあったこちらは全会期の展示
山本コレクションにみる中国陶磁史10選
知識がない私が見ても、これらなんかスゴイんじゃない? って。
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その中でも最初の1点
《紅陶鬹(こうとうき)》新石器時代
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鬹(き)は、柄と注ぎ口と内部が空洞の乳状袋脚を持っており、袋状の脚の下に火を起こして、中の液を温める温水器と考えられています。中国で最初に焼かれた土器は、野焼きで700~800℃の酸化焔で焼きあがった赤褐色のものと考えられています。紅陶は新石器時代の早い段階から焼成され、新石器時代の大汶口(だいもんこう)文化から龍山(りゅうざん)文化の時期に多くみられます。(キャプションの解説)

こういう三本脚の器、愛知県陶磁美術館でも
見たな‥‥って、ネット見たら、そちらは《白陶キ》で、
時代は大汶口文化となってました。
愛知県陶磁美術館のコレクションのページ:
https://www.pref.aichi.jp/touji/collection/12/collection/02.html
(愛知県陶磁美術館、改修工事のため休館中なんですね)

《五彩花鳥文方瓶 ブラックホーソン》清
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五彩とは中国で上絵付された陶磁器で、高火度釉の掛かった上釉陶や白磁を素地とし、赤黄・緑などさまざまな上絵具で描いた文様を低火度で焼き付けた釉上彩のことです。五彩文様の地の色を黒で塗りつぶしたものをブラックホーソンと呼び、よく梅樹文が描かれます。ホーソンとは英語でサンザシ(バラ科の落葉性低木)のことで、西洋で梅樹文をサンザシと解釈したことからこの名がつけられました。

この10選、チラシ裏面にも載ってます。
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私はこの展覧会、ついでに見て行こうって、内容も知らずに行ったので、
このチラシも後で見たんですが、展示会場にもあった
山本正之氏の写真見て、あれ? この人、
INAXライブミュージアムの世界のタイル博物館に展示されていた
タイルのコレクションを収集・研究した人だって!

INAXライブミュージアム(3)世界のタイル博物館
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2022-04-05

世界のタイル博物館のタイルコレクションもすごかったけど、
ここの美術館にもこんなすごいコレクションを寄贈されてたんだって!


《加彩獣面壺》前漢
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唐代―漢代につづく中国陶磁の第二の発展期
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唐三彩―豪華絢爛な唐文化を伝える中国陶磁の華
三彩とは、低下度釉で緑、黄、青、藍などの2種類以上の色釉を器の表面に染め分けした陶磁の総称で、色釉の数はこだわりません。」とのこと。


俑―死後の世界を豊かにという願いをこめて
明器(めいき)とは、墳墓に収められた副葬品のことで、俑は明器の一種で、人間や動物をかたどったものです。
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左《黄釉婦人像》唐  右《加彩婦人像》唐
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左《灰陶楼閣》漢  右《緑釉井戸》漢
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常設展示室では(写真撮影可になったんだ!)

美濃焼1300年の流れ―飛鳥時代の須恵器から美濃の現代陶芸作家まで

《灰釉陶器 広口瓶》生田1号窯 10世紀
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灰釉(かいゆう)陶器は、奈良時代末から平安時代後期(8世紀後半~11世紀後半)まで猿投や東濃を中心に焼かれたやきもので、器面には草木の灰などを水に混ぜた釉薬(灰釉)がかかっています。


実家にあった懐かしい器によく似てるなって
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村おこしが産んだ磁器
 「根本焼」は現在の岐阜県多治見市根本町で、江戸時代末期から昭和中期の間に生産されていました。
 江戸時代末期、可児郡根本村(現・多治見市根本町)は天保の飢饉などの影響により、苦しい生活を余儀なくされていました。そんな根本村の現状を憂い、当時の代官坂崎源兵衛は領地内の産業開発を進めていきます。
 そうした磁器に、春日井郡外之原(とのはら 現・愛知県春日井市)出身の小助という者が、根本村に仕事を求めてやってきます。瀬戸で磁器生産の技術を習得していた小助は、源兵衛の庇護のもと染付磁器の商品化に成功し、「根本焼」の基礎を築きました。
 一方で産業開発には多額の資金が必要となります。源兵衛は領民に対し、厳しい税のとりたてや諸事取締まりを行ったため、それに対する反発もありました。後にそこから発展したトラブルにより、その後の「根本焼」の隆盛をみることなく源兵衛は暗殺されてしまいます。
 「根本焼」は高価な呉須を用い、手描きによる絵付けを施した染付磁器でその名が知られています。根本焼独特の呉須の色にはやわらかみがあり、料理を美しく引き立てました。そのため冠婚葬祭や年中行事で用いられたもてなしの器として、明治中期頃から大正時代にかけて最盛期を迎えました。


以前もここの美術館で素敵って見た「西浦焼」の名品
左《釉下彩紫陽花文花瓶》「西浦」銘
右《釉下彩秋海棠文花瓶》西浦焼
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美濃焼は人間国宝(重要無形文化財技術保持者)6人を
輩出しています
「志野・瀬戸黒」荒川豊蔵
「色絵磁器」加藤土師萌
「白磁・青白磁」塚本快示
「三彩」加藤卓男
「瀬戸黒」加藤孝造
「志野」鈴木藏

加藤土師萌(はじめ)《色絵釉裏金彩食籠》
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(ブログに感想が書けてないけど)
2018年夏に岐阜県現代陶芸美術館で開催された
「加藤土師萌展
 色絵磁器を極めた人間国宝 その技とデザイン」を見に行って、
いろんな技法に挑戦した人なんだなぁと。
陶磁器だけでなく、風景や人物などのスケッチもたくさん
展示されていたのが印象に残ってます。そしてやっぱり
中国明代の色絵磁器の研究から再現させた萌黄金襴手はすごい!!
(加藤土師萌の畢生の大作が、皇居正殿竹の間に飾られた
《萌黄金襴手菊文蓋付大飾壺》さすがに展覧会には来てなかったけど)
この《色絵釉裏金彩食籠》は、白磁の上に緑地を施して焼成し、
その上に金箔を貼って焼き付け、さらにその上から低下度釉を
全面に掛けて焼成したもの。


中央の展示台は、戦時期の物資不足で、鉄などの代用品として
やきもので作られたものが展示されていました。

手榴弾と学生用ボタン、記章・校章
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アイロンとガスバーナー
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通路に飾られた加藤土師萌の陶板
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中庭にも陶のオブジェが置かれています。
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ギャラリーS1では「明治・西浦焼の世界」
会期: 2023年3月11日(土)~12月24日(日
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 明治時代、西浦焼は1つのブランドとして多くは欧米向けの輸出品として販売されました。(中略)
 明治政府は殖産興業を推進し、万国博覧会に美術品を出品することを奨励していました。ここで日本の技術者は、アメリカのルックウッド社の製品など、当時世界をリードしていた、それまでの日本にはなかった美しいやきものを目の当たりにします。
 美濃の西浦圓治(にしうらえんじ)もその中の一人です。
 「西浦焼」とは土岐郡多治見町(現多治見市)を中心に、明治初期より三代から五代西浦圓治のもとで製作されたやきもののことをいいます。なかでも五代西浦圓治が明治30年代から44年にかけて製作した、釉下彩(ゆうかさい)と呼ばれる作品が広く知られています。
(以下略)

(こちらもブログに感想が書けてないんですが)
2021年7月にここの企画展「西浦焼」で、
西浦焼のたくさんの作品を見て、西浦焼について知りました。
その時は、ギャラリーM1で
「―世界の巨人に挑んだ器たち―」として、
加納コレクションのルックウッドやロイヤルコペンハーゲンなどと
比較するように展示され、
ギャラリーS1では、
「―電燈所 た禰コレクションを中心に―」として、
 明治時代に多治見へ電気をもたらす合資会社「多治見電燈所」加藤乙三郎(おとさぶろう)(初代)の妻・加藤た禰(ね)が、明治44年(1911年)西浦焼の工場が閉鎖されたとき地元の宝を散逸させてはならないと考えて蒐集したコレクションが展示されていました。

今回のチラシ表面に使われている《釉下彩銀杏文ポット》も
電燈所た禰コレクション 多治見市美濃焼ミュージアム蔵


左《銀彩釉下彩花図砂糖入れ》西浦焼 銘「西浦」1900年頃
右《銀彩釉下彩花図水注》西浦焼 銘「西浦」1900年頃
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《釉下彩鷺図花瓶》ルックウッド(白山谷喜太郎)190年頃
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 ルックウッドは明治13(1880)年にM.L.ニコルズ夫人により設立され、昭和42(1967)年まで*の約90年間、アメリカ・オハイオ州南部シンシナティ市で美術陶器を製作していた製陶所です。(*2004年に再稼働している。)

ルックウッドの日本人技師 白山谷喜太郎(しらやまだに きたろう)
 明治19(1886)年にニコルズ夫人に外国人技術者として雇われました。
 ニコルズ夫人は白山谷について同社を代表する絵付師のひとりに挙げています。

同時代の作品もあわせて展示されていました。

富永源六(1859-1920) 佐賀県の陶芸家 佐賀県議
左《釉下彩河骨図蓋付壺》
右《釉下彩朝顔文水注》
共に、富永源六 「大日本源六製」銘 1900~1930年頃(米国からの里帰り)
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川本桝吉 初代1831-1907 二代1852-1918 瀬戸の窯屋
左《釉下彩花蝶図花瓶》川本桝吉 「川本造」銘 1900~1930年頃(米国からの里帰り)
右《釉下彩鳥図花瓶》川本桝吉 二代 「瀬戸奇陶軒 川本桝吉製」銘 1900年頃(米国からの里帰り)
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松風嘉定 三代1870-1928 京都の窯業家
左《釉下彩葡萄文花瓶》松風嘉定 1900~1930年頃(米国からの里帰り)
右《釉下彩家鴨図花瓶》松風嘉定 1900~1930年頃(米国からの里帰り)
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次の部屋は、現代の美濃陶芸

五代 加藤幸兵衛《萌黄地金襴手魚藻文水指》
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新里明士(にいさと あきお)《光器》
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この人の志野、端正な雰囲気で好きだなー
酒井博司《藍色志野花器》
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今年の岐阜県美術館「第11回 円空大賞展」
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2023-02-05
円空賞を受賞されてましたね
中島晴美《苦闘する形態Ⅲ-1》
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伊藤慶二《王の祈り》
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安藤工(あんどう たくみ)《悠久》2018
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青山貴秀《光彩の器》209
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加藤土代久(かとう とよひさ)《鼠志野 富士山三連花器》2020
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冨岡大資《始まり》2021
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山口美智江《艶めいて》2022
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次の小部屋は、人間国宝・荒川豊蔵の作品が展示されています。
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さて、ここの美術館の楽しみ、
人間国宝など美濃を代表する作家の茶碗で抹茶がいただけます!
(実はここに寄ろうと思ったのは、このお抹茶がいただきたかったため(^▽^;)

立礼茶席で気軽にいただけます(^^)v
人間国宝のお茶碗が800円、
美濃を代表する作家のお茶碗が500円
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お茶碗は月替わりで、その月のお茶碗は、
美濃焼ミュージアムのウェブサイト:
https://www.tajimi-bunka.or.jp/minoyaki_museum/
トップページのお知らせで案内されています。

私が行った6月のお茶碗は、
https://www.tajimi-bunka.or.jp/minoyaki_museum/archives/5962


私が選んだのは、
酒井博司さんの《藍色志野茶碗》

お菓子は「美濃初衣」きなこたっぷりで美味しい!
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酒井博司さんの藍色志野茶碗でお抹茶をいただきます。
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床の間には志野の花入れにアジサイの花
円いタイルをくっつけたような器もカワイイ
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そして、太田道灌の山吹の絵が掛かっています
あとで写真を拡大して見てて気が付いたんですが、この絵、
笠原町(現・多治見市)出身の林雲鳳ですね!
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名古屋市美術館に「ラファエル前派展」を見に行った時、
地下の常設展示室では「鷲見麿展」とか、
「郷土の美術」として「やまと絵」というテーマで、
明治初期から昭和初期にかけて名古屋で活躍した
森村宜稲と彼に学んだ画家の絵を展示されてた中に
林雲鳳の絵があって、素敵だなって見ました。

名古屋市美術館「鷲見麿展」と常設展
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2015-10-18


ここ、見に来ても感想が書けてないことも多いんです(^^;>が、
多治見市美濃焼ミュージアムの過去記事:

多治見市美濃焼ミュージアム「幻のナカヤマ」展
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2017-08-27

多治見市美濃焼ミュージアム「中田英寿、現代陶芸と出会う。」展
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2013-03-22
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