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豊田市美術館コレクション展「光について/光をともして」他 [美術]

4月9日(木)に、豊田市美術館へ行って、
「久門剛史 らせんの練習」展を見たことは前記事に。

豊田市美術館では
「開館25周年記念コレクション展
 VISION Part 1
 光について / 光をともして」と、
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「コレクション:電気の時代」という展示が開催されていました。


まずは、2階の展示室5でやってた「電気の時代」へ

豊田市美術館を代表する名画
クリムト《オイゲニア・プリマフェージの肖像》1913/14年 と、
エゴン・シーレ《カール・グリュンヴァルトの肖像》1917年 に続いて、

コロマン・モーザー《アームチェア》1903年 と、
ヨーゼフ・ホフマン《サナトリウム・プルカースドルフの待合室の壁面照明器具》1904-5年
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モーザーとホフマンは1903年に「ウイーン工房」を設立するんですね。
このアームチェアは、豊田市美術館のコレクションのページ
https://www.museum.toyota.aichi.jp/collection/koloman-moser
音声ガイドによると、最初、クリムト展の会場に置かれ、その後、
サナトリウム・プルカースドルフのエントランスホールでも使用されたと。
正方形や直線のデザイン、素敵です。


牧野義雄《チェルシー・エンバンクメント》1909/10年
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雨にけぶる街灯や売店の温かそうな明かりがしっとりとした風情で
いいなーって見ました。
牧野義雄(1870-1956)って画家、初めて知ったんですが、

豊田市美術館のコレクションの牧野義雄のページに、
https://www.museum.toyota.aichi.jp/collection/makino-yoshio
この作品の音声ガイドもあって、豊田市出身の画家・随筆家。
アメリカからイギリスに渡り、苦学して美術を学び、
ロンドンの日常を抒情的に描いて、「霧の画家」と称されたと。
他にも所蔵作品の画像ありましたが、とても素敵!


ヴォルフ・フォステル《アイゼンハワーとド・ゴール #1 》1962年
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えーと、歴史や政治に詳しくない私には、この絵の意味するところが
よくわからないのではありますが、壊れた電球を使っているところ、
面白いなーーくらいのカンジで写真撮ったわけです(^^;>


おー! ヤノベケンジのアトムスーツだ!
放射能から身を守るスーツ。まさか日本で必要になるような時が
来るとは思いませんでしたねー。
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《ラディエーションスーツ・アトム 》1996年

「世界を開くのは誰だ?」展でも見た
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2019-07-11
Chim↑Pom の《BLACK OF DEATH 2013》って
ビデオも展示されてました。
東日本大震災の被災地から東京、大阪の太陽の塔の背面など
カラスの鳴き声が不気味に響きます。
あ、やっぱり、なんでカラスがずっとついてくるの? って思ったら、
カラスの剥製を持って、カラスが仲間を呼び集める声を
スピーカーで流しながらバイクで走ってるからなのね!
Chim↑Pom の公式サイトより
http://chimpom.jp/project/black-of-death.html#bod2013


ガラスケースの中に展示されていたのは、
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20世紀初頭に「家電」のデザインをてがけた
ペーター・ベーレンス(1868-1940)
《電気湯沸かし器》デザイン年:1909年、 製造期間:1909-32年 (AEG社)

扇風機や電気時計のデザインもしているんですね。

三角形の電気暖房器具のデザイン、カッコイイ!
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ガラスへの映り込みで上手く撮れてませんが
馬に乗った人が松明を持っているポスター、いいなーって
ドイツ工作連盟展のポスターで、デザインはペーター・ベーレンス。
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1階へ降りて、展示室8の
「光について / 光をともして」へ。

入口で小冊子がもらえました
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最初の「ごあいさつ」で

ドイツの芸術家ヨーゼフ・ボイスは青年の時分に彫刻家のヴィルヘルム・
レームブルックの作品に出会い、芸術家を志します。1986年、亡くなる
数週間前にボイスはその出来事を次のように振り返りました。

  なにかが彫刻によってなされなくてはならない。すべては彫刻なのだ、
  とその作品図版は叫んだのです。その図版のなかに私は光明を見た
  のです。わたしは炎を見たのです。そしてわたしは「その炎を守れ」と
  いう声を聞いたのです。

ボイスはここで受け取った炎を終生絶やすことなく、まさしく熱源として芸
術活動をつづけました。いろいろな語り方はありますが、美術はまずはなに
より、強烈な炎の現れとも言えるのです。

(後略)

ということで、

身近な街中や遠く宇宙の光と、わたしたちそれぞれの内なる光とが照応するような作品を紹介します。わたしたちの生の源となり、未知なる世界へといざなう燈火(ともしび)はどこにあるのか。豊田市美術館の現代美術のコレクションに、ゲストアーティストとして玉山拓郎を迎え、その在り処を探ります。(チラシ裏面より)

会場へ入ると、
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右側の壁には奈良美智の作品が並んでいました。
中でもこの絵、素敵!!
奈良美智《Dream Time》1988年
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燈火(ともしび)を持った少女(少年?)
もらった小冊子によれば、この絵は豊田市美術館に収蔵される前、
藤ヶ丘の喫茶店「木曜日」に長く展示されていたそうですね。
オーナーの思い出が綴られていました。

左側の壁には村瀬恭子の作品が展示されてました。
(チラシ裏面の中段が村瀬恭子《Fiowery Planet》2009年)


展示室に長ーーく延びた作品は
村岡三郎《熔断―17,500mm×1,380℃》1995年
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小冊子によれば、「熔断とは、高温の燃焼ガスにより、金属などを溶かし 切断する工業的な作業である。鉄の場合、融点は1,380℃である。
この長い作品をは名古屋の画廊で制作されたそうで、その制作現場に
立ち会っていた画廊主の滝顕治さんが制作の様子を寄稿されていました。
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反対側から見ても、長ーい(当たり前だ(^^;

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チラシ表面に使われているこの作品、ネオン管の造形作品ではなくて、
なんと絵画なんですね!!! すごい、本当に光っているみたい。
横山奈美《LOVE》2018年
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モノクロの小さめの絵が丸く並べられています。
横山奈美《ラブと私のメモリーズ》
それぞれ犬(にしては顔が‥‥?)と少女が一緒にいる場面。
ほの暗さが夢の中のようで、どこか寂しげなのは、
死んでしまった犬の思い出だから?


野村仁《赤道上の太陽》1989年
コレクション展で何度も見ている作品ですが、
無限大記号のような不思議な形は、赤道上からとらえた
一年間の太陽の軌跡を表しているんだそうですね。
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隣の台の上には
野村仁《宇宙はきのこのように発生したか》1987年
というガラスの造形作品

今回、野村仁(のむら ひとし 1945- )の作品が多く展示されていました。
1960年代から関西をベースに活動を続ける野村は、美術教育にも長く携わり、 多くの後進を育てたことでも知られています。久門剛史もその一人です。
(もらった小冊子より)

《‘moon’ score: 宇宙はきのこのように発生したか》1980-84年
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本(フォトブック)がずらっと並んでます。
《Photobook―視覚のブラウン運動》
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野村がヴィデオ・カメラを手に街中を歩きながら、見るともなしに見ている光景を記録したものです。漫然とした視界に光景が流れ込み、書籍のかたちとなって、言うなれば好む世界に遍在する光が蓄積されています。」(もらった小冊子より)
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《‘moon’ score:宇宙は収縮に転ずるか?》1979年
写真作品の前に、ガラスの作品
《宇宙は収縮に転ずるか?》1989年 が展示されています。
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マリオ・メルツ《明晰と不分明/不分明と明晰》1988年
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ガラスでできたドーム形の造形の中にネオン管やら
木の枝などが組み込まれている‥‥うーん??

イグルー(エスキモーの半円球の氷の家)をモチーフにした作品で、
1988年、当時名古屋郊外にあった現代美術センターのICA,Nagoyaでの
個展のために来日したメルツが現地で制作し、
1996年に豊田市美術館の収蔵となったそう(もらった小冊子で知りました)

マリオ・メルツ(1925-2003)の作品は、
昨年、豊田市美術館がリニューアルオープンした
記念コレクション展「世界を開くのは誰だ?」展で、
《廃棄される新聞、自然、蝸牛の体のうちに、空間の力として継起する螺旋がある》1979年 を見て、「アルテ・ポーヴェラ(貧しい美術)」という言葉を知ったんですね。


ゲストアーティストの玉山拓郎の作品
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赤い色が強烈な巨大なテーブルと、テーブルの下に取り付けられた
緑色の光に照らされて床や下半分の空間が緑色になってます。
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テーブルの上の皿(ハムと目玉焼き、プチトマトが載ってる)が
ゆっくりと回転しています。
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ピエル・パオロ・カルツォラーリ《ベッド、黒板、ランプ、バラ》
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‥‥ベッドにバラの造花が立ってて、ランプが光ってる。
タイトルもそのままだし‥‥
ベッドのヘッドボードが黒板になってる??
文字(サイン?)が書かれてるみたいだけど。
うーーん? 作家の意図ってなんだろう??
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1階のこじんまりとした展示室6では、小堀四郎の作品が
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この絵、画面から光が差してくるようで素敵だなって
小堀四郎《高原の夕陽》1947年
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隣の展示室7は、宮脇綾子のアプリケ作品と宮脇晴の絵がありました。


さて、鑑賞の後はやっぱりティータイム!
レストラン ル・ミュゼ(味遊是)でケーキセット990円

抹茶のクリームブリュレと、
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今回、紅茶にしてみました。ガラスの器が素敵です。
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窓ごしの景色も楽しみました。
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やっぱり豊田市美術館いいなぁー!
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早くコロナが終息して、また見に行ける日が来ますように。

豊田市美術館: https://www.museum.toyota.aichi.jp/

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豊田市美術館のショップに、
「あいちトリエンナーレ2019」公式カタログが置いてあって、
税込3,520円かー、去年、たくさん写真撮りながら楽しんで、
しっかりブログ記事にもしたし‥‥と思いながらも手に取ったら、
それぞれ写真がいいし、内容も充実してて、やっぱり買ってしまいました。
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豊田市美術館「久門剛史 らせんの練習」展 [美術]

4月9日(木)に豊田市美術館に行ってきたことを。

「久門剛史 らせんの練習」という展覧会をやっていました。
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チラシは黒と白の2種類あります。よく見ると、
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円周率の数字が螺旋状に印刷されているのに気が付きます。
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裏面もそれぞれ違います。表面が黒のチラシは裏面は白バックで、
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表面が白のチラシは裏面は黒バックになってます。
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新型コロナウィルス感染拡大防止のため、現在は全国の美術館が
臨時休館となっていますね。豊田市美術館も休館しています。

東京など7都府県に緊急事態宣言が出されたのが4月7日(火)
愛知県美術館は7日から臨時休館となりました。
私が「大浮世絵展」に行った5日(日)が休館前の最後の日でした。

愛知県が独自の緊急事態宣言を出したのが4月10日(金)
豊田市美術館は11日(土)から臨時休館となりました。
(その後、緊急事態宣言は4月16日(木)に全国に拡大されました)

どっちも休館前ギリギリで見ることができて良かった!
(実は5日に豊田市美術館、パートが休みの9日に愛知県美術館って
計画してたんですが、5日に急きょ名古屋に用事ができて、
愛知県美術館に先に行ってラッキーでした!)

久門剛史(ひさかど つよし)
1981年京都府生まれの新進作家の、国内初の大規模な個展。

豊田市美術館の前回の展覧会「岡崎乾二郎 視覚のカイソウ」に
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2020-03-08
行った時、次回の展覧会のチラシがあって(裏面は白)
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あ!これ京都・二条城での「アジア回廊 現代美術展」で見たやつ!
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2017-09-27
重要文化財の隅櫓の中に展示されてて、すごく良かったので、
豊田市美術館での展覧会、楽しみにしていたんです。

久門剛史の作品は、その前に、
あいちトリエンナーレ2016 の豊橋エリア
開発ビル5階に展示されていたのを見ました。
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2016-10-09
すごくカッコよかった!

4月9日(木)、豊田市美術館の駐車場も空いてます。
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七州城隅櫓と桜 満開を少し過ぎてますが絵になりますね。
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庭にも桜があるなんて初めて気が付きました。
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ソル・ルウィット《柱のある立方体》1995年

豊田市美術館の庭の桜は「思川桜(オモイガワザクラ)」という
・開花期 4月上旬~中旬 ソメイヨシノが散り始める頃に咲き始める
・ジュウガツザクラの突然変異
・栃木県原産の栽培品種

という説明板がありました。
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受付で年間パスポートを見せてチケットをもらいます。
久門剛史の展覧会は2階の吹き抜けになった展示室1から。

1《Force》2020年
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壁面に設置されたいくつものアルミニウム板
それらについているアームの先に印刷機の給紙トレイのようなものが
取り付けられています。時折そこから白い用紙が排出され、
ひらひらと床に落ちてきます。
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展示室のスピーカーからは低周波の轟音が響いてきます。

円形のガラスが傾いて床に置かれていて、たくさんの裸電球が
ガラス板の上や床に散らばっています。
裸電球の中でほのかな光が瞬いています。
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‥‥テーブルに載っていたはずの電球たちがずり落ちて散らばり、
制御できなくなった機械から舞い落ちる紙
「安定(信頼)していた世界が崩れる危うさ」(鑑賞ガイドより)と
美しさを感じました。

階段を上がって小部屋の展示室2へ、暗幕をめくって入ると、
2《after that.》2013/2020年
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闇の中にミラーボールの光が乱舞しています。
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ミラーボールは鏡でできた無数の丸い時計でできていて、
その秒針にも鏡がつけられています。
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足元が揺らぐような感覚

遮断機の音が鳴る通路を通って
3《Pause》2020年 (録音 2005年5月18日 阪急電車桂駅)

乳白色のガラス窓を通して外光が入る展示室3には
ガラスケース形の作品が複数展示されています。
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4-1《丁寧に生きる―らせんの練習―》
ムーブメントの先にシャープペンシルの芯が取り付けられていて、
立体的になった紙に線を引いていきます。
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シャープペンシルの芯がゆるやかに坂を上って、
ストンと落ちる動きはずっと見ていられます。
この作品が久門剛史のデビュー作なんだそうですね。

いくつもの形の違うガラスケースが積み重なったりしてます
4-2《丁寧に生きる―現在地―》
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ガラスケースが切断されてずり落ちてます。地震(^▽^)!!
4-3《丁寧に生きる―地震―》
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ガラスが円形にくりぬかれて、それがゆっくりと回ってますが、
角度が違うので、お互いのつくる空間の形が面白く、
いつまでも見ていられます。
4-4《丁寧に生きる―トンネル―》
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印刷機の給紙トレイが積み重なっている?
4-5《丁寧に生きる―具体的な関係―》
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電球が振り子のようにゆっくり揺れています。
揺れ方がちょっとずつ違う?
4-6《丁寧に生きる―完全な関係―》
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次の展示室へと向かう通路の窓から見えた桜
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展示室1を見下ろす。
ずり落ちようとしている紙がたくさん見えます。
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展示室4の最初の部屋は‥‥真っ白!!!!!
6《crossfades #1》2015/2020年
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壁にかすかに動く小さなムーブメントを見つけて行くと、
時計の秒針の先にルーぺが付いていて、覗き見ると、
極小の文字で円周率の数字が書かれていることがわかります。

次の部屋は、
7《Quantize #7》2020年
照明に照らされた白いカーテンが風になびいています。
多数のスポットライトが音と連動して壁を照らします。
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あいちトリエンナーレ2016で見た作品の中にも、
いくつものカーテンが揺らぐ作品があったなぁ。

3つ目の部屋には、
白い紙がスポットライトに照らされている‥‥って
8《crossfades-Torch-》2020年
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展示室を出たところで、展覧会ガイドの紙があったので、
もらって読んだら、
何も描かれていない真っ白な作品に見えるが、大切なのはより作品に近づいて観察しようとすることである。作品の前に立てば、背後から照明を浴びた自身のシルエットが画面上に浮かび上がるだろう。すると、その影によっとそれまで何も見出すことができなかった用紙の表面に、観者は何かを発見することになる。」
とのことで、もう一度戻って見ました。
何か を発見することができました!

階段を下って、アトリウムの壁に29点組の平面作品
9《crossfades #4》2020年 が展示されていました。
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チラシにあるような円周率を螺旋状にシルクスクリーン印刷したものを
切ったりずらしたりして、展開させています。


面白かった! すごくシャープで美しい展示でした。
豊田市美術館の展示室の配置が、まさに螺旋状になってたことに
気が付いて、洒落てる! とニヤッとしてます。
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もらった作品リスト

「久門剛史 らせんの練習」 6月21日(日)までの会期で、
5月12日(火)~6月21日(日)は、茶室・童子苑で特別展示が
ある予定なので、できたらそれも見に、もう一度行きたいって
思っているんですが‥‥コロナの終息を願うばかりです。

この後、豊田市美術館のコレクション展
「光について/光をともして」「電気の時代」なども見ました。
そのことは次の記事で。


豊田市美術館: https://www.museum.toyota.aichi.jp/
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中日新聞2020年3月28日(土)夕刊「文化芸能・美術評」に載った記事
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私のインスタにアップした豊田市美術館の庭の「思川桜」


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愛知県美術館「大浮世絵展」のコレクション展 [美術]

4月5日(日)、愛知県美術館「大浮世絵展」を見て、

続いてコレクション展へ。

最初の展示室4 は「近代の日本画」
「日本画」とは、明治になって、西洋から油彩画が入ってきた時、
それまであった日本の伝統的な技法や様式で描かれた絵画を
日本画と呼ぶようになったんですね。
明治から昭和初期まで、東京と京都の二大拠点で活躍した 日本画家たちの作品をご紹介します。」ってことで

この頃の日本画、すごく好きだなぁ!
西洋に負けるかって日本画家たちの意気込みが感じられるような。

竹内栖鳳や上村松園、川合玉堂の師として有名な幸野楳嶺は
こんな絵を描いていたのねと。
幸野楳嶺《南天鵯図》1892年頃
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愛知県美術館コレクション検索で公開しているデジタル画像のうち、「Public Domain」(パブリック・ドメイン)または「CC0」の表示があるものは、当館に申請することなくダウンロードし、自由に複製、再配布することができます。

橋本関雪《猿猴待月》1938年頃
いいなぁ!! 私のスマホでも撮ったけど(コレクション展は撮影可)
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コレクション検索で画像ありました。
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竹内栖鳳《狐狸図》1908年頃
あ。この大作、愛知県美術館「ジャクソン・ポロック展」の時の コレクション展で見て、すごく感動したんですよね。
また見ることができて嬉しい!
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渡欧して西洋の水彩画法を研究した成果が、
伝統的な四条派の筆法と溶け込んでいて、
さすが「動物を描けば、その匂いまで描く」と言われた画家ですね。
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碧南市藤井達吉現代美術館で開催された「竹内栖鳳」展
見に行ったこと:https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2015-04-21

川合玉堂《湖畔晩帰》1928年
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岐阜にもゆかりの深い川合玉堂(1873-1957)
岐阜県美術館が多くの玉堂の作品持ってて、見てるんですが、
この《湖畔晩帰》しっとりとした川辺の状景が格調高く描かれてて素敵だなと。

「西の栖鳳、東の大観」と称された、
日本画壇の重鎮・横山大観(1868-1958)
日本画に西洋画の画法を取り入れた絵は
「朦朧体(もうろうたい)」と呼ばれて批判されます。
横山大観《飛泉》1900年頃
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私は横山大観の絵、当時の人が「朦朧体」って批判したのに
同意するというか、なんだかもっさりした絵で好きじゃないって
思ってたんですが、この絵はいいじゃないですか!
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そして、こういう絵、私の好みだわーって見たのが、
中村岳陵《芦に白鷺鵜鴒図》1921年
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展示室5は「20世紀の色彩」

クリムト《人生は戦いなり(黄金の騎士)》1903年 や
ピカソ《青い肩かけの女》1902年 などコレクション展常連(?)というか、
愛知県美術館を代表するような名品が展示されてました。

マティス《待つ》1921-22年 は、
昨年11月から今年2月にかけて東京国立近代美術館で開催された
「窓展」チラシに使われてましたね。
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そして、これは愛知県美術館こんなのも持ってたのね!って
今回「色彩」に注目して紹介してるってことで
展示されたんでしょうね。

ラースロー・モホリ=ナジ(1895-1946)
《コンストラクション『ケストナー版画集6』より》1922-23年
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モホリ=ナジ は、大学へ入って現代デザイン史を習った時に
最初に出てきました。(モホリ=ナギ と習いました。彼の著書
『ザ ニュー ヴィジョン *ある芸術家の要約』大森忠行訳 ダヴィッド社
がテキストだったんですが‥‥何を学んだのか、よく覚えてません(^^;>
(本を見つけて読み返そうとしたんですが‥‥挫折しましたー)
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1922-23年の作品ってことは、最初の個展を開いて、グロピウスと出会い、
バウハウスの教授に招かれた頃、モホリ=ナジ27-28歳の作品ってことですね。
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コレクション検索で画像ありました。


後半は、いつものコレクション展!って見た
モーリス・ルイス《デルタ・ミュー》1960-61年 と
フランク・ステラ《リヴァー・オブ・ポンズ IV》1969年
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そして「色彩」ってことで選ばれたと思われる
真っ青な イヴ・クライン《アルマン(肖像レリーフ)》1962年 と、

真っ黒な ルイーズ・ニーヴェルソン《漂う天界》1959-66年
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展示室6は「小企画 水谷勇夫と舞踏」

 名古屋を拠点に活動した画家・水谷勇夫(1922-2005)と舞踏との関係について、大野一雄舞踏公演『蟲びらき』(1988年・東京、1990年・名古屋)の舞台装置を再現と、関連資料の展示により考察します。

おぉ! モノクロのダイナミックな空間!
いかにも暗黒舞踏って雰囲気です。
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棒の先についているのはカマキリで、観客にこれを持たせて
舞台に参加させてしまったそう。
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天井からぶら下がっているのが《かれい》で、
大道具として制作され、演者の大野一雄とからむ演出だったそう。

愛知芸術文化センター情報誌「AAC」vol.103 の記事
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展示室7は「木村定三コレクションの中国陶磁」

 木村定三コレクションの中国陶磁は、一般的な収集家に人気の高い宋や唐時代の陶磁器には重きを置かず、明時代の壺や鉢、向付や合子など、茶人としての美意識のもとに収集されています。その特色をよく示す作品をご紹介します。

ってことでした。私には時代の違いとかよくわかりませんが、
この花と鳥が描かれた壺、素敵だなって。
《青花花鳥文瓶》明時代末(17世紀前半)
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展示室8は「没後40年 長谷川潔の銅版画」

時が止まったかのような静かな世界に配置された小鳥や植物
素敵です。
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出窓にあった堀内正和《とぶ円筒》1960年
なんかちょっとユーモラス。親が子供を空へ放り上げて遊んでいるよう?
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今回の愛知県美術館のコレクション展もとても素敵でした。
また行ける日が早く来ますように! コロナの終息を願うばかりです。

愛知県美術館: https://www-art.aac.pref.aichi.jp/
愛知芸術文化センター: https://www.aac.pref.aichi.jp/

愛知芸術文化センター情報誌AACはこちらで読めます:
https://www.aac.pref.aichi.jp/aac/

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愛知県美術館「大浮世絵展」 [美術]

4月5日(日)、愛知県美術館へ行ってきました。
「大浮世絵展
 歌麿、写楽、北斎、広重、国芳 夢の競演」をやっていました。
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新型コロナウィルスのため、
愛知県美術館「コートールド美術館展」
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2020-01-21
2週間の会期を残して閉幕となったのが3月1日(日)

その頃は、3月15日過ぎにはコロナも収まるよねって、
お気楽な私は考えてたんですが‥‥

収まる気配もなく、4月3日(金)からのこの展覧会、
開催できるのか心配していました。

愛知県美術館のウェブサイトやツイッターで、
開幕できたって知って、ちょっと驚きつつも、
嬉しかったです。でもこの状況では、いつ閉まるか
わからないので、早く行かなくてはって。
名古屋の中心地・栄にあるので混雑がちょっと心配でしたが‥‥

いつもは混雑するオアシス21も、イベントもなくて人が少なかったです。
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愛知県美術館のある愛知芸術文化センターへの入口
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愛知県美術館の入口には消毒液が備えられ、
来場に際してのお願いが掲示されていました。

来場者のほぼ全員がマスクしてました。
もちろん私もマスク着用してましたが、
浮世絵の細かいところまで見ようと老眼鏡をかけると
眼鏡が曇ってうっとおしかったです。でも仕方ないですね。

友の会の会員証を見せてチケットをもらいます。
チケットの絵は何種類(5種類?)かあるみたいだけど、
写楽《3代目大谷鬼次の江戸兵衛》が使われたもの。
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浮世絵の歴史の中で誰もが知る4人の巨匠、喜多川歌麿、東洲斎写楽、 葛飾北斎、歌川広重。ここに近年人気の高まる歌川国芳を加えた 「五大浮世絵師」による浮世絵版画の展覧会(チラシ裏面の文より)

私、浮世絵の展覧会ってあまり積極的に行ったことはないです。
あちこちで見られたりして(江戸時代の庶民でも買えるような、
多量に刷られた大衆芸術ですものね! 当時の文化の高さってスゴイ)
まぁ、わりと‥‥本とかで見たり、パロディーっぽく扱われてたり、
ありふれてるしーみたいに、ちょっと低く見ていたとこもあったかも。

昨年12月15日の日曜美術館アートシーンの最初に、
江戸東京博物館でやってたこの展覧会が紹介されて、
国内のほか欧米の美術館、博物館、個人コレクション等から、 摺り・保存状態ともに良く、制作当時の鮮やかさを伝える優品 ばかりを集めました。」(チラシ裏面の文より)
ってことで、この機会に、浮世絵の巨匠の作品をちゃんとした(?)
木版画で見てみるのもいいかなって楽しみにしていたんです。

展示室へ入ると‥‥
愛知県美術館では、5人それぞれ壁の色が変えられていて、
喜多川歌麿は  茜色
東洲斎写楽は  深緑
葛飾北斎は 
歌川広重は  薄紅色
歌川国芳は  黄金色 となってました。
(私のうろ覚えなので違ってるかも?)

 喜多川歌麿 1753-1806

この展覧会で私、歌麿の浮世絵を初めてちゃんと見て、
すごく優雅で豪華なことを知って驚いたんです。
今まで印刷で見てたのと全く違う!
《煙草の煙を吹く女》の煙草の煙が空摺の凹凸で表現されていたり、
白い着物や半襟に空摺の模様が刷られていたり、

背景に真鍮粉が蒔かれてキラキラしていたり(これは
印刷では出ないですね! 図録見てもなんか黒い粒粒のようにしか
見えない。ベルギー王立美術歴史博物館から里帰りした
《青楼十二時》シリーズの素晴らしさ!!)

蚊帳の内と外にいる女性を描いた浮世絵の、蚊帳の繊細な表現!

べっ甲の櫛の透かしや布を透かして見る女性の表現の見事さ!

老眼鏡の曇り(マスクしているせいで)にもめげず
見惚れちゃいました!!


 東洲斎写楽 生没年不詳

謎の多い写楽。黒雲母摺(くろきらずり)大首絵の
役者絵28枚で突然浮世絵界に現れた写楽は、
わずか1年余りで消えてしまいました。

誇張の目立つその画風が好悪両様の反応を呼んだのは当然でしたが、 斬新なその役者絵は浮世絵界に刺激を与えることになりました。
(図録より)

歌麿の美人は皆同じに見えちゃいます(あ、私には。
《当時三美人》とか個性を描き分けているって
解説にはあるんですけど)が、写楽の役者絵は、それぞれの
個性が際立ってますよね。まぁ、役者のファンからしたら、
もうちょっとカッコよく描いてくれてもいいんじゃないかって
思うかも。


 葛飾北斎 1760-1849

日本だけでなく、世界でも有名な北斎。
90年の生涯で膨大な作品を残した「画狂人」

他の浮世絵師と出品数を同じにするため、代表作中の代表作、
誰もが知っている《冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏》をはじめ、
いわゆる赤富士、《凱風快晴》や、黒富士ともよばれる《山下白雨》

そして《諸国滝廻り》《諸国名橋奇覧》《千絵の海》シリーズの
風景画に加えて
《朝顔に蛙》《百合》といった花鳥版画が入ってました。

北斎の版画は、
岐阜県現代陶芸美術館「引き継がれるコレクター魂」展 で、
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2017-10-29
『北斎漫画』と『富嶽百景』全点が展示されてましたし、
(この展覧会、歌川国芳と月岡芳年の浮世絵も出てて、
とにかくすごい出品数でした。)

岐阜市歴史博物館「北斎漫画」展 も行ったなと。
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2010-05-19


 歌川広重 1797-1858

広重っていえばという《東海道五拾三次》
子供の頃、永谷園のお茶づけにカードが入ってたなぁと。
(ずっと買ってないんですが、ネット見たら、また復刻したんですって?)

そして《木曽海道六十九次》《近江八景》《名所江戸百景》
花鳥画として《椿に小鳥》《葦に鴨》《和漢朗詠集 月に雁》が
展示されていました。北斎と同じような出品構成にしたわけですね。

北斎の風景画は奇抜な構図でインパクトありますが、
広重は安定した構図で雨や雪、月、夜などの風情があって、
見ていて穏やかな気持ちになれるというか。
花鳥版画も上品です。

中津川にある中山道広重美術館で「抒情の系譜」という
企画展をやってたので、
高畠華宵や蕗谷虹児を見たくて行ったんですが、
所蔵品展で初代広重と二代広重の作品が展示されていました。
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2011-11-21


 歌川国芳 1798-1861

近年人気の高い国芳。伊藤若冲や曽我蕭白らにつながる
「奇想の画家」として、ブームになってますね。
三枚続の大画面に大胆で躍動感に満ちたダイナミックな構図!
細部への描き込みと毒々しいまでの派手な色づかいは、
私としては、ちょっと引いてしまうところもあるんですけど。

チラシにも使われている《宮本武蔵の鯨退治》や、
《源頼光公館土蜘作妖怪図》は、実は当時の政権を
(徳川幕府の将軍・徳川家慶や天保の改革の中心人物、老中・水野忠邦)
風刺したものだとか。これは江戸っ子たちは狂喜したでしょうね。

有名な《相馬の古内裏》(巨大なガイコツが現れるやつ)は、
後期展示となってました。

国芳は猫好きとしても有名ですよね。

名古屋市博物館「いつだって猫展」
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2015-05-14

では、国芳のいろんな猫の浮世絵が見られて楽しかったですが、
今回の展示でも、猫の浮世絵や、遊び心あふれる戯画が
展示されてましたが、ちょっと疲れてきたのもあって、
このあたり、足早に過ぎてしまいました。

出口で、名前と連絡先、滞在時間を書く紙が用意されてて、
(スマホの)時計見たら、14:45
え?! ここ着いたのって12時15分くらいだから、
鑑賞に2時間半?!! かかってる!
これでも国芳あたりはかなりスッ飛ばしてるんですけど‥‥!

そう、浮世絵の展覧会って出品数が多いので、
鑑賞してると疲れちゃうってことも、私がなんとなく
浮世絵の展覧会に積極的になれなかった理由。

「"大"浮世絵展」って展覧会名つけるだけあって、
充実した展覧会で良かったです。
私、歌麿の浮世絵がこんなに良いんだって驚きましたし。

出口にあった記念撮影コーナー
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ちょっと疲れたけど、愛知県美術館のコレクション展は
いつもスゴイので、見ていきました。そのことは次の記事で。

展覧会の図録、今までの展覧会なら展示室のソファとかで
見れるように置いてあるんですが、今回はコロナのため、
ショップでも、見本がありませんでした。でもこの大きさ、
分厚さで、5人の浮世絵師の代表作と言えるような作品が
1冊になってるわけですし、これで2,600円(税込)は
お値打ちって言ってもいいですよね。
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銀色の箔押しのタイトルがカッコイイです。
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展覧会グッズも充実してましたが、とりあえず図録のみ買いました。

出品リスト見るとほとんどが途中で展示替えするので、
(同じ作品の所蔵先違いも含めて)
もう一度行きたいなって思いながら帰ったんですが、
それどころではなく、私が行った翌日の6日に
愛知県美術館の臨時休館が決まり、
当初は20日(月)までだったのが、5月7日(木)まで延長となりました。
(うーん、今の状況だと、5月8日の再開はできるのか??)

新型コロナウィルスの終息を願うばかりです。


愛知県美術館: https://www-art.aac.pref.aichi.jp/
「大浮世絵展」公式サイトhttps://dai-ukiyoe.jp/

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岐阜県現代陶芸美術館「ニーノ・カルーソ」展 [美術]

新型コロナウィルスの感染拡大が止まりません!!
岐阜県でも4月10日に県独自の「非常事態宣言」が出ました。

その前に、4月4日から県の施設の臨時休館が決まり、
4月12日(日)までの会期だったこの展覧会も、
4月3日(金)で終了となってしまいました。
3月24日(火)に行っておいてよかった!!

「記憶と空間の造形
 イタリア現代陶芸の巨匠
 ニーノ・カルーソ」展
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イタリア現代陶芸の巨匠ニーノ・カルーソ(1928-2017)は、
神話性、象徴性を制作におけるテーマの一つとしています。
初期は、自身のルーツであるシチリアの記憶と結びつけた
装飾的な器物を制作していましたが、次第に古代ローマや
ギリシャ、エトルリアの遺跡等を思わせる壁面や柱、門
などの形態制作を通じて、古代と現代を結ぶ空間の構築
へと向かいます。こうしたカルーソの表現は、日本を含め
世界中で高い評価を得ています。

(チラシ裏面の文より)
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スミマセン、全く知りませんでした。
1月19日の日曜美術館アートシーンで、
京都国立近代美術館で開催中のこの展覧会が紹介されて、
あ、岐阜県現代陶芸美術館に巡回してくるやつね、って
見たくらいで。

私が行った3月24日頃も、コロナで小中高が休校だったり、
イベントが中止になったりと、自粛ムードはありましたが、
ここの美術館、ホントに鑑賞者がいないんですよね。(失礼)
結構いい展示やってるんですが、
山の中にあって、車でないと行くのが不便だからでしょうか。
平日で、この、あまりメジャーでない展覧会なら、
空いてるだろうって思ったんですが、やはり!
他の鑑賞者に会いませんでした。
ちょっと遅い時間(3時過ぎ)に入ったってこともあったんでしょう。
ここは6時まで開館しててくれる(入館は5:30まで)ので、
私のような者にはありがたいです。

マスクごしに喋ったのも、受付で
「岐阜県美術館の会員です」と会員証を見せて、
「確認します。このシールを服の見えるところに貼ってください。
 展示物には手を触れないでください。」と言われたくらい。

展示室前の記念撮影コーナー
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ってことで、展示室へ入ると、奥には壁のようなものが
見えましたが(展示室ぐるっと回ってこの奥へ出ます)
手前には、ざらっとした皿に人物が描かれたものとか、
1964年の「現代国際陶芸展」でも紹介された2点の作品

2018年に開催された岐阜県現代陶芸美術館「1964」展
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2018-01-28

1964年当時「日本陶芸の敗北」と評されるほどの衝撃を、
日本の陶芸界に与えたという「現代国際陶芸展」を
検証する展覧会でした。この展覧会で紹介された
海外の陶芸作品の多くが京都国立近代美術館に収蔵されたとのことで、
「1964」展にも出てたこの2点も出品されてました。
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「1964」図録より
上《共蓋壺》1963年
下《壺》1963年

‥‥って、あ、私、「1964」展でニーノ・カルーソの作品
見てるんだって気が付いたのが、帰って来てから。
まったく印象に残っておりませんでした(^^;>

次の展示室へ進むと、
板でできた《パーテーション》1969年 とか、
鉄の大きな彫刻があって、え!? この人陶芸家よね??
って、ちょっと驚いたりしたんですが。

でも、ニーノ・カルーソ、発泡スチロールを原型として
作品を制作、それをモジュラー・ユニットとして組み合わせて
大きな彫刻や壁面を作ったりしていて、陶芸だけでない
建築デザインのような仕事もした人なんだなと。

滋賀県立陶芸の森の野外モニュメント《風と星》(1991)の
デザインもしているんですね!
ここも一度行ってみなくてはって思ってるんですが。
(3/25~5/31のリサ・ラーソン展、4/11から当面の間休館だそう)


古代ローマやギリシアの遺跡などを思わせるような
作品や空間が良かったです。

自分が見た夢から発想した不思議な家のような陶芸作品
《夢の館》1999年 とかが並ぶ展示空間は、
薄い布を通して外の風景が透けて見えるようになってて、
あら、この部屋、こんな演出(?)もできるんだ! って、
ちょっと新鮮だった。


最後の部屋は撮影可!
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《シチリアの記憶》
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窓から外の緑が見えるのもいい雰囲気。
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何種類かの白いモジュラー・ユニットを組み合わせて、壁面が
作られています。染色のように、全く同じ繰り返しで
並んでいるわけではないみたいですね。
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《ペトラ》2005年
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《パルミラ》2006年
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左《断片と素材》 右《ストラッポ》どちらも2006-7年
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《京都に敬意を表す》1972年 アルミニウム
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展示室を出たところに、ニーノ・カルーソが
発泡スチロールを使って作品を作っている映像があって
興味深かった。昔の映像なので、かなり粗かったですが、

陶芸の道に進むと決めた時、友人からは
「専門的な教育も受けてないのに、ばかげている」と言われ、
両親からは「もっと安定した仕事に就くように」と言われたって
話しているところが印象に残りました。


ニーノ・カルーソは、今年秋(9/18~10/18)に第12回の開催を迎える
国際陶磁器展美濃の第1回展(1986年)から第6回展(2002年)まで
審査員を5度歴任するなど、ここ美濃(多治見)にもゆかりの深い方だそう。
↑しかし、今年秋の開催大丈夫か‥‥??
その前に、次回の展覧会「ルート・ブリュック 蝶の軌跡」
4月25日(土)からの開催だったんですが、臨時休館が5月7日(木)まで
延長になって、開幕が延期になりました。
楽しみにしていたので、早くこの新型コロナウィルス感染症が
終息してくれることを祈るばかりです。

岐阜県現代陶芸美術館ギャラリーⅡの展示は、
前回来た「小村雪岱スタイル」展
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2020-02-04
の時と同じ、「題名のない展覧会」他でしたが、
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2020-02-10
もう一度見ても新しい発見があって面白かったです。
展示替えしているのもありましたし。

建物を出ると、ちょうど夕日がつくる影が面白かった。
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----
岐阜県現代陶芸美術館のあるセラミックパークMINO、
シデコブシの自生地を守るために架けられた橋の下の
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シデコブシが花を咲かせていました。
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ミツバツツジのピンクも鮮やかです。
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岐阜県現代陶芸美術館: http://www.cpm-gifu.jp/museum/
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岐阜県美術館アーティストインミュージアム三輪祐子 [美術]

3月21日(土)岐阜県美術館へ「それぞれの空間表現展」を
見に行ったことは前記事に書きましたが、
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2020-04-02

岐阜県美術館のアトリエ(リニューアル前は実習棟)で、
アーティストインミュージアムミュージアム2020
三輪祐子さんの展示をやっていたので、そちらを先に見たんです。
公開制作が2月4日(火)~3月1日(日)
作品展示が3月3日(火)~3月22日(日)
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アトリエの玄関先に置かれた
天野裕夫《バオバブ・ライオン》2002年
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こちらから入ります。
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白い展示室に白い机などが置かれ、
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かすかな音楽が流れています。
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壁の紙に記された文

実習棟からアトリエへとリニューアルされた空間の中で、
冬の白を響かせ余白からハジマル心の機微にそっと意識をチューニングする。

ひとすじの光と共にほころぶ蕾が澄みきった祝福を内包させながら、初めての地上へ届く春の兆しを空間に・・・

アトリエへ訪れる方の内からハジマリの予感を咲かせる。
                     三輪祐子


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紙の上に細い針金が垂らされています。

部屋のところどころにも細い針金の造形が吊るされたり、
置かれたりしています。
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針金の造形は、光の方向で空間に溶けてしまったようにも
見えます。
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文字が書かれた紙片が机の上や引き出しに散らばっています。
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こちらの引き出しにはミモザの花が
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ガラスの棚に置かれた小さなものたち‥‥

部屋に漂う繊細ではかなげな雰囲気が良かった。


----ついでに----

2019年12月3日(火)に行ってきた
関市立篠田桃紅美術空間
「耳を澄ます
 美術と人と呼吸
 三輪乙彦 三輪祐子」展の事を
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三輪祐子さんと彫刻家のお父様・乙彦さんの展示
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関市役所北庁舎7階にあるこじんまりとした空間
観覧料一般400円
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出品リストの展示配置図がいいですね。
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三輪乙彦さんのシンプルだけどあたたかさを感じるような彫刻と、

祐子さんのかすかな揺らぎを感じるような優しい絵が

共鳴し合ってとても詩的な空間になっていました。

図録が素敵だったので購入。500円
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上 三輪祐子《花びらノ指針》2019
下 三輪乙彦《風の詩》1992
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上から 三輪祐子《余白の入口Ⅱ》2019
        《余白の入口Ⅲ》2019
    三輪乙彦《流》1990
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お二人の展覧会は2014年にこちらを見に行きました。
岐阜現代美術館「形と色の音感」三輪乙彦×三輪祐子
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2014-12-15


三輪祐子さんの作品は、ギャラリー小さい家で、
何度か見たことがあります。
「泊まれないゲストハウス小さい家」展と岐阜公園菊花展
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2014-11-19

布やニットで作られたカバンや室内履き、ぬいぐるみなどの
制作をする「inoha」の主宰もしていらっしゃいます。
http://www.inoha.achoo.jp/


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岐阜県美術館「それぞれの空間表現展」2020 [美術]

世界中で新型コロナが猛威をふるっていますね。
全く‥‥少し前はこんな酷い状態になるとは思ってもいませんでした。

私のパートもお客様が激減して、3月中は休みも多かったんですが、
(3月いっぱいで辞められる方がいるので、4月はシフトは
結構入っているんですが、さてどうなるのか‥‥?)
家でゴロゴロしてたハズが‥‥やっぱりブログ記事なかなか
書けてませんね。ついついネット見てたり、
ツムツムに再ハマリ(久しぶりにイベント全クリア(^▽^;>
してたりで‥‥

と、いうことで、今更ですが、3月21日(土)に
岐阜県美術館へ行ってきたことを。
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リニューアルで広くなった岐阜県美術館入口

展示室3で「それぞれの空間表現展」をやっていました。
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フォローしている足立絵美さんのツイッターで、
https://twitter.com/emi8282

岐阜県美術館は休館無さそうなので、
それぞれの空間表現展
(3月17日(火)〜3月22日(日)、岐阜県美術館 展示室3)
は無事開催されそうです。


ってツイートが流れてきて、
あ、今年は岐阜県美術館でやるんだ!
(去年は岐阜県美術館がリニューアルで閉館していたので、
柳ヶ瀬のギャラリーで開催されたんです)
ギャラリークロッキー「それぞれの空間表現」展
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2019-04-01

それも、県民ギャラリーではなくて、展示室3で!

3月8日まで「円空大賞展」が開催されていた展示室3
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2020-02-20

リニューアルでガラスの自動ドアになった入口を入ると、

臼井稔さんの展示
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一部立体になっているところがあったりと、
鮮やかな色彩とマチエールが力強くて面白かった。
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佐藤仁美さんの展示
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臼井さんと対照的に自然をモチーフにした
やわらかな構成が優しい雰囲気。


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カラフルな戸部善晴さんの展示はインパクトあります!
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こんな小さな立体が置かれているのも遊び心が感じられて楽しい。
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オシミタダシさんの展示
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優しい色使いとグラフィックな見せ方が素敵。
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オシミタダシさんのウェブサイト:
http://o4mi.web.fc2.com/


モノクロームの裸婦がなんともミステリアスな雰囲気!
松永賢さんの展示
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周囲に配されたたくさんの蝶や蟻の絵もいいですね。
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安永智一《シルエット》
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黒いバックに鮮やかなフォルム!
大きさの違うパネルの並べ方も計算されていて素敵。


大野昌之《積層の行方》
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キューブが変化して並んでいます。
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堂本清文さんの展示
「紙飛行機を作って、飛ばしてみて」ってことで、
家族連れがチャレンジしていました。
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パネルの絵が鮮やかです。


遠藤泉女さんの展示
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藤澤真実さんの展示
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長縄功太郎さんの展示
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木の板を使っているんですが、水墨の山水画のようにも見えます。
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貼り付けられた陶器に松葉(?)がはいっているのもオモシロイ!
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松井優幸さんの展示
モノクロの木の写真で構成されています。
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木の力強い生命力を感じました。


足立絵美さんの展示(日本画)
凝ったマチエールで描かれた女の子が
ちょっと不気味で、不思議で、カワイイ!
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足立絵美さんのパンタン(操り人形)
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そっと紐を引っ張ると、手足が動きます。

足立絵美さんのウェブサイト: https://blog.goo.ne.jp/kamikirimushiadachi


やっぱり今年は、展示の担当壁面が広いので迫力です。
(案内ハガキの 4.2m×8.4m×5m ってのが1人分なんですね!)
×13名のアーティストの方の、それぞれの表現楽しみました。

展示が見られてよかったです。
(新型コロナウィルスの影響で、県民ギャラリーの他の展示は
主催者側の判断で中止となっていました。)

「それぞれの空間表現展」2019年:
ギャラリークロッキー「それぞれの空間表現」展
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2019-04-01

2018年の「それぞれの空間表現展」:
岐阜県美術館一般展示室「それぞれの空間表現展」2018
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2018-03-19

2017年のこと:
岐阜県美術館一般展示室「それぞれの空間表現展」
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2017-03-11

岐阜県美術館: https://kenbi.pref.gifu.lg.jp/
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