愛知県美術館「安井仲治」展のコレクション展 [美術]
11月5日(日)、愛知県美術館「安井仲治」展を見た後、
コレクション展(2023年度第3期)を見ました。
展示室4 は「正方形」をテーマにした展示
愛知県美術館で正方形の絵っていうと、まず
クリムト《人生は戦いなり(黄金の騎士)》を思い浮かべます。
クリムトは風景画でも正方形のキャンバスに描いてましたよね。
でも、たいていのキャンバスは長方形です。
最初に展示されているのが、
桑山忠明《untitled》2001年
アルミの正方形が2つ。
1つはアルミの地の色で、もう1つはブルーに着色されています
ミニマル・アートってやつですね。
でも、これ、横から見たら
2つのパーツがボルトで繋がっている?
オノサトトシノブ《作品》1971年
正方形の画面に同心円なんだけど、
渦巻きのように見えたり、
分割された色面がキラキラと動いているようにも
見えて面白い!
展示室4 の入口正面に見える大きな正方形の絵
フランク・ステラ《リヴァー・オブ・ポンズ IV》1969年
コレクション展でよく見てる絵だけど、
フランク・ステラって、名古屋市美術館には
立体作品《説教》があるし、
(先月見てきた「福田美蘭―美術って、なに?」展で、
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2023-10-16
ケーキのデコレーションに見立てられてた)
DIC川村記念美術館へ行った時に、
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2018-08-27
庭にステラの巨大な彫刻があったけど、
それらとは全く違う印象。
初期にはミニマル・アート風の作品、シンメトリカルな色面構成の「ハード・エッジ」(色面の輪郭が目立つ作風)風の作品を手がけていたが、80年代以降大きく作風を変え、さまざまな色彩を施された、さまざまな形態の破片・ねじ曲げられた平面・立体物が、大画面に貼り付けられたりそのまま組み合わされて壁面や床に置かれたりした、2次元の枠を超えて炸裂する絵画とも立体ともつかないダイナミックな作品を制作している。
(Wikipediaより https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%AF%E3%83%BB%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%A9 )
こちらにも、桑山忠明《untitled》が
次のコーナーへ進むと、中央に
多和圭三《泉-想-》2002年
鉄の直方体をそのまま展示した?
上部を繰り返し金槌で叩いて形を歪ませているそうだけど‥‥
後ろの壁に展示されているのが、
千崎千恵夫《無題》1992年
ワックスの塗られたマチエールも独特だけど、
画面から出た針金?の上に丸いガラスが乗っています。
不思議な雰囲気だなぁ‥‥
仕切り壁には、
百瀬寿《Square-NE XIV: Twelve Stripes E》1987年
並べられた12×12の正方形がグラデーションを作っています。
和紙を使っている? ソフトな色調がとても美しい。
こちらも正方形が並んでいます。
田島秀彦《playroom (09-06)/playroom (09-07)》2009年
正方形は、装飾タイルの絵柄とのこと。
イスラム風や、ヨーロッパ、アジア風などの絵柄が混じっている中に、
キラキラと光っている(光ファイバー・電球・モーター)列があって、
戦車や戦闘機などが描かれています。
オモチャのようにも見えるけど、戦争のイメージ?
展示室5 「名品」はどこから来たのか?
愛知県美術館が所蔵する20世紀の西洋美術の名品を、その来歴(所有者の変遷)とともに紹介します。そこには、大富豪による芸術家支援、あるいはナチによる没収など、さまざまな歴史の物語が隠されています。(出品リストの文)
ってことで、愛知県美術館が誇る「名品」と共に
来歴の説明が展示されていました。
モーリス・ドニ《花飾りの舟》1921年
愛知県美術館が2020年に購入した作品
感想が書けてないけど、お披露目の展示で、
(2022年度第1期コレクション展(ミロ展の時)
詳しい説明とかもあった。
大原美術館のために児島虎次郎が1921年に、
ドニ本人から購入したとのことで、画面に
日本の国旗も描かれていると。
1930年会館の大原美術館に収蔵されましたが、
1936年に手放され、日本国内の所有を経て、
2020年に愛知県美術館が寄附金により購入
ピエール・ボナール《にぎやかな風景》1913年頃
富豪ヘレナ・ルビンスタインの邸宅を飾っていた作品。
右下に妻マルトと愛犬ユビュ、
左手奥には動物と戯れる子供たちが描かれていると。
前回、「幻の愛知県博物館」展のコレクション展で、
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2023-09-03
匿名の個人の5億円の寄附で購入した絵画として、
初公開されてましたね。
ジョルジュ・ブラック《水浴する女性と3つの果実》1926年
スイスの美術コレクターであるヨゼフ・ミュラー(1887-1977)が、
1926年から生涯にわたり所有していた絵画。
上 「ジョルジュ・ブラック 油彩画カタログ・レゾネ 1924-27」
下左「ヨゼフ・ミュラー・コレクション クリスティーズ・ロンドン オークション・カタログ」
下右「ジョルジュ・ブラック クンストハレ・ベルン展覧会図録」
「青の時代」のピカソ初期の作品。
《青い肩かけの女》1902年
愛知県美術館の名品として、コレクション展ではよく見てるんですが、
1902年に制作されて、91歳で没する1973年まで、
ピカソが手元に保管していた作品なんだそう!
ピカソの孫のひとりマリナ・ピカソ(1950- )に受け継がれ、
作品売却の資金で子どものための慈善事業を展開していたと。
1988年に東海銀行が彼女から購入し、開館直前の
愛知県美術館に寄贈とのこと。
愛知県美術館が誇る名品が並んでます
左 ポール・デルヴォー《こだま(あるいは「街路の神秘」)》1943年
右 ジョアン・ミロ《絵画》1925年
エルンスト・ルートヴィヒ・キルヒナー
《グラスのある静物》1912年
ナチスが退廃芸術として没収した作品で、
アメリカを経由して愛知県美術館に収蔵されたとのこと。
1917年にロジー&ルートヴィヒ・フィッシャー夫妻が購入
1924年にモーリッツブルク美術館に売却
1937年ナチスが退廃芸術展のために「借用」(没収)
1939年没収作品の売却を担った画商の手に渡り、翌年転売
1950年セントルイスの個人コレクターの所有に
1974年マールボロ・ギャラリーへと売却
1992年愛知県美術館が購入
なんとドラマチック!
「退廃芸術家」の烙印を押されたキルヒナーは
1938年に自殺しているんですね。
愛知県美術館が誇る
グスタフ・クリムト《人生は戦いなり(黄金の騎士)》1903年
1903年のウィーン分離派展に出品された後、製鉄関連事業で成功を収めたオーストリアの大富豪カール・ヴィトゲンシュタインとその妻によって購入され、一家の壮麗な邸宅の階段室に掲げられていた。
夫妻の死後、長女ヘルミーネに相続されます。
1938年にドイツがオーストリアを併合すると、一家はユダヤ人とみなされます。
ナチはユダヤ人の資産をさまざまな理由をつけて没収していたが、一家の資産のかなりの部分が中立国スイスの銀行で凍結されており、ナチが手を出せずにいた。度重なる交渉の末、ナチは資産の多くを得る代わりに、一家に「混血」のユダヤ人としての認定を与え、一定の市民権を留保します。
詳細はまだはっきりと分かっていないが、
ぎりぎりのところで難を逃れた作品であると。
あ、作品の方の写真撮り忘れた(^^; けど、
愛知県美術館のコレクション検索で、
パブリック・ドメイン画像になってる!
アド・ラインハート《No.114》1950年
日本の公立美術館では、収蔵した作品を再び市場に出すことはないが、
アメリカの美術館では、作品の新規購入等の目的で所蔵品の売却が行われることがあるそうで、この作品も1969年にラインハートの遺族からニューヨーク近代美術館に寄贈されたが、1991年までに市場に出され、ニューヨークの個人所蔵家の手を経て、1993年に愛知県美術館が購入しました。
アンリ・マティス《待つ》1921-22年
一足先にアメリカへ渡った作品
第二次大戦後の経済力の拡大に応じて、ヨーロッパの美術品が数多くアメリカにもたらされるようになりますが、本作はそれよりも早く1931-33年頃にアメリカへと渡りました。購入したのはニューヨークの実業家ステファン・カールトン・クラーク(後略)
イヴ・クライン《アルマン(肖像レリーフ)》1962年(原型)
ブルー(インターナショナル・クライン・ブルー(IKB))一色の絵で知られる
クラインが友人の彫刻家アルマンの身体から取った石膏型をもとにレリーフを作成したもの。
これは、クラインの没後に完成した作品で、
1962年2月、クラインは友人3人の身体から石膏型を取ります。
しかし、アルマンの像だけを完成させた後、6月に34歳の若さで
心臓発作により没しました。本作は没後の1965年にクラインの妻の許可のもと、
他の2体とともに再制作されたものだそう。
へー、と読んで作品を見ると、あ、横から見たら
こんなふうになってるんだと。
今まで正面からばかり見てたから、ちょっと新鮮(?)
今までもコレクション展で見てる名品で、
作品と作家については解説されてたりしたけど、
それぞれの作品の来歴もドラマチックだったりと
興味深かった。
展示室6 ぷくぷくときらきら
当館が2020年度に収蔵した碓井ゆい《ガラスの中で》は生殖医療を主題とした作品です。本作品を中心に、ぷくぷくと生成、増殖を続ける細胞、あるいは、きらきらと鋭利な輝きを放つガラスを連想させる作品をご紹介します。自然と人智、脆さと強さ、有機と無機を照らし出す作品と共に、想像力と思考力を泡立たせてください。
あ、これ、あいちトリエンナーレ2019で、
名古屋市美術館の最初の展示室にあった作品!
碓井ゆい《ガラスの中で》2019年
あいちトリエンナーレ2019(5) 名古屋市美術館
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2019-09-30
名古屋市美術館では外光が入る部屋で、オーガンジーの布が
光に透けてきれいだなって見ましたが、この部屋では
ライトで床に落ちる影が、シャーレでうごめく生命体みたいな
イメージでまた良かった。
そして、この作品に呼応するような丸い形が印象的な写真は、
米田知子
左 《坂口安吾の眼鏡―『朝鮮会談に関する日記』の原稿を見る 「Between Visible and Invisible」シリーズより》2013年
右 《藤田嗣治の眼鏡―日本出国を助けたシャーマンGHQ民政官に送った電報を見る 「Between Visible and Invisible」シリーズより》2015年
こちらは、
田中敦子《Untitled》1967年
展示室7江戸から近代へ受け継がれるやまと絵の世界
平安時代に始まる古典的な「やまと絵」の復権を目指した復古大和絵派は、田中訥言によって名古屋にも広がりました。江戸時代末期から近代の愛知画壇に「やまと絵」の与えた影響を紹介します。
田中訥言《菊鶉図》江戸時代後期(19世紀前半)
森高雅《雪中鴛鴦図》江戸時代後期(18世紀・19世紀)
日比野白圭《鶯宿梅図》明治43(1910)年
日比野白圭
左《柳下納涼図》 右《款冬雀図》
「款冬(かんとう)」とはヤマブキのこと
日比野白圭
左《佐野渡古歌意図》 右《菊花鶉図》
あっさりして上品なカンジで、私好きかも。
森村宜稲《明治天皇収穫叡覧之図》1932年
明治元年に明治天皇が尾張東海道八丁畷(なわて)で
農事を天覧した様子を描いたものとのこと。
森村宜稲《四季草花図》1925年頃
金屏風だけど、豪華というより上品なカンジ。
あー、この清楚で上品な女性像は、
舟越保武《シオン》1979年
展示室8 木村定三コレクション 熊谷守一と夜と絵具
熊谷守一が、夜のアトリエに閉じこもって「むずかしい顔」で制作していたのはなぜでしょうか? 彼の絵具の扱いに注目し、まるで厳密な実験を繰り返す科学者のような姿を想像してみます。
猫や、雨滴、伸餅など、見てるとほっこりするけど、
守一は「夜のアトリエに閉じこもって『むずかしい顔』で制作していた」?
チューブの絵具をそのまま塗ったような
《裸婦》1954(昭和29)年 が面白い。
ロビーには、
戸谷成雄《地霊》1990年
「正方形」のテーマで展示されてるのかな。
彫刻って普通は彫って凸型の像にするのに、
これは凹型になってるのが面白い。
吉本直子《白の棺》2006年
愛知県美術館で2012年から2017年まで展示室6で行われた
APMoA Project, ARCH (プロジェクト・アーチ)
愛知県美術館の学芸員と若手作家との協同によって作られた展覧会
その最初の展示が
吉本直子「Reflection Space ――鼓動の庭」でした。
(2012年4月13日(金)~6月24日(日))
こちらに少し感想を書いてます。
愛知県美術館「魔術/美術」展
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2012-06-12
着古した白いシャツを固めて作られています。
両側から延ぴる袖は、何かを求めているのか?
引き裂かれようとしているのか?
ショップで、
「安井仲治」展の図録はまぁいいかなって思ったけど、
展示室5の「名品」はどこから来たのか? で置いてあった
「近代美術の100年 愛知県美術館のコレクション」
美術館の名品の画像を大きく載せて、解説するという
カタログスタイルではなく、近代美術史の流れの中で、
コレクション作品がどのような位置にあるのかという
解説の中に作品の画像が載っていて、今まで
コレクション展でよく見てた作品だけど、
あらためて詳しく知ることができました。
1998年1月30日~3月8日に開催された展覧会の図録だそう。
1,600円(税込)が友の会で5%引きになりました(^^)v
そして、前回の企画展「幻の愛知県博物館」
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2023-08-20
見に来た時、図録がまだできてなかったんです。
できてたので購入。
1,500円(税込)が、友の会で5%割引(^^)v
「幻の愛知県博物館」では、
博覧会のパビリオンの写真とか興味深く見たっけ。
クスッと笑ったキャプションも健在!
さらに、前回ショップで
シャチホコのパッケージが面白くて買って、
とても美味しかった「豆でなも」756円(税込)
今回なんと5%割引になってたんです!
隣にあった「豆だくさん」1,080円(税込)も5%引きだったので、
購入しました。こっちも、いろんな味の豆が入ってて
それぞれ美味しかった。パッケージもオシャレ!
ショップでちょっと散財しちゃったかな?
いつもながら、愛知県美術館のコレクション展充実してます。
オアシス21のカフェで、ケーキセット食べて帰りました(^^)v
コレクション展(2023年度第3期)を見ました。
展示室4 は「正方形」をテーマにした展示
愛知県美術館で正方形の絵っていうと、まず
クリムト《人生は戦いなり(黄金の騎士)》を思い浮かべます。
クリムトは風景画でも正方形のキャンバスに描いてましたよね。
でも、たいていのキャンバスは長方形です。
最初に展示されているのが、
桑山忠明《untitled》2001年
アルミの正方形が2つ。
1つはアルミの地の色で、もう1つはブルーに着色されています
ミニマル・アートってやつですね。
でも、これ、横から見たら
2つのパーツがボルトで繋がっている?
オノサトトシノブ《作品》1971年
正方形の画面に同心円なんだけど、
渦巻きのように見えたり、
分割された色面がキラキラと動いているようにも
見えて面白い!
展示室4 の入口正面に見える大きな正方形の絵
フランク・ステラ《リヴァー・オブ・ポンズ IV》1969年
コレクション展でよく見てる絵だけど、
フランク・ステラって、名古屋市美術館には
立体作品《説教》があるし、
(先月見てきた「福田美蘭―美術って、なに?」展で、
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2023-10-16
ケーキのデコレーションに見立てられてた)
DIC川村記念美術館へ行った時に、
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2018-08-27
庭にステラの巨大な彫刻があったけど、
それらとは全く違う印象。
初期にはミニマル・アート風の作品、シンメトリカルな色面構成の「ハード・エッジ」(色面の輪郭が目立つ作風)風の作品を手がけていたが、80年代以降大きく作風を変え、さまざまな色彩を施された、さまざまな形態の破片・ねじ曲げられた平面・立体物が、大画面に貼り付けられたりそのまま組み合わされて壁面や床に置かれたりした、2次元の枠を超えて炸裂する絵画とも立体ともつかないダイナミックな作品を制作している。
(Wikipediaより https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%AF%E3%83%BB%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%A9 )
こちらにも、桑山忠明《untitled》が
次のコーナーへ進むと、中央に
多和圭三《泉-想-》2002年
鉄の直方体をそのまま展示した?
上部を繰り返し金槌で叩いて形を歪ませているそうだけど‥‥
後ろの壁に展示されているのが、
千崎千恵夫《無題》1992年
ワックスの塗られたマチエールも独特だけど、
画面から出た針金?の上に丸いガラスが乗っています。
不思議な雰囲気だなぁ‥‥
仕切り壁には、
百瀬寿《Square-NE XIV: Twelve Stripes E》1987年
並べられた12×12の正方形がグラデーションを作っています。
和紙を使っている? ソフトな色調がとても美しい。
こちらも正方形が並んでいます。
田島秀彦《playroom (09-06)/playroom (09-07)》2009年
正方形は、装飾タイルの絵柄とのこと。
イスラム風や、ヨーロッパ、アジア風などの絵柄が混じっている中に、
キラキラと光っている(光ファイバー・電球・モーター)列があって、
戦車や戦闘機などが描かれています。
オモチャのようにも見えるけど、戦争のイメージ?
展示室5 「名品」はどこから来たのか?
愛知県美術館が所蔵する20世紀の西洋美術の名品を、その来歴(所有者の変遷)とともに紹介します。そこには、大富豪による芸術家支援、あるいはナチによる没収など、さまざまな歴史の物語が隠されています。(出品リストの文)
ってことで、愛知県美術館が誇る「名品」と共に
来歴の説明が展示されていました。
モーリス・ドニ《花飾りの舟》1921年
愛知県美術館が2020年に購入した作品
感想が書けてないけど、お披露目の展示で、
(2022年度第1期コレクション展(ミロ展の時)
詳しい説明とかもあった。
大原美術館のために児島虎次郎が1921年に、
ドニ本人から購入したとのことで、画面に
日本の国旗も描かれていると。
1930年会館の大原美術館に収蔵されましたが、
1936年に手放され、日本国内の所有を経て、
2020年に愛知県美術館が寄附金により購入
ピエール・ボナール《にぎやかな風景》1913年頃
富豪ヘレナ・ルビンスタインの邸宅を飾っていた作品。
右下に妻マルトと愛犬ユビュ、
左手奥には動物と戯れる子供たちが描かれていると。
前回、「幻の愛知県博物館」展のコレクション展で、
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2023-09-03
匿名の個人の5億円の寄附で購入した絵画として、
初公開されてましたね。
ジョルジュ・ブラック《水浴する女性と3つの果実》1926年
スイスの美術コレクターであるヨゼフ・ミュラー(1887-1977)が、
1926年から生涯にわたり所有していた絵画。
上 「ジョルジュ・ブラック 油彩画カタログ・レゾネ 1924-27」
下左「ヨゼフ・ミュラー・コレクション クリスティーズ・ロンドン オークション・カタログ」
下右「ジョルジュ・ブラック クンストハレ・ベルン展覧会図録」
「青の時代」のピカソ初期の作品。
《青い肩かけの女》1902年
愛知県美術館の名品として、コレクション展ではよく見てるんですが、
1902年に制作されて、91歳で没する1973年まで、
ピカソが手元に保管していた作品なんだそう!
ピカソの孫のひとりマリナ・ピカソ(1950- )に受け継がれ、
作品売却の資金で子どものための慈善事業を展開していたと。
1988年に東海銀行が彼女から購入し、開館直前の
愛知県美術館に寄贈とのこと。
愛知県美術館が誇る名品が並んでます
左 ポール・デルヴォー《こだま(あるいは「街路の神秘」)》1943年
右 ジョアン・ミロ《絵画》1925年
エルンスト・ルートヴィヒ・キルヒナー
《グラスのある静物》1912年
ナチスが退廃芸術として没収した作品で、
アメリカを経由して愛知県美術館に収蔵されたとのこと。
1917年にロジー&ルートヴィヒ・フィッシャー夫妻が購入
1924年にモーリッツブルク美術館に売却
1937年ナチスが退廃芸術展のために「借用」(没収)
1939年没収作品の売却を担った画商の手に渡り、翌年転売
1950年セントルイスの個人コレクターの所有に
1974年マールボロ・ギャラリーへと売却
1992年愛知県美術館が購入
なんとドラマチック!
「退廃芸術家」の烙印を押されたキルヒナーは
1938年に自殺しているんですね。
愛知県美術館が誇る
グスタフ・クリムト《人生は戦いなり(黄金の騎士)》1903年
1903年のウィーン分離派展に出品された後、製鉄関連事業で成功を収めたオーストリアの大富豪カール・ヴィトゲンシュタインとその妻によって購入され、一家の壮麗な邸宅の階段室に掲げられていた。
夫妻の死後、長女ヘルミーネに相続されます。
1938年にドイツがオーストリアを併合すると、一家はユダヤ人とみなされます。
ナチはユダヤ人の資産をさまざまな理由をつけて没収していたが、一家の資産のかなりの部分が中立国スイスの銀行で凍結されており、ナチが手を出せずにいた。度重なる交渉の末、ナチは資産の多くを得る代わりに、一家に「混血」のユダヤ人としての認定を与え、一定の市民権を留保します。
詳細はまだはっきりと分かっていないが、
ぎりぎりのところで難を逃れた作品であると。
あ、作品の方の写真撮り忘れた(^^; けど、
愛知県美術館のコレクション検索で、
パブリック・ドメイン画像になってる!
アド・ラインハート《No.114》1950年
日本の公立美術館では、収蔵した作品を再び市場に出すことはないが、
アメリカの美術館では、作品の新規購入等の目的で所蔵品の売却が行われることがあるそうで、この作品も1969年にラインハートの遺族からニューヨーク近代美術館に寄贈されたが、1991年までに市場に出され、ニューヨークの個人所蔵家の手を経て、1993年に愛知県美術館が購入しました。
アンリ・マティス《待つ》1921-22年
一足先にアメリカへ渡った作品
第二次大戦後の経済力の拡大に応じて、ヨーロッパの美術品が数多くアメリカにもたらされるようになりますが、本作はそれよりも早く1931-33年頃にアメリカへと渡りました。購入したのはニューヨークの実業家ステファン・カールトン・クラーク(後略)
イヴ・クライン《アルマン(肖像レリーフ)》1962年(原型)
ブルー(インターナショナル・クライン・ブルー(IKB))一色の絵で知られる
クラインが友人の彫刻家アルマンの身体から取った石膏型をもとにレリーフを作成したもの。
これは、クラインの没後に完成した作品で、
1962年2月、クラインは友人3人の身体から石膏型を取ります。
しかし、アルマンの像だけを完成させた後、6月に34歳の若さで
心臓発作により没しました。本作は没後の1965年にクラインの妻の許可のもと、
他の2体とともに再制作されたものだそう。
へー、と読んで作品を見ると、あ、横から見たら
こんなふうになってるんだと。
今まで正面からばかり見てたから、ちょっと新鮮(?)
今までもコレクション展で見てる名品で、
作品と作家については解説されてたりしたけど、
それぞれの作品の来歴もドラマチックだったりと
興味深かった。
展示室6 ぷくぷくときらきら
当館が2020年度に収蔵した碓井ゆい《ガラスの中で》は生殖医療を主題とした作品です。本作品を中心に、ぷくぷくと生成、増殖を続ける細胞、あるいは、きらきらと鋭利な輝きを放つガラスを連想させる作品をご紹介します。自然と人智、脆さと強さ、有機と無機を照らし出す作品と共に、想像力と思考力を泡立たせてください。
あ、これ、あいちトリエンナーレ2019で、
名古屋市美術館の最初の展示室にあった作品!
碓井ゆい《ガラスの中で》2019年
あいちトリエンナーレ2019(5) 名古屋市美術館
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2019-09-30
名古屋市美術館では外光が入る部屋で、オーガンジーの布が
光に透けてきれいだなって見ましたが、この部屋では
ライトで床に落ちる影が、シャーレでうごめく生命体みたいな
イメージでまた良かった。
そして、この作品に呼応するような丸い形が印象的な写真は、
米田知子
左 《坂口安吾の眼鏡―『朝鮮会談に関する日記』の原稿を見る 「Between Visible and Invisible」シリーズより》2013年
右 《藤田嗣治の眼鏡―日本出国を助けたシャーマンGHQ民政官に送った電報を見る 「Between Visible and Invisible」シリーズより》2015年
こちらは、
田中敦子《Untitled》1967年
展示室7江戸から近代へ受け継がれるやまと絵の世界
平安時代に始まる古典的な「やまと絵」の復権を目指した復古大和絵派は、田中訥言によって名古屋にも広がりました。江戸時代末期から近代の愛知画壇に「やまと絵」の与えた影響を紹介します。
田中訥言《菊鶉図》江戸時代後期(19世紀前半)
森高雅《雪中鴛鴦図》江戸時代後期(18世紀・19世紀)
日比野白圭《鶯宿梅図》明治43(1910)年
日比野白圭
左《柳下納涼図》 右《款冬雀図》
「款冬(かんとう)」とはヤマブキのこと
日比野白圭
左《佐野渡古歌意図》 右《菊花鶉図》
あっさりして上品なカンジで、私好きかも。
森村宜稲《明治天皇収穫叡覧之図》1932年
明治元年に明治天皇が尾張東海道八丁畷(なわて)で
農事を天覧した様子を描いたものとのこと。
森村宜稲《四季草花図》1925年頃
金屏風だけど、豪華というより上品なカンジ。
あー、この清楚で上品な女性像は、
舟越保武《シオン》1979年
展示室8 木村定三コレクション 熊谷守一と夜と絵具
熊谷守一が、夜のアトリエに閉じこもって「むずかしい顔」で制作していたのはなぜでしょうか? 彼の絵具の扱いに注目し、まるで厳密な実験を繰り返す科学者のような姿を想像してみます。
猫や、雨滴、伸餅など、見てるとほっこりするけど、
守一は「夜のアトリエに閉じこもって『むずかしい顔』で制作していた」?
チューブの絵具をそのまま塗ったような
《裸婦》1954(昭和29)年 が面白い。
ロビーには、
戸谷成雄《地霊》1990年
「正方形」のテーマで展示されてるのかな。
彫刻って普通は彫って凸型の像にするのに、
これは凹型になってるのが面白い。
吉本直子《白の棺》2006年
愛知県美術館で2012年から2017年まで展示室6で行われた
APMoA Project, ARCH (プロジェクト・アーチ)
愛知県美術館の学芸員と若手作家との協同によって作られた展覧会
その最初の展示が
吉本直子「Reflection Space ――鼓動の庭」でした。
(2012年4月13日(金)~6月24日(日))
こちらに少し感想を書いてます。
愛知県美術館「魔術/美術」展
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2012-06-12
着古した白いシャツを固めて作られています。
両側から延ぴる袖は、何かを求めているのか?
引き裂かれようとしているのか?
ショップで、
「安井仲治」展の図録はまぁいいかなって思ったけど、
展示室5の「名品」はどこから来たのか? で置いてあった
「近代美術の100年 愛知県美術館のコレクション」
美術館の名品の画像を大きく載せて、解説するという
カタログスタイルではなく、近代美術史の流れの中で、
コレクション作品がどのような位置にあるのかという
解説の中に作品の画像が載っていて、今まで
コレクション展でよく見てた作品だけど、
あらためて詳しく知ることができました。
1998年1月30日~3月8日に開催された展覧会の図録だそう。
1,600円(税込)が友の会で5%引きになりました(^^)v
そして、前回の企画展「幻の愛知県博物館」
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2023-08-20
見に来た時、図録がまだできてなかったんです。
できてたので購入。
1,500円(税込)が、友の会で5%割引(^^)v
「幻の愛知県博物館」では、
博覧会のパビリオンの写真とか興味深く見たっけ。
クスッと笑ったキャプションも健在!
さらに、前回ショップで
シャチホコのパッケージが面白くて買って、
とても美味しかった「豆でなも」756円(税込)
今回なんと5%割引になってたんです!
隣にあった「豆だくさん」1,080円(税込)も5%引きだったので、
購入しました。こっちも、いろんな味の豆が入ってて
それぞれ美味しかった。パッケージもオシャレ!
ショップでちょっと散財しちゃったかな?
いつもながら、愛知県美術館のコレクション展充実してます。
オアシス21のカフェで、ケーキセット食べて帰りました(^^)v
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