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国立西洋美術館「中世からルネサンスの写本」 [美術]

6月27日(土)に行った国立西洋美術館
「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」は
チケットが買えずに見られませんでしたが、

常設展のすごさに感動したことは前記事
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2020-07-25

新館2Fの版画・素描展示室で開催されていた小企画展が
「内藤コレクション展Ⅱ
 中世からルネサンスの写本
 祈りと絵」
NaitoCollection.jpg
(チラシでは会期が3月3日(火)~6月14日(日)となっていますが、
 6月18日(木)~8月23日(日)に変更になりました。)

常設展のチケットで見られます!
(ロンドン・ナショナル・ギャラリー展のチケットでも見られます)
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内藤裕史氏(筑波大学・茨城県立医療大学名誉教授)が長年にわたって蒐集され、当館に寄贈してくださった写本リーフのコレクションを紹介する企画」(チラシ裏面の文より)

内藤コレクション展としては、2019年10月19日~2020年1月26日に開催された
「ゴシック写本の小宇宙――文字に棲まう絵、言葉を超えてゆく絵」
に引き続いての企画で、今回の展示の中心は
時祷書に由来するリーフです。時祷書とは、一般の信者が日々の定められた時間に朗読する、聖書の抜粋や祈祷文などを収めた書物です。主な注文主は王侯貴族や裕福な市民であり、彼らの嗜好を反映した華麗な装飾が目を惹きます。また、15-16世紀のヨーロッパではルネサンス美術が花開きましたが、影響は写本挿絵の世界にも及びました。

展示室入口
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こんな貴重なものが写真可なのが嬉しい!
小さいし、ガラス越しなので上手く写ってませんが。
キャプションはわかるもののみ

《詩篇集より:アカンサス葉の装飾を伴うイニシアルC》
イングランド、ロンドン(?)、1400-25年、
彩色、金、インク/獣皮紙、内藤コレクション
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チラシ表面に使われています。
《時祷書より:受胎告知》リュソンの画家、
フランス、パリ、1405-10年頃、
彩色、金、インク/獣皮紙、内藤コレクション
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《時祷書より:聖杯を持つ福音書記者聖ヨハネ》
北フランス、おそらくアミアン、1430年頃、
彩色、金、インク/獣皮紙、内藤コレクション
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金の彩色がキラキラしていて美しい!


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《『ズヴォレ聖書』より:3つのイニシアルDの
内部に「ダヴィデ伝」の諸場面》
北ネーデルランド、ズヴォレ、1474年、
彩色、金、インク/獣皮紙、内藤コレクション(長沼基金)
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ポストカードも買いました。
NaitoCollection-3.jpg

ジャン・コロンブの工房に帰属《時禱書零葉:キリスト降誕》
フランス、ブールジュ、1485年頃、
彩色、金、インク/獣皮紙、内藤コレクション
NaitoCollection-4.jpg

国立西洋美術館: https://www.nmwa.go.jp/jp/

内藤コレクション展Ⅱ「中世からルネサンスの写本 祈りと絵」:
https://www.nmwa.go.jp/jp/exhibitions/2020manuscript2.html



今年5月3日に放送された「NHK日曜美術館」で、
“世界で一番美しい本”と讃えられる「ベリー侯のいとも豪華なる時祷書」
https://www.nhk.jp/p/nichibi/ts/3PGYQN55NP/episode/te/JZ9NX44N57/
のことが取り上げられていて嬉しかった。


私、この本(雑誌? 「中央公論 増刊号」昭和58(1983)年12月20日発行)
「ヨーロッパ中世の四季 木島俊介」
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で「時禱書(じとうしょ)」って知って、
ものすごい時間と手間をかけて作られた
繊細で美しい書物に、すごいなー!!って驚いたんです。
描かれた中世の衣装や風俗も興味深かった。
(中世の騎士道物語とか好きだったので)

表紙は『ベリー侯のいとも豪華なる時禱書』より
四月の野辺での婚約
ランブール兄弟制作 1411-16年頃
シャンティイ、コンデ美術館 蔵


『ベリー侯のいとも豪華なる時禱書』より
若葉の五月の楽しみ
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『恋の駒遊びの書』より
恋の園を訪れる詩人
15世紀末頃制作 パリ、国立図書館 蔵
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『ジャン・ド・クーシーの年代記』より
パリスとヘレネーの帰還
15世紀初頭頃制作 ウィーン、オーストリア国立図書館 蔵
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『ベリー侯の大時禱書』より
天国へ誘われるベリー侯
ジャクマール・ド・エダン他制作 1409年頃
パリ、国立図書館 蔵
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この展覧会を見て、写本が意外に小さく、
なので、描かれている絵や文字がものすごく細かいことに驚きました。
こんな細かい仕事をよくもまぁ! と。


中世好きのウィリアム・モリスが作った
ケルムスコット・プレスはこれら中世の写本を参考にしていることがわかりますね。
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「―アールヌーボーの源流―
 ウィリアム・モリスとその仲間たち」岩崎美術社 より


初期の写本の制作は、修道院の修道士たちの聖務として行われていたそうで、
こんなカンジだったのかなと(^v^)
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青池保子「修道士ファルコ」より

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国立西洋美術館の常設展 [美術]

6月27日(土)に見てきた展覧会のことがまだ書けません(^▽^)

東京美術展三昧
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2020-07-06
で書きましたが、ホテルルートインGrand東京浅草橋に泊まって、
東京都現代美術館で、
「オラファー・エリアソン ときに川は橋となる」
「もつれるものたち」
「MOTコレクション いまーかつて 複数のパースペクティブ」を見て、

上野の国立西洋美術館へ。

「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」をやっていて、
せっかく東京へ行くのだから、これも見たいと思って
チケットを買おうとしたら、日時指定制で、
この土日はおろか発売期間(2週間分ずつ発売されます)のほぼ全てが売り切れ状態(T.T)

でも、国立西洋美術館のウェブサイト見てたら、
内藤コレクション展Ⅱ「中世からルネサンスの写本 祈りと絵」
って展覧会もやってて、これなら常設展の観覧券で見られて、
常設展の観覧券は国立西洋美術館で買えると。
(「ロンドン―」のチケットは国立西洋美術館では買えません)

中世の時禱書が見られる?!! なかなかない機会だし、
国立西洋美術館、金・土は夜20時(6/18~10/18の間は21時!)まで
開いてるてことで、時間を有効に使えそうと。


国立西洋美術館へ着いたのは夕方5時過ぎ。門の前で、
「ロンドン・・ナショナルギャラリー展は
 チケットの無い方は入れませんー」って案内している人や、
検温の人と多くの鑑賞者(制限していてこれでも少ないんでしょうが、
美術館の行列なんてほとんど見ない田舎者からすれば)で
混雑していて、ちょっと気後れしてしまいましたが、
「あのー、常設展の観覧券はここで買えるんですよね?」と聞くと、
建物入口を入った中のチケット売場を教えてもらえました。

常設展の観覧料500円を払ってチケットをもらいます。
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モネ《舟遊び》1887年(松方コレクション) が使われています。

常設展の入口を入ると、ロダンの彫刻が並ぶ吹き抜けの空間があり、
スロープを上って2階へ行くと、

すごーい!! 中世のイコンから並んでます! さすが“国立”西洋美術館!
2016年に「カラヴァッジョ展」を見に行った時は、ちょうど
常設展示室が閉室で、常設展示が見られなかったんですよ。
こんなにすごいとは!!

その前は、学生時代にたしかゴッホ展を見に来たことあるハズなんですけど、
(国立西洋美術館のHPすごい! 過去の展覧会がずらっと載ってる!
https://www.nmwa.go.jp/jp/exhibitions/past/index.html
1976年の「オランダ国立ヴァン・ゴッホ美術館所蔵 ヴァン・ゴッホ展」だ)
所蔵品については全く覚えてないというか‥‥あ、新館竣工が1979年だから
所蔵品の展示はなかったのかな?

そしてっ!! 写真撮影OKなんです!!!

最初こそ写真撮影に夢中になって鑑賞がおろそかになっては‥‥って、
自制(?)してたんですけど、これすごい!!って、たまらずカメラ出したら、
もう止まりませんで‥‥(^^;)> なんとここで100枚近く撮っちゃいました。

作品の説明も欲しいと、ショップで図録「国立西洋美術館名作選」2,400円(税込)
購入したんですが、後で、国立西洋美術館のHPの充実ぶりに驚きました!

なんと、館内地図をクリックすると、常設展で展示されていたほとんどの作品の
画像(かなり拡大することができる!!)や、詳しい説明まで見ることができるんです。
http://collection.nmwa.go.jp/artizeweb/search_6_areaart.php?area.location=9


なので、私のブログで撮った写真載せる意味あるのかな?
とも思うんですが‥‥(リンク先は国立西洋美術館の作品詳細ページ)

パオロ・ヴェロネーゼ《聖カタリナの神秘の結婚》1547年頃
http://collection.nmwa.go.jp/P.1994-0001.html
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ティツィアーノ・ヴェチェッリオと工房《洗礼者聖ヨハネの首を持つサロメ》1560-70年頃
http://collection.nmwa.go.jp/P.2011-0002.html
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かつてイギリス国王チャールズ1世のコレクションで、清教徒革命で1649年に処刑された後、
クロムウェルの指示で国民評議会に飾られた。クロムウェルはこの絵を
旧約聖書のヒロイン猛将ホロフェルネスの首を切ったユディトと勘違いし、
チャールズ1世を斬首した自分と重ね合わせていたのではないかって説明も
興味深かった。


ティントレット《ダヴィデを装った若い男の肖像》1555-60年頃
http://collection.nmwa.go.jp/P.1971-0002.html
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ヨース・ファン・クレーフェ《三連祭壇画:キリスト磔刑》
http://collection.nmwa.go.jp/P.1976-0003.html
2020-6-27-(203).jpg
額縁(?)も豪華だし、絵も細かくてきれい!


新収蔵作品って表示がありました
ルカス・クラーナハ(父)《ホロフェルネスの首を持つユディト》1530年頃
http://collection.nmwa.go.jp/P.2018-0001.html
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私は見てないのですが、2016年に国立西洋美術館で開催された
「クラーナハ展」のメインビジュアルになっていたのが、
ウィーン美術史美術館蔵《ホロフェルネスの首を持つユディト》でしたね。
(「美術の窓」2016年2月号より)
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京都国立博物館「THE ハプスブルク」展で見たのは、
クラナッハ(と表記されていた)《洗礼者聖ヨハネの首を持つサロメ》でしたか。
(「THE ハプスブルク」図録より)
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ヤコポ・デル・セッライオ《奉納祭壇画:聖三位一体、聖母マリア、聖ヨハネと寄進者》1480-85年頃
http://collection.nmwa.go.jp/P.1973-0003.html
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最初に見た時は自制して撮影しなかったけど、やっぱり写真欲しいって戻って撮影しました(^^;
十字架の下に横たわるのは、1479-84年にフィレンツェを襲ったペストで亡くなった
妻と娘で、この絵の奉納である男性と息子が聖母マリアと聖ヨハネと共に描かれているそう。


ロレンツォ・レオンブルーノ・ダ・マントヴァ《キリスト降誕》1515年頃
http://collection.nmwa.go.jp/P.1979-0001.html
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聖母マリアがキリストにおっぱいを飲ませようとしているところが
なんか平和でほほえましい。牛たちもカワイイなぁ。


レアンドロ・バッサーノ《最後の審判》1598-96年頃
http://collection.nmwa.go.jp/P.1999-0003.html
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細かく描き込まれた人、人、人‥‥! 額縁も豪華です。

エル・グレコ《十字架のキリスト》
http://collection.nmwa.go.jp/P.1974-0001.html
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岐阜県美術館後援会のバス旅行で行った国立国際美術館「エル・グレコ」展
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2012-11-17
来てました。日本にあるエル・グレコは、この絵と、
大原美術館の《受胎告知》の2点だけって説明を受けました。


グエルチーノ《ゴリアテの首を持つダヴィデ》1650年頃
http://collection.nmwa.go.jp/P.1998-0001.html
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グイド・レーニ《ルクレティア》1636-38年頃
http://collection.nmwa.go.jp/P.2001-0001.html
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なんかこの上目づかいの表情が気になるというか。
グイド・レーニでググると、
あ、三島由紀夫が愛した(「仮面の告白」に出てきますね)
《聖セバスチャンの殉教》の絵を描いた画家なんですね!


カルロ・ドルチ《悲しみの聖母》1655年頃
http://collection.nmwa.go.jp/P.1998-0002.html
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アンソニー・ヴァン・ダイク《レガネース侯爵ディエゴ・フェリーペ・デ・グスマン》1634年頃
http://collection.nmwa.go.jp/P.1987-0002.html
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写真もない時代に、このリアルさは驚きだったろうなぁ。
ほぼ等身大に描かれているから、暗がりで見たら本人と間違えそう。


ヤーコプ・ヨルダーンス(に帰属)
《ソドムを去るロトとその家族(ルーベンスの構図に基づく)》1618-20年頃
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ルーベンスによるオリジナルを、ルーベンスの若き協力者であった
ヨルダーンスが模写したものではないかと考えられているそう。
ルーベンスは大規模な工房を構えていたそうですね。


ペーテル・パウル・ルーベンス《眠る二人の子ども》1612-13年頃
http://collection.nmwa.go.jp/P.1972-0001.html
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二人の子どもの可愛らしさが習作ならではの素早さで、生き生きと
捉えられていますね。この絵、どこかで見たことがあるように思ったけど、
作品詳細に展覧会歴まで記されているので、展覧会ではないか‥‥。


ダニエル・セーヘルス
コルネリス・スフート
《花環の中の聖母子》17世紀前半
http://collection.nmwa.go.jp/P.1981-0003.html
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バラやチューリップやスイセンの花に囲まれた聖母子
花がリアルに描かれていて素敵。
花をダニエル・セーへルスが、聖母子をコルネリス・スフートが描いたものだそう。


コルネリス・デ・ヘーム《果物籠のある静物》1654年頃
http://collection.nmwa.go.jp/P.1990-0002.html
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葡萄やチェリーの透明感が素敵!


ダフィット・テニールス(子)《聖アントニウスの誘惑》
http://collection.nmwa.go.jp/P.1991-0002.html
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廃墟の中で祈る聖アントニウスの周りに魑魅魍魎がうごめいています。
白いドレスの女性(愛欲を象徴するのだそう)も、よく見ると足が鳥の足!
でも魑魅魍魎、なんかカワイイというか楽しそうなんですけどー


ヤン・ステーン《村の結婚》
http://collection.nmwa.go.jp/P.1976-0001.html
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ステーンは17世紀オランダを代表する風俗画家なんだそう。
豊田市美術館「ブリューゲル展」で見た、
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2018-06-06
ピーテル・ブリューゲル2世《野外での婚礼の踊り》や、
マールテン・ファン・クレーフェ《農民の婚礼(6点連作)》を思い出しました。


そして、撮影禁止だったんですが、ここに
ヨハネス・フェルメール(に帰属)《聖プラクセディス》1655年
http://collection.nmwa.go.jp/DEP.2014-0001.html
があったんですよ!!
(たしか、展示されてたキャプションの作家名には
「フェルメール」とは書かれてなかったような‥‥)

現存する作品が疑問作も含め30数点しかない人気のフェルメール
Wikiの「フェルメールの作品」では、最初に出てます。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%AB%E3%83%A1%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%81%AE%E4%BD%9C%E5%93%81
疑問をもつ研究者もいるそうですが、私も、いくら初期の作品でも
これがフェルメールなの?? なんて見ちゃうんですが。

フェルメールの全作品37点を、
額縁まで含めて原寸大で複製したって展覧会を見た時も、
名古屋テレビ塔「フェルメール光の王国展」
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2014-06-02
この作品だけちょっと違う雰囲気‥‥って見たんですが。


ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロ
《ヴィーナスによって天上に導かれるヴェットール・ピサーニ提督》1743年頃
http://collection.nmwa.go.jp/P.1988-0001.html
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ヴェネツィアの有力な貴族ピサーニ家の別館に描かれた天井画のための
油彩雛形だそう。ヴェットール・ピサーニ提督は一族の英雄だそうで、
天井を見上げた時に、偉大なご先祖が天上に上がっていくように見えるんですね。


ピエトロ・ロンギ《不謹慎な殿方》1740年頃
http://collection.nmwa.go.jp/P.1998-0004.html
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あれ? この絵どこかで見たことがあるんだけど‥‥
ここの所蔵ってことは○○美術館展ではないし、
ピエトロ・ロンギが18世紀のヴェネツィアの風俗を描いた画家ってことで、
名古屋市博物館で2011年12月に見た「ヴェネツィア展」か?
ピエトロ・ロンギの《香水売り》や《貴族の肖像》が出てましたが、
この絵はなかった。どこかの本だったのかなと思ったら、
ヤマザキマザック美術館「よそおいの200年」でした! (2017年)
この絵「中央の女性の姿は、当時流行していた「虱取り」のポーズからヒントを得ている。」(作品詳細より)けど、蚤取りをしているんではないんです。
手元の白い紙をそっとひらいて見つめています。(中略)白い紙は秘密の恋文なのかもしれません」(「よそおいの200年」小冊子より)
女性のあらわな胸元を覗き見る「不謹慎な殿方」に笑いがこみあげてきます。


ジャン・バティスト・パテル《野営(兵士の休息)》
http://collection.nmwa.go.jp/P.1969-0001.html
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ヤマザキマザック美術館の《行軍》《野営》と似てるなーって
作家名が「ジャン・バティスト・ジョセフ パテル」となってます。
ヤマザキマザック美術館のHPの画像見たら、
http://www.mazak-art.com/
同じポーズの人物もいて、ホントに似てる!


ニコラ・ド・ラルジリエール《幼い貴族の肖像》1714年頃
http://collection.nmwa.go.jp/P.1972-0002.html
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ヤマザキマザック美術館の《ジャッソ夫人とふたりの子供》の画家だ!
作家名「ニコラ・ド ラルジエール」と表記されてます。
描かれている幼い貴族は、幼年時のルイ15世だと言われているそう。


ジャン=マルク・ナティエ
《マリー=アンリエット・ベルトロ・ド・プレヌフ夫人の肖像》1739年
http://collection.nmwa.go.jp/P.1979-0002.html
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ナティエも、ヤマザキマザック美術館に
《狩りの衣を着たマイイ伯爵夫人》1743年 がありますけど、
ナティエはニコラ・ド・ラルジリエールの影響を受けて、宮廷の貴婦人たちを神話の中の人物の姿を借りて描くというフォンテーヌブロー派の伝統を復活させた。」(作品詳細より)
ってことで、川ないし泉の精に擬して描いているそう。

ニコラ・ランクレ《眠る羊飼女》1730年頃
http://collection.nmwa.go.jp/P.1979-0005.html
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このあたり、ヤマザキマザック美術館の作品を思い出しながら見ると楽しい。
《からかい》1736年 では、眠っている農夫と彼を起こそうとする羊飼いの娘が描かれてます。


ジョヴァンニ・ドメニコ・ティエポロ《聖母子と三聖人》1759-62年頃
http://collection.nmwa.go.jp/P.1987-0004.html
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ジョヴァンニ・ドメニコ・ティエポロ、通称ジャンドメニコ・ティエポロは、18世紀ヴェネツィア派の巨匠ジャンバッティスタ・ティエポロの息子です。
ジャンバッティスタ・ティエポロ?
《ヴィーナスによって天上に導かれるヴェットール・ピサーニ提督》の
ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロとはどういう関係?と思ったら、
本名がジャンバッティスタ・ティエポロなんだそう。

油絵にしてはあっさりと(?)明るい雰囲気がちょっと少女マンガっぽくて
(あくまで私の印象)いいなーって。


アンゲリカ・カウフマン《パリスを戦場へと誘うヘクトール》1770年代
http://collection.nmwa.go.jp/P.2015-0003.html
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スイスに生まれ、ローマやロンドンで活躍した新古典主義の画家カウフマンは、女性としては当時めずらしく歴史画の領域で国際的な成功をおさめました。」(作品詳細より)
へー、女性の画家なんだ! この絵は、
スパルタ王の妻ヘレネとの恋に溺れるトロイア王子のパリスに対して兄ヘクトールが戦場へ戻るように諌める場面」なんだそう。


ユペール・ロベール《マルクス・アウレリウス騎馬像、トラヤヌス記念柱、神殿の見える空想のローマ景観》1786年
http://collection.nmwa.go.jp/P.1976-0002.html
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ユペール・ロベール《モンテ・カヴァッロの巨像と聖堂の見える空想のローマ景観》1786年
http://collection.nmwa.go.jp/P.1977-0002.html
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おぉ「廃墟のロベール」! この画家も、ヤマザキマザック美術館で知りました。


新館の吹き抜けの1階が見下ろせる2階の壁にあったのが、
ウジェーヌ・ドラクロワ《墓に運ばれるキリスト》1859年
http://collection.nmwa.go.jp/P.1975-0002.html
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19世紀フランスのロマン主義を代表する画家・ドラクロワ
闇と光がドラマチック。


「新収蔵作品」と表示がありました。
ウィリアム・アドルフ・ブーグロー《武器の返却を懇願するクピド》1855-56年頃
http://collection.nmwa.go.jp/P.2015-0018.html
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ウィリアム・アドルフ・ブーグロー《クピドの懲罰》1855-56年頃
http://collection.nmwa.go.jp/P.2015-0017.html
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印象派の台頭で批判されるアカデミズム絵画を代表するブーグローだけど、
当時はこちらが主流だったんですね。甘美で耽美的な彼の絵、私は好きだなー!
(実は私が印象派がいいなって思えるようになったのはわりと最近)


ジャン=フランソワ・ミレー《春(ダフニスとクロエ)》1865年
http://collection.nmwa.go.jp/P.1959-0146.html
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《種まく人》《落穂拾い》《晩鐘》などで農民を描いた画家として知られる
ミレーにしては、題材が古典的で色彩も明るくロマンティックな絵ですね。


ギュスターヴ・クールベ《波》1870年頃
http://collection.nmwa.go.jp/P.1959-0062.html
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今、作品詳細を見たら「現在は展示していません」ってあるけど、
私が見に行ってから展示替えがあったのか?

ヤマザキマザック美術館の《波、夕暮れにうねる海》1869年 と、
そっくりだなーって見たんです。どちらもエトルタの海を描いたものだと。
Courber.jpg
ヤマザキマザック美術館も撮影OKなんですが、この作品は写真撮ってないので、
図録の画像(ヤマザキマザック美術館HPにも画像あります)


エドゥアール・マネ《嵐の海》1873年
http://collection.nmwa.go.jp/P.2019-0002.html
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この作品も「現在は展示していません」ってなってる。
少しずつ展示替えがあるのかな?
「新収蔵作品」って表示されてるけど、「旧松方コレクション」
この国立西洋美術館のコレクションの基となった松方幸次郎が購入した作品で、
第二次世界大戦の中、作品の疎開の費用等の工面のため売却された作品なんだそう。


ベルト・モリゾ《黒いドレスの女性(観劇の前)》1875年
http://collection.nmwa.go.jp/P.2017-0002.html
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印象派の女性画家ベルト・モリゾの絵


ピエール=オーギュスト・ルノワール
《アルジェリア風のパリの女たち(ハーレム)》1872年
http://collection.nmwa.go.jp/P.1959-0182.html
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エドゥアール・マネ《ブラン氏の肖像》1879年頃
http://collection.nmwa.go.jp/P.1984-0002.html
オシャレでモダンな感じの肖像画ですね。
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ポール・セザンヌ《ポントワーズの橋と堰》1881年
http://collection.nmwa.go.jp/P.2012-0001.html
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ポール・セザンヌ《葉を落としたジャ・ド・ブッファンの木々》1885-86年
http://collection.nmwa.go.jp/P.1978-0005.html
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私、以前はこういう絵、描きかけじゃない? って思えて、
良さがわからなかったんですよね。印象派を批判した昔の人の
言い分がわかるというか。今はいいなって思えるようになりましたが。


一部屋モネの絵で構成されていた中で、異様だったのがこの大きな作品
クロード・モネ《睡蓮、柳の反映》1916年
http://collection.nmwa.go.jp/P.2017-0004.html
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1921年に松方がモネから購入したもので、第二次世界大戦中に大きく損傷、
戦後、その破損状態の甚だしさから作品として扱われず、行方不明だったが、
2016年ルーヴル美術館のなかで発見され、2017年に松方家より寄贈されたとのこと。


クロード・モネ《舟遊び》1887年
http://collection.nmwa.go.jp/P.1959-0148.html
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チケットにも使われている絵
モネは人物にあまり関心ないみたいですね。
水面のバラ色の光のきらめきやゆらめく舟の影、いいなって。


クロード・モネ《雪のアルジャントゥイユ》1875年
http://collection.nmwa.go.jp/P.1959-0150.html
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雪景色って真っ白で、絵になりにくいんじゃないかって思うのに、
そこはモネ! その場の空気感みたいなのがすごく伝わってくる。


クロード・モネ《陽を浴びるポプラ並木》1891年
http://collection.nmwa.go.jp/P.1959-0152.html
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ポプラの木が画面を分断しているのは、浮世絵の影響もあるのかな?
キラキラした光が感じられて素敵。


クロード・モネ《睡蓮》1916年
http://collection.nmwa.go.jp/P.1959-0151.html
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1921年アトリエを訪ねた松方幸次郎がモネから直接購入したもので、
1944年フランス政府が接収; 1959年フランス政府より寄贈返還されたと。


この後、版画素描展示室の小企画
「内藤コレクション展Ⅱ
 中世からルネサンスの写本」を見たんですが、長くなるので、次の記事で。

階段を降りて1階へ。

中庭に面した部屋には彫刻作品が展示されてました。
オーギュスト・ロダン《オルフェウス》1908年(原型) 1921年(鋳造)
http://collection.nmwa.go.jp/S.1959-0037.html
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オーギュスト・ロダン《うずくまる女》1882年頃(1906-08年頃に拡大)
http://collection.nmwa.go.jp/S.1959-0020.html
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夕方6時半を過ぎて、外が薄暗いです。明るい時間だとまた違った印象かな?


ギュスターヴ・モロー《ピエタ》1876年頃
http://collection.nmwa.go.jp/P.1959-0161.html
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岐阜県美術館もモローの《ピエタ》1854年 持ってたなーって見たら、
岐阜県美術館のコレクション検索に画像あります: https://gifu-art.info/details.php?id=3831
作品詳細でも岐阜県美術館の作品について言及されてました。
岐阜県美術館の作品より約20年後の作品だけあって、
小品だけどモローらしい幻想的な作品で好きだなー。


ピエール・ピュヴィス・ド・シャヴァンヌ《貧しき漁夫》1887-92年頃
http://collection.nmwa.go.jp/P.1959-0175.html
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宗教的で詩的な情緒が感じられる平面的な画風は、
イラストや漫画から美術に関心を持った私には親しみやすいです。
岐阜県美術館もシャヴァンヌの大きな作品(習作だけど)持ってます。
シャヴァンヌ《慈愛》のための習作1893-94年頃
https://gifu-art.info/details.php?id=2773


フィンセント・ファン・ゴッホ《ばら》1889年
http://collection.nmwa.go.jp/P.1959-0193.html
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ゴッホだー!! サン=レミの精神療養院に咲くばらを描いたものだそう
こんな、緑一面の、風景画とも言えない、構図的には面白くない
ばらの茂みだけを描いている絵、それも近づいて見ると筆遣いも荒くて、
ばらの花も全然リアルじゃないんだけど、光あふれる庭の雰囲気が
すごく伝わってきて‥‥やっぱりスゴイ絵だなって。


フランク・ブラングィン《しけの日》1889年
http://collection.nmwa.go.jp/P.2001-0003.html
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旧松方コレクション「イギリス人画家ブラングィンと松方幸次郎は、1910年代末に出会いました。川崎造船所の社長であった松方は、日本に美術館を設立するため、ヨーロッパ各地で美術品蒐集を始めます。ブラングィンは、イギリスでの蒐集にあたり助言を与え、コレクション形成に多大な影響を与えました。」(作品詳細より)
造船所の社長であった松方は、この絵に共感するものがあったんでしょうね。


ダンテ・ガブリエル・ロセッティ《愛の杯》1867年
http://collection.nmwa.go.jp/P.1984-0005.html
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いかにも「ラファエル前派」のロセッティの描く女性だー!


こちらもロセッティの女性! 「新収蔵作品」だと
ダンテ・ガブリエル・ロセッティ《夜明けの目覚め》1877-78年
http://collection.nmwa.go.jp/P.2019-0004.html
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旧松方コレクションで、川崎造船所の経営立て直しのため売りに出され、
蜂谷克己氏御遺族より寄贈された作品だそう。

1990-91年にBunkamuraザ・ミュージアム、愛知県美術館、石橋財団石橋美術館を
巡回した「ロセッティ展」に《愛の杯》が出品されてて、
(私は展覧会見てないんですが、図録を古本屋で購入)
《夜明けの目覚め》は、図録に参考写真として載ってますが、
タイトルは《少女》となってます。
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ジョン・エヴァリット・ミレイ《あひるの子》1889年
http://collection.nmwa.go.jp/P.1975-0004.html
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ミレイと言うと《オフィーリア》1851年
ラファエル前派の画家 ってイメージですが、
ミレイはやがてラファエル前派が批判したアカデミーの正会員になって、
肖像画家としても名声を博します。
2008年に北九州市立美術館、Bunkamuraザ・ミュージアムを巡回した、
《オフィーリア》が来た「ジョン・エヴァレット・ミレイ展」に、
この作品も出品されたそう。(残念ながら私はこの展覧会行けてません)


ポール・シニャック《サン=トロぺの港》1901-02年
http://collection.nmwa.go.jp/P.1987-0003.html
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点描の画家、混色せずにモザイクのように色を置くことで、
色彩間の対比が強調されて、色が鮮やかです。


エドモン=フランソワ・アマン=ジャン《日本婦人の肖像(黒木夫人)》1922年
http://collection.nmwa.go.jp/P.1959-0005.html
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モデルの「黒木竹子は、大蔵省の委嘱により国際金融情勢を調査する目的でパリに滞在していた黒木三次の妻で、松方幸次郎の姪にあたります。


ピエール=オーギュスト・ルノワール《横たわる浴女》1906年
http://collection.nmwa.go.jp/P.1974-0002.html
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この作品「現在は展示していません」と。
いかにもルノワール!って裸婦。
「梅原龍三郎氏より寄贈」とのこと。


藤田嗣治《座る女》1929年
http://collection.nmwa.go.jp/P.1992-0003.html
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金地の花鳥画の前に座るワンピースの女性。
日本趣味にあふれた装飾的なところ素敵! これは人気あったろうなと。


吹き抜けの展示室、天井の照明が面白いなー。
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アルベール・グレーズ《収穫物の脱穀》1912年
http://collection.nmwa.go.jp/P.2004-0001.html
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キュビスムの絵だってことはわかりましたが、画家の名前は知りませんでした。
ピカソとブラックによって創始されたキュビスムが、パリの若い画家たちの間に
広まっていき、1912年にパリで開かれたキュビスムの歴史的な展覧会
「セクション・ドール(黄金分割)」に出品された作品だそう。
大きな作品で、麦畑で働く農民の姿や風景がキュビスムの方法で描かれています。


フェルナン・レジェ《赤い鶏と青い空》1953年
http://collection.nmwa.go.jp/P.1965-0010.html
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レジェだー。ちょっとマンガっぽくも見えちゃう。


ジョアン・ミロ《絵画》1953年
http://collection.nmwa.go.jp/P.1965-0011.html
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タイトルがそっけないなぁ‥‥太陽と人とか?
おおらかな感じが、なんかいいなと。


パブロ・ピカソ《男と女》1969年
http://collection.nmwa.go.jp/P.1974-0005.html
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20世紀最大の芸術家といわれるピカソ88歳の時の絵
大きな画面に荒々しいタッチで描きなぐったような絵。
実は私、展示室で見た時はピカソだから写真撮ったけど
「これがいいのかなー?」なんて感覚だったんですよ。
でも、パソコン画面であらためて見ると、なんか‥‥面白い、いいなって。
この絵、梅原龍三郎氏より寄贈されたとのこと。

はー、いやー、国立西洋美術館の所蔵品、すごいです。
HPも充実していてスゴイ! それぞれの画像と詳細があるんだから、
私のブログに載せなくても‥‥とは思ったんですけどね、
これでも写真うつりの悪いの、少しは除外したんだけどなー。
(あ、まだ内藤コレクション展のことを書かなくちゃ)


国立西洋美術館の前庭にある
オーギュスト・ロダン《地獄の門》1880-90年頃/1917年(原型)、1930-33年(鋳造)
http://collection.nmwa.go.jp/S.1959-0045.html
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有名な《考える人》は、この門の上中央に設置されている像だったんですね。

単体の《考える人(拡大作)》も前庭にあります。
http://collection.nmwa.go.jp/S.1959-0040.html
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ショップでポストカード買ったら、考える人の袋に入れてくれました。
(7月1日よりレジ袋有料義務化に伴い、紙のレジ袋も有料となったそう)


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ロンドン・ナショナル・ギャラリー展も見たかったけど‥‥
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国立西洋美術館での会期は6月18日(木)~10月18日(日)に変更になりました。
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国立西洋美術館: https://www.nmwa.go.jp/jp/
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東京都現代美術館「もつれるものたち」展 [美術]

6月27日(土)に東京都現代美術館へ行ったこと、しつこく(笑)続けます。

「オラファー・エリアソン ときに川は橋となる」を見て、
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2020-07-12

コレクション展「いまーかつて 複数のパースペクティブ」を見て、
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2020-07-17

カディスト・アート・ファウンデーションとの共同企画展
「もつれるものたち」を見ました。
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東京都現代美術館「もつれるものたち」のページ
https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/kadist-art-foundation/

展覧会について何の知識もなく、ただ、
オラファー・エリアソン展が1,400円で、「もつれるものたち」が1,300円、
セット券が2,100円だったので、せっかくなので、ってセット券を買ったんです。

まぁ‥‥正直に言うと、この展覧会よくわかりませんでした。
出品しているアーティストも、知っているのは、
あいちトリエンナーレ2019に出てた藤井光さんだけ。

あいちトリエンナーレ2019(5) 名古屋市美術館
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2019-09-30

本展覧会「もつれるものたち」には、木、化石、道具や工芸品など、私たちの日々の暮らしとは切り離せない「もの」がさまざまなかたちで登場します。12人/組のアーティストたちは、ある場所や時代と結びついたものを多角的に見つめ、それらが物質や生き物として、あるいは意味や価値、記憶を運ぶものとして紡いだ変化や移動の軌跡を描き出します。(以下略 チラシ裏面より)
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まずはモザイクが壁に立てかけられていたり、積み上げられた木箱の横に
無造作に置かれていたりします。
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トム・ニコルソン《相対的なモニュメント(シェラル)》2014-17
1973年メルボルン(オーストラリア)生まれ、同地在住。
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「シェラル・モザイク」と呼ばれているモザイクの返還を想像することから展開したプロジェクト
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第一次世界大戦中、ガザ近郊で戦っていたオーストラリア兵が、シェラルの町付近の丘で発見した このビザンティン様式のモザイクは(中略)兵士たちによって剥がされ、オーストラリアに運ばれた後、1941年にオーストラリア戦争記念館の「武勇の間」の壁に埋め込まれた。
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支配と移動の問題、返還によって起こりうる変化や、新たな政治的認識について考察している。
(もらった解説シートより)
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名画のポストカードが並ぶ作品は、
ビオ・アバド《ジェーン・ライアンとウィリアム・サンダースのコレクション》2014-2019
1983年マニラ(フィリピン)生まれ、ロンドン(イギリス)在住。
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フェルディナンド・マルコスとイメルダ・マルコスから差し押さえられ、フィリピン政府行政規律委員会に代わってクリスティーズによって売却されたオールド・マスター絵画の複製ポストカード、98組

1986年にフィリピンのマルコス大統領夫妻が失脚して亡命した後、
大量の豪華な靴などがマラカニアン宮殿に残されていたってニュースになってたけど、
こんな絵画も持ってたんですね。

壁に展示されている豪華な毛皮や贅沢な室内は、マルコス大統領夫妻ではなく、
1989年のルーマニア革命で失墜したニコラエ・チャウシェスクの邸宅だそう
ビオ・アバド《栄華》2019


ミックスライフ《(どんな方法であれ)進化する植物》2013
チョ・ジウン(1975年生まれ)とヤン・チョルモ(1977年生まれ)が
2002年に設立したアーティスト・デュオ。ソウル(韓国)在住。
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14点の写真と、2面の映像があって、開発で移植された植物が
たくましく成長する様を捉えています。


考古学的な出土品とか、建築物の一部のような単純化されたフォルムの彫刻は、
ジュマナ・マナ《貯蔵(保険)》2018-2019
1987年プリンストン(米国、ニュージャージー州)生まれ、エルサレム(イスラエル)育ち。
ベルリン(ドイツ)在住。
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実験に使われるような器具と、石膏?の造形や‥‥壁の版画?も作品??
岩間朝子《ピノッキオ》2020
1975年東京生まれ、ベルリン(ドイツ)在住。
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第二次世界大戦末期、日本軍が松の根から航空燃料を生産しようと試みた史実を知った岩間は(中略)幹に残された採取の傷痕や、採取にたずさわる労働者の身体、彼らが使う道具、蒸留装置などを複数の方法で型取った。(中略)人間と松の木の関わりから連なる複数の変容の物語

直方体のものは松脂なんですね。うーーん???


チラシのイメージにも使われているのは
磯辺行久《不確かな風向》1998
1935年東京生まれ。同地在住。
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風のエネルギーの流れによって絶えず変容する環境を示唆する。作品なんだそう。

磯辺行久《国土庁調査 大阪湾 耐震土地条件図》1976 他
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防災計画を目的に、当時の国土庁から委託された調査報告として作られたものだそうだけど、
‥‥これもアート?


小部屋で3面の映像作品が上映されていました。
リウ・チュアン《ビットコイン採掘と少数民族のフィールド・レコーディング》2018
1979年湖北省(中国)生まれ、北京在住。

40分もある映像なのでほんの少ししか見てません。巨大なダムが映ってました。


カプワニ・キワンガ《マジは嘘だった‥‥という噂》2014
1978年ハミルトン(カナダ、オンタリオ州)生まれ。パリ(フランス)在住。

棚にいろんなものが載ってるなーくらいにしか覚えてない。
(ちょっと疲れてきてた)
1905年から1907年にかけてドイツ東アフリカ(現タンザニア)で起きた半植民地蜂起である マジ・マジ反乱の物的痕跡や、生きた記憶に存在する空白を探求している。 とのこと。


デイル・ハーディング《正しい判断で知りなさい―ガミ》2020
1982年モランバ(クイーンズランド、オーストラリア)生まれ、ブリスベン在住。

スミマセン、よく覚えていません。
自身の親族、特に母方の高齢者たちの社会的、政治的経験について探求している。また、アボリジニ文化に現存する技術や道具、表現方法を使って作品制作を続けている。


ザ・プロペラ・グループ & スーパーフレックス 《FADE IN: EXT. STORAGE-CU CHI-DAY》2010
ザ・プロペラ・グループは2006年にホーチミン市(ベトナム)で、プナム(1974年生まれ)、マット・ルセーロ(1976年生まれ)、トゥアン・アンドリュー・グエン(1976年生まれ)によるコレクティブとして設立。
スーパーフレックスは、ヤコブ・フィンガー(1968年生まれ)、ビョルンスティエルネ・クリスチャンセン(1969年生まれ)、ラスムス・ニールセン(1969年生まれ)が1993年コペンハーゲンにて設立したコレクティブ

テレビ番組の小道具として使われた木彫の銃の押収を巡っての会話の映像作品。

輸送についての二人のありふれた会話は、やがて文化的アイデンティティと真正性、流用と植民地主義、そして歴史の再読という哲学的な議論へと展開していく。


藤井光《解剖学教室》2020
1976年東京生まれ、同地在住。
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台の上の展示物は、福島県の双葉町歴史民俗資料館の収蔵品。
福島第一原子力発電所の事故後、資料館に取り残されていたものを
学芸員たちが極めて困難な中、救出したものたち。
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映像は、救出の様子に加えて、フランスの学者たちを招いて、
空っぽの資料館を見てもらい、フランスに戻った後、
パリ国立高等美術学校の解剖教室で行われた議論。
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藤井光さんの作品までは、どこかヨソの国のこと
(磯辺行久さんの国土調査とかはあったけど)
みたいなカンジでしたが、これは
‥‥なかなか重いテーマです。
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アートというより、学術発表のような展示で、難しいところもありました。
(記事を書くにあたって解説を読み、そういうことだったのねと納得した展示も)
これがアート? 現代アートはわからないって言われるのもわかるというか。
まぁ、こういう消化不良みたいなのも、
たまに見ておくのも刺激になるかなぁ?

後半、かなり駆け足になったのは、お腹が空いてきたこともあったかも(^^;)
(ルートインのバイキング朝食でたっぷり食べたけど、3時近いとさすがに‥‥)

東京都現代美術館の「二階のサンドイッチ」で
サンドイッチとジャスミンティーをいただきました。1,230円(税込)
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トイレも面白いですね!
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エントランスの三角形の柱が美しい(12時半頃に撮影)
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3時頃にはこの前に「オラファー・エリアソン」展入場待ちの列ができてました。
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エントランスからガラス越しに撮影
アンソニー・カロ《発見の塔》1991年
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マルタ・パン《裂けた球体》1984年
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入口横の草むら(?)にあるのが、
オノ・ヨーコ《クラウド・ピース(Cloud Piece)》1963/2019年
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地面に穴が開いて、
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底は鏡です。
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プロムナードは通行止めになっていたので、行ってみることができませんでした。
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隣は木場公園です
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東京都現代美術館: https://www.mot-art-museum.jp/

東京都現代美術館「もつれるものたち」のページ
https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/kadist-art-foundation/

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東京都現代美術館コレクション展「いまーかつて 複数のパースペクティブ」 [美術]

6月27日(土)、東京都現代美術館へ行き、
「オラファー・エリアソン ときに川は橋となる」を見たことは前記事に。
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2020-07-12

東京都現代美術館では「もつれるものたち」という展覧会もやってて、
セット券がお値打ちだったので、私はそれを買ったんですが、

東京都現代美術館のコレクション展
「いまーかつて 複数のパースペクティブ」は、
どちらの企画展のチケットでも見られます。
(コレクション展のみは一般500円)

まずはコレクション展を先に見ました。
良かった!! スゴイ出品点数(およそ180点)で、
ついでってレベルじゃない!

結構しっかりしたリーフレットももらえるんですよ。
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東京都現代美術館の展覧会のページ
いまーかつて 複数のパースペクティブ
https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/multiple-perspectives3/
からリーフレットの内容がpdfファイルで見られます。
https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/2020_leaflet_0623.pdf
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会場の配置はこんなカンジ。
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吹き抜けのアトリウムに置かれた
アルナルド・ポモドーロ《太陽のジャイロスコープ》
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展示室へ進むと、まずは、
1 戦中・戦後の画家たち

東京都現代美術館は、約3年にわたる改修工事を経て、
2019年3月29日にリニューアルオープンしたそうですね。

東京都現代美術館が開館した1995年当初は、1945年以降の美術を
「現代美術」として収集していたけど、やはり、
戦後活躍した個々の画家の営みを辿ろうとすると、戦前・戦中期を
どう過ごしたかを見る必要があるってことで、

休館の間にコレクターや作家の遺族の方々からの協力で、
1940年代のコレクションの充実を図ることができたそう。

1-1 オノサト・トシノブ

オノサト・トシノブ(1912-1989) の1930年代から1950年代の作品が
32点。資生堂名誉会長の福原義春氏からの寄贈。
オノサト・トシノブってイメージするモザイクのような幾何学模様の絵
以前の作品が並んでいます。

1931年19歳で上京、津田青楓洋画塾で学び、
1942年招集、満州で終戦、シベリアでの3年間の抑留生活。
戦前も丸をモチーフにした作品を描いていたけど、
1948年の帰国後、象徴的な人間像という具体から再開し、抽象へ。
画面に再び丸が現れるようになります。
1952年頃に、小野里利信をカタカナ表記へ改めた。


1-2 末松正樹

末松正樹(1908-1997) 全く知らない画家でした。
彼が絵画を終生の仕事にしようと心に決めたのは、第二次世界大戦末期の
1944年、フランスののペルピニャンで抑留生活を強いられていた時期だったそう。
遺族から寄贈されたその時期のデッサンが展示されていました。


1-3 コレクターの視点

近代日本絵画のコレクターとして著名な福富太郎氏(1931-2018)
(まぁ、私は全く知知りませんでしたが)
浮世絵、美人画の収集と並んで氏が力を注いだのが、
少年期がぴたりと十五年戦争に重なる
この戦争の時代を除いてしまっては、私は自分の歴史を考えることができない
という、1930年代から50年代にいたる戦争に関わる絵画の収集。

それぞれどんな絵だったか忘れてしまいましたが、
藤田嗣治《千人針》、福沢一郎《魚雷攻撃》や、
向井潤吉《好日》《影(蘇州上空)》
《影(蘇州上空)》は、展覧会ページに画像ありました
https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/multiple-perspectives3/
宮本三郎《少年航空兵》など、
あの画家が戦争中はこんな絵を描いてたんだとか、
新海覚雄《独立はしたが?》1952年 は、
戦後の浮浪児と、壁の向こうに進駐軍と戯れる女性の絵
日本のあまり触れたくない過去かもしれませんね。
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(展覧会リーフレットより)


1-4 鈴木賢二

彫刻家、風刺漫画家、版画家として活動した鈴木賢二(1906-1987)の
木版画が並んでました。戦前、プロレタリア美術運動に傾倒した彼は、
戦後も「版画運動」として、庶民や労働の姿を力強く彫ってます。
木版画の木目も生かして単純化された人物は、とても力強くて迫力。


1-5 浜田知明、秀島由己男、荒木高子

メゾチントの深い黒に浮かび上がる詩的な世界
秀島由己男(ひでしま ゆきお 1934-2018)

自身の戦争体験から「どうしても描かずにはいられなかった」
浜田知明(1917-2018)《初年兵哀歌》シリーズ

薄く伸ばした磁土の一枚一枚に聖書の文字を転写し、重ね合わせて
高温で焼く〈聖書シリーズ〉荒木高子(1921-2004)
岐阜県現代陶芸美術館の《退廃の聖書》の人ですね!
岐阜県現代陶芸美術館の収蔵品データベース:
http://jmapps.ne.jp/momca/det.html?data_id=720


2 松江泰治

写真なんですが、いわゆる美しい風景を写したのではなく、
無機質な俯瞰の中に豊かな細部を含んだ独自のスタイル
写真にしか実現しえない視覚世界の可能性を追求してきた写真家
ってリーフレットの解説にうんうんって。面白い!
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撮影可だったので1枚だけ。やっぱこれらの写真、
小さいとその迫力がわからないんですが‥‥
川に面した巨大なアパート。
それぞれの部屋の細部まで写し取られていて、それぞれにどんな
生活があるのだろうって想像しちゃいます。


3 mamoru

スタッフの方に「ただいま見ることができません」って
言われたので‥‥映像を含むインスタレーションみたい。
(時間と人数を限っての予約制のよう)


4 オノ・ヨーコ

2013年のあいちトリエンナーレでは、街のあちこちに
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2013-09-06
「生きる喜び」って書かれてて、
へーこんなのもアートなの?って思ったけど、
〈インストラクション・ペインティング〉
アーティストの文章によりインストラクション(指示)を鑑賞者が想像したり、行動することで完成する表現」なんだそう。
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ポモドーロの彫刻を見下ろしながら階段を上って、3階の展示室へ
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5 岡本信治郎

あ、昨年秋に愛知県美術館で見た「地球・爆」
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2019-11-20
制作中心画家! その時の展覧会企画業務課長・拝戸雅彦氏のレクチャーで
岡本氏は現在入院中って聞いていましたが、

今年2020年4月8日に亡くなられたと掲示がありました。
(私がもらってきたリーフレットでは、岡本信治郎(1933- )ってありますが、
展覧会ページからダウンロードできるpdfでは(1933-2020)ってなってます。)

岡本信治郎《銀ヤンマ(東京全図考)》1983年
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少年期の戦争の記憶から、巨大ヤンマとB29が結び付けられた、
2011年の個展「空襲25時」で、連作の序章とされた作品とのこと。

地球・爆」でも描かれていたモチーフがあちこちに。
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岡本信治郎《ころがるさくら・東京大空襲》2006年
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あいちトリエンナーレ2013で展示されていた作品だ!
あいちトリエンナーレ2013 (1) 愛知芸術文化センター その1
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2013-09-04

一見、明るくポップな展示なんですが、よく見ると‥‥
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《ころがるさくら・東京大空襲》は、1945年3月10日の大空襲を原風景にもつ画家が、70代の挑戦として取り組んだパノラマです。左に上野地下鉄ストア、中央に九段坂、右に浅草デパートと軍艦大和を配し、それが焦土と化す世界、さらに未来空間の黙示録的世界を描いています。
(展覧会リーフレットより)


6  豊嶋康子

豊嶋康子《殺菌》2006年
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展示ケースの内側に殺菌灯と色見本が置かれた作品です。殺菌灯が発する紫外線によって、色見本の色彩が徐々に退色していきます。
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外界から作品を守るため展示ケースに貼られた紫外線カットフィルムの役割は、ここでは、外界/鑑賞者を守ることへと反転しています。

豊嶋康子《隠蔽工作_20120625》2012年
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豊嶋康子〈パネル〉
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本来見せない裏側を見せる作品

豊嶋康子《前例》2013/2015年
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20世紀になってから敗戦までの美術家の、欧米以外の渡航先と渡航理由を調べて」作られた作品。作品に使われている和紙は作家の地元で作られたもので、修復にも用いる澱粉糊で貼付けたそう。


7 モニール・ファーマンファーマイアン、ブレンダ・ファハルド、ジャジア・シカンダー

イラン生まれのモニール・ファーマンファーマイアン(1924-2019)の、
鏡を使ったモザイクのような作品が素敵だった。
イランの伝統的な建築意匠である、鏡片による幾何学モザイクとガラス色彩技術に着想を得た作品なんだそう。

ブレンダ・ファハルド(1940- )は、フィリピン女性作家の草分け的な存在。

ジャジア・シカンダー(1969- )は、パキスタン北部のラホールでインドーペルシアの細密画を学んだあと、1995年より雨根かをベースに活動している作家とのこと。


8 草間彌生

1951年に松本で描いた初期のドローイングから、
「ソフト・スカルプチュア」の《死の海を行く》や《ドレッシング・テーブル》や、
コラージュ作品など14点が出てました。


9 宮島達男

宮島達男(1957- )のデジタル・カウンターを用いた巨大な作品
《それは変化し続ける それはあらゆるものと関係を結ぶ それは永遠に続く》1998年
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この美術館の展示空間に合わせて制作されたものなんだそうですね。
私、テレビでこの作品を作っているドキュメンタリーを見た記憶があります。
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前回来た時(2003年の「田中一光 回顧展」なのでもう17年前かぁ)と
変わらず迫力だなーと、見たんですが、説明を読むと、
この作品は20年近くにわたって、この場所で展示されてきました。時が経つにつれ、当初は一様だった明るさに次第に個体差が生じるようになりました。そのため、この休館中に点検と修復を行うことで、眩い光の空間が戻ってきました。
ってことで、変わらずにあるには修復という変化をしないといけないわけですね。
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1728個のデジタルの数字は、ランダムに表示されているのではなく、
それぞれが1から9まで順番に表示していて(0の表示はなく暗闇になる)
そのスピードが違うんですね。
素早く変わるのと、ゆっくり変わるのと‥‥
なんかそれぞれの人生を見ているみたいだなぁとか。
ついつい見続けちゃいますよね。
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実はコレクション展に入る前に、こちらのリーフレットを見て
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-道草のすすめ-「点 音」 and "no zo mi"(PDF)
https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/oto_date_MAP_jp_20190405.pdf

屋外展示場へ行ってみたんですね
サウンド・アーティストのパイオニア 鈴木昭男の
代表的なシリーズだという「点 音(おとだて)」と、
この美術館のためにつくられた階段状の作品"no zo mi"
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一応、プレートの上で耳を澄ましてみたんですが‥‥
うーん、なんかよくわかりません。
自然の音に耳を澄ませてみようってことですか?

建物の裏のようなこの場所の「はるか」では、
空調の屋外機?の音が結構聞こえました。
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そういえば私、2008年に、たまたま行った一宮市三岸節子記念美術館で、
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2008-08-08
鈴木昭男展「点気ki-date」を見たハズなんですけど、
その時も、???って状態でした。

この場所以外にも、美術館内外に足跡のプレートがあったそうなんですが、
気が付きませんでした。

ただ、ベンチの形が面白いこの中庭、
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玉を転がすような涼やかな音がしていたんですが、
「点 音」の作品「あびる-1」だったのかな?

コレクション展示室の前のガラスには、
昨年2019年7月23日、24日に公開ドローイングを行った
文谷有佳里さんの作品がありました。
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あいちトリエンナーレ2019で、愛知芸術文化センター10階の
展示室のガラスケースにドローイングを描かれてましたね。
あいちトリエンナーレ2019(2) 愛知芸術文化センター10階
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2019-09-08


ついダラダラと書いちゃいましたが、長くなったので、
「もつれるものたち」展のことは次の記事で。


東京都現代美術館: https://www.mot-art-museum.jp/

東京都現代美術館「MOTコレクション いまーかつて 複数のパースペクティブ」
https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/multiple-perspectives3/

MOTコレクション 出品リスト(PDF)
https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/List_MOTCollection_0526.pdf

MOTコレクション リーフレット(PDF)
https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/2020_leaflet_0623.pdf

-道草のすすめ-「点 音」 and "no zo mi"(PDF)
https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/oto_date_MAP_jp_20190405.pdf

MOTみつけるMAP(PDF)
https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/MOT_mitukerumap_200303.pdf

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東京都現代美術館「オラファー・エリアソン ときに川は橋となる」 [美術]

6月27日(土)、東京都現代美術館へ行き、
「オラファー・エリアソン ときに川は橋となる」を見ました。
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4月26日に放送されたNHK日曜美術館でこの展覧会を紹介してて、
わー面白そう!! って。
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(チラシ中面)

展示が完了しているのに、展覧会ができないなんてもったいない
もし開幕できたら見に行きたいなーって思ってましたが、
(その時は開幕がいつになるか全くわからなかった)
6月9日(火)に開幕できて、会期も9月27日(日)までになりました。
(予定では3月14日(土)~6月14日(日)だった)

私がオラファー・エリアソンを初めて知ったのは、
2014年7月に、
金沢21世紀美術館「レアンドロ・エルリッヒ―ありきたりの?」展
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2014-07-24
へ行った時、屋外に《カラー・アクティヴィティ・ハウス》2010年
ってのが出来てて、三原色の色ガラス(アクリル?)を使っているので、
いろんな色の体験ができて面白い! これなら子どもも
色の知識とか遊びながら学べるなーって、感心したんですね。

常設展で《La situazione antispettiva(反視的状況)》って、
万華鏡の中に入り込んだような巨大な作品もあって、
なんかすごいアーティストだなって名前を覚えました。

2015年3月、岐阜県美術館「てくてく現代美術世界一周」展
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2015-03-12
では、強烈な光を放つ作品を見ました。

日曜美術館で「ロンドンの美術館に“沈まぬ太陽”を作り、ニューヨークのブルックリン橋に“巨大な滝”を作ったオラファー。科学者を含む100名を超えるスタッフを率い、時に億単位の金をかけて、まさに今考えるべき問題に真っ向から取り組む。」と。
日曜美術館ウェブサイト
オラファー・エリアソン ひとりが気づく、世界が変わる」より
https://www.nhk.jp/p/nichibi/ts/3PGYQN55NP/episode/te/58YY9974N1/


泊まったホテルから東京都現代美術館まで約4kmを歩いたことは前記事に。

美術館前で「東京都新型コロナ対策パーソナルサポート」LINEに登録しました。
入口で検温して、チケット購入。
「オラファー・エリアソン」展(コレクション展も見られる)は、1,400円ですが、
「もつれるものたち」も見られるセット券が2,100円ってことで、
ついでなのでセット券を買っちゃいました。

まずは「オラファー・エリアソン ときに川は橋となる」展
エスカレーターで地下2階へ降ります。

展覧会マップ(展覧会解説シート)
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もらってきたマップ見たら
この展覧会マップは環境配慮を目的とした再利用を行っています。展覧会出口での回収にご協力ください。」ってことだけど、やっぱり記念に欲しいじゃいですかぁ(^^;)
あ、東京都現代美術館のHPからpdfで見られるようになってるんだ。
展覧会解説シート(PDF): https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/mot_OE_GM%2B%20.pdf

最初に展示されているのが
《あなたの移ろう氷河の形態学(過去)》2019年
《メタンの問題》2019年
《あなたの移ろう氷河の形態学(未来)》2019年
って、3点の水彩画。グリーンランドの氷河の氷を紙の上において、
溶けていく水と顔料が混ざり合うことでできたものだそう。
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偶然にできた水彩のにじみが幻想的な感じでいいな。

《クリティカルゾーンの記憶(ドイツ―ポーランド―ロシア―中国―日本)no.1-12》2020年
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本展覧会で展示されている作品の多くは、二酸化炭素を多く排出する航空機ではなく、ベルリンから日本まで鉄道と船で運ばれました。この12点の円形のドローイングは輸送中の動きや揺れを記録する装置によって描かれています。(展覧会解説シートより)
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人の手ではない力で描かれた線、全く作為がない線の面白さ。

オラファー・エリアソンのメッセージ
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次の部屋は‥‥キラキラした光がきれい!
《太陽の中心への探査》2017年
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壁や床に映る影も素敵! この光、ソーラーエネルギーで生み出されているそうですね。
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次の部屋の奥には、
《あなたのオレンジ色の残像が現われる》2000年
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壁に青い四角い光が投影されていて、最初意味がわかりませんでした。
映像でもないし‥‥しばらくすると光は消えます。

青いイメージをしばらく見続けていると、それが消えたときに夕日のようなオレンジ色の残像が立ち現れるでしょう。青いイメージは作品のための装置にすぎず、作品そのものは私たちひとりひとりが知覚している間にだけ存在しているのです。

って解説シートを読んでもう一度見たけど、私には
オレンジ色の残像、よく見えなかった(~o~;)

横の台に並んでいるのは
アイスランドの海岸に打ち上げられた氷河の氷をスキャンした
データから3Dプリンタでつくったものなんだそう。
《氷の研究室》
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《あなたに今起きていること、起きたこと、これから起きること》2020年
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影がいくつも重なって壁に映ります。私が動くと当然だけど影も動く。楽しい!
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壁に近づくと影は小さく濃くなるし、遠ざかると大きく薄くなる。
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7つのライトが設置されてるので、影も(ちょっとわかりにくいけど)7つあります。
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《サステナビリティの研究室》
オラファー・エリアソンのスタジオには、科学者など専門家を含む
多くのスタッフがいて、さまざまな実験や研究を行っているのだそう。
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日曜美術館のブログ「日美ブログ」で、
オラファー・エリアソンのスタジオの様子が紹介されていました。
https://www.nhk.or.jp/nichibi-blog/column/428171.html
100名を超すスタジオメンバーが、お昼になると一人残らずキッチンに集まって、
地元の食材でつくられた美味しい料理を、一緒のテーブルで家族のように囲んで食べるそう。

環境負荷の少ない材料や形状の研究とか、
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編み物見本のようなものは《三次元の祈りをさげる者のためのマット》のための習作。
グレーの羊毛は、アイスランド羊本来の色で染めたものではないと。
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野菜くずから顔料をつくったり、
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野菜くずの顔料で描かれた絵
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天井から吊るされた凹面鏡に紐が張られてるんですが、
なんか不思議な感じ。見る角度でいろいろ違って見えます。
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円筒形に丸い穴が開いているのがあって、
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穴の中を覗いてみると‥‥不思議! きれい!!
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次の部屋は、2012年にエリアソンがエンジニアのフレデリック・オッテセンと
共同開発した携帯式のソーラーライト「リトルサン」を持って、
空間に光のドローイングを描く体験型の作品《サンライト・グラフィティ》

体験には整理券が必要で、ずっと先の時間まで予約済のようでしたが、
2名が体験する様子を見ることができました。

リトルサンを手にしたダンサーの身体表現とその光の軌跡の映像作品
《あなたの光の動き》2012年 もありました。


《人間を超えたレゾネーター》2019年
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大きなガラスのリングによって分光した光が壁に同心円の絵画を描いています。この作品には暗い海を明るく遠くまで照らす灯台の光の仕組みが応用されており、単純な仕掛けによって見る人に大きな驚きを与えるというエリアソンの作品の特徴がよく表れています。(解説シートより)
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すごくシンプルな装置に見えて、私には何がどうなっているのか
よくわからないんだけど、ブルーとピンクの同心円、キレイ!


《おそれてる?》2004年
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壁にいろんな色の丸い影が投影されてゆっくり動いているんだけど、
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部屋の真ん中に吊るされている円盤は3つだけなんですよね。
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それも、あまり色が付いているようには見えない。
(あ、私の顔がちょっと写ってる(^^)
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不思議ー。
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窓の外に見えるこの装置で、作品に使う
ソーラーエネルギーを生み出しているそう。
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この巨大空間にある作品が、展覧会のタイトルにもなっている新作
《ときに川は橋となる》2020年
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暗幕の中に入ると、
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水が張られた大きなシャーレが空間の中心に置かれ、12のスポットライトで照らされています。水面が揺れると頭上のスクリーンにはとらえがたいさざなみのイメージが映し出されます。
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絶えず変化する水の影‥‥いつまでも見ていられそうです。
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チラシのイメージにも使われている
《ビューティー》1993年
オラファー・エリアソンの初期の代表作だそう。
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暗闇の中の霧状の水に光があたって、虹が見えます。
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室内のどこでも歩いていいってことで、霧の中を通って
(ちゃんと? 水で冷たい!)後ろに回ってみました。
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《昼と夜の溶岩》2018年
白と黒に塗られた溶岩が凹面鏡の前に吊るされています。
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横から撮った写真だと溶岩が凹面鏡の前にぶら下がっているだけの
作品に見えるかもしれませんが、凹面鏡の効果で溶岩が浮かんでいる
(確かに浮かんでいるんですけど‥‥なんて言ったらいいのかな?)
みたいに見えて、すごく不思議!
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《溶ける氷河のシリーズ》1999/2019
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2枚組の写真が30点並んでいます。
1999年と2019年に撮影したまったく同じ地点の写真。
20年の間にアイスランドの氷河がどう変化したか。
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地球温暖化って言われてるけど、これらの写真を見ると、
これはヤバイなって思いますよね。


反対側の壁には、エリアソンが公共空間で行った9つのプロジェクト
――巨大な氷河の氷を街なかに展示する《アイス・ウォッチ》などの
記録写真が展示されていました。


鑑賞ガイドで、ショップの奥に作品があるってことで行ってみたら、

建築家のセバスチャン・ベーマンとともにエリアソンが初めて建物全体を手がけた
フィヨルドハウスを紹介する映像作品でした。

ショップで、図録買うか迷ったけど、まぁ、写真もいっぱい撮ったし(^^;
荷物になるし‥‥と。かわりに携帯式のソーラーライト
「リトルサン ダイアモンド」を買いました。4,620円
なんかオモチャっぽくみえた黄色い「リトルサン」より、
スタイリッシュでいいなと。
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先進国では少し高めに売って、電気のない地域の人々に
クリーンで手頃な価格の明かりを提供するんだそう。
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乾電池がすぐなくなる懐中電灯より繰り返し使えるのがいいなと。


アートに何ができるか、環境問題とかも考えさせられて、
まさに現代アートだなって感心した展覧会だったけど、とにかく
色と光の体験、楽しかった!! 子ども連れの鑑賞者も多かったし、
みんな楽しく見ていた印象でした。写真撮影もOKだったし!

しかし、私が行った土曜11時頃には展示室も余裕で、写真撮り忘れた
作品があったので会場を2周したんだけど、コレクション展とか見終った頃には、
ロビーに入場待ちの行列ができてて驚きました。
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東京都現代美術館ウェブサイトのお知らせ(7月1日)によると、
https://www.mot-art-museum.jp/news/2020/07/20200701132558/
土日祝・会期末の混雑時は展示室への入場制限がございます。
混雑の少ない平日のご来館をお勧め致します。
土日祝にご来場の場合は11時-13時の時間帯ですと比較的ゆっくりご鑑賞いただけます。

ってことでした。
マスク着用など、新型コロナウイルス感染拡大防止の注意も守ってくださいね。


東京都現代美術館: https://www.mot-art-museum.jp/


「オラファー・エリアソン ときに川は橋となる」展覧会ページにもあった
https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/olafur-eliasson/

オラファー・エリアソンからのメッセージと展示風景をまとめた動画(約6分)
https://www.youtube.com/watch?v=ivpFvhm-4Wg&feature=youtu.be

とてもナイス!
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東京美術展三昧 [旅行]

6月26日(金)に、東京ステーションギャラリーで「神田日勝」展を
見たことは、前記事に書きました。

その後、ホテルルートインGrand東京浅草橋に2泊して、
27日(土)に、東京都現代美術館で、
「オラファー・エリアソン ときに川は橋となる」
「もつれるものたち」
「MOTコレクション いまーかつて 複数のパースペクティブ」を見て、

国立西洋美術館の常設展を見て、
(ロンドン・ナショナル・ギャラリー展はチケットがとれなかった)

28日(日)の午前中はちょっと仕事。昼から
東京都庭園美術館「東京モダン生活」を見るという、
美術展三昧の2泊3日(正確には2日半?)を過ごしました。

楽しかった!

どれくらい楽しかったかって言うと、撮った写真が500枚ありました!(@o@)゛
東京ステーションギャラリー以外は写真撮影OKだったので、つい‥‥
おかげで、写真をパソコンに取り込むのに、枚数が多いせいか
途中で固まってしまってできず、何回かに分けてやっとできたという始末。

見たかった「神田日勝 大地への筆触」展が6月28日(日)までで、
都道府県をまたぐ移動の自粛も解除されたことだし、
私のパートはヒマで休みが多くなってたし、
6月末までのルートインホテルの割引券があったんですよね!

ってことで、美術展めぐりの東京行き、最初は1泊のつもりだったけど、
東京へ行くならって、ダンナから用事も頼まれたので、
もう1泊しちゃうことにしました。

東京のルートインホテルを検索して、東京都現代美術館に行くなら
ホテルルートインGrand東京東陽町 が近いかな? と
(ウェブサイトで15分ってあった)
でも、ルートインの公式サイトで私が調べた時には、
東京東陽町がシングル1泊7,500円で、
東京浅草橋が7,000円だったんですね。1泊500円の違いと、
東京駅や上野からは、浅草橋の方が便利かな? と。


神田日勝展を見てから、山手線で秋葉原乗換総武線で1駅、浅草橋駅下車徒歩4分


ホテルルートインGrand東京浅草橋
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2018年3月にオープンしたという、まだ新しいホテル。
向かいには東横インがあり、周辺にはホテルも多いんですね。
コロナ前は、外国人の宿泊も多かったのではないかと思うんですが、
こんな時期ですので閑散とした雰囲気‥‥


フロントで料金を払って部屋のカードをもらい部屋へ。
1階のエレベーターは、部屋カードをタッチしないとボタンが押せません。
公式サイトからの予約は、専用の自販機から好きなドリンクが選べる
コインが泊数分もらえます。2日目の清掃は不要と伝えたら、もう1枚もらえました。

11階の部屋の配置
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シングルルームに泊まるのは初めて。ベッドが広いww!
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バスルーム
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近くのコンビニで買った弁当と、もらったコインで選んだお茶で夕食。

部屋に風呂はあるけど、ルートインは大浴場があるのでそちらへ。
女湯は、チェックインの時に教えてもらった暗証番号を押さないと扉が開きません。

誰もいないので、写真撮っちゃいました。
広い浴槽が嬉しい。
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翌日、ルートインの“ウリ”のひとつが、無料のバイキング朝食!
コロナで、料理を取る時は、マスク着用で、ビニール手袋もしてくださいと。

ここ、夜は『HIGHBALL BAR~ KUROHIGE』になるので、奥の棚に
お酒のボトルが並んでますが、今はコロナの影響で休業してるそう。
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デザートが充実しているのが嬉しい!
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この日は、シュークリーム、マカロン、ブドウゼリー、フルーツ盛り、
そしてヨーグルトもありました。

朝からしっかりいただきます! (この後さらにパンも取りに行った)
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ここから東京都現代美術館までを調べたら、徒歩50分って出まして(@.@;;
うーん、やっぱり東京東陽町にした方が良かったか??

でも、公共交通機関を使っても30分くらいかかるし、乗換も面倒そうなので、
(東京都現代美術館は、2003年の「田中一光 回顧展」に行ったんですが、
地下鉄の駅から結構歩いて、すごく暑かった記憶が。)
幸い雨は降ってないし、曇ってるから、熱中症の心配もそれほどないだろうと。

東京都現代美術館は10時からなので、9時過ぎに出かければいいかって
のんびりしてツイッターやってたら9時50分くらいになってました(@ @;;;

同じホテルに2泊すると荷物を置いて出かけられるのでラクですね。

ホテルルートインGrand東京浅草橋
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JR総武線・都営浅草線「浅草橋」駅東口
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あ、これが地名にもなってる「浅草橋」なんですね。
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屋形船がたくさん係留されてて、江戸の情緒が!
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両国橋
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両国橋から見たスカイツリー
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隅田川
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両国橋の東詰にある碑
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真ん中に両国橋が架けられたいきさつ
右の看板は「両国橋と百本杭」
後ろの「表忠碑」は、元帥侯爵大山巌書の日露戦役戦没者慰霊碑
左の句碑は、向島の俳諧師、宝井其角の弟子であった赤穂浪士・大高源吾の句
「日の恩やたちまちくだく厚氷」
討ち入りの夜、俳句の師匠宝井其角に両国橋で出会って詠んだものだそう。

公衆トイレ近くには、
「葛飾北斎が描いた風景をたどろう」として
「両国納涼 一の橋弁天 -絵本隅田川両岸一覧-」の説明がありました。
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なんかカワイイ建物なのでパチリ。
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「江東区芭蕉記念館」と。
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入口横に芭蕉の木(草?)も植えられていますね。
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このあたり、芭蕉ゆかりの地があちこちにあるみたい。
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萬年橋
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東側には水門が見えます。
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萬年橋より西を望む。萬年橋がかかる小名木川が隅田川と合流します。
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東京都現代美術館
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11時になってたので、ホテルから1時間10分ほどとかかりました。
まぁ、これだけ写真撮ったりしてたら当然か(*^▽^*)

東京都現代美術館の展覧会のことは次からのブログで。
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オラファー・エリアソンの展覧会が目的だったんですが、
セット券がお値打ちだったので、「もつれるものたち」展も見て、
コレクション展も見たので、結局ここに16時過ぎまでいましたー!
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地下鉄「清澄白河」駅まで歩いて
(東京都現代美術館、最寄り駅からのアクセス、東京にしては良くないですよね)
都営地下鉄大江戸線「清澄白河」のホームの壁、アートだー!
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「上野御徒町」駅で降りて、不忍池の横を通り、
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上野公園の国立西洋美術館へ
「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」をやっています。
せっかく東京へ行くのだから、これも見たいと思ったんですが、
日時指定制ってことで、チケットを買おうとしたら、
発売中の土日はおろか、平日もほぼ売り切れー。

でも、国立西洋美術館のウェブサイト見てたら、
「中世からルネサンスの写本 祈りと絵」って展覧会、
いいなって。常設展のチケットで見られるし、それなら
美術館で買えると。金土は20時まで開館しているから、
(コロナ前は、金土17時以降は常設展観覧料無料だったんですって?!)
時間を有効に使えそう、って。

もう、すごく良かったです!!
「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」もすごいんでしょうが、
国立西洋美術館の所蔵品、すごい!

2016年に「カラヴァッジョ展」を見に行った時は、ちょうど
常設展示室が閉室で、常設展示が見られなかったんですよ。

こんなにすごいとは!!
おまけに、写真撮影可なんですよ!!!!
もうね、これすごい、こっちもすごいと写真撮ってたら、
100枚近く撮っちゃいました(^▽^;)
写真いっぱい撮ったけど、やっぱり作品の説明も欲しいと
図録「国立西洋美術館名作選」購入しちゃいました。2,400円(税込)

こちらもいつになるかわかりませんが、ブログに感想書くつもりではいます。
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国立西洋美術館を出て、電車も考えたけど、特に急ぐ必要もなかったので、
ホテルまで歩いて帰ることに。
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東京の新型コロナ感染者数、また増えてますが、
こんなアメ横の人出を見れば納得というか。
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しばらく歩くと、こんな庶民的な通りも。
「おかず横丁」ってあったので、夕食用に何かないかな?って
通ったんですが、ほとんどのお店が閉まってました。
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なので、今夜もコンビニでお弁当(うどん&サラダ)買ってホテルで食べました。

6月28日(日) 今朝も朝食バイキングでしっかりいただきます!
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午前中、仕事を頼まれていたので、早めにチェックアウト。

ホテルのすぐ近くの須賀神社
「疫病退散祈願」の旗が立ってます。これはお参りしていかなくては。
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茅の輪があったので、横に書いてあるやり方のとおりに、
くぐって左、くぐって右、くぐって左と三度くぐりました。
(茅の輪くぐり、私初めてかも)
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4ヵ国語対応っておみくじがあったので引いてみました。大吉!
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浅草橋駅東口
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「人形の久月」と「吉徳の人形」のショーケースがありました。
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東京の電車がこんなに空いているのは珍しいのかな?
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都知事選のポスター掲示板
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仕事で行った「ビラ・モデルナ」
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なかなかカッコイイ建物ですよね。(ちょっと古いけど)
元祖デザイナーズマンションだそう。

以前行った時の写真
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午前中で仕事も片付いたので、東京都庭園美術館へ。
「目黒駅」から徒歩7分なのに、この緑! 都心とは思えませんね。
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アール・デコの館と言われている旧朝香宮邸を美術館にした
東京都庭園美術館。開催されている「東京モダン生活(ライフ)」展は、
年に一度の建物公開展で、写真撮影OKってことで。
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館内を見ているうちに雨も止んだので、庭園の散策も楽しめました。
素敵!素敵!!って写真撮ってたら、ここで140枚ありました(^^;)

時間かかると思いますが、ブログに書くつもりですー!


東京都現代美術館: https://www.mot-art-museum.jp/
国立西洋美術館: https://www.nmwa.go.jp/jp/
東京都庭園美術館: https://www.teien-art-museum.ne.jp/


ルートインホテル公式サイト: https://www.route-inn.co.jp/
ホテルルートインGrand東京浅草橋:
https://www.route-inn.co.jp/hotel_list/tokyo/index_hotel_id_661/
ホテルルートインGrand東京東陽町
https://www.route-inn.co.jp/hotel_list/tokyo/index_hotel_id_73/
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東京ステーションギャラリー「神田日勝」展 [美術]

6月26日(金)東京ステーションギャラリーで開催されている
「神田日勝
 大地への筆触
 ここで描く、ここで生きる」見てきました。
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2013年6月に放送されたNHK日曜美術館
「半身の馬――大地の画家 神田日勝」で
この画家の生涯と作品を知りました。

北海道の開拓民として農業に従事しながら絵を描き、
わずか32歳の若さで亡くなった画家!
テレビで紹介された迫力の絵を見てみたいと、
この展覧会、楽しみにしていたんです。
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私は見てないんですが、昨年のNHK連続テレビ小説「なつぞら」に、
神田日勝をモデルにした山田天陽という画家が登場するんだそうですね。

山田天陽を演じた俳優の吉沢亮さんが神田日勝の作品解説をする
展覧会の音声ガイド、出品リストのQRコードからスマホで聴くことができました。
(つまり無料で!! 展示室内ではイヤホンが必要です)


ところが新型コロナのせいで開幕が延期(T.T)
6月2日(火)に、日時指定のチケット事前購入制で
開幕しましたが、会期の延長はなく、
(神田日勝記念美術館と北海道立近代美術館へ巡回する都合?)
東京ステーションギャラリーでは6月28日(日)までってことで、
北海道まではなかなか行けないので、この機会を逃したくない!

幸い? 私のパートは休みも多くなってましたし、
都道府県をまたぐ移動の自粛も解除されたことだしと。

できたら平日に行きたかったけど、雑用も入ってきて、
20時まで開館している金曜日の夕方に行こうと、
(対策してもらってるので関係なかったかもしれませんが、
最終土日は混むんじゃないかと思って)
26日(金)17:30~19:30(入館時間枠)をローソンチケットで予約、
家の近くのローソンで発券してもらいました。

東京駅にあるので、新幹線の到着時刻から予定も立てやすい。
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指定時刻の10分前くらいに到着しましたが、
待つことなく、手首内側で検温して入れていただけました。
ロッカーに荷物を入れて、エレベータで3階へ。

 神田日勝は1937(昭和12)年、東京の練馬で生まれました。1945年、日勝が7歳のとき、一家は拓北農兵隊(戦災者集団帰農計画)に加わり、北海道に渡ります。入植地の鹿追に着いたのは終戦の前日でした。国からの援助もほとんどない中での開拓生活は苦闘の連続だったと言います。そんな中で日勝は、後に東京藝術大学に進む兄の一明の影響で絵を描き始めます。(チラシ裏面の文より)

プロローグとして、日勝18歳の頃の自画像、風景画、
あばら骨が浮き出ているような白い《痩馬》1956年 は、
公募展に初出品して入賞を果たします。

描かれたのは、馬喰に騙されて買った老いた馬で、
ほどなくして死んでしまったそう。

それから、暗い重厚な色調で壁が基調として描かれる絵が続きます。
全道展初入選の《家》1960年 翌年の《ゴミ箱》1961年(チラシ裏面右上)
1962年の《人》からは人物が同じような暗い色調で描かれます。

日勝に影響を与えた画家の作品も展示されていて、
3歳上の兄・神田一明《赤い室内》1961年 に描かれたストーブと、
日勝《飯場の風景》1963年(チラシ裏面右2段目) に描かれたストーブ、
同じものかな? ペインティングナイフで重厚に描くところや、
暗めの同色系の色使い(一明さんの方が明るめの赤だけど)など、
似てるなって。日勝は中学生の時、兄の高校の部活で使用した画材を借り、
その手ほどきで油絵具の扱い方を学んだそうなので当然と言えば当然だけど。

十勝画壇を牽引した寺島春雄(1911-1966)の《柵と人》1957年 は、
日勝のスクラップブックに写真図版が貼られていて、
《板・足・頭》1963年 のモトになったのではと考えられているそう。

しかし彼ら以上に大きな影響を与えたと思われるのが、
曺良奎(チョ・ヤンギュ/1928-?)

曺良奎!! 2015年に開催された
岐阜県美術館「日韓近代美術家のまなざし」展
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2015-07-23
で、私が一番印象に残った画家!!
農婦と牛の顔を描いた絵や、倉庫と人を描いた絵が迫力で、
画面から迫ってくる社会から抑圧された怒りや哀しみのような情念に
圧倒されたんですが。説明文を読むと、
慶尚南道晋州(キョンサンナムド チンジュ、現・晋州市)郡に生まれる。1946年、晋州師範学校卒業。南朝鮮労働党の活動に傾倒したため官憲に追われ釜山に向かい、1948年に日本に密航。倉庫で働きながら武蔵野美術学校(現・武蔵野美術大学)に通うが、1952年に中退。日本アンデパンダン展や自由美術家協会展に出品し、1953年にはタケミヤ画廊で初個展。1955年、自由美術館協会会員となる。1958年安井賞候補新人展に出品。1959年村松画廊で2回目個展。1960年、新潟港から北送船で北朝鮮に渡る。1967年まで日本向け雑誌に挿絵を手がけたが、以後消息不明。
(「日韓近代美術家のまなざし」展図録より)
って生涯を知って、さらに衝撃を受けました。
なるほど! この頃の日勝の作品、とても似ていますね。

展覧会には曺良奎《マンホール B》1958年と、
《密閉せる倉庫》1957年(←この作品「日韓―」にも出てた) が展示されてました。

日勝のスクラップブックに曺良奎の写真図版があったり、
デッサン帳に模写した痕跡があるそう。

展示室には日勝の画材やデッサン帳も展示してありました。

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ステンドグラスとシャンデリアが素敵な階段を降りて2階へ。
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2階は創建当時のレンガ壁を生かした重厚な展示室
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日勝と言えば「馬」ってイメージですね。
《馬》1965年 や、《開拓の馬》1966年
日勝が描く馬には、胴に毛のない部分があります。
これは農機具を装着し牽引することで生じる「胴引き」痕で、
働く農耕馬の証なんだそう。

死んだ愛馬を描いた《死馬》1965年
画面いっぱいに死んで横たわる馬が描かれているのですが、
まるで眠っているような穏やかさなのに、
脚に巻き付けられた鉄の鎖が非情なイメージ。

海老原喜之助(1904-1970)《友よさらば》1951年 という
死んだ馬が埋葬されようとしている場面を描いた絵が展示されていました。
馬の周囲に別れを嘆く人や犬が描かれています。
日勝の《死馬》も、デッサン帳には馬の周囲に人物が描かれていたが、
完成された絵は馬単独の構図になっているのだそう。

死んだ牛を描いた《牛》1966年 は、画面中央の赤色がまず目に入って、
これは何? と。牛の腹が一文字に割かれ、真っ赤な内臓がのぞいている
実際に当時の農家では、牛が死ぬと体内に溜まるガスを抜いたりするために
このように切り開いたそうだけど、鮮やかな赤色が異様でインパクトありました。

それから画面がカラフルになります。
莚(むしろ)の上に野菜や果物、羽をむしられた鶏、魚、ビン、缶などが
描かれている《静物》1966年(チラシ裏面右4段目)

たくさんの画材が並ぶアトリエを描いた《画室 A》1966年(チラシ裏面右3段目)
では、さらに色が鮮やかに、絵が平面的になります。
この頃、まだ日勝はアトリエを持ってなかったので、
架空のアトリエだとされてきたが、
美術雑誌に掲載された山口薫のアトリエ写真がもとになっていることが判明したそう。

《画室 C》《画室D》《画室 E》1967年 と、鮮やかなピンクに色彩が乱舞して、
描かれている絵具や缶はより平面的、ポップな画面になってます。

1968年の《室内風景》では、画室に膝を抱えた人物(自画像でしょうね)が
加わります。ポップでカラフルな画面なのに、孤独感や疎外感、焦燥感
みたいなものが伝わってきます。

そして亡くなる1970年の《室内風景》(チラシ裏面左) では、
新聞紙を張り巡らせた狭い室内に、膝を抱えてこちらを凝視する男(自画像)
描写がとてもリアルになって、孤独感や焦燥感がさらに強まったカンジ。
大画面びっしりに細かく描かれた新聞紙も、ほぼ等身大で描かれた人物も、
なにか鬼気迫るような雰囲気で、周囲に描かれたモノも、
時計やリンゴ、灰皿やものさしはまだわかる(?)としても、
魚の骨や人形は‥‥?? 克明に描かれているだけに異様で不思議な迫力。

近くに海老原暎《1969年3月30日》1969年 という、
タイトルの日に発行された新聞紙を「だまし絵」のように描いた絵があって、
私は一見、ホンモノの新聞が貼ってあるのかと思いましたよ!
広告や記事のタイトルまで克明に描かれてます。
この絵、1969年の第9回現代美術美術展で発表された作品で、
図録に掲載された図版を日勝が見つめていたそうで、
《室内風景》の背景の図像源と考えられているそう。


それから、ポスターや新聞が貼られた板壁と自画像を組み合わせた
《壁と顔》《ヘイと人》1969年

鮮やかな原色の絵具をそのまま厚く画面に塗りたくった
《晴れた日の風景》1968年(チラシ裏面上中)
生命のエネルギーが爆発しているよう‥‥

1950年代後半にフランスから流入した
「アンフォルメル(非定形)」と呼ばれる抽象表現主義の芸術運動からの
影響とのことですが、いろいろなスタイルを模索していたことがわかります。

それから風景画の小品が並びます。
日勝は、公募展出品作には風景画を描かなかったが、
十勝の風景画を多く描いているそう。
大画面の強烈な色彩とダイナミックなマチエールに圧倒された後なので、
日勝の風景画、好きだなぁ! 癒されるというか、自分の部屋に飾りたい!!
販売や寄贈を目的としたのであろう、いかにも北海道!ってカンジの、
穏やかで牧歌的な風景画もいいけど、
《荒野の廃屋》1965年頃 や、《離農》1969年 などの
荒涼として侘しい風景も、心に響いてくるものがありますね。


最後に、未完で残された絶筆《馬(絶筆・未完)》1970年
チラシ表面に部分が使われ、裏面右下に画面全体がありますが、
「半身の馬」とも呼ばれ、ベニヤ板に頭部や前肢、胴体の半分まで描かれ、
背景は手つかずでベニヤ板のまま、後肢にかけては鉛筆の輪郭線が残っています。
ブロックごとに完成させて描き進めていくという日勝の手法がわかります。

1970年、世間が大阪万博で盛り上がっていた頃、日勝は、農作業、制作、展覧会の準備などに忙殺される中、 体調を崩し、最後の作品を完成させないまま、8月25日に亡くなりました。32歳の若さでした。
神田日勝 大地への筆触」公式HP より
https://kandanissho2020.jp/

半身の馬は、道半ばで亡くなった画家の生涯を象徴するよう‥‥


北海道の農家の忙しさの中で、まぁよくこれだけの作品を描いたものだと。
私も一応、農家の生まれだし(農業はしたくなかったので農家からの縁談は断った)
荒川弘『百姓貴族』でも、北海道十勝の農家に生まれた作者が
農業高校卒業からマンガ家になるまでの7年間、農業に従事していた体験を
ユーモアを交えたエッセイマンガにしていますが、とにかく忙しくて労働もハード。
農作業と制作の間で、葛藤もあっただろうと思います。

この展覧会で、日勝が同時代の美術動向にも敏感に反応していたことも
わかって、彼の苦闘や模索の軌跡を追うことができました。

つくづく、32歳の若さで亡くなったことが惜しまれます。


東京駅の改札も見える2階の回廊を通ってショップへ。
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ショップではもちろん図録購入! 2,750円(税込)
神田日勝の画業・生涯がよくわかる充実した図録です。
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兄の神田一明さんや、妻の神田ミサ子さんへのインタヴュー、興味深かった。
実は《馬(絶筆・未完)》は絶筆ではないとか。

そして神田日勝の未完の馬をモチーフにしたクッキー 680円も購入
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これ、バターの香りがしっかりしてて美味しかった!!
パッケージも、神田日勝の代表作と生涯の説明がわかりやすくていい!
8枚入ってて、値段もお値打ちですよね!!
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お土産として配るのに、もっと買えばよかった!!
(この展覧会後、東京で泊まってあちこち行く予定で、
荷物を増やしたくなかったので‥‥残念)
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北海道十勝の「柳月」が作ってます。オンラインショップもあります。
柳月: http://www.ryugetsu.co.jp/

柳月は展覧会の協賛もしていて、会場で配布されていた
ジュニアガイド、とてもわかりやすかったです。
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KandaNissho (2).jpg
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東京ステーションギャラリー: http://www.ejrcf.or.jp/gallery/

「神田日勝 大地への筆触」公式HP: https://kandanissho2020.jp/

この展覧会、東京ステーションギャラリーの後、

神田日勝記念美術館 7月11日(土)~9月6日(日)
http://kandanissho.com/

北海道立近代美術館 9月19日(土)~11月8日(日)
http://www.dokyoi.pref.hokkaido.lg.jp/hk/knb/

と、巡回します。

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