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西谷祥子『飛んでゆく雲』 [マンガ]

今年の大河ドラマは「平清盛」私は見たり見なかったりですが‥‥
平清盛の時代を扱った懐かしの少女マンガを紹介します。
西谷祥子『飛んでゆく雲』
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1971年、別冊セブンティーン2月号と3月号に、
前・後編100ページずつ載った作品。

私は3月号を買って後編を読んで、その世界に魅了され、
1973年1月に出た単行本を買いました。250円と表示されています。

西谷祥子といえば、オシャレな学園モノ、西洋モノといったイメージですが、
日本の古典的な時代を描いても華麗で素敵です。

このマンガ、時代考証などしっかりしていて、
登場人物など、どこまで実在したのか、
原作があるのかどうかわからないのですが、
今読んでも、複雑なこの時代のこと、勉強になります。

以下、ネタバレを含みます。
画像は私が持っている単行本からスキャンしました。


源氏と平氏の説明、そして保元の乱についての説明から始まります。
保元の乱は源氏、平氏それぞれの身内が、
崇徳上皇方と後白河天皇方に別れて戦いました。
勝った後白河天皇方についた平氏の頭領・平清盛は、
崇徳上皇方についた叔父・平忠正の首を自らはねると言います。
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この作品が描かれた頃、平清盛はふてぶてしい悪人というイメージでした。

平忠正の首がとんだ
それは同時に 義朝をして 父為義に みずから刃をくだせと
せまる 火の手に ほかならなかった

義朝は ‥‥切った さらに院令はようしゃなく 為義の
幼い子どもたちにまで およんだ 義朝の弟たちである

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この場面、衝撃でした。なんてむごい!いくら院の命令だからといって!
‥‥戦争においては殺さなければ自分が殺される、また上官の命令は絶対で、
  先の第二次世界大戦でもこんな凄惨な事例も多々あったと聞きます。
  義朝にも他に選択の道がなかったと同情する点もあるかもしれませんが、
  後の頼朝の木曽義仲や義経に対するしうちとか、どうも私、
  源氏にあまりいいイメージがないんですが‥‥

父や兄弟をうってまで朝廷につかえたのに、
平氏に比べて格段に低い扱いに不平をためる源氏の頭領・源義朝

義朝の長子
鎌倉義平
16歳の初陣にて 叔父 帯刀先生善賢(たてわきせんのしょうよしかた)
(木曽義仲の父)を滅ぼし、あまりの剛強さから
悪源太(あくげんた)とあだ名された

13の年に 祖父のもとにあずけられてより鎌倉に住む。
この年18歳


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道泰(みちやす)は義平に使える家来

義平は朝まいりの姫を見かけて以来、
姫のあとをつけずにはいられないようになった。

姫は国司・相模太郎芳房(さがみたろう よしふさ)の姫で真柴
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実は真柴も義平のことを憎からず思っていることがわかるが、
京の中納言家にあがることが決まっていると義平との仲を拒絶される。

義平と道泰は強引に真柴姫をさらってきて二人は結ばれる。

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山奥の寺にこもり、二人の子が生まれるのを待つしあわせな一時。

だが、平治の乱がおこり、義平は京へ。
熊野詣での平清盛を待ち伏せしようという義平の提案も藤原信頼に一蹴され、
朝敵とされて平氏と戦う義平

戦況が不利なことを悟った義平は、道泰に「帰れ!真柴の子を守ってくれ」と
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やがて義平は捕らえられて斬首 20歳であった。

真柴は義平の後を追って死のうとするが、道泰の必死の説得で男の子を産む。
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真柴は吾子に「生きて天寿をまっとうしておくれ」と天寿丸と名付ける。

すぐに真柴の父は天寿丸を殺そうとするが、道泰が抱いて逃げ、寺へ預ける。

追っ手の目をくらますためにさらに逃げた道泰は深手を負ったところを
流れ踊りの一団に助けられる。

その一座の踊り子・紅萩は道泰に好意を寄せる。
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この紅萩、可愛くてたくましくて、すごく素敵なキャラクターです。
この作品が描かれた当時、女はおとなしくしていて男に守ってもらうのが
いい女みたいなイメージがあったんですが、紅萩の
「そなたひとりくらい この紅萩がたべさせてやる」ってセリフ、
かっこいいなぁって。

ある日、紅萩が平氏の武士どもにからまれ、はずみで道泰は一人を殺してしまい、
騒ぎの中、道泰は紅萩を連れて逃げる。
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天寿丸を預かった寺の住職・道心は、大和の式部大輔と相談し、
紀の国の豪族・落合三郎左衛門長綱に託す。

長綱は「源氏にも平氏にもかかわりたくない」
「かくべつに源氏の子として育てはせぬがいいか?」と引き受ける。

源氏再興という望みを持つようになった道泰と、
紅萩の間には梧桐丸(ごどうまる)という男の子が産まれる。
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勧められて京で白拍子になった紅萩に、
平清盛の娘が正室になっている六条の摂政・基実が懸想して
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道泰と赤子を襲い、強引に紅萩をものにしようとするが、
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紅萩は舌をかんで死ぬ。
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死ぬほどの深手を負った道泰だったが、奇跡的に助けられ
紅萩の死を知って、平氏の力をかさにきた極道公家め!と
平氏への恨みを深くする。

さて、紀の国に預けられた天寿丸は、5歳で元服し、次郎綱盛となり、
兄の少掾綱行(しょうじょうつなゆき)の一女・美稲(うましね)、
二女・紅子(こうこ)と共に、いつくしまれて仲良く育つ。
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二女の紅子は、女として望まれない出生であったことから、
みずから鬼姫と名乗り、馬術や弓、剣の稽古をしている。

道泰と梧桐丸はかげながら綱盛を見守っている。

梧桐丸は山で一人剣の稽古をする紅子を見かけて相手をするようになる。

やがて‥‥梧桐丸16歳、紅子14歳
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このシーン、当時胸をドキドキさせながら読みました。
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「下郎!」って紅子のセリフも、
「一生つきまとおうと おれはこの心 つらぬいてみせる!」って言う
梧桐丸も、すっごく憧れました。考えたら、これって「ベルばら」の
オスカルとアンドレの関係にも似てますね。
(この作品の方が「ベルばら」より先ですが)

綱盛の兄・綱行は平氏の一族に落合家もつながろうと、
清盛の弟・教盛(のりもり)の第2子・平教経(のりつね)を家に連れてくる。
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平教経は美稲を見て一目で気に入る。

綱盛が源氏の嫡流の子であることを知っている養父・落合三郎左衛門長綱は
落合家が平家に加わるのを大反対するが、すでに病床にある。

そのうちに、以仁王の令旨が発せられ、
各地で平氏に不満を持つ者たちが旗揚げする。

綱盛が源氏の嫡流の子であることを知る大和の式部大輔は鹿ケ谷の陰謀に加わって
蟄居させられ、病床にあったが、うわごとで綱盛のことをしゃべってしまう。

平教経が確かめに落合の館へ来る。病床の長綱は美稲と紅子を枕元に呼び、
綱盛が源義平の子であることを告げて自害する。

そこへ入ってきた平教経。美稲に向かって「わたしの‥‥妻になれ」と。
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なぜ美稲が自分のもとを去ったのかわからない綱盛。
何も知らないまま、平氏の軍に混じっているところに、
梧桐丸が綱盛が源氏の嫡流の子であることを告げて、旗揚げを勧めるが、
綱盛は驚き、悩み、迷う。
紅子はどこまでも綱盛と共に――と。
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やがて平氏は滅亡へと向かう。
平教経は美稲に綱盛のもとへ帰れと言うが‥‥
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平教経、すごく優しくカッコ良く描かれています。

こんな大河ドラマ一年分のような物語が、わずか単行本1冊、200ページ!
なので、かなり文字が多いし、単行本の大きさでも絵や文字が見づらいところも
あるんですが‥‥昔のマンガって1ページのコマ数も多かったですよね。

私の大好きな懐かしの少女マンガです。
もし本が手に入るようでしたら、ぜひ読んでみてください。


飛んでゆく雲 (集英社漫画文庫)

飛んでゆく雲 (集英社漫画文庫)

  • 作者: 西谷 祥子
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 1976/11
  • メディア: 文庫


‥‥うーん、文庫のサイズだとちょっと読むのツライかも?
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山岸凉子『パエトーン』 [マンガ]

東日本大震災から2ヶ月以上過ぎました。
私が住んでいるところでは、意識していないと
被災地の悲惨な状態も忘れてしまう程なんですが、
被災地はまだまだ瓦礫の山で、遺体が見つかっていない方も多いんですよね。

そして何より、福島第一原発の事故!
事態が収束するどころか、今頃悪い情報がドンドン出てて‥‥

震災翌朝にはメルトダウンしていたんだって?
旧ソ連のチェルノブイリ級の「レベル7」の事故だと評価されたし。

なにより、故郷を追われる人々の胸のうちはどんなだろうと。
(これは「避難」なんてのじゃないと思う)
ペットも連れて行けるのかしら?
畜産農家の牛や豚などは安楽死させられるんだって?
今まで家族同様に世話をしてきた家畜を見殺しにして、
知らない土地に行かなくてはならない農家の心中を思うと‥‥

今回の原発事故が起きて、私が真っ先に思い浮かべたのが、
山岸凉子の短編漫画『パエトーン』でした。

パエトーン (あすかコミックス)

パエトーン (あすかコミックス)

  • 作者: 山岸 凉子
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 1988/06
  • メディア: 新書


1988年、チェルノブイリの原発事故の2年後に描かれた作品です。

ギリシャ神話の、ポエブス(アポロ)の息子であるパエトーンは、
太陽神ポエブスにしか御せない日輪の馬車を、自分なら御せると思いあがり、
一日馬車を貸してもらうが、たちまち暴走させて、
地上に近づきすぎた日輪は、広大な地域を焼き払ってしまう。
これを見て全能の神ユピテル(ゼウス)はパエトーンに稲妻を投げ、
パエトーンと馬車はこなごなに砕け散ってしまうという物語を受け、

作者の山岸凉子は、原子力を制御できると信じて原発をつくるのは、
パエトーンと同じ愚かな行為なのではないかと訴える。

今回の福島原発事故、人間の力ですぐに制御できない状態になっていくのを見て、
今さらながら、あぁ、やはり原発はつくってはいけない危ないものだったんだって‥‥

懺悔させてもらうと、私、この漫画を読んでも、
現代の科学の力でなんとかなるんじゃない?なんて思ってたんですよ。

新幹線を「夢の超特急」と呼び、アポロ11号の月面着陸を見て、
雑誌には「21世紀の生活」として、高層ビルが立ち並び、
便利な機械に囲まれた夢のような生活が描かれていました。
「科学の力で素晴らしい未来」ってのを信じていたというか、
いわば、幸せというか、オメデタイ子供時代を過ごしたんですよね。

なので、やっぱ便利な生活がしたいとか、そんな安易な気持ちで、
国の政策に特に反対もせずにきてしまいました。
愚かなパエトーンだったわけです。

もう遅きに失した感もあらずですが、今からでも原子力発電は止めましょうよ。

菅総理の要請で浜岡原発が停止しましたね。
なんか思いつきみたいな会見で違和感はあったけど、停めたのはいいことだと。
でも、津波対策ができたら、また再開するつもりなのは絶対反対。
これ以上原発に金を使ってどうするの?
そんな金があったら、太陽光発電や小規模水力発電への助成金とか。
そして、私たちも必要以上の便利さを求めず、節電に協力しましょうよ。

私が持っているのは、こちらの本
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ブルー・ロージス―自選作品集 (文春文庫―ビジュアル版)

ブルー・ロージス―自選作品集 (文春文庫―ビジュアル版)

  • 作者: 山岸 凉子
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 1999/11
  • メディア: 文庫


山岸凉子の自選作品集『ブルー・ロージス』(文春文庫)の中に入っています。
(実は今まで、細かい説明とかあまり読んでなかった(^^;)

『パエトーン』やっぱり今回の原発事故後話題になり、
潮出版社無料WEBコミックで特別公開されています。
http://usio.feliseed.net/paetone/

読んだことのない方は、一度読んでみてください。
1988年の作品なので、出てくる単位がキュリー、レントゲン、レムだったり
するんですが、原発のリスクは23年前と変わってないのでは?
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水野英子『星のファンタジー』 [マンガ]

私のお宝本の紹介です。
『水野英子珠玉短編集 星のファンタジー』
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朝日ソノラマのサンコミックス
昭和43年(1968)8月20日初版発行 
私が持っているのは昭和46年(1971)7月5日に発行された4版です。

昭和46年ということは、私は中学2年。水野英子が大好きだった私が
自分のお小遣いで買ったんでしょうね。260円と表示されています。

収録されている作品は
●青い星の夜
●カーニバル!
●みかげ石
●青いバラを食べた王さま
●トゥオネラの白鳥
●ある雪の夜の物語
●人魚が火をともす
●星の子
●ガラスの天使
●二つの太陽 1959年7月作
 あとがき(水野英子)

『星のファンタジー』というのは単行本のタイトルで、
『星のファンタジー』というタイトルの作品はありません。

『青い星の夜』 1957年7月作
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心に染みる、まさに珠玉の短編(20ページ)です。
あとがきで水野英子が書いていますが、
 「青い星の夜」は私の一番好きな作品です。
 デビューして約一年目、当時の私をとりまく素朴な生活が、そのままにじみだしたようなこの物語は、最初わずか十一ページの短編でした。(中略)
 ともあれこの作品は出来がよかったということで、八十ページの別冊ふろくの仕事(赤い靴)をもらい、次に本格的連載「銀の花びら」への道をひらいた意義あるものでした。

水野英子のいわば出世作となったわけですね。
水野英子は15歳でデビューしていますので、17歳頃の作品でしょうか?
あらすじ
 養豚場の手伝いをして、もらったお給金で弟たちに卵を買って食べさせてやるような
 貧しい少女、とし子。彼女は雑貨店のかざり窓の赤い靴がほしくていつも眺めているが、
 とても買ってもらえないことはわかっている。
 町の星まつりの日、とし子はわんぱく小僧たちにいじめられていた子犬を助けてやる。
 星まつりの夜にながれ星を見たものは、のぞみがかなうといういいつたえがある。
 とし子はお星さまに「どうか だれかがあの靴をかってゆきませんように」と願う‥‥
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まだ水野英子の華麗な絵になる前の、手塚治虫の影響がわかる絵です。石ノ森章太郎にも似ていますね。
「ブタ屋」とからかわれたり、「うわーっ たまごだーっ」と弟たちが喜んだりするところ、
貧しかった当時1957(昭和32)年の生活がにじみだしているようです。
(私が読んだ1971(昭和46)年には、もうそんな貧しさは過去のことになっていました)
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それゆえに、星に願いをかける とし子のせつない想いと、
ちょっとロマンチックなラストが清らかに心に染みました。

『カーニバル!』 1963年7月作
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水野英子の華麗な絵が素敵!
 捨て子でジプシーに育てられたマリエッタは、カーニバルの夜、
 自分が公爵さまのお姫様だと言われるが‥‥
外国のミュージカルか、レビューのような、おとぎの国か、夢の中のように
華麗にテンポよく進んでいくストーリー。ジプシーの育ての親がほんわかします。

『みかげ石』 1962年11月作
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 謀反のために城がおち、落武者となった白鷹は、みかげと呼ばれる
 美しい姫に助けられるが‥‥
わずか8ページの作品 水野英子が描く日本の姫君はしっとりと美しい。

『青いバラをたべた王さま』 1063年11月作
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 むかしむかし アラビアに たいそう たべることのすきな 王さまがいました
 めずらしいものを食べるのが大好きな王さまに、謀反をたくらむ大臣は、
 青いバラでつくったゼリーを食べさせ、食べた王さまはブタになってしまう。
 大臣はさらにお妃さまを閉じ込め、ファナ姫もとらえようとする。
 さぁ、ファナ姫は――?
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アラビアンナイトの世界。マンガならではのユーモアと、
エキゾチックなおとぎの世界が素敵!

『トゥオネラの白鳥』 1962年7月作
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この単行本を買った当時、私が一番好きだった作品です。
暗くて救いのない悲劇なんですが、ちょっと大人の世界を覗くような気持ちがしました。
あらすじ
 貧しい夜間大学生 内日(うつい)は、アルバイトを課長とけんかしてやめ、
 それまでの給料で、シベリウス作曲の「トゥオネラの白鳥」の古レコードを買う。
 トゥオネラとは北欧の伝説にある死の国を流れる河の名
 レコードを逆にまわすと、内日はトゥオネラと現実の間の世界に入り込んでしまい、
 そこで、このレコードをききながら自殺した女性と会う。
 新しいアルバイトを紹介された内日だが、届け物をする間に金を盗んだと疑われ‥‥
この作品を読んだだいぶ後で「トゥオネラの白鳥」の曲を聴いたんですが、
なるほど‥‥死の国を流れる河に浮かぶ白鳥‥‥しっとりと暗い曲ですね。

『ある雪の夜の物語』 1960年1月作
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オー・ヘンリー「賢者の贈り物」ですね。
ページを横位置にして描かれています。
あとがきによると、
牧美也子、松本晟(零士)、ちば・てつや、高橋まこと、水谷武子諸氏とともに、雑誌ではできない仕事をしようという意気ごみではじめた単行本「ゆりかご」に掲載したものですが、結局みんな雑誌がいそがしくて二巻でおわりになってしまいました。」とのこと。

『人魚が火をともす』 1959年8月作
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 人魚の呪いの伝説があり、夜は誰も海に近づかない浜の村
 こゆきは継母に言いつかって、水汲みに海のそばの井戸まで行くと、
 そこで隠れキリシタン一団の長、アヤ姫に会う。
 彼らは人魚の伝説を利用して、この浜を隠れ家とし、幕府の船を襲う海賊行為をしていた。
 岬にともる人魚の呪いの火は、船出の合図のために、ばあやがともす火であった。
 彼らの仲間の五郎という男を見て、こゆきは生き別れになった兄ではないかと思う。
 アヤ姫も五郎を慕っているようだ。
 だが、五郎はキリシタンを探っている幕府の隠密であった。
五郎を隠密だと知った後、悩みながら五郎をかばおうとするアヤ姫が切ないです。
ラスト、仲間に置き去りにされ、気が狂ったばあやがともす岬の火が印象的でした。

『星の子』 1960年7月作
「星の王子さま」のような星の子のメルヘンチックなファンタジー
 貧乏な天文学者 五郎は、ある夜、望遠鏡を覗いていて、
 小さな星がこちらにやってくるのを見る。気がつくと
 チルという はねの生えた女の子がいて、その小さな星から来たと言う。
 チルは五郎と一緒に町に出て、目が見えない男の子の目を見えるようにしたり、
 踊れなくなったバレリーナの足を直したりする。
 当然、そんなことを研究会で発表しても信じてもらえない。
 だが、翌日、チルは自分の星からお花を持ってくる。
 その花は青い水晶のように輝き、砂金の土からはえている。
 それを見せられた研究会のメンバーは欲に目がくらんで‥‥
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お約束どおりの展開ですが、ラストの1コマがとても素敵です。

『ガラスの天使』
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この作品だけ、いつの作か書いてなかったのですが、繊細で華やかな絵から、
この単行本の中では一番後の作品ではないかと――ネットで検索したら1965年作とか
『白いトロイカ』(1964年52号~1965年34号 週刊マーガレット)の頃ですね。
宝石泥棒のドタバタは『ハニーハニーのすてきな冒険』(1966年9月号~1967年8月号 りぼん)
を思わせます。
ストーリーはとてもロマンチック
 ある国の皇后さまの「星の天使」というダイヤの指輪が盗み出され、
 宝石泥棒の黒夫人に渡るが、黒キツネとの争奪の中、指輪は雪道に落ちてしまう。
 そこにおもちゃ屋のサンタがおもちゃを落としてしまい、指輪を拾った
 リサは、サンタに渡そうとすると、「そんなものおまえにやるよ」と言われ、
 喜んで家に持って帰り、病気で寝ている母親に「ガラス玉だけど」とプレゼントする。
 リサの亡くなった父は皇后さまの宝石管理人だったが、ある日ネックレスがなくなって、
 責任をとって辞めたのだった。あとで皇后さまの子ネコのいたずらだとわかったが、
 父はお城には戻らなかった。母親は「宝石は人をめくらにするものなのよ、
 わたしたちにはガラスでじゅうぶん」と言う。
 クリスマスの日、皇太子は町の人をお城に招く。
 リサは昔、母親が着たドレスと拾った指輪をはめてお城へと行く――
シンデレラのようなおとぎ話ですね。皇太子がとても優しくて素敵です。
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この宝石泥棒の黒夫人は、もしかしてドロンジョの原型?

『二つの太陽』 1959年7月作
「そのむかし太陽はふたつあった」と始まる、神話のようなスケールの大きな話。
 一つの太陽が沈むと、もう一つの太陽が昇るので、地上に夜はなかった。
 平野に住む人間の長老の息子シンバは、太陽はひとつでたくさんと考え、
 太陽を殺そうと、太陽に矢が届く山のいただきへ登ろうとする。
 太陽をまもり神とする山の国の長老の娘ロアナは、花をつみに来て、
 恐竜に襲われたところを、シンバに助けられる。
 お互いにひかれあう二人だったが‥‥
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ラスト、太陽が粉々にくだけて散ってゆき、星になるところが迫力でした。

最近は電子書籍が普及してきて、こういう昔の作品が電子書籍化でまた読める可能性が
出てきたことは嬉しいことです。まだこの単行本は電子書籍化されていませんが、
水野英子が、トキワ荘時代、U.マイアというペンネームで、
石森章太郎(当時)、赤塚不二夫と合作した作品がeBookで読めます。
赤い火と黒かみ/星はかなしく くらやみの天使

U.マイアについての詳しい説明もあります

水野英子の以下の作品はeBookで読めます
星のたてごと 白いトロイカ ハニーハニーのすてきな冒険 ブロードウェイの星 ファイヤー!


過去記事
水野英子『星のたてごと』 http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2009-02-25
水野英子『白いトロイカ』 http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2009-12-17

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KYOTO手塚治虫ワールド [マンガ]

4月20日(火)に、京都国立博物館「長谷川等伯展」に
行ってきたことは前記事に書きました。
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2010-04-22

京都までのJRの中で、京都国立博物館のHPをチェックしたら、
現在の混雑状況100分ということだったので、
京都駅に着いても、あまり急がずに
駅ビルあたりをぶらぶらしていました。
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京都駅の建物は、“京都”にふさわしいかどうかは意見があるでしょうが、
カッコイイことは確かです。

駅前でみつけたのが、こちら
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わー!アトムだー。でも、何でここに?

「KYOTO手塚治虫ワールド」?どこにあるんだろう??
と、アトムが飛んでいる方向へ歩いていくと、
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こんな看板が。手塚治虫のキャラクターが揃ってますね!
ふふふ、全部わかる‥‥と思ったら、ヒゲオヤジと成長したレオの間の
ネズミのようなキャラクターがわからない。
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あとは‥‥上左から
「おむかえでゴンス」とマンガに乱入してくるキャラですが、名前は?
ビッグX
マグマ大使
写楽保介(三つ目がとおる)
火の鳥
百鬼丸(どろろ)
ウラン(アトム)
チンク(リボンの騎士)
ブラックジャック
メルモ(ふしぎなメルモ)
ピノコ(ブラックジャック)
サファイヤ(リボンの騎士)
ハムエッグ
ブッコ(W3 ワンダースリー)
アセチレン・ランプ
ヒゲオヤジ
レオ(ジャングル大帝)
ヒョウタンツギ
レオ(ジャングル大帝)
アトム
お茶の水博士
海のトリトン

ふーーん、この近くなのかな? と、矢印の方向に進むと、
こんな案内板も。
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こんどはジャングル大帝のレオが走ってます。
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京都駅ビルの東部分、京都劇場の入口などがある2階にありました。
階段を上がったところの案内
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エントランスには、等身大フィギュアのブラックジャックとサファイヤが!
すごい記念撮影場所じゃないですか!!
(ここは誰でも無料で入れるんですよ!!)
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ブラックジャックのフィギュア側のキャラクターになると、
私にはわからないのもありますねー。
0マンの隣、ドン・ドラキュラの下は誰?
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アトムとレオもいます!!
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しかし、なんでこんなに人がいないの??
レストランなどもあるみたいなんですが、伊勢丹の混雑ぶりからすると、
同じ京都駅にあるのがウソのようにガランとしている。

アニメシアター、入場料200円なら安いし、もうすぐ上映開始
とのことだったので、ちょっと見ていこうかとも思いましたが、
あー、でも約25分だけど、あまり遅くなってもいけないからと。
京都駅にあるので、駅で時間が余った時にはいい場所ですよね。

それから京都国立博物館まで歩いて行きました。
途中の鴨川沿いの桜。
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八重桜はまだ咲いていました。
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桜は散った花びらさえも美しいですね。
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KYOTO手塚治虫ワールドのサイト:
http://www.kyoto-station-building.co.jp/kyototezuka/index.html

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『うれし恥ずかしなつかしの少女マンガ』 [マンガ]

『うれし恥ずかしなつかしの少女マンガ』図書館で借りて読みました。

うれし恥ずかしなつかしの少女マンガ

うれし恥ずかしなつかしの少女マンガ

  • 作者: 鈴木 めぐみ
  • 出版社/メーカー: ソニーマガジンズ
  • 発売日: 2005/04
  • メディア: 単行本


著者の鈴木めぐみさんは、1964年生まれ。31歳のときに出た
「TVチャンピオン少女マンガ通選手権」で優勝。翌年も連覇達成。
以来、マンガの解説や評論などをするようになったそうです。

この本は、1970年代、80年代の少女マンガの黄金期に
少女マンガを読んでいた人なら、
なつかしさと恥ずかしさに「きゃ~~♡」と叫びそうな、
あの頃の甘酸っぱい思い出を楽しめる本です。

第一部が〈思い出編〉として、
あの頃の少女マンガの御用達として、
ペンパルとか、カギ付ダイアリー、手編みのマフラーなどを挙げ、
『エースをねらえ!』のひろみだって、厳しい練習の合間をぬって、
藤堂さんへのマフラー(もちろんイニシャル入り)を編んでいたとか、
マンガに影響されてバレーやテニスを始めた人の声とか、
読んで「そうそう」とか「きゃ~~♡」と甘酸っぱい思い出に浸れます。

第二部が〈雑誌編〉
あの頃人気のあった少女マンガ誌を取り上げて、
雑誌別の性格判断風にまとめてあるんですが、これが面白かった!

■「りぼん」(集英社)
 乙女チックワールドの教科書


「きゃいーん」「ルンルン」「○○なのレス」「××してくらはい」「○○ちゃま」「××タン」‥‥そう聞いて、なつかしさにもだえる人は「りぼんっこ」です。
そして、「りぼん」的カレシ像は、スリムな長身にサラサラ髪、いつもおだやかな微笑みをうかべたマイルド系の青年
王子様でも、スーパーヒーローでもなくていい、優しくて笑顔の似合うあなたが好き‥‥。やはり「りぼん」は乙女の教科書です。


私は“乙女チック”はあまり評価していないんです。
それ以前の、一条ゆかり、もりたじゅん、山岸凉子、のがみけい
あたりが活躍していた頃の「りぼん」はよく買ってました。

“乙女チック”マンガの代表、陸奥A子のデビュー作
『獅子座うまれのあなたさま』1972年「りぼん10月増刊号」掲載
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表紙の自画像の横に
「1954年2月15日 水瓶座うまれのA子ちゃんれす。 今のところ18歳」
とありまして、マンガのヒロインが1955年うまれの乙女座、相手が
同級生の獅子座という設定。同年代の身近なストーリーと絵が可愛いくて、
作者を含めて応援したくなってしまう雰囲気がありました。

■「なかよし」(講談社)
 夢見る女の子の王子様はいつもここに


私、「なかよし」は読んだことがないんです。

「なかよし」といえば、『キャンディ・キャンディ』
不遇な境遇にもめげない、明るく元気な女の子が、最後は「白馬に乗った王子様」的相手と結ばれるといったストーリーが多かった


きっと「なかよし」読者は、「なかよし」を卒業したら、もうあまりマンガにもハマらず、健全でけなげな女の子になったにちがいない

だそうですが、「なかよし」を読んでいた方、いかがですか?

■「別冊マーガレット」(集英社)
 ミステリーから学園モノまで。別マは図書委員タイプ?


当初は少女マンガにしては骨太なサスペンス&ホラー作品がたくさんあった「別マ」
くらもちふさこをはじめとするその次の世代のマンガ家の学園モノがどんどん人気がでてきて、70年第後半の「別マ」は学園モノ全盛時代だった。


「不良男子と優等生の女の子」というパターンが「別マ」では多かった。
自分はおとなしくてちょっと勉強のできる図書委員だけど、好きな相手は高校中退でバンドやっている、とか、普段はつっけんどんなカレシに振り回されたりするワタシ、という設定が「別マ」読者があこがれる恋愛のツボ

‥‥あ、これ言えてるような気がする。

私は当初の美内すずえの『13月の悲劇』や、和田慎二の『銀色の髪の亜里沙』とかが
載っていた頃は熱心な読者だったんですが、くらもちふさこの作品が主流になった頃は
ほとんど読んでないのは、私が大学生になってマンガから離れたからなのか、
好みの問題だったのかはわかりません。

美内すずえ『13月の悲劇』この作品は衝撃でした。
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「別冊マーガレット」1971年9月号・10月号掲載

■「週刊マーガレット」(集英社)
 金曜日は走って買いにいった少女マンガ週刊誌


「つづきはいったいどうなるの!?」というワクワクドキドキ感を毎週味わえた少女マンガの週刊誌
「王道で女王! 名作がたくさん」の「週マ」的な男性像は、大人っぽく見守るお兄様、先輩系


一時『ベルばら』にハマりました。次回が早く読みたくて、あの頃の一週間は長かった!

週刊マーガレット1972年13号の目次
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美内すずえと大島弓子が読み切り作品を書いているという豪華号。
池田理代子は『ベルばら』の前の『章子のエチュード』を連載中です。

■「少女コミック」(小学館)
 美少年に想いをよせる少女たち


当時の「少女コミック」はとにかく“きれい”だった。
美意識とか洗練された雰囲気を思う存分味わうことができたのだ。
代表作は、竹宮恵子の『風と木の詩』


そんな「少コミ」読者の好みはとにかく美少年系。
カレシにしたい!というよりは、床の間にでも飾っておきたいようなクールビューティーに、読者たちは現実を忘れてのめりこんだ。


あ、これ思い当たります。そしてさらに鋭い指摘、

「少コミ」読者は、「JUNE」や「アラン」といった、いまでいう“ボーイズラブ系”雑誌もかけもちで読んでいる確率が高かった気がする。
ドキッ! はいー、「JUNE」本屋さんでドキドキしながら買ったことありますー。

あ、でも私、週刊の「少女コミック」は買ってないんですよ。
毎週買うほどのお小遣いがなかったのと、
読みたいのが『トーマの心臓』くらいだったので。
月刊誌の「別冊少女コミック」は結構買ってました。
『ポーの一族』は「別冊少女コミックで連載(断続的に)されたんですよね。
別冊少女コミック1972年11月号の目次
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大島弓子の『雨の音がきこえる』も掲載されているという豪華号です。

■「少女フレンド」(講談社)
 現実直視型の女の子、御用達


女の子の性や身体の悩みも扱っていた「少女フレンド」ストーリーも、ほかの少女マンガ誌よりちょっと“生活感”が漂っていた。
“しっかりもののあたし”とちょっと影のある男性っていうのが「少フレ」的な恋愛の理想だった?
“夢”よりも“リアリティ”が追求されていた


あー、言われてみれば、そんな感じ。
だからなのか、私は小学生の時は買ったことがありますが、それ以後は買ってないですねぇ。

少女フレンド1969年第17号の目次
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少女フレンドの人気漫画家・里中満智子が、連載の『ララ=ハート』と、
2週にわたって掲載された『紅かんざし』を書いてます。
『紅かんざし』は、新撰組を扱った異色時代劇で、
里中満智子の意欲が伝わってくるような力作でした。
青池保子の『おーい 青春!』、望月あきらの『サインはV!』も載っています。

■「花とゆめ」(白泉社)
 ちょっとマニアックなオタク読者は絵本も好き?


「学園ラブコメばかりじゃ物足りないわ!」なんていう、ディープなマンガ読みを育てていたのが、あのころの「花とゆめ」
少女マンガの定番から外れた、サスペンスや本格SF、バイオレンスなど、ほかではあまり味わえないジャンルの作品が幅をきかせていた。


そんな「花とゆめ」の読者があこがれたのが“アウトロー”
不幸な過去を背負った男たちのの姿に、「花とゆめ」読者は母性本能をかきたてられた。
とのこと

著者の独断によれば、
「花とゆめ」読者はそのいっぽうで絵本や児童書も好きだったはず!

いかがですか?

「りぼん」に掲載されていた「花とゆめ」1974年7月号のおしらせ
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「りぼん」のマンガ家と「マーガレット」のマンガ家が一緒になったという感じですね。
豪華な執筆陣なのに、私があまり買ったことがないのは、後発(1974年5月創刊)だった
せいなのか、「花とゆめ」という誌名にちょっと抵抗があったのか‥‥?

■「LaLa」(白泉社)
 少女マンガをやめられない女の子たちが買った


萩尾望都、竹宮恵子、木原敏江、美内すずえ、和田慎二、山岸涼子、三原順‥‥。いま見ても、そうそうたる顔ぶれの花形マンガ家たちが一堂に会したのが'76年の創刊号。
「LaLa」を買ったのは、まちがいなく“少女マンガが好き”な女の子。


「LaLa」の読者は「映画のようなレベルの高い恋愛にあこがれた
あのころの「LaLa」読者は、きっといまでもマンガを読み続けている。

私は、LaLa創刊の1976年は、大学に入学して、一人暮らしを始めた年でもありまして、
経済的なことと、マンガ以外のことに興味がいったりして、ちょっとマンガから
離れていたんですが、それでもたまに買ったりしていました。

「LaLa」1978年4月号に載った5月号の予告。
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‥‥すごい執筆陣ですね!

私は「LaLa」の読者というほどではなかったですが、この少女マンガの黄金期の作品を
知ってしまいましたので、やっぱり、マンガから離れられませんね。

『うれし恥ずかしなつかしの少女マンガ』の後半には、
「いま買えるあのころの名作40選」と、
「最近の少女マンガおすすめ25選」という著者のお薦めブックガイドがあります。

私は意外とマンガを読んでいないので、これから読んでみたいマンガが増えて、
嬉しいような困ったような‥‥。
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大島弓子『ミモザ館でつかまえて』 [マンガ]

ミモザと聞いて、私の場合、真っ先に思い浮かべるのがこの漫画。

大島弓子『ミモザ館でつかまえて』
1973年の週刊マーガレット第12号に掲載された作品。
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この頃の週刊マーガレットには『エースをねらえ!』も『ベルサイユのばら』も
連載されていて、贅沢な時代でしたね。

この作品は、1973年の日本漫画家協会優秀賞を受賞したそうです。

ストーリー
新任教師の園部春子は、男子高校に赴任するため、決まっていた下宿に向う途中、
貼り紙を見て、ミモザ館に下宿することにする。
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 ちょっと軽率ではないかとも思うのだけど、こんな素敵な洋館に住めるのなら、
(部屋代一月1万円は、当時としても安いのでは? それに、ベッドは
 春子が「お姫さまになったみたい」と言う天蓋付きの豪華なもの)
 大学出たての春子が「きめたっ」と言うのもわかりますね。

その館に一人で住んでいたのが草下亜麗。
彼はお互いの名前も明かさずに、彼女を下宿させる。
翌日、なぜか時計の針が遅れていて、初出勤から遅刻をしてしまう春子は、
亜麗が、自分の担任のクラスの生徒だと知って驚く。
彼は、毎日2時間目からしか登校せず、ギターをがなりたてる問題児であった。
母親をなくし、父親は外国生活をしていて、父親からの手紙がきてるかどうか、
10時に郵便受けをのぞいてくるために遅刻するのだとか。

 亜麗たちに、強制的に音楽を聴かされる春子。
 このロックンロールの歌詞、文学的で素敵です。
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クラスの男子生徒と同じ家に住むなんてと、あわてて下宿を移ろうとする春子だが、
他の下宿先もなく、学校には秘密に同じ館で暮らすうちに‥‥

当時、年下の男子、それも女教師と教え子という関係は、かなりタブーっぽくて、
その、ちょっと危険な香りと、なんといっても、亜麗が魅力的です。

まぁ、当時のことですから、こんな「ただ一度のくちづけ」のシーンに、
すごくドキドキしました。
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大島弓子のふわふわした頼りなげな絵と、
セリフがものすごく多い、怒涛のような展開がとても新鮮でした。

でも「ミモザ館」というわりに、ミモザの木や花って描かれてないんですよね。
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水野英子『白いトロイカ』 [マンガ]

私の一番好きなマンガ、水野英子『星のたてごと』の記事を書いて、
次は『白いトロイカ』について書こうと思ってから、ずいぶん経ってしまいました。

『白いトロイカ』週刊マーガレットに1964年52号から1965年34号まで連載された作品。
こちらも私はリアルタイムでは読んでおりません。
私が読んで持っているのは、1970年に発行されたマーガレットコミックス2巻です。
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当時のマーガレットコミックスはビニールカバーがついており、
その頃は豪華に思えたものですが、ビニールは熱で変形しやすく、
2巻目の方は外してしまいました。

ということは、私が読んだのは中学1年だったことになります。
発表からすでに5年が経っていたわけですが、それでも
そのスケールの大きさとロマンには圧倒されました。

萩尾望都を代表とする24年組が登場する以前の少女マンガにあって、
水野英子は別格といった雰囲気がありました。

1800年頃のロシアを舞台にした、恋愛、冒険、革命、そしてヒロインの出生の秘密、
学園モノ的な要素など、よくこれだけのストーリーと内容を単行本2冊でまとめたものだと。
何より水野英子の華麗な絵が素敵で、少女マンガの魅力満載の作品です。
ヒロインのドレス姿は夢の中のあこがれの別世界で、ずいぶん真似して描いたものです。

私はこの作品が、あの『ベルサイユのばら』につながる少女マンガの流れの
源だったと思っています。

電子書籍 eBook版『白いトロイカ』に寄せて、著者が書いています。
でも、当時の少女まんがには本格的な歴史物などありませんでしたので、難しいからダメだと言う編集とかなりのディスカッションが必要でした。これは少女まんがにおいては初の“歴史物”となります。

確かに‥‥最初に読んだ時、「農奴」なんて言葉も知りませんでしたし、
ペテルブルグという街の名前も、物語の中の名前かと思って読んでたんですよ。
(当時はレニングラードと言ってましたし)で、ラストに
「農奴が解放されたのは、ロザリンダが‥‥75歳の生涯をおえてから
 さらに3年後の1861年のことであった」
という文章があるので、え?これは歴史モノなの?と気付いたくらいで。
でも、史実に忠実というわけでもないみたいなんですよね。
この文章から、ロシアの歴史を調べてみたんですが、
この皇帝が誰なのか?
パーヴェル1世が在位1796年~1801年で、クーデターによって暗殺されているので、
この皇帝はパーヴェル1世かと思われるのですが、在位わずかに5年だと、
ロザリンダの両親の頃は皇帝ではなかったことになります。
そして皇太子アレクサンドルを追放して、彼はコサックの群れにまざって
生き延び、皇帝を倒すために戻ってくるという話になっていますが、
そんなドラマチックなことはなかったようです。(アレクサンドルが
皇帝を倒すクーデータに一枚かんでいたとは言われていますが)


ということで、今、『白いトロイカ』ネットで読めるそうです!
すごい時代になったもんですね!eBook化にあたっては、
掲載誌の「週刊マーガレット」からの完全復元を目指しました」とのことで、
これなら私も、連載時代の扉絵とかちょっと見てみたいかも‥‥。
興味を持たれた方、ぜひ読んでみてください。
こんな昔に、こんなすごいマンガがあったのかとビックリされると思います。
手塚治虫先生の昔の作品などは時代を感じさせるものがありますが、
この作品はそんな古さを感じさせません。

以下、ストーリーを紹介しようと思うのですが、
とにかく魅力的なエピソードがたくさんあって、簡単に要約することができません。
画像は私のマーガレットコミックスからスキャンしたので、あまりきれいではありません。
例によってネタバレを含みます。

吹雪のクリスマスの夜、農家の夫婦のもとに、貴族の夫婦が追われて逃げてくる。
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二人は娘のロザリンダだけは助けたいと、首飾りと一緒に夫婦に託して去り、
すぐに追っ手に銃殺される。
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ロザリンダはロタと呼ばれ、いつも歌を歌っている明るい娘に成長する。
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コサックの若者アドリアンに字を習ったり、
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地主家族にも可愛がられて、幸せに暮らしている。
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地主の娘に歌を教えに来たロストフ先生に歌の才能を認められ、
歌手の夢を持つようになる。
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 ロタの養父母。こんな場面が、ロタがどんなに愛されて育てられたかがわかって、
 とても好きです。

だが、コサックと村人との対立から、山火事が起こり、火を消そうとした地主は
事故で死んでしまい、皇帝から新しい地主が任命されて来る。

新しい地主は、農奴を奴隷のように扱う冷酷な男だった。
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地主の未亡人やロストフ先生がロタを売ってくれと頼んでも聞かず、
自分の小間使いにしようとする。ロタは地主から逃げ、コサックに助けられて、
ペテルブルグを目指す旅に出る。
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途中、どろぼう宿やオオカミに悩まされるが、ジプシーや、
貧しい農奴家族に助けられ、その農奴の妻のかわりに歌をうたいに出た
地主の宴会で、旅の途中であった貴族のレオに出会う。
彼はロタにきれいな服と、ペテルブルグまでの馬車を用意してくれる。
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無事にペテルブルグに着いたロタだが、ロストフ先生の家を訪ねると、
先生は旅の途中の事故でまだ帰っていなかった。
歌劇場へ行ってみるが、音楽学校を出たものでないと雇えないと追い返される。
途方に暮れたロタを助けたのは、親切な酒場のおかみさんで、
ロタは酒場で働かせてくれと頼み、歌をうたって店の人気者になる。
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 この酒場「熊(ミーシカ)」の夫婦のキャラクターがまた素敵です!

ある日、なんとその酒場にレオが現れ、ロタは夢のような再会を喜ぶ。
だがレオには貴族の令嬢ナタリアという婚約者がいた。

実はこの酒場は、反皇帝グループの集会所となっていた。
また現れたレオに会おうとしたロタはグループの話を聞いてしまう。

捕まった同志を助けに行ったレオは、兵士に銃弾で撃たれ、ケガをしてしまう。
ロタは機転をきかせて、彼を酒場の天井裏にかくまう。
やがて傷が治ったレオは、ロタに何かお礼をしたいと言い、
ロタは歌劇場へ行きたいと頼む。

歌劇場へ連れて行くために、レオは自分の屋敷にロタを連れて行き、
貴婦人に仕立てることにする。名前もロタではふさわしくないと、
偶然にも、ロザリンダという名前をつける。

歌劇場へ行くために着飾ったロタ。いや、ロザリンダ。
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 ‥‥これって、女の子の夢ですよね! そして、
 『ベルばら』がいかにこの作品に影響を受けているか、わかりますよね。

歌劇場で夢のような時間を過ごすロザリンダだが、歌劇場にはナタリアの家族も来ていた。
あいさつに行ったロザリンダたちは、ナタリア家の舞踏会に招待される。
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ナタリアはロザリンダに恥をかかせようと思って、舞踏会で歌をうたわせるが、
ロザリンダは歌劇をみただけで覚えてしまった「フィガロの結婚」から、
「恋とはどんなものかしら」を歌い、舞踏会に来ていた、
歌劇場支配人から、ぜひ王立音楽院に入学させたいと言われる。
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 私が「フィガロの結婚」という歌劇があることを知ったのはこのマンガでした。
 で、もっとロマンチックな歌劇だと勝手に思っていたので、実際に
 オペラを見た(TVで)時、そのコミカルなストーリーにちょっとびっくりしました。

王立音楽院でロザリンダと同僚となったイレーネは、ナタリアの友人で、
ロザリンダが田舎から出てきて、酒場で歌っていたことを聞き、生徒たちに、
ロザリンダは百姓娘だという噂を広める。
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自分がいるとレオに迷惑がかかると思ったロザリンダは、レオの家を出る。
街でロストフ先生をみかけたロザリンダ。
先生はロザリンダをターニャ・ペトローブナの家へ連れて行く。

実はロストフ先生は、ロザリンダの首飾りを見た時から、ロザリンダが、
美しい歌姫・アンナ・フョードルとレフ・フヨードルの娘ではないかと考えていた。
レフ・フヨードルは、農奴が人間らしく暮らせるようにと皇帝に進言し、
反逆罪で妻のアンナと共に処刑されたのであった。

ターニャ・ペトローブナはアンナの母である。
彼女の屋敷でロザリンダは、教えられないのに台所の場所がわかり、
書斎でアンナ・フヨードルと、レフ・フヨードルの肖像画を見て、
首飾りの裏にあった「愛するアンナへ レフ・フヨードル」という文字を思い出し、
自分の出生について疑問を持つようになる。

ターニャから、養女にしたいという申し出を受け入れたロザリンダは、
披露パーティで、自分が昔から知っている子守唄を歌うが、
それはこの家に昔から伝わる子守唄で、
アンナはいつもその子守唄を娘に歌っていたと聞き、ロザリンダは、
ターニャの本当の孫であることがわかる。

 ちなみに『白いトロイカ』というタイトルは、ロザリンダが覚えていた
 子守唄の歌詞からつけられています。

ロザリンダの噂を聞いた皇帝は、レオを使者に立て、
ロザリンダを宮廷の晩餐会に呼んで歌をうたわせる。
(皇帝は昔、アンナに恋をしていた)

だがその晩餐会で、黒い鷹と呼ばれる賊がペテルブルグに現れたことがわかり、
レオが討伐隊の指揮官に任命される。
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黒い鷹は南から来たコサックで、胸に銀のくさりのついたルビーの首飾りを
していると聞いたロザリンダは、黒い鷹はアドリアンではないかと疑う。
(ロザリンダは田舎を離れる時、首飾りをアドリアンに託していた)

黒い鷹をとらえようとするレオを追ったロザリンダは、黒い鷹に襲われ、
黒い鷹がアドリアンであることを確かめる。
ペテルブルグから出て行ってと頼むロザリンダに、アドリアンは、
おまえが劇場で歌う姿を見たらペテルブルグから出て行くと言う。

だが、その二人の会話を聞いてしまったナタリアは、
レオに、黒い鷹はロザリンダが劇場で歌う時に来ると告げる。
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黒い鷹を捕らえたレオ。だがこれはレオの計略だった。

レオは皆が平等に暮らせる世の中をつくりたいと、革命を起こすつもりでいた。

 ‥‥そして、クライマックスの革命へと、レオと黒い鷹、ロザリンダの
 それぞれの想いが混じり、息もつかせぬような展開となります。

 ナタリアや、ナタリアの父も重要な役割を果たします(涙)
 
革命軍の蜂起を見る皇帝とロザリンダ
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 歴史では、ペテルブルグを築いたのは、このパーヴェル1世ではないんですけどね。


でも、このドラマチックな大ロマン。ラストにちょっと違和感というか‥‥
この静かな終わり方、全てが平穏に収まったカンジで、いいんですが‥‥

農奴が解放されたのは、ロザリンダが‥‥75歳の生涯をおえてから  さらに3年後の1861年のことであった
少女の私が感じたのは、えー、これだけの犠牲を払って、
農奴解放にこれから60年もかかってるの?ってこと。

まぁ、フランス革命でも、バスチーユ蜂起から、様々な曲折がありましたけど。

そして、ロザリンダはこれで良かったのか‥‥とか。

まだ、結婚と仕事との両立が難しかった発表当時の時代の影響もあるのかなと。
でも、アンナは娘をかかえながら、劇場で歌っていますし、
ロザリンダもこの後、歌劇場で歌ったのかもしれませんが‥‥
ロシアとか、革命というテーマも、安保闘争に揺れた時代が
反映されているのかもしれませんね。

文庫にもなったようですね

白いトロイカ (1) (講談社漫画文庫)

白いトロイカ (1) (講談社漫画文庫)

  • 作者: 水野 英子
  • 出版社/メーカー: コミックス
  • 発売日: 2002/04
  • メディア: 文庫



白いトロイカ (2) (講談社漫画文庫)

白いトロイカ (2) (講談社漫画文庫)

  • 作者: 水野 英子
  • 出版社/メーカー: コミックス
  • 発売日: 2002/04
  • メディア: 文庫



eBook


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青池保子『エロイカより愛をこめて』35巻 [マンガ]

NHK「ためしてガッテン」のスロージョギングで、本屋まで行きまして、
そこで、『エロイカより愛をこめて』の35巻が発売されているのを発見!!!

エロイカより愛をこめて 35 (プリンセスコミックス)

エロイカより愛をこめて 35 (プリンセスコミックス)

  • 作者: 青池 保子
  • 出版社/メーカー: 秋田書店
  • 発売日: 2009/06/16
  • メディア: コミック



おおーーっ!! 帯に「2年半ぶりの最新35巻、堂々の登場!!」となってましたが、
久しぶりでございますーー!もちろん、即買いです。
しかし、2年半も経ってしまった? 確か、以前にこのシリーズについて書いたけど‥‥と
検索してみたら、2005年10月1日に、32巻について書いておりました。
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2005-10-01-2

そーいやー、34巻はどんな話で終わってたんだっけー? すっかり忘れております。
えー、34巻は、
 NO.21  ケルティック・スパイラル Part.3 と、
〈番外編〉 ケルトの幻想 マダムの妄想 で、
平成19年(2007年)1月15日に初版発行となっていました。

そーそー、番外編で、律儀に伯爵の頼みを聞いて、ビデオ出演する少佐が笑えたのでした。

でも、35巻は番外編から始まるので、前回を覚えていなくても大丈夫。
収録されているのは、
〈番外編〉 聖夜の善き訪問者たち
〈番外編〉 古城販売作戦
 NO.22  聖ヨハネの帰還 Part.1

番外編ならではのお茶目な(いや、本人は至ってマジメなんですけど)少佐が笑えます。
さすがの少佐も父親には弱い。ふふふ‥‥

「聖夜の善き訪問者たち」では、なんとミスター・Lの家に、ロレンスをはじめ、
伯爵も少佐も勢揃い!

しかし、少佐! 我が家にも来てくださいませー!
多分、こうなりますが‥‥
eroica.jpg
罵倒されても、嬉しいですわ! 家も片づくでしょうし!
カーテンのひだ揃えは、知り合いのドイツ男性の実話だそうですが、
少佐の整頓と掃除能力で、我が家をなんとかしてくださいませ。

でも‥‥、後でジェイムズ君のようにこう嘆くのかしら?
eroica2.jpg

「古城販売作戦」では、34巻で、伯爵と少佐に両脇から花を差し出させるという
最強マダムの妄想でまたまたハチャメチャに。ハハハ。
しかし、このマダム、ジェイムズ君以上の暴走ぶりだわ。
A君の「美人で胸もある」奥様も登場です。

そして、いよいよ本編の、シリーズNO.22「聖ヨハネの帰還」が始まります。
ビザンチン美術のマニアックな知識がちりばめられてます。
(ちょっとボーナム君のように目を開けて眠りそうでもありますが)
しかし、さすが2009年、少佐も伯爵も携帯電話を使いこなしておりますね。
日本とは違って、二つ折りではない、至ってシンプルなもののようではありますが。

いつもながらですが、青池保子先生、作品のクォリティはさすがです。
武器商人と密売ルートの捜索任務は、ローマで、バチカンも巻き込んで、
スリリングに展開していきそうで、これからが楽しみです。
タグ:青池保子
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チーズスイートホーム 6 [マンガ]

そうそう、最近この単行本も買ってました。
こなみかなた 「チーズスイートホーム 6」

チーズスイートホーム 6 (6) (KCデラックス)

チーズスイートホーム 6 (6) (KCデラックス)

  • 作者: こなみ かなた
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2009/04/23
  • メディア: コミック



おまけのついた限定版もあったんですが、わりと高かったし、本だけでいいかなと。

チーズスイートホーム 6 限定版 (6) (プレミアムKC)

チーズスイートホーム 6 限定版 (6) (プレミアムKC)

  • 作者: こなみ かなた
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2009/04
  • メディア: コミック



「チーズスイートホーム」にメロメロになって、単行本4と5巻を買ったことは以前書きました。
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2008-09-25

6巻が4月23日に発売されたので、買いに行きましたよ。

相変わらずキッチリと丁寧な絵で、可愛いんだけど、
うーーん、4巻と5巻を買った時のようにはハマらなかった‥‥
なぜ?? ストーリーに新鮮さがなくなった? 他に色々面白い猫マンガがあるから?

でも、アニメがまた始まったので、見てますよ!
月~金の朝6:40から、テレビ愛知(テレビ東京系列)で
以前と同じように、月~木は、チーの2分間くらいのアニメで、
金曜日は視聴者からの投稿ビデオ。
新しい家に引っ越したところから始まってます。(単行本だと4巻目から)
以前は録画して見てましたが、今は息子が早く出勤するので、リアルタイムで見てま~す。
でも朝バタバタしていると、せっかくテレビつけていても見逃してしまうことも多いんですが。
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ねこメロな日々 [マンガ]

世間的には5連休が終わるようですね。私は明日が休みですが。
連休中は忙しかった? まぁ、それなりではありましたが、
昨年よりだいぶ売り上げが落ちてますねぇ。おかげで早めに帰されたりして、
パート先の雰囲気も、なんかギスギスしたカンジ。
息子の問題もあるし、親戚の突然の不幸もありまして‥‥落ち込んでおります。

そんな中、つい買ってしまった本がこちら

おばさんとトメ (BIRZ EXTRA)

おばさんとトメ (BIRZ EXTRA)

  • 作者: くるねこ大和
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎コミックス
  • 発売日: 2009/04
  • メディア: コミック



くるねこ大和の「おばさんとトメ」
ついつい何度も読んでしまっております。
この、ゆる~~い間がなんともいえないというか‥‥

以前にも、くるねこ大和のブログ http://blog.goo.ne.jp/kuru0214/
ハマっていることを書きましたが、
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2008-11-23
今は、さらに深くハマっておりまして、更新されていないか、
一日に何度もチェックに行ってしまうのであります。

去年11月の記事では、まだ「くるねこ 2」しか買っていませんでしたが、
それから、当然ですが誘惑に勝てず、「くるねこ」も、
年末に発売された「くるねこ 3」も買い、
さらに「やつがれとチビ」まで買ってしまいました。

やつがれとチビ―絵本漫画

やつがれとチビ―絵本漫画

  • 作者: くるねこ大和
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎コミックス
  • 発売日: 2008/12
  • メディア: 単行本



著者初の書き下ろしオリジナルストーリー、小さな正方形の可愛い本。
1ページに1コマというマンガと絵本の間のような本。
主人公は猫のやつがれ氏で、竹藪に住んでいるという、昔話のような始まり。
ふんふん、くるさんのゆるい世界だけど、やっぱり「くるねこ」の方がいいなとか、
思いながらページをめくっていくと‥‥最後は、これは反則でしょう!?
‥‥泣いたけどーー。

そして、くるねこブログで知った雑誌「ねこメロ」
買うようになってしまいましたよぉー
「おばさんとトメ」は、この雑誌に掲載されたものなんですね。
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1月に発売された「ねこメロ vol.6」
くるさんの「おばトメ」はもちろんですが、

樹村みのりのマンガが載っていて、これがいい!!
「愛ちゃんを捜して〈後編〉」
樹村みのり、昔からファンなんですよね。
去年の暮、「見送りの後で」という新刊が出ていることを知って、思わず買ってしまいました。
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2008-12-29
昔と変わらない丁寧な話と絵(線が細くなってより繊細でリアルなカンジになったけど)で、
行方不明になった猫の愛ちゃんを捜す、作者の体験をマンガにしている。
作者の誠実な人柄とご近所の人情が温かい。
愛ちゃんが死んだ後、愛ちゃんを捜す時に作ったチラシが出てきて、
「もう一度貼ってまわろうか」「誰かが見つけて電話してきてくれるかもね」
というラストがとても心に染みる。
あー、前編も見つけて読まなくちゃ!
しかし、私もテンがいなくなったとき、これくらい熱心に捜してやればよかったかなぁ‥‥

坂田靖子のマンガもあって、おおーー、なつかしい!
ふふふ、このぽわぁ~んとした雰囲気、いいなぁー。

nekomero7.jpg
4月16日に発売された「ねこメロ vol.7」も当然買いましたよー。
表紙もくるさんのトメちゃんだし、「おばさんとトメ」は2本立てだし、
くるねこ大和と須藤真澄のコラボ一筆せんもかわいいし、
コラボ企画として、有間しのぶがくるねこ大和のマンガを描いた「おさんとトメ」
くるねこ大和が有間しのぶの「やぶとはなもも」を描いたのが、すっごく面白い!!

そして、樹村みのりが最初に飼った猫のことを描いたマンガ「乃己子(のきこ)」
上から目線で人間のことを観察する野生の残った猫。
引越しの後、二日間家出して、何くわぬ顔で戻ってきた乃己子に
「なんとなく もっと良い飼い主 良い家を 探しに行っていたような気がしました」
と、感じる作者。ふふ、甘えてくる猫はもちろん可愛いけど、こういう「ツンデレ」猫も
魅力なんですよねぇ。“もはや古典的?マンガ家のシュラバ”の風景、興味深いです。

しかし、家計も厳しいのに、ついついこういう本買ってしまいますねぇー。

坂田靖子が「ねこメロ vol.7」の「ネコ・スイーツ」で描いてましたが、
「おいしいスイーツって抵抗できないけど」
「ヒゲがはえててシッポのあるスイーツも抵抗できないと思う」
はい!抵抗できません!!
あ、この最初の「このあいだテレビをみてたら体にハートマークのある猫が出てました」
「ナニコレ珍百景」ですね。私も見てました。可愛かったです。

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